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【映画】『チェインド』鬼才の娘ジェニファー・リンチ監督の秀逸スリラー
2014年09月20日 (土) | 編集 |




シッチェス映画祭特集 8本目
今日は2012年のシッチェス映画祭で審査員特別賞を受賞した『チェインド』です。
チェインド(2012)カナダ
原題:Chained
監督:ジェニファー・リンチ
出演:ヴィンセント・ドノフリオ/ エイモン・ファーレン/ エヴァン・バード/ ジーナ・フィリップス 
 ジェイク・ウェバー
 
9歳の少年ティムは、タクシー運転手のボブに母親を惨殺され、彼の自宅に監禁されてしまう。ラビットと名付けられた少年は足を鎖で繋がれ、猟奇殺人を繰り返すボブの下で成長していくが…。


デヴィッド・リンチの娘ジェニファー・リンチ監督によるサスペンス・ホラーです。

「帰りはタクシーを使うんだよ。バスじゃなくてタクシーね」
「高いのに悪いわ・・」
「いやいや、タクシーを使いなさい。ティム、しっかりママの面倒を見てな」

映画館に送ってくれた夫と妻の会話です。
映画が終わり夫の言葉どうり、タクシーに乗り込む9歳のティムとママ
ところが途中から運転手の様子がおかしい。
道が違うと訴える母親の言葉を無視し、ひと気のない荒野に向かう様子に
早々からただならぬ緊張感が走るのですよ。

タクシーの運転手ボブはちょっと太めで漫才師に似た人がいるのだけど思い出せない。
ボブを演じるヴィンセント・ドノフリオの異様な存在感がまず凄い。




ボブは母親をなんなく殺してしまう。
彼は定期的に女を家に連れ帰っては、強姦の末惨殺するのを繰り返すサイコパス。
ところが男はティムは殺さず、彼の「仕事」の後始末や家の掃除をすることを強いるんですね。
食べ物はボブの皿に残った食べ残しのみ。
足には鎖をつけられ、逃げることも出来ず、男の言うなりになるしかないティム。
男が少年を監禁する映画と言えば小児性愛を描いたオーストリア映画『ミヒャエル』を思い出しますが
本作の場合、ボブはティムに性的な興味は示しません。
そうこうするうちに9年のときが過ぎ、母親を守れなかった悲しみを秘めたまま
ティムはすっかり青年に成長。
そんなティムにボブは教育の必要性を説いたりする
この妙な父性みたいなもんはどこから来るのだろうか・・
時々挿入される猟奇殺人の緊張感と、ティムとボブの擬似親子のような関係の不思議さ
相反する感覚に混乱しながら見るうちに、映画はとんでもないツイストへと突入するんですねぇ。




ここにきて全てが繋がる構成に舌を巻きました。
しかしながら、途中ティムが従順に18歳までを迎えることにもうひとつ説得力がないのが残念。

ラストシーンは意味は判るものの、少しフラストレーション。
監督のインタビューによると、ボブもティムも虐待を受けて育ったという点では同じ。
けれど、母親が最後に見せた愛情など、映画の中でボブとティムの違いを明確に示した
つもりとのこと。
その上でラストシーンはティムの未来を想像するシーンとなるわけですが・・
これもう少しわかりやすくしてもよかったんじゃないかな。
観客には伝わりにくいかなと思いました。
とは言え、単なるグロい猟奇ものにせず、ヒューマンなドラマを入れたところは好みで
期待以上に楽しめた一本です。

ちなみにの年のシッチェス映画祭ではクローネンバーグ監督の息子ブランドンが『アンチヴァラル』で新人監督賞を受賞しています。2人の二世監督が注目を浴びた年だったんですね。


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コメント
この記事へのコメント
微笑みデブもすっかりおじじになりましたね
2014/09/20(土) 17:10:07 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
これ、監督の血筋からしてヤバいよね(笑)
いきなり、無理やりのタクシーでしょ?(汗)
そんなん、おもろいに決まってるやん(爆)
これは日本の特集上映から外れてるから余計に見たいですね。
似てるという漫才師が気になるわ(笑)・・・。
2014/09/20(土) 21:33:52 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
多分、多分ですよ、
「タカアンドトシ」のタカ(太ってる方)に似てるのでは?
あれ、アメリカのお笑いの方を言ってたのかな!?
世の中、二世ブームですな、うんうん。
日本の芸能界も「あれま~」ってくらい親の七光り的な。。。
コッポラ氏しかり、リンチ氏にも娘がいたなんて!
まぁ、面白い映画さえ作ってくれれば、二世であろうが三世であろうが、
わたしゃ~構いませんが(おおお、かなり上から目線)
最近は、ヒューマンチックなスリラーもんが多いんだね。
やっぱ、「キャーー!」だけじゃ、満足感味わえないもんね。
2014/09/21(日) 01:16:19 | URL | chaco #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
よくご存知で。そう呼ばれてる有名な方だったみたいですね。
代表作を観てみたい。
2014/09/21(日) 10:56:05 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
そそ、血筋ヤバヤバw
でもグロいシーンは一箇所くらいで、極力ヒューマンなものになるように
脚本も自ら書き直したらしいです。
父君とは違う女性らしい優しさも打ち出すと、ホラー分野に新しい風を吹き込むと思いますね。
あ、これは今回上映されるものの前の年の出品、受賞作品なのです。
もうDVD出てるはずなのでたくさんの方に観て欲しいな。
漫才しさんね~。よしもと系でよく見る方だと思うのだけど名前を知らなくて・・(汗)
2014/09/21(日) 11:04:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
あーー確かにタカさんにも似てる。
うーんでも多分もう一人似た方がいると思うんですよね。
勿論日本人だけど名前知らない~(泣)
おー、日本も二世ブームですか。
親の七光りから抜け自分の実力を見てもらうのは逆に大変なのかもですね。
そう、個人的にはヒューマンの入ったスリラーやホラーが好き。
2014/09/21(日) 11:10:34 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
リンチの娘にドノフリオ!
濃いなぁ(笑)
内容も面白そうなのに、若干の説明不足なの?
微笑み豚もおじさんになったなぁ。
J.LOの頭のなかに入り込む映画あったでしょ。
なんだったっけ、あれの犯人が物凄く印象深くて。
トンデモ映画だったけど好きだったな。
これ、レンタルしてるのね。
探してみす。
2014/09/21(日) 17:11:13 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
凄い取り合わせだよねぇw
えっとね、説明不足と感じたのは最後の最後。
もうエンドロールに突入して音だけで見せてるのね。
まぁ、語りすぎずその後を見るものに想像させるというやり方手段とは思うものの、ちゃんと伝わらないかなぁっと思ったり。
ぜひ観て感想聞かせて欲しい~。ハードル挙げずに見たのもあって期待以上でした。
ドノフリオさんね、何度も観てるはずなのにあまり記憶になくて・・(汗)
そっか『ザ・セル』も彼だったのね。また見直さなければ。
2014/09/22(月) 08:35:42 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
結構面白かったですよね。
ただ日本版ジャケットにオチを書いちゃったらダメでしょう。
あそこは後でびっくりする話だもの。
ラスト付近は予算が不足したため、あのようになったようです。
できたらもう少し頑張って作ってほしいですね。
2014/09/25(木) 05:45:21 | URL | ミス・マープル #79D/WHSg[ 編集]
ミス・マープルさん>
えーー?ジャケにオチ書いちゃってるの?
なんたること・・・。あっかーん。
あららら、ラストは予算不足でしたか。どうりで尻切れトンボ的な(汗)
もう少し説明が必要でしたよね。残念。
父ちゃん少し手伝ってあげたらよかったのに(笑)
2014/09/25(木) 10:58:09 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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