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【映画】『ボーグマン』は神か悪魔か:”シッチェス映画祭
2014年09月21日 (日) | 編集 |



シッチェス映画祭特集 9本目
最後はファンタスティックセレクションからの一本で
昨年のシッチェス映画祭で最優秀作品賞に選ばれた『ボーグマン』です。
ボーグマン(2013)オランダ/ベルギー/デンマーク
原題:Borgman
監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム
出演:ヤン・ベイヴート/ ハデヴィック・ミニス /イェロン・ペルセヴァル/ エヴァ・ファンデ・ウェイデーヴェン
日本公開:2014/10月
 
森の中に潜んでいたボーグマンが、武装した男たちに追われ森の近くの高級住宅地に逃げ込んだ。ある裕福な家庭のドアを叩き風呂を使わせて欲しいと頼むボーグマンだったが・・



この監督さんのことは全然知らなかったんですが、オランダの鬼才とされる方みたい。

冒頭、数人の男がライフルを携え森に入ったかと思うと、地面の下に掘られた穴を見つけ叩き壊しにかかる。
間一髪逃げ出す浮浪者風の男が、その後民家に現れるんですが・・
この冒頭のシークエンスが衝撃的なのが、地面の下に人が棲んでいるというのは勿論のこと、ライフルを構えた男たちの中に神父さんがいることなんですね。はじめは何が起こっているのかちんぷんかんぷん。

しかしながら、映画が終わる頃にはその理由もなんとなく理解できてしまう。
それだけのことが起きてしまうんですねぇ。




タイトルのボーグマンと言うのはアングロサクソン系のよくある苗字のようですが
本作では浮浪者風の男(ヤン・ベイヴート)やその仲間を総称してそう呼んでいる様子。
ボーグマンが目をつけた立派な邸宅には、夫婦と三人の子供が暮らしていて、若いベビーシッターも抱えるいかにも裕福そうな家庭。
しかし夫が浮浪者を暴力的に追い出したことが、妻マリーナ( ハデヴィック・ミニス )の夫リチャード(イェロン・ペルセヴァル)に対する漠然とした不信感に火をつけることになり、ボーグマンは巧みにそのひび割れに入り込むわけです。
ボーグマンは子供たちをマインドコントロールし、いつしか仲間を呼び、邪魔者を排除していきます。
唐突に起こる暴力シーンに思わず「ヒっ!」と声を上げてしまうこともしばしば。
しかしそのビジュアルがシュールなところもあり不謹慎ながらつい笑ってしまったり・・(汗)

ブルジョアのエゴをシュールに笑う作風というとブニュエルを思い出すわけだけど、本作はそんな可愛らしいものじゃない。『ザ・チャイルド』や『光る眼』を髣髴とさせるものもあり、この映画で言わんとすることはなんだろうと頭を抱えてしまった。



インタビューを読んでみると、監督はこの映画にメッセージを持ち込んでおらず
どう捉えるのかは観る者にゆだねるとのこと。
フム。私としてはボーグマンは悪魔か天使、どちらだろうと考えながら答えが見つかりません。
終わってみればブラックなSFホラーといったところでしょうか。
ちなみに監督さん自身もボーグマンの仲間として登場してました。

映画的には先が読めない展開に引き込まれるしシュールな映像にも釘付けになるけれど、
あまりの不条理さに「好き」とは言いづらい作品です。
勿論「好き」と映画の評価は別物だと思っているので、こういう作品がグランプリを獲ることに異存はないし、この異様な世界観を体験して欲しいとは思いますけどね。


シッチェス映画祭特集、本当は10本までいきたかったんですが、劇場で観た作品の紹介もしたいのでこで終わります。お付き合いいただきありがとうございました。
10月に公開される6本もどれもそれぞれに違った味のある秀作揃いでしたよ。

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コメント
この記事へのコメント
メッセージ性の無い不条理感で、しかも出演者に馴染みが無いと、その何処連れてかれるの?感てパナい臭ブンプンだなぁ。
ポスターのおっさんもただ者では無いよね?(笑)顔が!
絶対映画祭とかで賞を取らないと観ない系。
わたしは好きかなぁ~。
2014/09/21(日) 21:36:52 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
またpu-koさんの記事が最高でそそられるわ。
水野晴郎さんみたいな人やな(爆)・・・。
浮浪者がいけ好かない裕福な夫婦の間に入り込むって、やってみたい(汗)・・・。
そんな夢のような映画、見たくなりますやん(笑)・・・。
2014/09/22(月) 03:10:11 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
作品の雰囲気に入り込めるレビューに、とっても興味が沸いてきました~
役者さんもおそらく知らない人ばかりなので、作品自体にハマっていきそうな気がします。
観てみたい~
特集お疲れ様でした!
2014/09/22(月) 08:25:06 | URL | じゅり #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
マジとんでもないところに連れて行かれたんだってば(笑)
ポスターのおっさんははじめこんなルンペン(←死語w)風にしてるけど、その後さっぱりした姿で登場するとちょっとクリストフ・ヴァルツさんっぽいのよ。ちっちゃいけどね(笑)
これあまり話題になってなかった気がするのは顰蹙だからかなぁ。でもこういうのをカルトっていうんだろうなという一本だったわ。
2014/09/22(月) 08:42:07 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
あら、そそっちゃったかしら(笑)
いやいや、冗談抜きで強烈なんですってば。
夢のような映画w
というか、夢であってほしいと願う映画でしたよ(笑)
途中何度ため息ついて休憩したかw
来月の特集上映6本の中では、これが一番「映画館で観た」ことを後々自慢できる一本かもです(笑)
2014/09/22(月) 08:46:14 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
じゅりさん>
興味もっていただければうれしいです~。
そう、役者さんは誰一人知らなかったけど、強烈なのでしばらく残像が残りますw
ブラックかつシュールな一本でした。
ありがとう~。
2014/09/22(月) 08:49:55 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ブラックなシュールは映画作りが巧くないと、その不条理さだけが際立ちますからね~。これはその心配は無いみたいっすね。んんっ。
2014/09/23(火) 08:46:46 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
お帰りなさ~い。
そうですね。シュールさにちょっと笑えたからいいんですが
うーんでもやっぱ不条理さはかなり際立ちました(笑)
2014/09/23(火) 09:01:04 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
こんにちは!
コメント&TBありがとうございました。
奪い取った家にそのまま住むのかと思ってましたが、早々に立ち去って何処かに行っちゃいましたね。
彼らの目的がはっきりと見えてこないので、そういう意味では怖いと感じる作品でした。
理解出来ないながらも、今後どうなっていくんだろうと興味を持たせるストーリーはとても良かったです。
2016/01/03(日) 23:38:37 | URL | ヒロ之 #-[ 編集]
To ヒロ之さん
> コメント&TBありがとうございました。
> 奪い取った家にそのまま住むのかと思ってましたが、早々に立ち去って何処かに行っちゃいましたね。
> 彼らの目的がはっきりと見えてこないので、そういう意味では怖いと感じる作品でした。
> 理解出来ないながらも、今後どうなっていくんだろうと興味を持たせるストーリーはとても良かったです。

これはとにかく彼らの正体が謎過ぎて、しかもかなり残虐かつ地底に暮らすとかあまりに常軌を逸したところも怖かった。
思えば世の中には漠然とした恐怖は存在するわけで、そういう意味でも新鮮に感じた一本でした。
2016/01/04(月) 07:37:55 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
ルンペン
ルンペンって懐かしい言葉を思い出しました。
冒頭に武器を持ってボーグマンを襲った人々は聖職者なのかしら。
それとラストに連れて行ってもらえるのは年齢制限があるのかしら。謎が尽きない映画ですが、不思議な魅力を感じました。
2016/02/27(土) 01:02:12 | URL | ミス・マープル #-[ 編集]
Re: ルンペン
>ミス・マープルさん
ルンペンって本当に久しぶりに耳に(目に)しました。
一体彼らはなんだったんでしょうね。
そう、冒頭の面々の中には神父さんの格好をした人もいましたね。
でもほぼすべてが謎。不穏さの中にちょっとユーモアもあって変わった映画なのに飽きませんでした。
お返事遅くなってすみません
2016/03/07(月) 23:46:27 | URL | pu-ko #SFo5/nok[ 編集]
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