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【ネタバレ感想】 複製された男
2014年07月29日 (火) | 編集 |
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複製された男
(2013)カナダ・スペイン
原題:Enemy 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ジェイク・ギレンホール/メラニー・ロラン/サラ・ガドン ヘレン/ イザベラ・ロッセリーニ
日本公開:2014/7/18
  【ストーリー】大学で歴史を教えるアダム(ジェイク・ギレンホール)はある日同僚に勧められた映画の中に自分と瓜二つの役者を発見。エンドクレジットからアンソニーと言う男のことを知ったアダムはアンソニーとじかに会って、顔や声、身体の傷まで同じであることに驚愕する。

自分にそっくりな男を見つけてしまった大学講師の混乱を描く心理サスペンスジョゼ・サラマーゴの原作を『灼熱の魂』     『プリズナーズ』のドゥニ・ヴィルヌーヴが映画化しました。
とにかく難解と評判ですね。
ジェイク演じるアダムが遭遇することになるアンソニー(ジェイク 二役)とは何者か。
途中何度か登場する蜘蛛が意味するのは何か など解明すべきポイントがいくつかあります。
「講義の内容にもヒントがありそう」と聞いていたので、自分なりに楽しみながら解釈してみたし DVD特典の監督インタビューなども助けにはなったものの、全容解明には至らず(汗) youtubeのネタバレ解説を見ちゃいました。
以下投稿内容に沿って謎を明かしていこうと思います。 ネタバレにつき、未見の方はご注意ください。
 


まず、アダムとアンソニーの関係は何か。身体の傷まで一致ということで、同一人物と仮説を立てましょう。 混乱を避けるため、動画にならって以下講師ジェイク俳優ジェイクと表記することにします。

 

講師ジェイクは地味で暗め。
メラニー・ロランと恋人関係にあるけれど、どうやらその関係は冷えかけている。
一方俳優ジェイクは髪型も決まっていて、高そうな服を着ている。
妊娠中の妻(サラ・ガドン ヘレン)がいて、結婚指輪をしているけれど、妻の台詞から浮気をした過去が見えてきます。 
 
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冒頭、鍵を持ってデートクラブのようなところにいるジェイクは指輪をしていることから俳優ジェイクでしょう。
彼の目の前には蜘蛛がいて、ハイヒールの女性が蜘蛛を踏み潰す・・ 画面変わって大学の講義風景。

レクチャー中の講師ジェイクの最初の台詞は「コントロール」各々をいかにコントロールするかという話の中、
重要なこととして、「これはパターンであり繰り返すのだ」と言っています。
 
その後、同僚に勧められた映画を探しにレンタル店に行く講師ジェイク。
このレンタル店のポスターが『ジャイアント・ウーマン』、BGMが『The Cheater(浮気する者)』なのも要チェック。
 
蜘蛛がどういったシーンに使われているかも重要で細かく見てみると、
俳優ジェイクが妻と言い争った後や、講師ジェイクが母と会話した後になっています。

つまり蜘蛛は女性のメタファーであり、妻の妊娠により自由を奪われ、家庭に責任を持たなければいけないことへの恐れの象徴。 俳優ジェイクは講師ジェイクの恋人であるメラニー・ロランに興味を示すんですね。
明らかに悪い癖が再発していることを妻は感じ取っている。
この後、俳優ジェイクは講師ジェイクになりすまし、メラニー・ロランとベッドを共にするのですが
講師ジェイクではないと気づいたメラニーにより拒否されます。

車の中で言い争いを始める2人。
結局大変な事故を起こすわけですが、車の窓の割れ具合が蜘蛛の巣状だったのに気づいた人も多いでしょう。

では仮説に戻って、なぜ2人は同じ人物なのか。
言い方を変えて、なぜ別のジェイクを生み出す必要があったのか・・ 

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それは終盤、俳優ジェイクの妻が講師ジェイクを夫として振舞っているところが鍵になりますね。
俳優ジェイクの妻と思ったのは実は講師ジェイクの妻であり妻の妊娠を機に自由を奪われようとしているのは講師ジェイクであるということ。その大きすぎるストレスが生むのが、彼の内なる欲望を具現化した俳優ジェイク
講師ジェイクなりに彼の内なる欲望を排除しようとした結果があの事故とも言えるでしょうか。

欲望をコントロールしようと努力するも、結局は排除しきれず、またしてもデートクラブに行こうとするジェイク。
コントロールの言葉虚しく浮気を繰り返すのが彼のパターン
妻への罪悪感と恐れがラストシーンを見せてるんでしょうね(笑)

ちなみに女性の頭が蜘蛛だったり、巨大な蜘蛛が街を歩いていたりするのは、女性=蜘蛛の象徴であると同時に、
この映画はなんでもありという警告でもありますね。

本当は好きなブルーベリーを嫌いと言ってみたり別人格を生み出すところに、講師ジェイクの精神がかなりヤバイレベルに混乱しているのが窺えます。原題のエネミー(敵)は悪癖を繰り返すジェイク本人。全ては講師ジェイクの頭の中の妄想。

そう言うとつまらないと思われそうだけど、実に緻密に作り上げられた知的な作品だと思います。
ちなみに、巨大蜘蛛が現れるのは母親(イザベラ・ロッセリーニ )と会話した後。
巨大蜘蛛は息子を支配する母を象徴するものと言う描き方ですが・・監督はお母様や奥様が怖いのかな はどうでもいいかw

長文駄文失礼しました。
      
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コメント
この記事へのコメント
どんな解釈をしようと、観る側にすべてを丸投げしているのは私的にはアウト。全部逃げ道ですから。
作り手がね、「私はそういう事を描いたんですよ。たくさんわかったアナタは素晴らしい」なんて気でいるなら最低。
私はわかってあげようという気にもならなかった(爆)・・・。
完全な作り手の自己満足作品。思わせぶりなだけの映画って感じ。
2014/07/29(火) 02:50:23 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
なるほど、女性=クモ、ですか。
そういった観点で再度鑑賞したら、また解釈もスンナリ来そうだと思いますよ~。
やっぱノーベル賞作家の書く小説は違いますな。(笑)
映画化に挑んだ監督も、これまた見事でしたね。
TBさせてもらいますね~。
2014/07/29(火) 06:47:35 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
ははは、厳しいですね。
分からないなりに興味を持続させられたし、かなり緻密に作られてたので個人的には凄く楽しめましたが、好みは分かれるかな。
2014/07/29(火) 07:18:26 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
そう、蜘蛛が意味するものを知って観るだけでも随分と理解がしやすいと思います。
おー、原作者はノーベル賞作家なんだ。
頭の構造が違うんだな、きっと(笑)
監督の見せ方もなかなかでしたね。これからも楽しみです。
TBありがとうございます。
2014/07/29(火) 07:22:52 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ジョゼ・サラマーゴの原作なので見たい作品ですw
ネタバレはまた見てから拝見しますね。
映画だと「ブラインドネス」はこの人の原作。原作もおもしろいですよw
解答はありがたい反面、正解が出ちゃうわけだから、
ちょっと面白くない部分でもありますね(笑)。
見るの楽しみですw
2014/07/29(火) 11:36:21 | URL | miskatonic #79D/WHSg[ 編集]
miskaさん>
あっと『ブラインドネス』はいまだ未見ですが、同じ原作者でしたか。
視点が面白そうですね。
この作品はほんのちょっとだけヒントを得て観た方が俄然理解しやすいとは思うけれど、まずは自分で解釈してみるのが正解。
答えを知ると他の可能性を考えられなくなりますもんね。
2014/07/29(火) 23:04:23 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
観ましたね(笑)
わたし観てる間ありとあらゆる可能性を当て嵌めながら観てたんで一時間経ったくらいに脳みそへろっへろになっちゃってね。
ラストのビックリで全部ぶっ飛んじゃって「今の何だったの???」でまる一日ネタバレサイト読むの我慢してあれこれ考えたわ~(笑)
結末が講師ジェイクの妄想だとしたら役者ジェイクの活動はどうなるの?とか現実が齟齬するところはど~~~なん??とかまだぐるぐるしてます。
でも嫌いじゃないんだよな~D・リンチとかクローネンバーグの臭いがしません?
トロントの高層ビルの無機質感とかドハマりではありんした。
TBお願いざんす。
2014/07/30(水) 06:05:56 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
観ました!お店に一本ポツンと残ったDVDが私を呼んでいたの(笑)
これ頭使いますよね~。
そう、細かいこと言うとツッコミどころいっぱいなんですが、ここは大人の事情ということで(笑)
うん そうそう、あの黄色くフィルターのかかった風景もいかにも異次元な感じで、リンチやクローネンバーグも入ってるかも。
難しいけどいい加減に作り出されたわけでなく、全部計算された知的なものなところが好みでした。二回目に観るとまた発見がありそうだよね。
TBありがとうです。
2014/07/30(水) 14:00:59 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
寝そうですな  DVD覚えておきます  いちお-
2014/07/31(木) 17:06:01 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
いいね、いいね。
「ファイトクラブ」的な?
「シークレットウィンドウ」的な?
よくあるパターンか。でもさ、ネタバレしても観たいね。
好きだよこーゆーの。
自分の中のもう一人の自分。誰でも持ってる欲望だよね。
2014/08/01(金) 03:56:01 | URL | chaco #79D/WHSg[ 編集]
先に「サード・パーソン」を観ていて、ブロ友さんの「なるほど!」な記事を拝見していたので、結構、注意深く観たつもりでした(汗)~展開は違うけれど、頭の中の視覚化なのは似ている?!
タイプが同じ女性や母への言及など思わせぶりな展開と、「イラっ」とさせられる講師ジェイクなど、これが監督の狙いなのだとしたら、見事に嵌りました(苦笑)
記事にも書いたのですが「ジキルとハイド」を連想しながら観ておりました。
TBさせてくださいね。
2014/08/01(金) 07:17:10 | URL | アンダンテ #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
そうそう。類似した映画は多分他にもいっぱいあると思う。
心理ホラーの王道でもあるんですけど、見せ方もそれぞれでこのジャンルは面白いよね。
誰もがもってる願望であり、人は欲望との折り合いをつけながら日々過ごすわけだから共感することもありますね。
2014/08/01(金) 11:07:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
アンダンテさん>
『サード・パーソン』は全然知らないんですが、共通するところのある映画なんですね。
興味出てきました。
『ジキルとハイド』なるほどです。女性陣の台詞には謎を解く鍵がたくさんありましたね。
TBありがとうございました。
2014/08/01(金) 13:29:33 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
ははは、判りにくいしわけわかめで眠くなる可能性は大。
でも色々考えて観れるので楽しいですよ。
いちおー覚えておいてくださいw
2014/08/01(金) 13:47:37 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
これはどう解釈してもいい、観客の好きなようにできる映画だと思いました。どう解釈しても、腑に落ちる感じがしないですもの。いわゆる作っているほうが、伏線なのかミスリードなのかを、わざとわからないようにして観客とゲームしようとしている感じでしょうか。ラストシーン以外を全部(アダム=アンソニー)の夢でしたとしてもOKな気がしましたもの。
2014/08/03(日) 11:31:19 | URL | einhorn2233 #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
確かに色んな解釈が可能になりますね。
でも監督的にはしっかり伏線張って作りこんでいると思います。
ただし、ミステリーを保つために整合性のない部分は放置せざるを得ない。
そこが完全にすっきりとはならないし、無理が生じるところですよね。
2014/08/04(月) 12:22:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
そうですね。決定的な解釈をするにはあいまいなまま放置されてるものが多いですものね。
そうそう、意図的にミスリードしてる部分がありますね。
電話のシーンとか。
ラストシーンでようやく現実が見えてきた、それ以前(アンソニー部分)は全部アダムの頭の中で起きていることと解釈しました。
2014/08/05(火) 17:54:59 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
良かった…。迷ったけど全部読んで観ない事に決定!だって蜘蛛が大嫌いなんですもの😭気になる作品だったけど、そんなにそこかしこで蜘蛛が登場するんじゃ、観てられないです(笑)
2014/08/10(日) 00:37:57 | URL | くろねこ #79D/WHSg[ 編集]
くろねこさん>
どのシーンも一瞬なので、大丈夫だと思うけど、蜘蛛きらいだとキツイかなぁ。
2014/08/16(土) 13:38:03 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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【複製された男】 ENEMY カナダ・スペイン 2013 監督 :ドゥニ・ヴィルヌーヴ  原作 :ジョゼ・サラマーゴ  出演 :ジェイク・ギレンホール / メラニー・ロラン / サラ・ガドン / イザベラ・ロッセリーニ 他         「灼熱の魂」の ド
2014/07/29(火) 21:48:09 | CINEmaCITTA'
「複製された男」 (2013) カナダ=スペイン原題/Enemy監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ出演/ジェイク・ギレンホール  メラニー・ロラン  サラ・ガドン  イザベラ・ロッセリーニ大学で歴史講師として働くアダム(ジェイク・ギレンホール)は刺激のない日
2014/07/30(水) 21:05:20 | 天邪鬼みーすけの映画な日々
しばらく前に観ていましたが後回しになってました ポルトガルで唯一のノーベル文学賞受賞者というジョゼ・サラマーゴ原作 といっても  全く読んだことがなくて未知の作家ですが 見ながら「ジキルとハイド」や「フランケンシュタイン」を連想 自分の内なる悪し
2014/08/01(金) 22:17:44 | アンダンテ あっち行って ホイ♪
今回は、TOHOシネマズシャンテ1で新作の「複製された男」を観てきました。ここは、TOHOシネマズでも、始まる前の「ピグミーン」のうざったいロゴが出ません。それだけでも、他のTOHOシネマズより好き。 大学で歴史の講師をしているアダム(ジェイク・ギレンホール)は、
2014/08/04(月) 02:31:05 | 今昔映画館(静岡・神奈川・東京)
疑問符で当然? 公式サイト http://fukusei-movie.com 原作: 複製された男 (ジョゼ・サラマーゴ著/彩流社)監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ  「灼熱も魂」 「プリズナーズ」 大学
2014/08/04(月) 16:29:35 | 風に吹かれて
最近まで公開していた「プリズナーズ」のドゥニ・ビルヌーブ監督作品。 この監督の作
2014/08/15(金) 07:18:28 | はらやんの映画徒然草