映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
やさしい本泥棒
2014年04月08日 (火) | 編集 |



作家シリーズの最後に、おまけとして本に関係する作品を一本。
マークース・ズーサックのベストセラー『本泥棒』をブライアン・パーシヴァル監督した戦争ドラマです。
やさしい本泥棒(2013)アメリカ/ドイツ
原題:The Book Thief
監督:マークース・ズーサック
出演:ジェフリー・ラッシュ/ソフィー・ネリッセ/エミリー・ワトソン//
日本公開:6月
 
原作者のマークース・ズーサックは祖母から聴いた話を小説を書き上げたとのことで
本作はズーサックの祖母の体験を元にした実話です。



 ドイツで共産主義排除の波のさなかにある1938年、リーゼル(ソフィー・ネリッセ)は共産主義者の母親と逃亡生活を余儀なくされていた。途中、列車内で死んでしまった弟を埋葬したセレモニーのあと、リーゼルは墓守男が落とした本をそっと拾い上げ、懐に隠した。
もはや母親は子供を育てる気力さえ失い、リーゼルはヴェルリンの夫婦のもとに里子出されることになる・・・

ナチスドイツが台頭した時代を生きた主人公リーゼルの物語です。
リーゼルを演じるのは『ぼくたちのムッシュ・ラザール』でエメラルド色の瞳が印象的だったソフィー・ネリッセ。本作では暗い場面が多いせいか、瞳の色は際立たなかったものの、少し成長して可愛らしいです。

 逃亡生活にあったリーゼルは13歳なのに文字が読めません。
しかし彼女は文字を読むことを渇望していたんですね。やがて優しい里親であるハンス(ジェフリー・ラッシュ)とともに読むことを覚えるや、彼女は知らないことを教えてくれる本の世界に没頭することになる。
ところが、ナチスは民衆の自由な思想を奪い、ドイツへの忠誠を誓わせるために本を焼き尽くすんですね。




 素晴らしいのは里親を演じたジェフリー・ラッシュエミリー・ワトソン
飄々とした中に優しさとユーモアをにじませるラッシュと、いかにも頑固で怖そうだけど、
実は心の大きなエミリー・ワトソン、2人の演技が秀逸で、デコボコだけどあたたかい夫婦愛が微笑ましく
厳しい時代にあって、危険を冒しても人を救ったり皆が空爆の恐怖におののくなかで
アコーディオンを演奏したり、彼らの強さに培われた優しさが最高です。




リーゼルと隣の男の子の淡い恋も可愛らしいんですよね。

勿論戦争映画でもあり、それに伴う悲劇やユダヤ人絡みのスリルなども描かれるのですが
語り部が語り部なのもあってかw 悲劇を強調しすぎることなく、
一つの人生として、達観した描き方になっているのが面白い味わいです。

 不幸な時代にあっても、強く優しい両親に育てられたことは幸せだったでしょう。
誰も永遠に生き続けることは出来ない。
けれど誰かの役にたったり助けたり、誰かを愛したり愛されたり、
死ぬ瞬間に精一杯生きたと思える人生を過ごせたらいいな。

 本を読むことを諦めなかったリーゼルが、その経験を語り継ぎ
やがて本として綴られることで新たな学びや愛が生まれる。
学べる環境にありながら、本を読むことから遠ざかっている私をはじめ、
多くの人が「本を読みたい!」と思うかもです。

ベテラン ジョン・ウィリアムズの手がけた音楽も美しい心に残る素敵な作品です。

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コメント
この記事へのコメント
里親が余りに豪華すぎるでないかえ?
コレ、日本でV6の岡田クンが主演した「図書館戦争」みたい!!
活字を読ませないってことで、図書館を燃やす国家命令に立ち向かう図書館隊…的な。
あ、ちょっと違ったか!?ゴメンよ。
里親2人の出演作の想い出を語ると日が暮れるので止めます(笑)
2014/04/07(月) 20:07:51 | URL | chaco #79D/WHSg[ 編集]
ナチの暴挙と戦争と本の映画ですね。
わたしこの主演のソフィーちゃん知りませんでした。可愛いね~♪
ジェフリー・ラッシュとエミリー・ワトソンって鉄壁の配役じゃないか!
そうそう、ジェフリー・ラッシュって独特のユーモア感、おしゃれっぽいおちゃめ感があるでしょ?
なので、「鑑定人・・・」の女性と恋愛したことない無骨な主人公ってイメージとちょっと違うなぁって違和感感じちゃったんだよね~。
これは配役的にバシっとキマッてそう!
わたしも最近まともに本読んでない~(汗)
マイブームみたいなのがあって読みだすと連続で~ってなるんだけど。
そう、情報規制されたら読みたい本も読めないんですよね。
でも、映画観れないほうが辛いかなぁ。
わたしはビジュアル系ということで(笑)
2014/04/07(月) 21:41:05 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
これは猛烈に興味がわきます。
私も同じような年齢のときに、一時期里子に出された事がある。
その時の私を支えてくれたのは一緒に里子に出された弟の存在と、野球と大事にしていた本でしたわ・・・。
田舎には映画館も本屋も情報もなかったんで。
2014/04/08(火) 02:42:16 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
ナチスの焚書ですねぇ。
思想抹殺は怖いですよね、ほんと。
でも、作品的には、そう悲観した内容じゃないみたい。
キャストもイイし、ちょっと観たいっすね。
2014/04/08(火) 05:46:36 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
ね、豪華な里親!
でもエミリー・ワトソン怖そうなんですけどねw
おー、『図書館戦争』はそんなSF的なお話だったんだ。
そうね、本作背景的にはそんな時代。
ははは、里親二人の想い出話いつか語っちゃってください。
2014/04/08(火) 09:31:41 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
ソフィーちゃん見るのはこれで二本目だけど、前作で見ほれるほどに可愛いと思ったの。
ポスト・クロエちゃんとされてるらしいですよ。
今回見たら、ちょっと大人になった印象。子供の成長は早いねぇ。
ジェフリー&エミリーいいよね~。
そうそう、ジェフリー・ラッシュは心温かきお茶目なおじさんの役がはまる俳優さん。
確かに無骨で変態気味な彼はいまいちピンとこないかもだ。
みーすけさんはきっと本をたくさん読んでるかただなぁと推察しておりました。
文才があるもの。
私なんか日本語から離れてるのもあって、言葉も忘れがち(ボケかなw)
情報源はたくさんあれど、やっぱり本を読まなきゃって思うんだよねぇ。
その気持ちが続かないのが問題だけど(笑)
うん、映画禁じられたらグレてやるw
2014/04/08(火) 09:47:05 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
そっかぁ。この映画でも主人公の少女が弟が埋葬された場所で拾った本を大事にして、まずそれから言葉を学び始めるんですよね。
(その本で笑わせてくれるところがユーモアがあって面白いんですが)
里子に出されたことをセンチメンタルにせず、ずいぶんあっさりだなぁと思ったのだけど、文字と触れることがなかった少女の「学びたい!」という思いが、その寂しさを紛らわせていたのかもですね。
ゾンビマンさんのコメントからそんなことを思いました。
2014/04/08(火) 09:54:40 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
思想抹殺と、間違った思想を植え込むのは本当に怖いですね。
で、そう。本作は子供の視線なのもあって、ナチスについても政治的な描き方はしてないんですね。
せいぜい子供同士で「ヒットラーなんか嫌いだ~!!!」と叫ぶくらい。
なので戦争映画であるにもかかわらず、それぞれが人生を全うするという描き方になってるのが面白い味わいでした。
2014/04/08(火) 10:11:24 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
こっちでも公開予定があるのですね。
頭の悪くなりそうな映画を立て続けに見た後は、
「何か頭の良くなる本が読みたい!」(笑)とよく云ってる私ですw
ネットの時代、本は端末で身近に手に取れるようで、また、逆に遠くなってる気もします。
時代的にかえって、こう云う映画は意味があるのかも。
今日本では、マンガでさえ難しいと言われているんですよね。
出版不況ってのは、そう云う事もあるわけで(売れる物は売れるんですけど)。
字幕が読めない、って云うのと同じ流れですが。
内戦があるわけでもなし、どんな本でも手に取れるのに、
それに能力が追いつかないってもったいないですよね。
2014/04/08(火) 16:25:57 | URL | miskatonic #79D/WHSg[ 編集]
華氏451 思い出しました
2014/04/08(火) 18:07:13 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
miskaさん>
わははw
確かに頭の悪くなる映画で破壊しかけた脳細胞を修復するのに本は役立ちそうw
えー?漫画でさえ難しいって・・・(汗)
前に若い店員との会話が成り立たないって何かで読んだことがあります。
言ってることを理解してもらえず、的外れな返事が返ってくるんだそうです。
読解力を求められる長文ならまだしも、日常会話でそれって、えらいことですよね。
字幕が読めない問題しかり。なんとかしないとやばいよ日本・・。
そういう意味では確かにこういう映画は意味があるかも。
ぜひ若い世代に見てほしいです。吹き替えでも・・(笑)
2014/04/09(水) 07:26:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
言及するの忘れましたが、同じくそれ思い出しました!
共通するテーマを含有してると思います。
2014/04/09(水) 07:29:37 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ものすごく好きな映画です。
いろいろなメッセージがやさしく織り込まれていましたね。
ナチスの歌を歌いながら、実はリーゼルもルディもヒットラー
が大嫌いだった。
リーゼルが90歳まで生きたということが、早逝した弟や
空襲で亡くなった里親やルディの思いを行かせたと考え
たいです。
音楽も心地よいものでしたね。
2015/01/18(日) 20:05:54 | URL | ミス・マープル #79D/WHSg[ 編集]
こんばんは
本好き、マニアくらいの域だった私が、
方向転換してDVDみはじめてからもうかれこれ10数年
それまでは本一直線だったんですよー
児童書とかも含めて。
物凄い数の本が部屋を占領していて
一種の図書館のようでした
それがいまじゃ、お気に入りの漫画や小説を読む事すら…
なかなか出来ないという(笑)
はまりってこわいわー
そして、本ってやっぱりいいものですよね、と。
2015/12/26(土) 05:01:24 | URL | maki #jQTfdwCM[ 編集]
To makiさん
うわぁ、図書館みたいなお部屋!凄い!!
本大好きのmakiさんは、この映画のヒロインの本への渇望をより理解されたでしょうね。
本から遠ざかってる私でも、活字を奪われる世界を思うと辛すぎる。
「本を読みたい」と思わせてくれる映画でした。
2015/12/26(土) 09:37:38 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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JUGEMテーマ:洋画「やさしい本泥棒」原題:The Book Thief監督:ブライアン・パーシバル2013年 アメリカ=ドイツ映画 130分キャスト:ジェフリー・ラッシュ     エミリー・ワトソン     ソフィー・ネリッセ1938年2月、共産党員の両
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