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【ネタバレ】『オオカミは嘘をつく』世の中偏見に満ちている
2014年11月22日 (土) | 編集 |



オオカミは嘘をつく(2013)イスラエル
原題:Big Bad Wolves
監督:アハロン・ケシャレス
出演:リオル・アシュケナージ / ツァヒ・グラッド/ ロテム・ケイナン/ ドヴ・グリックマン/ メナシェ・ノイ
日本公開:2014/11/22
 
イスラエルの森の中で首のない少女の遺体が発見され、 気弱で善良そうな学校教師が容疑者として浮上。
しかし警察が3人がかりで暴行を加えるも自白に追い込めず。
その映像がyoutubeに流れてしまったことからミッキは担当をおろされてしまうが、上司の特令を受け、不法にに容疑者を追うことに。そこに復讐をたくらむ被害者の父親が現れ・・





猟奇殺人事件をめぐる警察、容疑者、被害者の父の攻防を描くサスペンススリラーです。
タランティーノ絶賛というのに納得。これは面白かった!




刑事ミッキは警察の威信にかけ、被害者の父は「娘の首を取り戻し弔いたい」という思いから
両者は容疑者の自供を引き出そうと必死。
被害者の父が廃屋に容疑者を監禁し暴行を加えるあたり『プリズナーズ』のパロディかと思うところだけど イスラエルの映画らしく「目には目を」の精神で、娘がされたのと同じ方法で容疑者を追い詰める様子が怖い。
父親の父親まで登場して戦争の経験を生かした拷問まで出てくるところも、イスラエルならでは。

 ところがこの容疑者役、ギャーと叫びはするものの、痛がりかたはあっさり目でね。
最初は違和感を感じてましたが、その後、あぁこれってコメディだったのねと気づくことになり納得。
つまり監督は痛い映画を見せることに重きを置いてないんですね。

容疑者は犯行を否定し続け、被害者の父の暴行はエスカレートする
警察や被害者の行動に疑問がわいてくる頃、映画はある結末を迎えるわけです。

観終わって色々に考えるところがあるんですが、内容を明かさずには語れないので
以後ネタバレさせてもらいます。
殺人事件を硬く否認し続けた容疑者も、暴行に耐え切れず、ついに首を埋めたという場所を語るんですね。
しかし、指定された場所に首はなかった。

怒りに狂った父親は、容疑者の首を掻っ切る。
ところがここでひとつ問題が浮上。不在にしていた間に刑事の娘が失踪していたんですね。
容疑者の犯行と睨むものの、ときすでに遅し。
容疑者は何も語らずに息絶えてしまいます。

ラストシーンは容疑者の自宅を捜索する警察の様子が描かれ
何も発見できなかった自宅の、隠し部屋のようなところに横たわる少女の姿が映し出されます。
多分これが刑事の娘なんでしょう。死んでいるのがどうかは分かりません。
けれどその家に戻るものがいなければ確実に死ぬでしょう。
『ミヒャエル』を思い出しますね。
捜査の行き過ぎが招いた悲劇というべきか。
この不条理さを際立たせるためには、父親の父親も毒入りケーキで死んだほうが良かったと思うんですけど、なんで元気に復活したかな(笑)
ま、色々笑わせてくれる愛すべき爺ちゃんだったので生きていたのにはホッとしたけどね。

ところで、最後に疑問に残るのは容疑者は本当に首なし殺人事件の犯人だったのかということ。
刑事の娘を誘拐する動機があったにしても殺す気だったかはわからない。
ましてや殺人事件の証拠は何もないわけです。

じゃ犯人は誰やねんと考えて、思い当たるのは「馬に乗ったアラブ人」の存在。
ユダヤ人の偏見を憂うあいつが怪しい!と思った自分にハッとしたw

世の中偏見に満ち、勝手な思惑で人を疑ったり攻撃したりする。
それによって悲劇が生まれることもあるんだよと、そんなことを言ってる映画かなと思います。
過度に家族を守ることを余儀なくされる、イスラエルという国ならではの映画でもあるでしょう。
ひとしきりヒッチコック張りのスリルとユーモアを楽しんだ後
最後に、考えさせられるものもある こんな映画はいいね。


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コメント
この記事へのコメント
なんちゅうことを考えさせる映画やねん(爆)・・・。
いや、それはいい。とても意義がありますよね。
だいたい迷宮入りした事件なんかでも、間違った目撃証言なんかに振り回されてるから。
たったひとつの真実を見極めるのに偏見は御法度なんですよね。
ノリがコメディという部分も気になりますね。
2014/11/22(土) 17:29:28 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
未見ですがスルーせず読んじゃいました!!ダメ?
すんげ~シリアスっぽいのに実はコメディなんだ!いいね。
>ひとしきりヒッチコック張りのスリルとユーモアを楽しんだ後
最後に、考えさせられるものもある こんな映画はいいね。
〆のpu-koちゃんの言葉で、もう観る気マンマン!!
2014/11/22(土) 17:42:06 | URL | chaco #79D/WHSg[ 編集]
えらい角度の写真ですな
イスラエル映画というと昔 グロ-イングアップというオ-ルディズたれっぱなし青春映画がありましたが
これはサスペンス? コメディ?
地元では数年前に19歳やったか の生首が海岸で発見 いまだ犯人捕まってません  容疑者あったらしいけど ケ-サツの不法捜査で解放とかの噂も
また、それ以前にも 自分がガキのころ 湾に浮かんだ女性の他殺遺体 これも未解決
チョイ悪のダチなんか取り調べられましたが
全く 地元ケーサツの無能ぶりばかりが浮きだたされております そういえば 地元公園での少女ゴ-カン事件などニュ-スすらならずクチコミだけに広がったのであります 他、ホ-カとかいろいろあるんですぜよ
2014/11/22(土) 18:59:15 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
これ面白そうですよね~。
っていうか、コメディやったんですかっ。
観るつもりなので、ネタバレは読んでませんよ~。
劇場で観れるかな?(笑)
2014/11/23(日) 05:28:45 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
えー、コメディでもあるのですか。
とってもそそられるので、ネタバレ部分はスルーさせてもらいました。が、読みたい(笑)
あら~、こちらでは有楽町まで行かないと観れません~(><)
観たいなぁ…。
2014/11/23(日) 06:06:38 | URL | じゅり #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
そう、偏見や過度のディフェンスが真実を見えなくしたり、平和を脅かしているということはあるんでしょう。
本作が冤罪かどうかは読みきれないところがありましたが、暴力で引き出す自供には信憑性などあるはずもない。色々と考えさせられました。
笑わせる部分もあって、タラちゃん好みなのも納得でした。
2014/11/23(日) 07:58:21 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
ありゃ読んじゃった?でも読んでから見ても十分に楽しめると思います。
シリアスな内容をユーモアとスリルで描ききったという形かな。
映画作りのうまさを感じる一本でしたよ。
観ちゃって~。
2014/11/23(日) 08:01:54 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
わはは、パンツ映ってるしね(笑)
イスラエル映画は最近映画賞でもグランプリを撮ること多いし、レベル高いですよね。
『グローイングアップ』は全然知りませんでした。
イスラエルとオールディーズ意外な組み合わせなような。
これはサスペンスであり、コメディだと思います。
えーー?生首が?そんな怖い事件が解決されなかったとは。。
被害者も浮かばれませんね。
ってか、おみゃあさん周辺結構物騒(汗)
お気をつけて~。
2014/11/23(日) 08:06:30 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
はい、ネタバレしまくってますので、ぜひ無の状態でご覧ください。
サスペンス要素が強くハラハラもしますが、コメディでもありますね。
劇場で見ても損のない作品かと。
2014/11/23(日) 08:09:05 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
じゅりさん>
結構笑わせてもらいました。
でもそのあと、笑ってだけいてはいけない作品だなぁと考えさせられましたが。
なかなかテーマは深いと思いましたよ。
公開館は少ないんでしょうね。機会があれば。
2014/11/23(日) 08:12:23 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
三度目の(突っ込みはなしで)「フランク」観賞前に予告でやってて、興味しんしんでしたこれ!
おせおせムードのPOP付きポスターも飾ってて、テアトル系一押しな感じが漂ってたんだけど、面白そうだよね~。
残虐さをブラック・コメディーでコーティングすると過激な描写も「映画だよね」って頭のどこかで安心できるというガス抜き効果で楽しめるんですよね。
これは上映期間気をつけて観に行かなきゃ。
風邪治さなきゃ!ずる・・・。
2014/11/24(月) 18:34:54 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
おっと!衝撃的画像が!
残酷な作品と思いきや。。笑えるとはっ
タランティーノ絶賛、pu-koさんも絶賛w
よし、観ます(=゚ω゚)ノ
2014/11/24(月) 20:22:05 | URL | 翔 #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
『フランク』3回も見たんかい(やっぱりツッコンじまいますがw)
これ面白かったよ。
そうそう、このブラック加減が理解できないとなんだかな映画に思えるかもだけど、映画を見慣れてるみーすけさんはこの面白さしっかり受け止めてくれるはず。
被害者の父親の年齢に笑ってきてくださいw
2014/11/25(火) 06:58:36 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
翔さん>
物凄いアングルからおパンツ大写し(笑)
そそ、残酷なところもあるけど、子供に対し残虐な行為をするシーンはないし、ブラックユーモアたっぷりの演出で楽しいですw
翔さんもきっと好きなはず。観ちゃって~。
2014/11/25(火) 07:19:19 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
今日やっと観てきたも
Pu-koさんのレビューを前半だけ軽く流し読みしただけで、他一切情報入れずに観たのが良かった。
なにこれ超面白いんですけど!
かなりのブラック・コメディなのね。
って父親、あんた45歳なんかい!!
堪らず吹いたよわたしゃ!
あーこれレビュー書きたいけど、ネタバレしないと何も書けないですよ。困った困った。
でも45歳ネタを書きたくてしょーがないので、頑張って週末草稿頑張ってみる。
が、ギブしてもスルーでヨロシク。
2014/12/19(金) 09:23:54 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
観たのね~w
そそ、めちゃブラックで笑える映画だったのよ。超面白いよね。
ぎゃはh、私も45歳で吹いたよ。どこがやねん!?って。
どう観ても60過ぎだったよね(笑)
みーすけさんのつっこみ記事期待してます(笑)
2014/12/20(土) 07:57:12 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ご自身がネタバレに書いている偏見を無くして…ってとこ、今度は、こういう角度でこの映画を観たら、もっと自分の偏見がなくなるかもしれませんよ。
教師の隠し部屋で横たわる少女は教師の娘だとしたら。(自分が覚えなのない殺人の容疑者に浮上し、理不尽な追跡から逃れるために、自分の娘が蒸発したと見せかけて容疑を晴らそうと、教師がとった手段)
とすると、もちろんバレエをしてたあの少女は容疑者の娘。(仮に警官の娘だとして、容疑者が拐ったという設定だとしても、バレエの格好のまま、しらない男の家で蝋燭がささったケーキ=誕生日ケーキを食べるってどう考えてもおかしい)
ケーキに混入されていた、あの薬はただの鎮静剤。(そもそも報告書にも鎮静剤と書かれていたし、同じ殺し方で殺す!と親父さんが言っていた通り、まさかあのケーキで容疑者を殺すなんてことはないでしょう。だから結局あのおじいさんも、深い眠りから覚めたんだと思われます)
ね。監督にあなたも嘘をつかれていた気がしてきませんか。
観客側に映画のタイトル通りの最後まで容疑者は嘘をついていたんだ、なるほど狼は嘘をついて死んでったんだ。とそう思い込ませる、監督がまさに狼なのです。
真犯人は別にちゃんといて、容疑者の教師は誰一人として殺してなんかなかった。この映画に映しだされてない所で、真犯人は、警官の娘を殺している…そんなシナリオも面白くないですか?
2015/01/15(木) 06:23:08 | URL | fanaloe #79D/WHSg[ 編集]
fanaloeさん>
初めまして。
面白い見解ですね。
私も教師の娘はどうしたのかなと気になってました。
ただ自分の娘だとすると、誰もいない部屋で発見されずに死んでしまう状況では事実を伝えて助けを求めるのではないかなと思ったり。
刑事の娘を誘拐し、かなわぬ娘のバースデーパーティを演出したとも考えられます。
でも仰るように教師は誰も殺してないかもしれないですよね。
>この映画に映しだされてない所で、真犯人は、警官の娘を殺している
それは十分にありですね。
仰るように映画を見終わって、自分の偏見によって勝手に事件を作り上げている自分に気づく作品で、監督にしてやられた感を存分に楽しるところが最高に面白かったです。
こんな風に意見を交し合えるのも映画鑑賞の醍醐味ですね。
2015/01/15(木) 10:34:07 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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