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【映画】アンジェリカの微笑み
2015年09月17日 (木) | 編集 |



アンジェリカの微笑み(2010)ポルトガル/スペイン/フランス/ブラジル
原題:The Strange Case of Angelica
監督/脚本:マノエル・ド・オリヴィエラ
出演:リカルド・トレパ、ピラール・ロペス・デ・アジャラ、レオノール・シルベイラ ルイス・ミゲル・シントラ、アナ・マリア・マガリャンエス
日本公開:2015/12

今年4月に106歳で亡くなったポルトガルのマノエル・ド・オリヴィエラ監督が101歳のときに撮った作品ということで観てみました。

アマチュア写真家のイザックはある晩、亡くなったアンジェリカの写真を撮るよう依頼され屋敷に赴きます。
まるで生きているような微笑を浮かべ横たわる美貌のアンジェリカ。
ところがイザックがファインダーを覗くと、一瞬アンジェリカは目を開きイザックに微笑みかけるではないですか。
驚くイザック。しかし以来彼はアンジェリカに魅せられてしまうのです。


平たく言えば、死体に恋した青年の顛末を描く作品です。
イザックはアンジェリカに会って以来、死に囚われていきます。
こういう作品は『ある日どこかで』みたいにSFにもなるし、
『雨月物語』のようにホラーにもなる。
本作では本当に101歳で撮ったの?と驚くほどに可愛らしく幻想的なシーンもあるためファンタジーとして観ることもできるんですが、監督にとって死はあまりにも身近な問題であり、おそらくは自身の心の準備的な作品だったのかもしれませんね。

イザックを演じるリカルド・トレパは監督の実のお孫さん。
お顔はトム・クルーズとサム・ワーシントンを足して2で割った感じなのですが、「アンジェリカー!!」の台詞しか覚えてませんw
演出としては小津風というか、カウリスマキ風で、全体としてはオフビートな印象もありますね。

ブドウ畑を耕す人々とか、目の前を行きかうトラック、物乞いをする人など、何か比喩的な意味があるんだろうと思いながら私の頭では解釈しきれません。
でも大家のおばちゃんの人情も心地よく、ポルトガルってなんかいいなぁと思ってしまった。
ハリウッドを皮肉ってみたり、古きよき時代を懐かしむ気持ちもあるのかな。
アンジェリカがウェディング姿なところには、おそらくは死別して長いだろう奥様への想いを重ねたのかなと思うと、最後はちょっと感動的でもあるんですよね。



幻の名作と言いきるには解釈が及びませんでしたが
薄明かりの映像とピアノの旋律の美しさが心に残る作品でした。

日本公開は12月です。

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コメント
この記事へのコメント
12月は懐があたたかくなりそうなんでチェックしておきます。あんまりファンタジー色が強いと私は苦手なんですが(汗)…。
[ ゾンビマン ]
2015/9/17(木) 午前 10:44


すっげ、4ヶ国合作なのね!!
ほらほら、死体に恋するってあったじゃん!
あ、違うわ。「Talk to her」だったっけ?
介護士が身体の不自由な美女に恋するみたいなのあったよね。
死体は初だな。けど監督がそんな年齢だとは驚きだ!!

入院中の母の同室に102歳のお婆ちゃんがいらっしゃるけど、
ワケワカラン事言ってるくせにメッチャ可愛いんさ。
ほっとけないばぁちゃんでね…って脱線しまくり。スマンm(__)m
chaco
2015/9/17(木) 午後 1:39


> ゾンビマンさん
ファンタジーはところどころオヨ?ってくらいなので大丈夫かなぁ。
でも12月はそろそろオスカー狙いの作品も登場するでしょうからこれは優先順位低めでいいかと(笑)
pu-ko
2015/9/17(木) 午後 3:09


> chacoさん
あ、ほんと4カ国だ。
そうそう、『トーク・トゥ・ハー』は死体じゃないけどちょっと変態気味だったよねw
で、本当に死体愛好者も世の中にはいるようで、そっちがよっぽど変態だけど。
あ、でもこの作品はそっち系ではないので大丈夫w
102歳で可愛くあれるってある意味理想。
にしても101で監督って凄いよね。しかもまだこれ遺作じゃないんだよ(汗)
pu-ko
2015/9/17(木) 午後 3:14


101歳の時に撮った1作ですかっ。
ん~、感性は衰え知らずですな~。
オフビート調っていうのも面白い。
ちと観ておきたいですな、これは。
Kaz.Log
2015/9/17(木) 午後 7:43


小津風,カウリスマキ風と知ると無視出来ない感じです(笑)。
多感な時期に、この姿を目にしたら頭が囚われていくのもやむを得ないかもしれませんね。

「オフビート」という文字で、ドリカムの”TO THE BEAT,NOT TO THE BEAT”という曲の詩が浮かんでききてしまって、我慢できず聞きながら書いています。
yymoon
2015/9/17(木) 午後 8:49


> Kaz.Logさん
元々は50年以上前に脚本を書きながら映画化に至らなかったものを掘り出したらしいので、若き日の感性と熟達した映画作りとがミックスされた感じかも。
普段あまり観ない種類の映画で面白かったですよ。一見の価値ありかと。
pu-ko
2015/9/17(木) 午後 11:02


> yymoonさん
小津風,カウリスマキ風はお好きですね。
それにちとファンタジーが絡むのがミソですが、ピアノ曲が美しく映像もいいのでyymoonさんにはお薦めしたいです。
ドリカムは私も好きなんですがTO THE BEAT,NOT TO THE BEAT゜という曲は思い出せません。
オフビートなんですか?あとでチェックしてみます。
pu-ko
2015/9/17(木) 午後 11:10


オリヴェイラの映画って、3,4本しか観てないのですが、独特のリズムを持ってますよね、時間の切り取り方が独特というか、冗長にも思えてしまうのですが、そこにはまるとじわじわくる面白さがあるのですが、はまらないと退屈という感じ。この映画は、そのどちらに転ぶのか実物を観て確認したいと思います。
[ einhorn2233 ]
2015/9/22(火) 午後 7:00


> einhorn2233さん
私は初オリヴィエラで他の作品観てないんですが、独特のリズムがあるというのは分かる気がします。
そうそう、長まわしも多くてともすれば冗長で退屈になる感じ。
私は多分嵌れたと思うけど、観るときの気分によっては寝るかも。
そんな感じですね。ぜひ確認してみてください。
pu-ko
2015/9/23(水) 午前 2:09

2015/12/22(火) 20:41:55 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
劇場で確認してきましたが、下宿での会話とか、農夫の歌の意味とかはちんぷんかんぷんでした。ただ、日本の怪談だと、死んだ女性は細くて抜けるような白いってイメージになるのですが、この映画では、血色もいいし体格もよくてかわいいってのが面白かったです。ピョコンとニコニコ笑って現れるあたりは怖さのかけらもない分、死んだ人のロマンといったものも感じられなくって。
2016/01/26(火) 02:06:08 | URL | einhorn2233 #-[ 編集]
To einhornさん
私も監督が何か意味を込めたらしい部分はまるで読めませんでした(汗)

でも101歳で撮ったとは思えない可愛らしさがあって
死人が幽霊みたいになっていないのは、監督がその世界と限りなく近いところにいて
手を伸ばそうとしてる感覚だからかなと思ってみたりしました。
そう思うとなんか愛しい。
2016/01/26(火) 11:00:28 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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