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【映画】『涙するまで、生きる』閉ざされたアルジェリア戦争への思い。これはカミュ式ウェスタン
2016年02月08日 (月) | 編集 |
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涙するまで、生きる
2014)フランス
原題:Loin des hommes/Far from Men
監督/脚本:ダヴィド・オロファン
出演:
ヴィゴ・モーテンセン  / レダ・カテブ / ジャメル・バレク  / ヴァンサン・マルタン/ ニコラ・ジロー /  ジャン=ジェローム・エスポジト/ ヤン・ゴヴァン

 
【あらすじ
1954年。アルジェリアの独立運動が激しさを増す頃、アトラス山脈の寂れた山あいで教鞭をとるダリュのもとにアラブ人モハメドを連行した憲兵が現れる。モハメドを裁判にかけるために隣の町まで送り届けるよう命じられ断るダリュだったが聞き入れられず、翌朝二人は町を目指し歩き始める



【感想

何の知識ももたず、期待せずに観てとんでもなく好きな映画に出会うことがありますね。
これもそんな1本。

アルベール・カミュの短編集『転落・追放と王国』の一編をフランス人監督ダヴィド・オロファンが脚色しメガホンをとった本作は
、荒野に放たれた二人の男の自由とアイデンティティを模索するロードムービーにして、カミュ式ウェスタンというべき作品でした。
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主人公ダリュを演じるのはヴィゴ・モーテンセン
ダリュはフランス側でアルジェリア戦争を戦った元軍人ですが、
今は両親の眠るアルジェリアの地で、小学校に寝泊りし、子供たちに歴史や言葉を教えています。
校庭は小石ゴロゴロ、木の切り株も露な粗末なもの。
おそらくはダリュ自身の私費を投じたのか、帰り際には子供たちに食料を配布する姿が印象的です。

ダリュの言葉として詳しくは語られないけれど、そこには彼の複雑な立ち位置にあるダリュの孤独が浮かび上がります。
ダリュはフランス人の入植者の父を持ち、アルジェリアで生まれ育ちながら、アルジェリア戦争に物申して批難を浴びたカミュ自身の投影でもあるんでしょう。

アルジェリア独立に向けた不穏な動きがある中、ダリュとモハメドは様々な危険に遭遇するわけですが
まさに命からがらの旅を通し、二人は互いの孤独に共鳴し少しずつ心を通わせていく。
けれども、モハメドを送り届けることはすなわちモハメドの死を意味すること。
予測を許さない展開に目が離せませんでした。

それにしても孤独な世捨て人のように暮らすヴィゴがものすごく嵌っていてよかった。
モハメド役のレダ・カテブも報復の連鎖を断ち切るため、自らの死を覚悟する男を好演。
諦観の果てにあった彼の瞳が、ダリュの粋な計らいで子リスのようにおどけ輝く。
これまで観た映画にも出ていた役者のようだけど上手い人だった。
ダリュとモハメドの2人が本当に愛しくて最高でした。

『涙するまで、生きる』はカミュの言葉からとったものらしい。

悪意の連鎖を断ち切るためとか、掟に従って死ぬのは無意味じゃないか
自分で考え、涙が出るまでとことん生きろ と
カミュの思いと共に、今も争いのさなかにある人々にむけた監督自身のメッセージでもあるんでしょうね。

紛争を背景にした映画なのに凄く静かで、厳しくも美しい自然を映し出す映像、ニック・ケイヴの音楽も素晴らしかった。





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コメント
この記事へのコメント
予告観たよ!
それだけでウルっときてる単純なワタシ。

だってヴィゴさん好きな俳優だし。
いいわ、いいわ、とってもいいわ!!
おフランス語がちょっと鼻につくけど、感動作なら
ハマり込むと言葉なんかどーでも良くなるさ。

「捕虜はお前だったのか?」が気になった。
2016/02/08(月) 06:04:14 | URL | chaco #-[ 編集]
To chacoさん
予告観てくれた?ありがとう。いい感じ伝わるでしょ。
ヴィゴさん私はそれほど好き好きでもなかったんだけど、今回凄く見直したし惚れたわぁ。
フランス映画だからフランス語だよ。
マルチリンガルのヴィゴさん凄い。本作ではアラブ語も話してました。
緊張と静寂のバランスも絶妙。いい映画でした。
2016/02/08(月) 08:51:04 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
「スリマン」って・・・?なんかエッチな響きだ。
2016/02/08(月) 09:10:21 | URL | GH字幕 #-[ 編集]
To 字幕さん
スリマン・・・
そうやね(笑)
人の名前です
2016/02/08(月) 12:33:14 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
カミュ,,って 確か作品4つしか書いてなくて ノ-ベルもらった 幸運というか 天才というかのお人でしょ  文学部出身としては読まないといけないんだろうけど  異邦人投げ捨てた  映画はえんたて-めんと してるかな  わかりやすいかな  アホなあたまでも
2016/02/08(月) 16:53:06 | URL | おみゃあ #-[ 編集]
コレ、ブロガーさんからチケットをいただき、席まで確保したんですが、当日になって体調が悪くて見逃したんです。
そのブロガーさんにも申し訳ない事をした痛恨の未見作なんです。
この記事を拝見して、余計にスルーを後悔した。
2016/02/09(火) 02:57:36 | URL | ゾンビマン #-[ 編集]
おーっと、ヴィゴか。
古くは『クリムゾン・タイド』で非常においしい役で、こりゃ期待できるなーと思ってましたが、指環で頑張って大人気になったけどわたくしが全く指環映画に萌えなかったために、興味薄れたという勝手なヒストリーある役者(笑)
この人物凄くエキセントリックじゃない? アートな人なんだよなー。
これ面白そうだから先だけど、覚えときますー。
2016/02/09(火) 03:55:52 | URL | みーすけ #Tzg06d/s[ 編集]
To おみゃあさん
カミュってそんな寡作だったんだ。
交通事故でお亡くなりになってるんだもんね。
映画は台詞が少ないのだけど、淡々とした中に緊張感とか心を開きあうところとかあって飽きないんですよね。
勿論アルジェリア情勢自体は緊迫したものだし。
個人的に好きだったのは唯一ユーモアを取り入れてる部分。役者2人もかなりいいです。
ラストシーンはちょっと解釈別れるところはあるかも。
2016/02/09(火) 08:57:53 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
To ゾンビマンさん
あー、行けなかったのかぁ。
多分ゾンビマンさんも好きだったと思うので凄く残念だけど、体調不良は仕方ない。
で、これ去年公開済みなんだと今気づいて公開日訂正しました(汗)

あまり話題にならなかったのかなぁ。
私のアンテナには引っかかったから、レンタルリストに入れたんだとは思うんだけど。
もっと知られていい作品&監督さんですね。
2016/02/09(火) 09:04:12 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
To みーすけさん
ごめん、ごめん。
公開日15年を16年と書いてしまってた。去年の5月にすでに公開済みだったわぁ。

ヴィゴね、私もクールでカッコいいと思いながら、それほど嵌ることもなかったんだけど
今回はこれまでにない魅力と実力を感じて急に好きな役者になったよ。
最近はインディーズ系への出演が多いけど、いくつもの言語を喋り隠れた名作に出てるし、確かにアート志向なんだろうね。
これまだソフトリリースされてないみたいで、だからあまり知られてないのかな。
機会があればぜひ。
2016/02/09(火) 09:16:34 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
予告編は未見ですが、記事を拝見して、期待しちゃいます。ヴィゴ・モーテンセンは色々な映画に出ますねえ。本人の選択がすごいのか、エージェントがすごいのか。
2016/02/11(木) 09:21:52 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
ヴィゴはエキゾチックな風貌と多国語を話すこともあって、色んな国の映画に起用されてますね。
本作の場合、監督がシナリオを書く時点からヴィゴをイメージしていて、直接交渉して承諾を得たようです。
脚本を気に入ったということで、映画を選ぶ選択眼も確かなんでしょうね。
監督さんも新人にして数々の賞を受賞する俊英だそうで、これからどんな作火を作っていくのか楽しみです。
音楽も良かったので、きっとeinhornさんもお気に召すかと。
2016/02/11(木) 09:49:58 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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