映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】おみおくりの作法
2015年06月05日 (金) | 編集 |


おみおくりの作法(2013)イギリス/イタリア
原題:Still Life
監督:ウベルト・パゾリーニ
作品情報
トレーラー

ロンドンの公務員ジョン・メイ(エディ・マーサン)の仕事は孤独死した人の身辺を整理し葬儀をあげること。道に佇むジョンの姿が何度も映し出される。
おそらくは予定時間より早くに待ち合わせの場所に赴き、管理人と会う。遺品から故人の人となりや宗教を推察し、個々に合わせた葬儀を執り行う。
近親者と連絡を取り、葬儀への参加を促すのもジョンの仕事。しかし多くの場合家族は見つからず、見つかっても葬儀に来ることを拒否されてしまう。
そんなときでも強要はせず、ジョンはただ淋しそうに微笑むのだ。そんなある日、ジョンは仕事が遅いことを理由にリストラを勧告される。最後の仕事となったビリー・ストークの部屋でみつけた写真が気になり、ジョンはストークを知る人々を訪ね歩く。


 
「孤独死」を扱う地方公務員を描く究極のヒューマンドラマ。
楽しみにしていた本作、ようやく観ました。



ジョン役のエディ・マーサンは誘拐犯やDV夫などの悪人が嵌るかと思えば、本作では地味な地方公務員を彼しかいないと思うほどの存在感で演じていて本当に上手い。
とにかくマーサンを見ているだけで楽しいんですよ。
いや、別にコミカルに演じている訳ではないのだけど、言葉の選び方、暮らしぶり、仕草に至るまで、ジョンのまじめで几帳面な人となりがつぶさに感じられてワクワクします。

映画的に面白いのはジョンが「見送ること」に真摯に向き合う理由が謎なこと。
仕事で弔った人たちの写真を家でアルバムに貼っていることにも最初は違和感を感じ
「仕事に真面目」というだけではない何か、
彼を突き動かすそれが何なのかを知りたい衝動にかられました。

ジョンの背景についてはもう少し説明があると分かりやすいのだけど
確かなのは彼自身が孤独だということ。
誰にも見送られることなく旅立つことの悲しみを誰よりも感じていたのはジョン自身であり、
たとえ見送る家族がいなくても、それは死にいく者の人生を否定するものではないと
彼は自分自身にも言い聞かせていたのではないかな。


人を弔うということは故人を慈しみ、その人生を讃えること。
映画の中に流れるそんな考えは『おくりびと』にも通じるところで、日本人の心にも響くものですね。孤独死したビリー・ストークの人生も、紐解けば彼なりに懸命に生きていて、彼に別れを告げたい人間も確かにいる。誰の人生も等しく尊いのだという描き方が優しい。
多くの人を優しく見送ったジョン自身の生き方も静かだけれど素晴らしく、それが原題の意味するところでもあるんでしょうね。


最後はたまらず号泣。音楽も心に響く、切なく優しくて美しい映画でした。







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コメント
この記事へのコメント

ほえほえ~。週末スマホから送ったメッセージ届いてないみたいですね。
たんま~にあるなぁ、禁止ワード使ってないのにw
これは観たいんだけど上映時間がなかなか合わなくて。
エディさんのイメージって弱っちい人(笑)って感じなんだけど、その優しい感じが生かされてる配役なんだろうか?
ちょっと内容ヘビーぽいけど 上映中に観たいなぁ。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ みーすけ ]



ありゃぁ、ごめんね。たまにすっぽり抜けちゃうみたいだなぁ。
これもうとっくに終ったのかと思ったらまだあちこちで上映してるみたいだね。
『チョコレートドーナツ』みたいに口コミで広がってロングランになるタイプかな。
あーー、マーさんは恐い役も演じるんだけど、根底に弱さがあるからといえそうな役が多いかも。
今回はとにかく彼にピッタリ(笑)
動作から全てキャラを演じきったマーさんはほんと上手いよ。
ちょっと笑えてでも泣けちゃう。ぜひご覧あれ。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ pu-ko ]



あぁ~これまだ観れてなかった。
公開の時から観たかったのに~。

エディ・マーサンはおっしゃるように、どんな役柄でもこなす個性を持ってますよね。
早く観なければっ。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ Kaz. ]


Kaz.さん>
これ気になってたでしょ。
まーさんはいい味出しますね~。時々枝野っちを思い出すのがナンですがw
小さいのにその個性で絶大な存在感を示す役者ですね。
お涙頂戴に思えるシーンもあるかもだけど監督の優しい視線を感じる作品でした。
ぜひ観て感想聞かせてね~。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ pu-ko ]


コレ、私はスルーしてしまったんやけど、いつも映画をボロクソで、辛い点数をつけてるブロ友さんが珍しく絶賛していました。
その人は性格も痛くて友達が少なそうな人なので、映画で描かれた人の孤独に共鳴したのかもしれんね。
あらすじとpu-ko姐のレビューを拝見してると、私も泣けるかもしれない映画ですね。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ ゾンビマン ]



ゾンビマンさん>
性格も痛いブロ友さん・・誰だろ(笑)
そうですね。主人公はじめ孤独な人がたくさん出てくるので、孤独に共鳴すればすんなりこの世界を受け入れられるのかも。
ラストシーンは賛否あるようなんですが、私はたまらんかったです。
死んだ人を弔うという考えがあまりないアメリカ人よりも日本人の心に響く作品に違いないと思いますね。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ pu-ko ]



あ、この方わかるわかる!!
以前、めっちゃおっかね~役を演じてたような。
真ん丸お顔なのに、おっかね~~!って記憶がありますわ。

そっか、そんな映画もいいね。そろっと先が見えて来てる我々には
考えさせられる映画みたいだね。
え?まだはえ~か?いやいや、明日は我が身って時代ですから~。

そのコートとbagが人柄を表してます(笑)

2015/12/26(土) 午後 2:00[ chaco ]


chacoさん>
おっかねー役演じたらそういう人に見えるし、でも可愛らしいいい人も演じる、演技の幅の広いまーさんです。
誰でも明日は判らないもんな。ましてや地球がおかしい今の時代では。
でもそれぞれ歩いて来た人生には価値があると感じさせてくれる優しい映画でした。

2015/12/26(土) 午後 2:00[ pu-ko ]


今日観てきましたー!
ほんとにほんとに、真逆の役もハマるのに、これはマーサン以外考えられないぐらいでしたね~~
いい作品でした(*´ー`*)

2015/12/26(土) 午後 2:00[ じゅり ]



じゅりさん>
おー、まだ上映してたのね。
良かった~。
マーサンよかったね~。どんな役も上手いけど、これは間違いなく彼の代表作になるでしょうね。
じゅりさんの感想楽しみにしてるね。

2015/6/7(日) 午前 1:06[ pu-ko ]



ラストの主人公がかわいそうすぎて、エピローグの程度のことじゃ浮かばれないよなあって思ってしまいました。むしろ、神様は無情なんだっていう結末で、エピローグなかったほうが素直に泣ける話だと思えてしまったのは私だけかしら。

2015/6/6(土) 午前 2:06[ einhorn2233 ]



einhornさん>
そうなんですよね~。
エピローグで騙されますけど、あの展開はあまりにも残酷。
私も普通にハッピーエンドで十分いい作品になったと思います。
だけど人生に価値を見いだし敬意をもって見送るという部分の描き方はよかった。
いつも部屋をきちんと整え「そのとき」に備えていたであろう主人公。彼が最後に(車の中から)見た光景には満足したのかなって思います。

2015/6/7(日) 午前 1:06[ pu-ko ]


おくりびとは、良かったからいいかも。あら、泣けちゃいましたか。では
チェックさせてもらいます((∞'з`ノ)ノ

2015/6/6(土) 午前 9:06[ 翔 ]


翔さん>
うん、底に流れるものは『おくりひと』に通じるものがあります。
ある残酷な部分を受け止めればしっとり泣けるかと。
チェクしてみてね。

2015/6/7(日) 午前 1:06[ pu-ko ]



わたしもすごく見たかった映画です。
静かなBGMとロンドンの特有の薄曇りの映像がマッチしていました。
ジョンがなぜ身寄りがないのかそこはわからないままでしたね。
ラストはちょっと不条理に感じましたよ。
そうか、いつ亡くなってもいいように部屋を片付けていたんですね。
なるほど。

2015/9/4(金) 午前 10:58[ ミス・マープル ]


> ミス・マープルさん
終わりまで見て、音楽が何故こんなに物悲しいのかも分かりました。
本当に不条理。
幸せになってもよかったのにと思うと寂しすぎる結末で監督はサドなのかと思ってしまうほど。
でも主人公が貫いた姿勢から学ぶことが多い作品でした。

2015/9/4(金) 午後 10:54pu-ko
2015/12/25(金) 23:11:33 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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