映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】彷徨える河
2017年01月13日 (金) | 編集 |

457047_21437_1.jpg
 彷徨える河(2015 コロンビア/ベネズエラ/アルゼンチン
原題:El abrazo de la serpiente
監督:シーロ・ゲーラ
脚本:シーロ・ゲーラ/ジャック・トゥールモンド
出演:ヤン・ベイブート /ブリオン・デイヴィス/アントニオ・ボリバル・サルバドール/ニルビオ・トーレス/ミゲル・ディオニシオ・ラモス
【あらすじ】
部族最後の生き残りである呪術者カラマカテは、アマゾンの奥地でひっそりと暮らしている。数十年にわたって他者との接触を拒んできたカラマカテは、孤独のあまりすっかり記憶や感情を失っていた。そんな彼の前に、聖なる樹木ヤクルナの調査に来たアメリカ人の植物学者エバンが現われる。エバンと共にカヌーでアマゾン深部へ漕ぎ出したカラマカテは、少しずつ記憶を取り戻していく。

【感想】
昨年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたコロンビア映画です。
einhornさんが紹介されていたので気になって観てみました。

監督のシーロ・ゲーラは世界で注目を集める俊英らしいのですが、私は初めてその名前を知りました。
コロンビア人である監督自身も、殆ど知らないというアマゾンの奥地。
映画は、ヤクルナという聖なる薬草を求める2人の西洋人学者がアマゾンの先住民のシャーマン、カラマカテと出会い、カラマカテの道案内でヤクルナを探すロードムービーの趣です。


明確な時代を提示してはないものの、2人目の学者エバンとの出会いは第二次世界大戦中であるらしく、カラマカテが初老の風貌に変わっていることから計算すると、最初のテオとの出会いから30年から40年は経っていそう。
(実在した学者の日記からインスパイアされた作品とのことで、時代はのちに1909年と1940年代であると知りました。)
その異なった時代の出来事であるにも関わらず、話は二つの時代を交錯し、時間の隔たりを感じさせないのが面白い構成です。
pc2vedic7-15n1photo01.jpg
ヤクルナを探す旅を通して見えてくるのが、白人に迫害されたアマゾンの歴史。
白人の入植者たちは先住民を奴隷のように使ってゴムを採取させ、得体のしれない宗教をもたらし、先住民を洗脳しています。でも映画としては、白人による迫害の歴史に重点を置くのではなく、変化し失われていく昔からの知恵や教え、さらには自然の力にフォーカスしてるのかなという気がします。

コンパスを使えば、もう方角を知るのに星の位置を見る必要もなくなる。特殊な知識は便利なものの出現でどんどん不要のものとなっていきます。豊かさは欲や争いを生み、銃は人の命を奪い、岩や自然と対話し人を自然の力で癒してきたシャーマンは存在価値をなくしてしまう。
カラマカテの悲しみが伝わるのですよ。
serpiente1.jpg
それでも失われ行く悲しみばかりを描く映画ではありません。
途中、村で歓迎を受けながらテオとマンドゥカがひょうきんな歌とダンスを披露し村人の笑いをとるシーンもあり、先住民の無邪気な笑顔も印象的です。(ちなみにテオ役の役者はどっこかで見たと思ったら『ボーグマン』!)

theo.jpg
大きな自然の中で少しずつ動いていく歴史を目撃する感覚かな。

モノクロの映像も美しい一本です。



ブログパーツ
関連記事

コメント
この記事へのコメント
No title
確かに雄大な歴史の一部を見せる映画なんですけど、白人がもたらしたものは、原住民が何百年もかけてゆっくりと積み上げてきた文化を一瞬に破壊してしまうというところが怖くて、それが不可避というところが悲しいお話でした。
時間軸を交錯する構成でも、物語を見失わせない演出が見事でした。
2017/01/13(金) 06:01:32 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
そうですね。白人によって少しずつ文化が壊されることの悲しみは原住民の視点から描かれたことにより十分に伝わりました。
ただ、個人的に便利なものに興味を示すのは人間の進化の中で当然起きうることだと思うのもあって、歴史の成り行きを冷静に眺めた感があります。
作り手の思惑と違う見方になっちゃったかもですが。
それでもとても面白い映画でした。
2017/01/13(金) 09:45:32 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
これは ドキュメントじゃなくて 映画  創作ですか
大変やったろうな もはや 未開の地 なんてないか
むかし ドキュメントで見たんだけど  あちらの女性
画面いっぱいに映る ゼンラ  モロ、、、 いいのか
と思いましたが テレビですが
2017/01/14(土) 17:48:46 | URL | おみゃあ #-[ 編集]
To おみゃあさん
一見ドキュメンタリー風なんですが製作映画ですね。
しかも実際に書かれた日記をもとにしてはいるけど、完全には実話じゃないらしい。
アマゾンの奥地では今も裸族(という表現は違うかもだけどw)がいて女性なんかも丸出しだもんね。
カメラマンとか目のやりどころに困りそう。
彼らにどうして新しい文明が入らないのか不思議に思うこともあります。
まぁ、少しは入って入るんでしょうけど。
頑なに昔のスタイルを継続する意味があるんでしょうね。
2017/01/15(日) 01:51:48 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
今回は、新作の「彷徨える河」を関内の横浜シネマリンで観てきました。ここは、スクリーン前の幕の開閉があり、上映サイズに合わせてスクリーンサイズを変える映画館。後、もう少しスクリーン位置を上げてくれると、前の人の頭が気にならなくなるんですが、何とかならないかしら。前回の「神の揺らぎ」では貸し切り鑑賞だったのですが、今回は土曜日の初回ということもあってか、こんな地味な映画なのに、そこそこお客さんは...
2017/01/13(金) 21:01:14 | 今昔映画館(静岡・神奈川・東京)