映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
鉄道員
2013年07月20日 (土) | 編集 |


鉄道員(1956)イタリア
原題:IL FERROVIERE
監督:ピエトロ・ジェルミ
出演:ピエトロ・ジェルミ/ エドアルド・ネヴォラ/ ルイザ・デラ・ノーチェ/ シルヴァ・コシナ/ サロ・ウルツィ ニ/ カルロ・ジュフレ/レナート・スペツィアリ

第二次世界大戦後のイタリアを舞台に、一人の鉄道員の人生の悲喜こもごもを、幼い息子の視点で描く家族ドラマです。

戦後のイタリア、庶民の暮らしのつましさは、機関車の運転手の主人公アンドレア(ピエトロ・ジェルミ)が仕事を終え、すすだらけになった身体を小さな火しか起こらないコンロで鍋に湯を沸かし拭くところからも伺えます。



それでもクリスマスには仲間と酒場に集い、ギターを弾いて陽気に歌いあう。
誕生日ともなれば店主が酒をおごる。大らかで気前のいいイタリア人気質が心地よい。
幼い末っ子サンドロが父を呼びに酒場まで一人でいくところを見ると治安も良かったんでしょうね。
女子供が道で斬り付けられる今の日本の方がよっぽどヤバい。


けれど、そんな平和な光景も、アンドレアの娘の流産をきっかけに歯車が狂い始めます。
娘は結婚生活がうまくいかなくなり、長男は職にも就かず危ない仲間とつるんでいそう。
アンドレアは左遷の憂き目にあい酒に溺れ、家族はそれまでの確執をぶつけ合うことになり
賢く一家を支える母親でさえも、幼い息子に弱音を吐く。
人生には波があって、全てが空回りしてしまう時期というのあるのです。

でもこの映画の素晴らしいのは、そんな一家の衰退を描きながらも
ぶつかり合い、気持ちを理解し、あるいは人々の情に助けられながら
一家が再生していくさまを描いてくれていること。




一家の再生に一役買うのが、末っ子のサンドロ(エドアルド・ネヴォラ
誰もを幸せにするその笑顔で、歳の離れた姉のトラブルを彼なりに察知したり、父を喜ばせるために勉強に励んでみたり、小さなサンドロができる限りを尽くす姿が健気で、可愛らしいのですよ。
無垢な彼の存在こそが一家の宝であり、まさに鎹。


映画の中で心に残ったのは、結婚に悩む娘ジュリアに、母が電話で言う言葉
「結婚生活のうちには辛いこともあるけれど、時間が人を変えることもある。後に楽しいことや美しいことが起きれば、私たちは過去の悪いことは忘れ、許すことが出来るのよ」と。

その台詞がこの映画の全てのような気がします。
人は許しあうことができるのが素晴らしい。
昔の映画は優しく情緒がありましたね。

終盤、一家にクリスマスを祝うため、近所の人や友人がたくさん詰め掛け
ダンスを踊るシーンなど、ニマニマと頬が緩みっぱなしになりました。
切ないメロディと人々の情も心に残る珠玉の名作だと思います。



主人公のアンドレアを演じたのは監督自身だったんですね。
娘ジュリアを演じたシルヴァ・コシナも美しかった。


 

 

関連記事

コメント
この記事へのコメント
いただいたコメントを転記しています

私は必要以上にルーツを追わないので、古い名画を見ていないことが多いです。
でも、古い名画って人生観をシンプルに伝えてるから良いですよね。

[ ゾンビマン ]
2013/7/21(日) 午前 3:54



あ~、いけない!これ観なきゃと思いつつ、そのままになってました。
やっぱり珠玉の作品でしたか。
確かに、昔の作品にはそういうものありますよね。
観なくちゃー!

[ じゅり ]
2013/7/21(日) 午後 0:32



これはもう文句なしの名画ですね。我らおっさん世代は映画館でこんな映画を見て育ったんですよ、、まあリアルタイムじゃなくてちょっと年数が経過していましたが、。VHSを持っているんですが肝心のプレーヤーがもうなくて見れません、、DVDに変換して貰うかな?

[ guch ]
2013/7/21(日) 午後 1:18



言うように、これは「珠玉の名作」ですな。
家族ドラマと言えど、やっぱ普遍性の内容でもあるなぁ。
ピエトロ・ジェルミの「刑事」共々大好きな一作です。

[ Kaz. ]
2013/7/21(日) 午後 1:19



ゾンビマンさん>
今に残る古い名作というのは、やはりそれだけの価値のあるものが多いですよね。
この作品からも、たくさんのことを学んだ気がします。
シンプルでいてとても深い。それが名作といわれるゆえんですね。

[ pu-ko ]
2013/7/21(日) 午後 1:25



じゅりさん>
これすっごく良かったです~。
辛いこともうれしいこともあるけど、それが人生だよなぁとしみじみ。
音楽も有名なので機会があればぜっひいっちゃってください。

[ pu-ko ]
2013/7/21(日) 午後 1:27



guchさん>
昔の映画は情緒がありますね。情けの深いものも多い。
だからguchさん時代の映画ファンは本当の映画のよさを知ってると思います。
せっかく好きで集めた映画も、時代とともに再生の手段が無くなるのは寂しいですよね。
私もたくさん録りためたりしてるけど、DVDもそのうちに姿を消すんじゃないだろうか(汗)

[ pu-ko ]
2013/7/21(日) 午後 1:35



kaz.さん >
こういう作品に出会うと、やっぱり名作といわれるものは観なくちゃなぁと思いますね。
これは本当に素晴らしかった。
そうそう、家族ドラマだけど、とっても深くて普遍的。
あー、『刑事』も観てみたいです~。

[ pu-ko ]
2013/7/21(日) 午後 1:39



みようとおもいつつ
泣けそうな気がしてみてませんでしたよ~

[ る~ ]
2013/7/21(日) 午後 3:02



正に、しみじみとした作品ですね。高校生の頃、TVで観てその魅力の半分も判らなかったかもしれませんが、感動しました。
今見ると、もう少し色々な事が理解できるかな~~。ドンパチやハラハラも良いけれど、こんな作品は永遠だな~~と思います。

[ アンダンテ ]
2013/7/21(日) 午後 9:18



有名な作品で題名も知ってましたが
観た事が無く・・イタリア映画やったのか・・と
読ませてもらって知ったくらいの感じです^^
珠玉の名作か~ほんと良さそうな作品ですね
この機会に是非観てみます!
あとシルヴァ・コシナさん?
すっごい綺麗~~テンション上がってきましたww

[ SHIGE ]
2013/7/22(月) 午後 0:45



る~さん>
これ多分そんなになかないと思うよ。
泣き虫の私でも大丈夫だった。
悲しいけど幸せ・・っていうと変だけど、うん、そんな感じ(笑)

[ pu-ko ]
2013/7/22(月) 午後 2:21



アンダンテさん>
ほーんと、久々にいいドラマを見せてもらった気がします。
そうですね~。これはきっと歳を重ねるごとに、お母さんの言葉なんかも理解できるんじゃないかなぁ。
ほんと永遠ですよね。ぜひまたお時間みつけて再見なさってください。

[ pu-ko ]
2013/7/22(月) 午後 2:24




学生時代に観た映画(3本立てのひとつ)だったので、
ストーリーをいまひとつ思いだせなかったのですが、
この解説を読んで復活しました…(^^)

いまは、お母さんの言葉を理解できる歳に、
なったみたいです…(^^)

この頃の映画は、構えないで観ることができたので、
心にしっくり残っているのかなと…。

自転車泥棒も、よく想いだす映画です。

[ NZ_RR ]
2013/7/22(月) 午後 6:19



タイトルだけは知ってましたが、なるほど、このようなストーリーだったんですね。
ぐっ、と胸にきそうな感じが。
んん、DVDあったら観てみます!

[ サムソン ]
2013/7/22(月) 午後 9:57



SHIGEさん>
私もいつからかDVDのレンタルリストに入れてて、
誰に教えてもらったんだったか、いつリスト印したのかも忘れてました。
そんな存在なんだけど、やっぱり観たら素晴らしかった。
名作といわれるものはやっぱり観るべきだなぁと思えましたよ。
シルヴぁさんクールビューティですよね。
ダイアン好きのSHIGEさんはきっと気に入るんじゃないかな。
画像検索したらヌードのものがチラホラ。この後セクシー派の女優さんになったのかも♪

[ pu-ko ]
2013/7/22(月) 午後 11:38



NZ-RRさん>
ほんとうに。映画って観るときの心情や人生観によっても随分と受け取り方や理解が変わってきますね。
私もお母さんの言葉をしっかり受け止めながら観賞できました。
『自転車泥棒』といい、この時代のイタリア映画はきどりやおごりがなく、心にすっと入ってきますね。シンプルなよさを感じます。

[ pu-ko ]
2013/7/23(火) 午前 1:16



サムソンさん>
タイトルは有名ですよね。
人生の悲喜こもごもと当時の人々の情をシンプルに描いていてでも深いです。
ぜひぜひ。

[ pu-ko ]
2013/7/23(火) 午前 1:18



題名だけ知っていましたが、
家族ものとは知りませんでしたw。
てっきり苦労する鉄道員の職業ものかと(笑)
見よう見ようと多いながら結局、見てなかったのでpu-koさんの記事を読んで俄然見たくなりました。
かなり前ですが同系?で「素晴らしき哉、人生」をみたのですが凄く良かったです。
モノクロのせいかも知れませんが見終わってなんだか心が温かくなったのを覚えています。
この作品もそんな感じなのかな。楽しみです。

[ dance ]
2013/7/25(木) 午前 8:14



ダンスさん>
確かに仕事の上での苦悩も描かれるのですが、全て含めてある鉄道員の半生という感じでした。
『素晴らしき哉、人生』いいですよね~。私の満点映画です。
あちらはファンタジーも含め、人生何が大切で幸せかを気づいていく映画でしたが、こちらはとにかくリアルなんですね。
悲しいこと、辛いこともあるけれど、すべてひっくるめて人生。
最期に、ささやかな幸せを感じられればいいよね、っていう
そのささやかさが暖かくも切なくもある映画でした。
歳とってようやく気づくことも多い映画かもです。ぜひお試しください。

[ pu-ko ]
2013/7/25(木) 午前 11:51

2015/12/20(日) 22:05:59 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック