映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】 夜と霧
2014年06月05日 (木) | 編集 |


日本では早くも真夏日を記録したり、もう入梅したところもあるようですね。
蒸し暑い季節をやり過ごすには映画で背筋を冷やすのもよろしいかと。
しばし涼しくなる映画をお届けしますね。






夜と霧(1955)フランス
原題:NUIT ET BROUILLARD
監督:アラン・レネ
ナレーション:ミシェル・ブーケ

ナチスのユダヤ人虐殺を主題にしたアラン・レネ監督によるドキュメンタリー。
テレビで監督の作品を特集していて観ました。

冒頭 映し出されるのは、映画製作当時に撮影されたアウシュビッツの強制収容所の映像です。
これまでいくつかアウシュビッツを舞台にした映画を観てきて、外観はそれらとよく似ているのに、本物の迫力というのか
廃墟と化した施設を映すくすんだカラー映像から漂うただならぬ気配に なにか寒いものが走ってしまいました。

一般的なドキュメンタリーのように誰かの話を聞いたり、何かを検証するというものではなく、ここで何が起きたのかを詩的ともいえるナレーションとともにひたすら映し出す作品です。
しかし、これがもう完全にトラウマもの。
ブルドーザーで積み重ねられた死体の山、無造作に桶に集められた頭(!)など
どんなホラー映画も、おぞましさにおいてこれを超えるものはないでしょう。
そして何が怖いって、人間が本当にこんなことをしたとのだという事実。

 ホロコーストという言葉は、元はユダヤ教の「犠牲」を意図する宗教的な言葉らしく、ユダヤ人の大虐殺のことをホロコーストと呼ぶのは、ユダヤ人を神に捧げる意味合いとなりユダヤ人を侮辱することになるという説もあるようで、これを使っていいのかどうか迷うところですが、あえて使わせてもらうとして、、
先日観た『レイル・ウェイ 運命の旅路』のIMDbのメッセージボードのコメントに
日本人はこのホロコーストをどう受け止めているのかという書き込みがあって
ホロコーストはユダヤ人虐殺を意味するだけの言葉ではないという事実にいまさらながらハッとしたんですよね。





歴史の中で過ちを犯してきたのはドイツ人だけではない
一歩間違えば、私たちは悪魔になりえるのだということ
だからこそ、二度と同じ過ちを犯さないために何をすべきかを考えなければいけない
監督がこの映画で訴えたかったことはそういうことだと思います。





32分という短い作品で、ユダヤ人虐殺野すべてを語るものではないけれど、まだ自分たちの運命を知ることもなかった人々がやせこけやがて、死体となって転がる その推移を見るだけでも意味があると思ったしだい。



◆記事リンクありがとうございます!

夜と霧 - CINEmaCITTA' - Yahoo!ブログ どんなに素晴らしい "反戦映画" でさえ、このわずか30分足らずのドキュメンタリー・フィルムの前では沈黙するしかないでしょう。



関連記事

コメント
この記事へのコメント
いただいたコメントを転記しています
みーすけ
こ、これは・・・
ホラー、サスペンスどんと来いなわたしが唯一震え上がるのがこの手のドキュメンタリー。
何が怖いって、普通の(多分)人間が宗教や思想の元に恐ろしい事をしてしまうという現実。
幽霊やモンスターでなく人間が一番怖いって事を実感させられるからなんですよね。
そして今現在もこういう事が無くなる事なく繰り返されているという事実。

ちょっと前に広島の原爆記念館でのディスプレイを子供が怖がるからとマイルドな物に変えたというニュースを見ましたが、事実をオブラートに包んだら核になるものが伝わらないと思うんですよね。
怖いと思う気持ちが、こんな事を繰り返してはいけないと考えるきっかけになるのではと思ったんだけど、どうでしょうか。
ちょっと話飛んじゃった。

なんせこれ未見だけど、観るには勇気がいるなぁ・・・。

る~
あまりにリアルというか
なんか不思議な感覚になって
このドキュメントの映像のほうが作り物のように感じてしまったな~
変かな~

じゅり
題材が題材だけに、ひたすら映すだけでも、伝わってくるものが大きいのでしょうね。これはやっぱり観ておかなきゃでしょうね。

pu-ko
みーすけさん>
わかるよ~。
私もテレビでやってるのチラリと観て「うわ、冷えそう」と思ったのだけど、映像よりもこんなことを人間がやったと言う事実に愕然としたんですよね。
でも事実は事実として受け止めるべきですよね。原爆ドームの件は知らなかったけど『はだしのゲン』も図書館から消そうとするのはどうだろうと思ったよ。
小学生の高学年くらいになれば大丈夫だと思うし、「恐怖」から学ぶものもあるはずなんですよね。
これは確かに勇気がいるけど、知るべき現実として観て欲しい作品でした。

pu-ko
る~さん>
ホラー嫌いなる~さんだけど、思わぬものを観れちゃってるのが不思議(笑)
確かに作り物かと思うほど人としての姿をとどめてなかったり非現実的な風にも映りますよね。

pu-ko
じゅりさん>
本当にね。圧倒的な映像体験。
完全にトラウマものだけど、こんなことが本当にあったということは受け止めねばと思いましたよ。

miskatonic
某有名ゲームクリエイターは、新卒がスタジオに入ってくると、この映画を見せるのだそうです。
やはりトラウマ物になる人が多いみたい。
一生この映画を見ないですむ人もいるでしょうけれど、見るチャンスを与えられた、と考える事も出来ますね。
ナチスのユダヤ人迫害は、目を背けられない感じがあるんですよね。
それに映画は残るから、特にこの映画は価値がありますね。
原爆記念館はそうみたいですね。と云うか昔から、徐々に軽い物にどんどんシフトして行ってる気が。。。。
私も柔らかくする事に意味はないと思います。
日本も証言者が生きているうちに、変な映画とか作ってないで、いろいろ検証すべきだと思いますけどね。

おみゃあ
夜と霧は、中学1年のとき担任の教師から教えていただきました 本の方です
映画は見ておりません がいろんなドキュメンタリ-で見た覚えがあります
大島渚監督の 日本の夜と霧 のほうは昔観ました 60年代の大島は天才 70年代に駄作ばかり

pu-ko
miskaさん>
ひゃー、こういうのに慣れてない若者には厳しいかもですね。
でも確かに世の中には自分の知らない世界がいっぱいであると気づくことになるし、貴重な体験かも。
よくこれだけの映像が残っていたなと思うし、資料としても貴重でしょうね。
戦後10年という時代に撮ったものというのも興味深い。
日本はあまりこういうドキュメンタリー見ませんよね。私が知らないだけかもだけど。

pu-ko
おみゃあさん>
本もあるんですね。ドキュメンタリーは映像は衝撃的だけど、多くは語ってないので、本は興味あります。
『日本の~』は画像検索するときに必ず出てきたので気になったんですが、大島監督の作品だったんだ。
社会派な映画みたいですね。

Kaz.
まず観てから語れ、ってもんですよね、これは。
自分、観るだけで上手く言葉に出来なかったけど、ほんと人類の遺産的映像記録作品でした。
TBできないからURLを貼り付けさせてもらいますね~。

http://blogs.yahoo.co.jp/jkz203/44647104.html

pu-ko
Kaz.さん>
本当に凄かった。映像を淡々と説明するだけなのに、胸をえぐられる思いでした。
生涯残さなければならない記録ですね。
こちらの字幕は文字が薄れ見難いのが残念でしたが、きちんと保存して欲しいものです。リンク添付ありがとうございます!
2015/12/18(金) 19:00:24 | URL | alice #SFo5/nok[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック