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【映画】『みかんの丘』信頼と友愛と戦争の本質を描く傑作エストニア映画
2016年02月10日 (水) | 編集 |
tangerines-poster.jpg 

みかんの丘(2013)
エストニア/ジョージア
原題:Tangerines
監督/脚本:ザザ・ウルシャゼ
出演:
レンビット・ウルフサック  / エルモ・ヌガネン 


 【あらすじ
1992年、グルジア、アブハビア戦争が勃発する中、エストニア人のイヴォはみかんの収穫のためグルジアの山村に留まっていた。ある日戸外の銃声を聞きつけ駆け寄ると、そこには数人の兵士が銃弾に倒れていた。イヴォはまだ息のある2人の兵士を連れ帰り手当てをするが、2人は敵対するチェチェン人とグルジア人だった・・


【感想
昨年のアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた2013年のエストニア作品。

100年以上コーカサス地方に定住していたエストニア人は、グルジアとアブハビア戦争の勃発に伴い大半は故郷に戻っていき、映画の舞台となる山間の地ではみかんの収穫を待つイヴォ(レンビット・ウルフサック)とマーゴス(エルモ・ヌガネン)の2人が残っているのみ。
ある日、戸外で銃声を聞き駆けつけると、そこには撃ち合いで倒れた兵士が数人。
イヴォはマーゴスとともに死んだ兵士を葬り、まだ息のあった二人を家に連れ帰り手当てを施すのですが、この2人が敵対するグルジア人とチェチェン人だったからさぁ大変!

これね、殺し合いをしていた「敵同士」が一つ屋根の下に暮らし始めるという、実にユニークな戦争映画でして、
グルジアとチェチェンの確執とか民族紛争とかよく分からなくても楽しめる最高に面白い作品でした。

tangerines.jpg 

まず主人公のじいさんイヴォがカッコいいのだわ。
エストニア人であるイヴォにとって、グルジア人もチェチェン人も同じただの人。
兵士2人も、命を助けられた恩もありイヴォには逆らえず
「家で殺しあうのは禁止!」とイヴォに釘を刺された二人は、口でなじりあいはするものの手は出さないという
ピリピリの共同生活をすることになります。

Mandarinebi_screenshot.jpg 

「お前ら闘い方も知らんクソだよな」とチェチェン人がふっかければ
グルジア人は「国がないやつらは学校に行ってないから歴史も知らんわな」と応酬する。
2人のやり取りはまるで子供の喧嘩なんですが、
偏見と過去の確執に囚われた戦争の実態が露になるところが凄くシニカルで知的なユーモアに溢れています。

そんな2人もイヴォの分け隔てしない人間性に触れ、次第に心を通わせていく。

宗教も違い、生まれながらにして敵同士であることを余儀なくされる人たちも、中身は同じ人間じゃないかと
感じさせてくれる

タイトルのタンジェリンというのはマーゴスとイヴォが育てていたみかんのこと。

2人が収穫を控えたみかんのためにそこに留まっていることや
「自然の恵みを大事にしたいと思う半面でそれはお金の問題でもある」と、マーゴスにあえて言わせていること
あるいは
「みんながこの戦争をなんと呼んでるか知ってるか?みかん戦争だよ。」
「どういう意味だ」
「誰が俺のみかんを手にするかだ」というマーゴスとイヴォの会話から察するに
みかんは紛争の原因となる石油のメタファーなのかもしれませんね。
ちなみにイヴォはみかんを出荷する木箱を作り、マルゴスが収穫を担当してました。

87分というコンパクトな作りですが、キャストもよく、
友情と信頼を描く、悲しくも美しい戦争映画に仕上がってます。傑作!!




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コメント
この記事へのコメント
ここでは みかん出荷するのにいまだ木箱使ってるのかな  昔は日本でもそうでしたよ  りんごなんかも  タンジェリンも マンダリンもほぼ同じもので 中国経由で日本伝わって温州みかんとなりました 温州は地名
日本人は単一民族だから民族闘争はわからない という人もいますが
日本も10数種の民族があるそうで オキナワはずっと差別され続けてますねぇ  戦前は朝鮮半島と同等で準日本人だった
2016/02/10(水) 16:00:12 | URL | おみゃあ #-[ 編集]
なんちゅう私好みの作品かえ(汗)・・・。
韓国映画「JSA」に似た題材やね。
これは見たいなぁ・・・。
「同じ人間じゃないか」というのは良い映画共通のメッセージですよね。
レッド・ツェッペリンの名曲と同じタイトルもいい。
2016/02/11(木) 00:28:25 | URL | ゾンビマン #-[ 編集]
観たい。ソフト出てるのかしら、探せなかった。
このお髭のイヴォさん、風貌がどことなくリー様に似ている!!!
戦争映画はドンパチを見せつける派と見せないで語る派があって、どちらも観るけど、これはユニークな語りっぽいね。
しみじみ熱そうな作品ですね。
もちょっと検索かけてみよーっと。
2016/02/11(木) 06:50:14 | URL | 名なしさん #Tzg06d/s[ 編集]
To おみゃあさん
ね、私もみかんの出荷に木箱使うんだ~と思ってました。
木箱が出来ないと出荷が出来ないっていうのは大変だなぁと。
昔は日本もそうだったんだ。
アメリカではタンジェリンと呼ばれているためタイトルもそうなってるけど映画の中ではマンダリンと言ってますね。
みんな温州みかんの仲間なのね。
日本でも水面下では民族差別あるのか。
最近は反日への反動から在日への差別感情が高まってますね。
けっしていい傾向じゃないけれど、目には目をとなってしまう・・
2016/02/11(木) 08:27:16 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
To ゾンビマンさん
良いでしょう。
観ててワクワクする感じもあってね
戦争相手への負の感情を吐露させあって、なんかそれ幼稚じゃない?と気づかせて
そしてドカンとヒューマニティをぶち込んでくる語り口にやられました。
そうか「JSA」に近いかもですね。
本当にみんな同じ人間なんですよね。
じいちゃんが男前で凄くかった。
レッド・ツェッペリンの『タンジェリン』聴いてみました。
過ぎ去った恋を懐かしむ歌かな。
タンジェリンには郷愁が似合う気がする。
2016/02/11(木) 08:51:27 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
Re: タイトルなし
> 名無しの・・みーすけさんかな?(笑)
これソフトまだかもね~。オスカー候補作品だし、リリースして欲しいけど
こちらでもテレビでやるようになって注目されてるから、そのうち日本にも上陸するんじゃないかな。

あ、イヴォ爺(聞こえが悪いなw)そういえばリー様に似てるね。+ジェレミー・アイアン混ぜた感じ。
そそ、戦争映画にしてはとってもユニークでしょ。
シニカルでいてグッと胸に迫るものもある。いい映画でした。

2016/02/11(木) 08:57:06 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
こういう映画は、劇場公開は難しそうですが、DVDも出てないのですね。でも、DVDだったら買わないかなあ。じっくり劇場で観たいタイプの映画ですもの。大変、惹かれる映画ではありますが、私には、ご縁がない映画になっちゃいそうなのが、残念。
2016/02/11(木) 09:25:08 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
これは昨年EUフィルムデーズ2015http://eufilmdays.jp/schedule/という企画で『イーダ』や『ある海辺の詩人-小さなヴェニスで-』と一緒に東京と京都一館ずつで上映されたようなんですよ。
劇場でご覧になった方がうらやましいです。
確かに私もDVDだと買わないかなぁ。
でもIMDbでも8.4とハイスコアで、レンタルして観る価値はあると思います。
あ、でもこちらのテレビで放映されると日本でもかかることが多いので、機会があれば。
2016/02/11(木) 10:05:57 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
おもしろそうですね。
ロシア語っぽい映画って好きなんです。
日本では京橋のフィルムセンターでやっていたんですか。
でもソフトがないとは、残念。

2016/02/11(木) 22:00:20 | URL | yymoon #-[ 編集]
To yymoonさん
とっても面白くて感動的な作品でした。
エストニアとう国自体にも馴染みがなかったんですが、スカイプの発祥の地でもあるようで、IT関連なども進んだ国らしいです。
日本でもやってたんですね。
このときのラインアップで他に3本しか観てないんですが、面白い映画を上映するいい取り組みだったんだなと思います。
ソフトはこれから出るのかも。
2016/02/12(金) 14:08:16 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
字幕が英語で「うっ」だったけど、
あれだけの短い予告でも「いい」って感じが伝わるよ。

爺さん、いいわ~。
て言ってる、私は婆さん(笑)
2016/02/13(土) 21:31:10 | URL | chaco #-[ 編集]
To chacoさん
あー、ごめんごめん。これ日本語字幕のあったのあったのかなぁ。
探してなかったわ。あったら差し替えておくね。
でもいい感じ伝わってなによりです。
爺さんカッコいいでしょう~。
いや、chacoさんは若いって。
でもお互いカッコいい婆さん目指しましょう(笑)
2016/02/14(日) 10:02:15 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
No title
劇場で観てきました。まず映画として面白かったです。また戦争の悲惨さを嘆くことなく、戦争の愚かさを感じさせる反戦映画として見事でした。主人公イヴォのハードボイルドなヒーローぶりがかっこよくって、予告編よりずっと面白い映画になっていました。今年のベストですね、これは。
2016/12/18(日) 01:16:17 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
おー、今年のベストですか。
そう、これ見たとき凄く面白くて、なんという傑作だろうと驚いたんですよね。
こういう戦争の描き方もあるんだなぁと斬新でした。
イヴォがかっこよかったですね。劇場でご覧になれたのは羨ましいです。
TBありがとうございました。
2016/12/18(日) 14:57:09 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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