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バートン・フィンク
2014年04月06日 (日) | 編集 |



作家シリーズ
最後はコーエン兄弟の『バートン・フィンク』いってみます。
バートン・フィンク(1991)アメリカ
原題:Barton Fink
監督:ジョエル・コーエン
出演:ジョン・タートゥーロ/ ジョン・グッドマン/ ジュディ・デイヴィス/ マイケル・ラーナー/ ジョン・マホーニー/ トニー・シャルーブ/ ジョン・ポリト/ スティーヴ・ブシェミ
 1941年のニューヨーク。社会派劇作家のバートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)は、ハリウッドに招かれて映画のシナリオを依頼された。早速ホテルにチェック・インしたが、そこは薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。とりあえず部屋に入った彼だったが……。

 カンヌでパルムドールを獲得するなど、高い評価を得たコーエン兄弟の代表作の一つです。
前に観た時には、突拍子もない票視も展開を見せる変わった映画という印象でしたが、今見直してみると色んなメタファーを考えずにはいられませんね。

 まず舞台となるホテルが面白すぎる。
なんたってエレベーター係りの死人のようなおっさんのほか、従業員はブシェミ先生の姿しかありません。
しかもフロントデスクの下の床の下から扉を開けて登場する。いつまでも鳴り続ける呼び鈴にしても普通じゃなく、この時点でこのホテルは何かおかしいということになります。


 ところで、この映画ネタバレなしには書けそうにないので、以下 未見の方はご注意ください。

 



おかしなことは更に続きます。
軋むベッド、暑さで剥がれ落ちる壁紙、蚊、壁越しに漏れ聴こえる女の喘ぎ声、ジョン・グッドマン演じる隣室の保険屋チャーリー
これらは大きなストレスを抱えたバートンの妄想のように思えます。
1941年という時代背景やバートンがユダヤ人であることを考えると、混沌とした世界のうねりもバートンのストレスに重ね合わせているんでしょう。



 問題の一つはジョン・グッドマンの解釈ですよね。
全てを焼き尽くす地獄の産物、ヒトラーに代表する脅威の権化ととることもできるけれど
一方で、バートン自身と奇妙にシンクロしてるのはどう解釈すべきでしょうか。
気づけばチャーリーの靴と入れ替わっていたり、壁越しの喘ぎ声をチャーリーも聴いていたり
コップを拭う動作が同じなのも気になったし
チャーリーもバートンと同一人物と考えることも可能
そうすると、全てがバートンの凶行ともとれてしまう。



 もうひとつ問題になるのがあの女性の絵です。
地獄のようなホテルにあって、そこだけがパラダイスを思わせるオーラを放っていて
最後にバートンは絵と同じ浜辺を歩き、絵の女性と遭遇するんですね。
作品を書き上げたバートンがようやくストレスから解放されたと見るのか
バートンの死後の世界ととるのが正解なのか・・

なーんて、何を今更かなw
すでに語りつくされた問題だったら、どなたか答えを教えてください。
まぁ最後、ポチャンと海に落ちる鳥のシーンで
「深く考えなさんな。映画だよ映画!」と言われた気はしたんですけどね(笑)

イレーザーヘッド風のタトゥーロは、孤独とストレスをにじませる演技で上手かった。
どこまでも続きそうな暗い廊下は『シャイニング』を彷彿とさせたし
剥がれ落ちる壁紙はポランスキーの『反撥』風。

どこまでが現実で、どこまでが虚構なのか その境界さえわからない映画でしたが
意味するところを想像するのも楽しかった。


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コメント
この記事へのコメント
私も昔に見すぎていて、今見たらまた違いそうです。
見た当時は、神経症的な印象がありました。
でも、実はコーエン兄弟の作品は初期のころの方が好きなんですよね。
不条理的な中にリアリティがあるからかな。
今の作品は、むしろ寓話性の方が勝っていて、ファンタジーに見えるんですねw
作家性のあるタイプの作風ですから、これは実は年を取ると仕方ないんですが。
この作品は、悪夢的なんですが、
おかしみがあるのがコーエン兄弟風でしょうか?w
2014/04/05(土) 14:44:20 | URL | miskatonic #79D/WHSg[ 編集]
あの蚊を叩くシ-ンが好きで  どんなフェチじゃわ
ミラ-ズクロッシングで惚れて、 そいでこの作品にも登場  モンクに弟として出たときは
笑った  この作品のジョングッドマンの怪演もええですねぇ
よく考えると この作品  ビデオで持ってて レ-ザ-で持っててDVDは持ってなかった
2014/04/05(土) 17:53:53 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
世間の評判が大変よかったので、期待して観に行ったら、さっぱりわけがわかりませんでした。こういう映画もあるんだなと思いつつ、この映画と「ファーゴ」を観て、コーエン兄弟の映画は自分には合わないんだなって確信持ちました。面白さの相性ってのはやっぱりあるんだなあって。
2014/04/05(土) 18:34:19 | URL | einhorn2233 #79D/WHSg[ 編集]
観た観た、コレは観たーーー!!
すっげー昔ね。
たつろうさんも良い人も(わかる?)メッチャわっけーね。
めちゃくちゃ不気味なホテルでの物語で
燃えたぎる廊下しか覚えてないんですけど、
合ってますか?
ストーリーは全くもって忘れました(笑)
コレでたつろうさんの存在を知ったと言うわけでした!はい。
その後は色々でお目にかかっておりました。
グッドマン氏しかり…
2人ともええ役者やのう。
2014/04/05(土) 21:30:16 | URL | chaco #79D/WHSg[ 編集]
これ、ブシェミ出てると知ってそれ目当てで観たんですが、観終わった時にはすっかり
ジョン・グッドマンがにハマっていたという。我ながら変な好みだと思う(笑)
コーエン兄弟作品の中でもとりわけ人に説明しにくい作品ですよね。
メタファーのテンコ盛りで、色んな解釈ができる、噛めば噛むほどのスルメ映画。
pu-koさんのレビューでまた見たくなっちゃった。
2014/04/05(土) 23:19:34 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
「深く考えなさんな。映画だよ映画!」 で良いと思いますっ。(笑)
個人的にはコーエン兄弟ベスト5に入りますな~、これは。
映像的な面白さもあるんですよねぇ。
あの「蚊」のシーン(ベッドに血が広がっていく)なんかは秀逸ですよ。
いや、ほんま。
2014/04/06(日) 04:00:43 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
miskaさん>
そうそう!神経症的で悪夢的、いかにも不条理な作品ながら
人間関係の妙などそこここにリアリティがあっておかしみもある。
だから面白く観れるんだろうなぁ。
なるほど「今は寓話性の方が勝ってる」 って思うときもありますね。
その点『インサイド~』は地道な作品で穏やかな味わいがよかったです。
コーエン兄弟も丸くなったのかな。
2014/04/06(日) 08:21:54 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
蚊ね、それまでほぼ音だけだったのが、ようやく姿を現したかと思えば裸の女性の体
しかもしたい!ってところもよかったですね(笑)
主演二人はうまいよねぇ。
あらぁレーザーディスクで持つほど好きな作品だったのね。ビデオダビングしなくちゃ。
もう捨てた?
2014/04/06(日) 08:25:48 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
終盤、あまりにもぶっ飛びますもんね(笑)
どゆこと?ってなもんで(笑)
あー『ファーゴ』もだめでしたか。確かにコーエン作品は合う合わないがありそう。
私も作品によっては面白みを感じられないものもあります。
2014/04/06(日) 08:34:02 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
こないだまで90年代は「最近」と思ってた気がするけど、いつのまにか20年も前になっちゃった。
わはは 良い人=グッドマンねw
で、合ってます。廊下メラメラには参ったね。壁紙ビラーンとともに、頭に焼きつくよねぇ。
うまい役者だし、コーエンがまた色んな要素を引き出すから面白い。
グッドマンはコーエン最新作にも登場してたよ。
2014/04/06(日) 09:19:16 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
ブシェミが出てると見たくなるよねぇ。
本作でも床下から扉開けて出てきたり、やたら自分の名前をアピールしたりしてなんか可笑しくてうれしかったわ。
で、ジョン・グッドマンはいいよねぇ。本作でもまさに怪演。
そうそう、メタファーいっぱいで難解といえば難解だけど、好きに解釈して好きに世界を広げてみるのもひとつの楽しみというw
コーエン兄弟が答えを提示してるのならばそれも知りたいのだけど(笑)
また見ちゃって~。
2014/04/06(日) 09:40:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
あはは、深く考えなさんな 正解ということでいいでしょうか(笑)
おー、コーエンのベスト5
確かに映像も秀逸、あの壁紙とかも面白いですよねぇ。
ホテルの雰囲気あって、廊下もめちゃ長い!
踊りまくるタトゥーロも面白かったですw
2014/04/06(日) 09:43:42 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
これは結構好きな映画です。
ただよく理解できない部分もありました。
でもそれも含めて、凝った映像や雰囲気が良かったです。
2014/04/06(日) 18:34:27 | URL | ミス・マープル #79D/WHSg[ 編集]
これはなんだか言いようのない衝撃をうけたのを覚えてます。
あね小包みーっ!(笑)
2014/04/08(火) 07:32:08 | URL | 翔 #79D/WHSg[ 編集]
ミス・マープルさん>
難解というか、常識的な目で見て理解できる作品ではない気がしましたw
そう、それでも面白いのはいかにも何かのメタファーだと思わせる映像や雰囲気でしょうね。
考え始めたら夜が明けそうですw
2014/04/08(火) 09:27:44 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
翔さん>
ね~、あの包みの中身は最後まで明かされず気になったわ(笑)
どうしても『セブン』思い出すし(汗)
2014/04/08(火) 10:13:35 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ず〜っと前にVHSレンタルで観たような記憶が(汗
当時はバカ映画ばかり観ていたのであまりピンとこなかったです。
また観てみようかな
2014/04/11(金) 07:55:48 | URL | yossy #79D/WHSg[ 編集]
yossyさん>
もう二十年以上も前の作品になっちゃったからねぇ。
こういう映画を再見すると、当時気づかなかった色んな発見があって面白いです。
機会があれば。
2014/04/11(金) 09:09:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
コーエン兄弟はチャーリーのキャラクターを
形にしたのがホテルだと説明していて、
たとえばチャーリーの額から汗が流れると
壁紙が剥がれたりする。
そのホテルについてイーサンは
「ほとんどのホテルは幽霊船のようなものだ」
と言っていて、まあなんだかよく分からないけども(笑)
地獄からの使者みたいなもんじゃないかな。
ちなみにこのホテルは『ブラッド・シンプル』撮影中に目撃した
実際のホテルからインスピレーションを受けていて
彼らはそこを「地獄モーテル」と呼んでいます。
あと、赤狩りに関しては
今後、ブログにてブラックリスト作家を中心に
紹介していきたいと思っています。
2014/04/17(木) 16:49:38 | URL | HK #79D/WHSg[ 編集]
HKさん>
キャラクターを形にしたのがホテルっていう発想も面白いですよねぇ。
幽霊船というのも地獄からの使者というのもいまいちわからかったのだけど
なるほど、実際に見たホテルにインスパイアされたんだ。
わーい、ブラックリストに載った作家とその作品どんなのがあるんだろうと興味持ったところでした。
2014/04/18(金) 08:20:50 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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