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さよなら、アドルフ
2013年05月30日 (木) | 編集 |



エバート氏two thumbs up塗りつぶしから、今日はオーストラリア作品『Lore』を。
さよなら、アドルフ(2012)オーストラリア
原題:Lore
監督/脚本:ケイト・ショートランド
出演:ザスキア・ローゼンダール、カイ・マリーナ、ネーレ・トゥレブス、ウルシーナ・ラルディ Lardi、Hans-Jochen Wagner、Mika Seidel、Andr? Frid、Camera Adam Arkapaw
日本公開:2014/1・11
 終戦前夜、ナチス党員のローレ一家は、銀食器とわずかな身の周りの物だけを持ち、逃げるように家を出た。村はずれの農家の離れに身を寄せる一家。しかし母は翌朝家を出たまま戻らない。農夫にも追い出されたローレは、幼い弟妹を連れ、ハンブルグの祖母の家に向かうことにした・・。

ホロコーストを描く映画は多いし、ヒトラー自身の陥落を描く映画もいくつか観たけれど、終戦後ナチス党員の家族に何が起きたのかを描くものは珍しいんじゃないかな。




本作は、タイトルロールのローレが、戦後、赤ん坊を含む4人の弟妹を連れ、祖母の家を目指す、一種のロードムービーです。
一家の長女であるローレは15、6歳といったところでしょうか。
彼女は『縞模様のパジャマの少年』のお姉ちゃんがそうだったように、ナチス崇拝の教育を受けているのでしょう。身を寄せた農夫への挨拶も「ハイル、ヒトラー!」のナチス式。
彼女は当然のようにユダヤ人を嫌い卑下している。
ところが、ヒトラーが死に、ドイツがアメリカ、ロシアなどの支配下に置かれるようになると、立場は逆転。
駐留のアメリカ兵はユダヤ人を擁護し、今度はナチス側が追われる身になるんですよねぇ。
映画は、兄弟のサバイバルな旅を描くと同時に、ローレが知ることになるナチスドイツの真実を、彼女の心の変化とともに描きます。



途中、ユダヤ人の身分証明書を持つトーマスという青年が現れ、ローレたちを助けるのだけど
ローレは彼に惹かれる一方で、ユダヤ人への卑下の気持ちを拭いきれない。
全てを委ねたいと思えば思うほど、憎悪を感じてしまうという皮肉に、洗脳の恐ろしさを感じます。

それでも旅を通し、ローレは徐々に真実を知っていく。
少女の目線でナチスの罪を描くと言うのはなんとも過酷で、女性監督らしいのかなと思ったり。
末っ子を赤ちゃんとし、周囲の思いを引き出しているのもうまいところで、
誰もが赤ちゃんにだけは優しいという描写には母性を感じました。

暗く重い内容だけど瑞々しく繊細に、ナチスの落とした影を、ローレの思春期ドラマに重ね描き挙げた秀作ですね。
エバート氏の満点評価も納得。これは面白かった。


      

トラックバック一覧

  1. 1. 「さよならアドルフ」は一人の女の子の破壊と再生の物語です。

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • February 12, 2014 20:06
    • 今回は、新作の「さよならアドルフ」を静岡シネギャラリー2で観て来ました。改装後は初めてなんですが、座席の前後の幅ができて、その分、スクリーンの近くまで座席が配置されるようになっていました。DCPによる上映は、メジャーシネコンと同じ画質になりまして、ここな
  2. 2. さよなら、アドルフ

    • [マープルのつぶやき]
    • August 14, 2014 10:18
    • JUGEMテーマ:洋画 「さよなら、アドルフ」 原題:Lore 監督:ケイト・ショートランド 2012年 オーストリア=ドイツ=イギリス映画 109分 PG-12 キャスト:サスキア・ローゼンタール      ネイ・トゥレープス      ウルシーナ・ラルディ


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コメント
この記事へのコメント
私の興味ある題材で好きなロードムービー。
おまけにpu-koさんのツボ直撃ならぜひ観たいですね。
劇場での公開があれば良いのですが・・・。

2013/5/30(木) 午後 5:29[ ゾンビマン ]



ナチス党員の家族に焦点を当てた作品ですかぁ。
それも女性監督やったら、その視点が興味深いですな。
こちらではDVD化されるのかどうか~?
こういうのは観たいです。

2013/5/30(木) 午後 6:34[ Kaz. ]



面白い視点ですね。凄く興味が湧きました。確かにナチスの家族のその後の話なんて初めて聞きました。必ず見たいです!削除

2013/5/31(金) 午前 7:11[ dance ]


なるほど
ナチス党員側の視点か~
確かに見たことないです。
興味ありますね 
ある種、洗脳ですよね~ やっぱ恐い~

2013/5/31(金) 午前 11:18[ 翔 ]


面白そう~~!
たしかにそうですね
ナチスの残党や元幹部の行く末って作品はありますがナチス党員の家族の行方ってないですよね
しかもオーストラリア作品なんですね

擁護されるようになったユダヤ人の心情とか
いきなり立場逆転されたドイツ人の行動とか
かなり興味深いですね
観たいなぁ~観たいなぁ~

2013/5/31(金) 午後 0:45[ SHIGE ]



あ~ホント・・・苦手な分野かと思いきや、終戦後のナチス党員の家族のお話と言うのは
とても興味深いですね~
うんうん。洗脳って本当に恐ろしい・・・
人間の脳って、本当に騙されやすいらしいもんね~(((=_=)))ブルブル
チャンスがあったら絶対観ます!!!

2013/5/31(金) 午後 2:48[ フラン♪ ]



ゾンビマンさん>
これ題材が興味深いでしょ。ちょっと過酷なロードムービー(という分類をしてるかは不明)だし、主人公の女の子にはとてもかわいそうな話だけど、こういう視点で、ナチスドイツの罪を描くと言うのが新鮮でした。
公開されるといいなぁ。

2013/5/31(金) 午後 3:06[ pu-ko ]



Kaz.さん>
めっちゃ興味深いでしょ。
そそ、女性監督というのも意外なところでしたが、
足フェチ?と思えるカメラアングルなども斬新で、Kaz.さんも面白くご覧になれると思います。
公開は怪しいけど、DVDには少なくともなって欲しいなぁ。

2013/5/31(金) 午後 3:09[ pu-ko ]



ダンスさん>
でしょ。ありそうでなかった視点で凄く興味深かったです。
ぜひみんなに観て欲しい~。

2013/6/1(土) 午後 2:07[ pu-ko ]


翔さん>
ね、『縞模様の~』がナチ家族を描いてたけど、まだバリバリ力のあるときだったから、また情勢が違ってるんですよね。面白かったっす。
そう。まだ子供のくせに助けてくれてる相手に威圧的だったり、どうしても寄せ付けられないほど嫌ってたり、他の小さい兄弟たちは平気なのに。教育も洗脳になることあるね。怖いよね。

2013/6/1(土) 午後 2:09[ pu-ko ]



SHIGEさん>
でしょ~。戦後のナチス党員の家族はどうしたんだったけ?って思っちゃいましたもん。
オーストリアなだまだ分るけど、なんでオーストラリアなんでしょ。
そそ、登場人物それぞれの立場ごとの心情が丁寧に描かれてて素晴らしかったので
日本でもぜひ公開またはDVDして欲しいですよ。

2013/6/1(土) 午後 2:16[ pu-ko ]

2016/01/08(金) 18:11:39 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
フランちゃん♪>
もしも戦争映画苦手でも、これはきっと大丈夫。
面白く観れると思うよ~。
そそ、兄弟の中でも物の道理を分るお姉ちゃんが一番思想に影響受けてて、だからこそ真実を知る彼女がかわいそうでね。
おばあちゃんに至っては、凝り固まってて取り付く島がないし。
それぞれの認識と変化も面白かったです。

2013/6/1(土) 午後 2:24[ pu-ko ]



ほんとだ、そっち側(って言い方もなんだけど)の作品って、見たことがないかも

これは、DVDでもいいから見てみたいですな~

2013/6/2(日) 午前 11:40[ る~ ]



る~さん>
わはは、そっち側(笑)
そう、この視点はありそうでなかったでしょ。
はい、たくさんの人に見てもらいたいです。

2013/6/3(月) 午前 6:26[ pu-ko ]



ナチスをどういう風に描いているのか興味あります。洗脳の被害者みたいに描かれてるのなら、ちょっと引いちゃうところありますもの。ただ、幼い頃の刷り込みはどうしようもないところがありますし、歴史のいたずらで、価値観の転換が起こらなかったら(要はドイツが世界大戦を勝利していたら)、それは正しい世界観とされるわけですから、そこの善悪を抜きにした、幼少期に植えつけられた価値観の呪縛から逃れるための葛藤のドラマなら期待しちゃいます。

2013/6/6(木) 午後 7:46[ einhorn2233 ]


einornさん>
洗脳の被害者という描き方ではないんですが、子供が旅をするうちに自然に事実を知ることになるという描き方。
呪縛から逃れるまでに至らず、ただ、唖然とするところで終わる感じで、葛藤のドラマには違いないです。

2013/6/7(金) 午前 0:11[ pu-ko ]



ラストはようやく新しい価値観と自我ができあがりつつあったヒロインが、過去へ引き戻そうとする祖母に精一杯の反抗をしたのだ思いました。そして、こういう瞬間がドイツのあちこちであって、ドイツの戦後が始まるんだなあって思わせる映画でした。

2014/2/12(水) 午後 8:06[ einhorn2233 ]



einhornさん>
ラストシーン同感です。
ヒロインの心情がとてもよく描かれてましたが、おっしゃるように、彼女価値観の変化を多くの国民が経験していったんですよねぇ。
そう思うと、なにか静かながらとても壮大な映画だったという気がします。

2014/2/13(木) 午前 6:19[ pu-ko ]



自分の価値観がひっくり返るのをなかなか受け入れられないローレの姿は
とても切なく感じました。
またトーマスが一体何者であったのか最後までわかりませんでしたね。
いずれにしても戦争というものが何も生まない、憎しみだけを生み出すのだ
ということを実感する映画でした。大好きな作品です。

2014/8/14(木) 午前 10:18[ ミス・マープル ]


ミス・マープルさん>
これは面白かったですね。
これまで築き上げてきた自分のアイデンティティが音を立てて崩れていくローレの混乱が良く伝わりました。
トーマスに関しては一応描かれてませんでしたっけ?

2014/8/19(火) 午前 5:05[ pu-ko ]
2016/01/08(金) 18:12:25 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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