映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『ルーム』 ブリー・ラーソン、オスカーおめでとう!
2016年01月21日 (木) | 編集 |
room.jpg

ルーム(
2015)アメリカ
原題:Room
監督:レニー・アブラハムソン
原作/脚本:エマ・ドナヒュー
出演:ブリー・ラーソン / ジェイコブ・トレンブレイ /  ジョーン・アレン /  ショーン・ブリジャース /  ウィリアム・H・メイシー

日本公開:2016/4/8


【あらすじ
母と狭い部屋に監禁され、外の世界を知らないジャックは5歳の誕生日を迎えた。

【感想
アカデミー賞関連作品をボチボチ観ていきます。
今日はエマ・ドナヒューの同名小説の映画化で
アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされた『ルーム』を観てきました。

トロントのグランプリ受賞からオスカー前哨戦も好調に駆け抜ける本作ですが
なんと監督は被り物ファスベンダーで話題になった『FRANK-フランク-』のレニー・アブラハムソン
いやー、『フランク』からはまたガラっと作風を変えてきたものです。


room1-embed.jpg 

「おはようテレビ」「おはようシンク」「おはよう、便器」・・
何に挨拶したか正確には覚えてないんですが・・
幼いジャック( ジェイコブ・トレンブレイ )の一日は身の回りの「もの」たちに挨拶することから始まります。

部屋をぐるりと回るカメラ映像に
?シンク?  え? 便器????となる


ここが4歳のジャックがママ(ブリー・ラーソン)と一緒に暮らす「部屋」
何故かここから出ることが出来ない2人にとって「部屋」は世界の全てです。

room-620x412.jpg 
↑ 卵の殻だって立派なおもちゃであり教育道具

ジャックのために出来るだけ充実した日々を過ごさせようと頑張るママですが
ママはジャックをここから脱出させることを考え始めています。状況が変わってきたのです。


ブログパーツ




多分この部分は作品紹介でも明かされる部分だと思うので書きますが

実はブリー・ラーソン演じるママは10代の頃に誘拐に遭い、
以来7年間鍵のかかったこの「部屋」に監禁されているのです。

皮肉なことですが、絶望の果てにあったママを救ったのはジャックの誕生であり
ママはジャックを守ることだけに生きる意味を見出しているんですね。


2人きりの生活を「普通」としてジャックに教えるため
ママが作り出す世界観が面白く、映画をユニークなものにしています。
その親心はアウシュビッツの収容所暮らしをゲームに見立て、子供の恐怖心を取り除こうとした『ライフ・イズ・ビューティフル』に通じるものがありますね。


映画が大きく動くのはジャックが5歳の誕生日を迎えて間もなくのこと
監禁生活のターニングポイントからの緊張はなかなかのもの。

リスクを冒してでもジャックの将来を作り出さなければならないママの不安と希望
母としての愛情と葛藤を表現したブリー・ラーソンが評判どうり素晴らしい。

そのブリーの演技に勝るとも劣らないのが、ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイの演技。
段々広がる偽りの世界へのひずみに困惑しながらも、新たな発見に目を輝かせ、
時に怖れ、あるいはママをいたわる優しさも持ち合わせたジャックをナチュラルかつ繊細に演じています。
時々差し込まれるジャックのモノローグが詩的な雰囲気を生み出してもいて
透明感のある世界観を作り出すのに貢献してますね。

映画は一方で、社会的な一面も持ち合わせるもの。
母子を待ち構える闇はなかなかに深いのですよ。

正直、序盤の不思議空間から中盤のスリルまでが面白すぎて
ありがちのドラが展開する後半はトーンダウンな感じは否めませんが
誘拐事件に付随した問題点にスポットを当て、単なる感情のドラマにしていないところは評価したいところ。
問題の全てがクリアになるわけではないですが
時が解決することもあるよね、子供は私たちが考える以上に柔軟性があるよねと思えて
穏やかな気持ちになりました。


最後、降りはじめた雪に感極まってしまったのは

「ラストシーンにフェイクの雪を降らせたかったけど予算がないので諦めていた。
でも、あのタイミングで本当の雪が降ったんだ!」
と監督が語っていたのを知っていたから。
なんというミラクル!

白い雪が2人の哀しみを覆い尽くしたら、そこから新しい未来が始まる。
そう思える素敵なラストシーンでした。

ブリー・ラーソンはアカデミー主演女優賞の今のところフロントランナー。

ヒーロー映画が映画界を席巻する中、
こんな低予算映画が、監督賞と作品賞にまでノミネートされる快進撃を誰が予想したでしょうね。

いい映画でした。








関連記事
コメント
この記事へのコメント
オスカー絡みで急浮上してきた感のある作品ですよね。
こちらは4月ですか・・・。
見ると思います。
2016/01/22(金) 04:03:18 | URL | ゾンビマン #-[ 編集]
To ゾンビマンさん
本当はトロントを制した時点でもっと話題になってもいいんですが、
日本ではオスカー前哨戦でようやく認識された感じかな。

主演女優賞最有力とされるブリー・ラーソンもとってもいいです。お楽しみに。
2016/01/22(金) 07:59:08 | URL | pu-ko #-[ 編集]
どうも、不法監禁みたいですな
こういったことの心配事は その後ですよね
どうなるんだろうか と
2016/01/22(金) 16:50:26 | URL | おみゃあ #-[ 編集]
おおおお、設定が斬新!・・・でもね~か。
ありそで無かった感じ!?

恐怖映画ではないのね?
ウチの上の孫も5歳なんで興味ありだな~。
外の世界見せようよ!!ってね。
2016/01/22(金) 18:43:44 | URL | chaco #-[ 編集]
拉致監禁!
こんばんは!
賞レースで話題の作品ですね!主演女優賞は、やはりブリー・ラーソンがかなり優勢でしょうか。彼女、米国では有名な女優さんなのでしょうか。ワタシ的には、今年の主演女優賞はシャーロット・ランプリングに健闘してほしいな~。まだ若くてチャンスが今後もある女優さんや、常連さん的女優さんより、たぶんラストチャンスなレジェンド女優に受賞してほしい…でも、この映画を観ると、やっぱブリー・ラーソンだな!と思うほどの名演なんだろうな~。
FRANKの監督なんですね!拉致監禁とか、陰惨な映画と思ってましたが、ユニークでハートウォーミングな映画みたいで安心。早く観たいです♪
2016/01/23(土) 07:07:13 | URL | 松たけ子 #OGgHy/oY[ 編集]
To おみゃあさん
合法な監禁ってのがあるの?(笑)
そうそう、監禁から開放されても新たな問題に悩まされることになるんよね。
2016/01/23(土) 08:47:17 | URL | pu-ko #-[ 編集]
To chacoさん
そうそう、監禁モノはあるけど
それをこんなユニークな親子の物語にしたものは
今までなかったよね。

でも実際に誘拐されて子供産んでた人が見つかったってニュースは記憶に新しいし
その後どうなるんだってことも含め興味深かったですよ。
姫ちゃんと同じ5歳児だと余計気になるわなぁ。
2016/01/23(土) 08:58:42 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
Re: 拉致監禁!
>松さん こんにちは。
ブリー優勢でしょうね。
インディーズ系で活躍されてた方なので、アメリカでも知名度は低かったかもですが実力は確かですね。
ランプリングもいいみたいで、作品観たいなぁ。
ブリーは確かにこれからいくらでもチャンスはあるだろうから、ランプリングにもチャンスがあるといいですね。
ブリーは、確かによかったですが、でも想像したよりは普通だったかも(笑)
息子の演技と2人合わせて唯一無二になったという感じでした。

『FRANK』の監督だったのには驚きました。
ハートウォーミングを期待するとちょっと違うということになるかな。
胸が痛むことも多いので。
でも2人の頑張りと再生に心からの拍手と声援を送りたい、そんな映画でした。
2016/01/23(土) 10:02:32 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
記事を拝見して、「白い沈黙」を思い出してしまったのですが、あの映画に映画に描かれていなかった、部屋を出てそれからのお話が描かれるのだったら、すごく興味あります。それとも、部屋を出るまでが描かれるのか、劇場で確認する必要がありそうです。
2016/01/24(日) 05:09:22 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさんn
そうそう、「白い沈黙」は、出てからガ大変だっただろって思う映画でしたもんね。
本作では端的ではありますが、出てからの問題にも触れてました。
出るときのスリルも面白いですし、チェックしてみてください。
2016/01/24(日) 08:37:15 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
これ観たい‼️想像つかないだけに怖いような、いや楽しみ…
2016/01/24(日) 23:09:34 | URL | 翔 #-[ 編集]
おおおー、Frankの監督!
ってだけで観たいわ(笑)
何かもしかして監禁なのか?
詳しく読んじゃうと映画観たとき残念かしらん。
んーー気になるーー。
ブリー・ラーソンて今まで特に意識した女優さんじゃないんだけど、次々と上手い人が出て来て楽しみだな。
4月遠いなーー。
ま、その前にオスカーだね。
訃報は続くし寒すぎて体調イマイチだし、鼓舞するために今年は2月からWOWOWに短期加入してオスカー当日は会社休みとってライブで見るんだ!
2016/01/25(月) 04:43:56 | URL | みーすけ #Tzg06d/s[ 編集]
To 翔さん
息子ちゃんをお持ちの翔さんはきっと凄く感じる部分あるんじゃないかな。
面白かったですよ。お楽しみに。
2016/01/25(月) 07:44:51 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
To みーすけさん
でしょでしょ。
私は観たあとで『Frank』の監督と知ってビックリしちゃったわ。

その辺りの作品紹介はついてくるとは思うけど
あまり知らずに観たほうが驚きがあって楽しいのであえて伏せましたよ。

分かりにくい作品では決してないので、何も入れずに映画館へGoでいいかも。
ラーソンは私も最初に名前を意識したのは『chacoさんお薦めの『ショート・ターム』だったけど
ジョセフ君の『ドン・ジョン』もよかったし、あと全然知らなかったけど『21ジャンプストリート』も出てたのね。
あと『スコット・ピルグラム』でロック少女してたのもあとで知ったわぁ。
6歳から演技してるというからすでにすごい実力。
オスカーは会社休んで臨むんだ、いいなぁ。
私今年は見れないんだなぁ。くっそ~。

体調イマイチなのかぁ。
寒さ緩んでくるといいね。凍えないよう気をつけて!

2016/01/25(月) 08:14:26 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
No title
異常な設定なのに、淡々としている展開が、奇妙な味わいの映画になっていました。ラストで静かな感動があるとはいえ、その感動も抑制が効いていて不思議な後味になりました。こういう映画のこういう演技でオスカー獲るんだなあってのが意外な発見でした。
2016/04/10(日) 04:26:48 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
題材が題材なだけに、今世間を騒がしている事件のことも考えてしまいます。
監禁から解放されても、そこに厳しい現実が待っているというのに、あーそうだよなぁと納得。
その上でジャックの柔軟さにホッとするものがありました。
ブリーも勿論よかったですが、子役もうまかったですね。
TBありがとうございました。
2016/04/10(日) 10:55:50 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
こんばんわ
雪=白は「白紙に戻す」などにも使われるリセットの色ですからね。
そういう意味では神様もこの映画製作に協力してくれたのかも知れませんね。
2016/04/23(土) 08:10:37 | URL | にゃむばなな #-[ 編集]
Re: こんばんわ
>にゃむばななさん
作り手も凄く考えてシーンに意味を持たせている
にゃむばななさんのようにしっかり読み取れるようになりたいです。
素敵なレビューをTBいただきありがとうございます。
2016/04/23(土) 09:01:23 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
アカデミー子役賞を!(笑)
部屋の正体すら知らずに見はじめていたら、もっとインパクトがあっただろうなと思いました。まあ、そこの情報は宣伝するためには仕方がないですが。

主演女優賞は、子どもの演技とプラスされて、の印象があって、オスカー像の半分はジェイコブくんにあげてもいいじゃないかと。
彼の演技のほうが、あとあと心に残っていますね。
2016/04/29(金) 00:23:59 | URL | ボー #0M.lfYJ.[ 編集]
Re: アカデミー子役賞を!(笑)
>ボーさん コメントありがとうございます。
そうですね。私はほぼ情報を入れずに観てインパクトがありましたが
日本ではアカデミー賞受賞後の公開でもあり、情報があふれた状態になりますよね。

ジェイコブ君の演技が本当に素晴らしかった。
オスカー像の半分はジェイコブくんにというのは同感です。
次はホラーに出演が決まっているようだけど、いい作品を選んで感性を大事に成長してほしいですね。

2016/04/29(金) 08:58:19 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
今回は新作の「ルーム」を川崎の川崎チネチッタ12で観てきました。ここは大劇場の作りの映画館なんですが、この映画自体はミニシアター向けの感じです。東京では、日劇1で上映してるし、ちょっと不思議な感じです。 部屋で目を覚ましたジャック(ジェイク・トレンブレイ)は、5歳になった今日も、いつものように周囲のものにおはようを言って一日が始まります。彼にとっての世界は、ママのジョイ(ブリー・ラーソ...
2016/04/10(日) 19:26:35 | 今昔映画館(静岡・神奈川・東京)
若い母親と幼い息子ジャックが暮らしているのは天窓が一つあるだけの狭い<部屋>。 二人はそこで、歯磨きや入浴をし、ストレッチや駆けっこをして遊ぶ。 簡単な料理や、ケーキだって作れる。 この部屋が二人の世界すべてだった。 しかし母親は、5歳になったジャックに外の世界を見せようと決意する…。 ヒューマンドラマ。
2016/04/14(木) 17:40:45 | 象のロケット
この映画と聞いて、多分誰もが真っ先にイメージするのが、2年ぶり保護女子中学生監禁事件。 たまたまそうなっただけとはいえ、何とタイムリーな公開! そして驚くのは、この映画の主人公は2年どころか、もっと半端ない期間渡り監禁されていること。 その年数...
2016/04/16(土) 14:43:35 | 日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜
 『ルーム』をヒューマントラストシネマ渋谷で見ました。 (1)本作は、本年のアカデミー賞作品賞にノミネートされ、主演のブリー・ラーソンが主演女優賞を受賞した作品だというので、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭では、ベッドに寝ている5歳のジャック...
2016/04/19(火) 07:25:38 | 映画的・絵画的・音楽的
決別から始まる希望の人生。  
2016/04/22(金) 10:17:30 | Akira's VOICE
初めて空の大きさを知った時、世界はジャックのルームになる。 2006年生まれの9歳児、ジェイコブ・トレンブレイ。何て凄い子役、いや俳優なんだ!まさにこの映画のために生まれて ...
2016/04/23(土) 23:11:28 | こねたみっくす
映画 『ルーム ROOM』(公式)を本日公開初日に劇場鑑賞。採点は、 ★★★★ ☆ (5点満点で4点)。100点満点なら80点にします。 ざっくりストーリー 長髪の5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)はある「部屋」で暮らしている。実はこの母子は、オールド・ニック(ショーン・ブリジャー...
2016/04/26(火) 16:19:00 | ディレクターの目線blog@FC2
おとこのこが、かわいいことったら!
2016/04/29(金) 10:30:31 | 或る日の出来事
これは困った!私は誰の立場で観るのが一番相応しいのか?「ルーム」と呼ぶ唯一の閉鎖された世界に、忌まわしき犯罪の中監禁された母子の事がメインな訳だから、自分の属性としては思いっ切り、ジャックの母であるジョイ(ブリー・ラーソン)に感情移入して観るべきなのだろう。実際に7割方その思いで鑑賞していた。ジャックの目線で観る時にも、自分が育てた幼子の姿になぞらえて感情移入したと言っていいだろう。自分自身...
2016/05/06(金) 15:51:45 | ここなつ映画レビュー
9日のことですが、 映画「ルーム」を鑑賞しました。 施錠された狭い部屋に暮らす5歳のジャックと母親ジョイはオールド・ニックによって7年間も監禁 そこで生まれ育った息子にとって この部屋こそが世界の全て ある日ジョイはこの部屋しか知らない息子に外の世界を教え...
2016/05/13(金) 01:45:16 | 笑う社会人の生活
今年のアカデミー賞で主演女優賞を受賞した作品。ちょうど埼玉の少女監禁事件の被害者が保護されて容疑者が逮捕された時だったから、監禁事件そのものが注目を集めたけど、アメリカではクリーブランド監禁事件があり、日本でも2000年には新潟少女監禁事件という10年もの...
2016/06/04(土) 23:47:48 | まてぃの徒然映画+雑記