映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ムーンライト
2017年03月01日 (水) | 編集 |
 moonlight movie poster

ムーンライト(2016 アメリカ
原題:Moonlight
監督/脚本:バリー・ジェンキンズ
出演:ト
レヴァンテ・ローズ/アンドレ・ホランド/ジャネール・モネイ/アレックス・R・ヒバート/ナオミ・ハリス
マハーシャラ・アリ

【あらすじ】
マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャイロンは、学校では「チビ」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャイロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケビンだけ。やがてシャイロンは、ケビンに対して友情以上の思いを抱くようになるが・


【感想】
  歴史に残る今年のアカデミー賞で、大どんでん返しの作品賞をかっさらった『ムーンライト』
実は劇場で寝てしまい(咳止めの副作用でとにかく眠かった)記事も書けずじまいだったので、DVDで再見しました。


貧困地域に暮らすシャイロンの少年時代から、青年、大人になるまでを描く本作は、自分探しの青春映画にして、これは黒人社会への応援歌ですね。

この映画を観てまず思うのは、貧困地域で生まれ育った人間が、まっとうな道を歩くのは簡単ではないということ。
父親がいなくて母親はジャンキー、しかも少しだけ女の子っぽい歩き方をするシャイロンは学校でもいじめられ、悪がきに追い回されてます。この生まれながらにハンディを背負っているとも言えるシャイロンがやがて道を外すのは必然にも思えるんですが。。
でもある日彼は、偶然出会ったフアンに声をかけられ、初めて父性のようなものに触れる。
同級生のケヴィンとも馬が合い、彼はケヴィンに友情以上のものを感じ始めるのです。
moonlight-0236.jpg
現実的で絶望的と思えたシャイロンの物語が、そうした「大事な出会い」によって希望を感じさせるものに変わっていくところがこの映画の凄いところでしょうね。

フアンの会話の中で「月明りに照らされると黒人の肌は青く見える」というキューバのお年寄りの言葉が語られます。
黒人だから、貧困地域に生まれたからと言って人生をあきらめてはいけない。
黒い肌が月明りで蒼く輝くように、人は輝くことができる。どんな人間になるかを決めるのは自分自身。
『ムーンライト』というタイトルにはそんな作り手のメッセージを感じました。
moonlightbeach.jpg
ロマンスとしては非常に控えめで、むしろ本当の自分をみつけることの大切さを感じる描き方です。

アカデミー賞助演男優賞を獲得したマハーシャラ・アリのあたたかい演技も印象的ですが、強烈なのはフアンの母を演じたナオミ・ハリス!登場シーンごとにジャンキー度を強め、廃人化していく姿が壮絶でうまいのなんのって。
息子を思うように愛すことができなかった後悔を伝えるシーンでは泣けました。麻薬はアカンでー。
moonlightnaomi.png
麻薬ディーラーが出てくるからと言ってドンパチがあるわけでもなく、淡々とした作風故退屈に感じる人もいると思う。
おそらくはそれほど制作費もかかっていない、こういうインディーズな映画がオスカーを取る時代なんだなと、少し複雑に感じるのは私だけかな。

個人的な好みとしてはやっぱり『ラ・ラ・ランド』でした(笑)

お気に入り度4.0



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コメント
この記事へのコメント
Moonlight
確かにpu-koさんの記事でご覧になったと読んだので随分検索しちゃいましたよ、、”月光”でも検索したんですが、、(*´∀`*)。やっぱり”ラ・ラ・ランド”でしたか??ナンでああなったんでしょうね、、ボクはBAFTAを信じてたんですよ、何せハリウッドを舞台にした実にアメリカンな映画がイギリスでも賞賛された結果でしたからね、、
2017/03/02(木) 21:42:29 | URL | guch #-[ 編集]
これは見ていませんが、アカデミー作品賞は真面目で重そうな映画と、みんなが観たいような楽しげな娯楽作品だと、真面目なほうを選ぶ気がします。
「あなたたち、これ観なさいよ」と上から目線のような。
もったいぶったイメージ。私は信用しません、アカデミー。(マリリンに賞をあげなかったし。←それかい!)
2017/03/02(木) 22:43:37 | URL | ボー #0M.lfYJ.[ 編集]
作品賞だけど、あんまりスイッチ入らないなー。
多分アメリカの今問題になってることとかてんこ盛りだから、シリアスもの好きなアカデミー賞なので恐らく下馬評通り取ると思ってたけど、やはりね。
まあこればっかりは観てみないとナンとも言えない。ララランドはオスカー好みの作品だったけど、んーいい映画だなとしみじみだけど、まあ、色々……。
ま、またレビューで書きます。
これ、キャストが地味ってのあるけど、ナオミ・ハリスか!好きな女優なのでこれは楽しみ。
2017/03/03(金) 04:01:36 | URL | みーすけ #Tzg06d/s[ 編集]
ムーンライト伝説
pu-koさん、こんばんは!
日本公開が待ち遠しいです♪いわくつきな作品賞になってしまったのが、ちょっと可哀想。もっと気の毒なのはララランドだけど…
今は明るい楽しい映画を観たい気分、そんな私にはこの映画、ちょっと重いでしょうか。ナオミ・ハリスのジャンキー母ちゃん、怖い…
私もお月さまのように輝いてみたいけど、そんなこと言ったら月にかわってお仕置きされちゃいますね(^^♪
2017/03/03(金) 06:50:57 | URL | 松たけ子 #OGgHy/oY[ 編集]
Re: Moonlight
> guchさん
そうなんです。観たけど書けなくて。随分と寝てたみたい(笑)
”月光”でも検索ってww
私の好みは完全に『ラ・ラ・ランド』です。
でもやっぱり去年の「オスカー・ソー・ホワイト」も効いてる気がするんですよねぇ。
『ムーンライト』は監督賞か作品賞どっちかを取るとなんとなく思ってました。
まぁでも『ムーンライト』は登場時からIMDbでも物凄い高得点でしたから私が見る目ないだけかもです。
ただ題材が題材だけに好みは分かれますね。

2017/03/03(金) 08:48:58 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
To ボーさん
そうですねぇ。これはまじめというほどでもないんですけどね。
なにせ主な登場人物は麻薬を売るか吸うかの人ばかりだし。
それでも黒人自身が我々にもまだまだ可能性があるから頑張ろうじゃないかと、そんなメッセージに感じました。
昨年の問題もあり、アカデミーも今年はそういうのを汲み上げざるを得ないかなって気もしました。
でも黒か白かで選ぶのは今年までにして欲しいですね。
授賞式の失態からもアカデミーの信用は丸つぶれ。
それこそまじめに再起をかけ頑張って欲しいものです。
そっか、マリリンは賞とってないんだ。
映画史に残る女優なのにね。
長い歴史をっ振り返ってみても、必ずしも後世に残る演技や作品が受賞してないなぁと、昔の授賞式の動画を見ながら昨日思ったばかりです。
2017/03/03(金) 09:00:25 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
To みーすけさん
きっと観る人が観れば素晴らしい作品なんでしょうけど
私は劇場で一回(いや半回かw)とDVDで2回観ても「思春期ものとして普通にいいけどね」程度で
申し訳ないけどシンプルに好みでなかったんだと思うの。
でも多分好みは分かれると思うなぁ。
あ、そうそう、ナオミ・ハリスは凄いわぁ。
私も『ラ・ラ・ランド』の方がオスカー好みだと思ったけど、ま、でもデイミアン監督に作品賞
監督賞両方をくれてやるのはどうだ ってのもあったかも。
彼はいずれ取るでしょう。

みーすけさんのレビュー楽しみだ~。
でも今はアサシンファスで頭いっぱいなのでは?w
2017/03/03(金) 09:10:14 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
Re: ムーンライト伝説
>松たけ子さん、こんにちは
本当にとんでもな作品賞になっちゃいましたね。
そう、ララランドは悲劇だったけど、授賞式で準備していたスピーチも読めず、ララチームに気をつかい
喜びも十分に表現できなかった『ムーンライト』チームもお気の毒でした。
これね、それほど重くはないんですよ。むしろ心のよりどころになる前向きな台詞に心惹かれるし。
ナオミ・ハリスは壮絶、そして本当に上手かった。
ぜひチェックしてください。
ふふ、日本人は月に照らされると何色に輝くのかなぁとか思って観てました。
ゴールドだといいな、なんちゃって。セーラームーンにお仕置きされるなw
2017/03/03(金) 09:19:33 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
このヒトは、
どう生きるのかな、っていうシミジミ見ちゃう作品でした。
麻薬とか貧困とかゲイは実感がないし(貧乏ではある!)…でも、幸せであってほしい、とは思うのであった。
2017/04/23(日) 04:58:23 | URL | ボー #0M.lfYJ.[ 編集]
Re: このヒトは、
>ボーさん
そうですね。
この世には生まれた環境に流されるしかない人も大勢いて
主人公たちみたいに、純粋だからこそ余計葛藤する人もい多いことでしょう。
小さな愛を心に持ち続けたことでようやく見つけた幸せが永遠であれと願わずにおれませんね。

2017/04/24(月) 08:24:31 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
ご無沙汰してます。やっと劇場で観てきました。紆余曲折あった主人公がやっと心の安らぎを見つけるお話は共感できるところ多かったですが、実際のところ、なかなかこういう安らぎを見つけられる人は少ないだろうなあと思うと、主人公がうらやましくも思えてしまいました。ただ、一時の安らぎは一生保証されるわけではないところが切ないという感じでしょうか。
2017/05/17(水) 07:14:12 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
ご無沙汰しております。
少し落ち着かれたでしょうか。
そうですね。主人公がたどり着く境地はある意味ファンタジーかもしれません。
仰るように主人公の安らぎが一生続くかはわかりませんし、むしろ不安の方が大きいですが
多くの厳しい現実を目の当たりにした監督だからこそ、そのファンタジーに希望を託したのかもしれません。
混沌とした世界で生きる若者にエールを送る一本だと思いました。

2017/05/18(木) 10:10:08 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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