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【映画】『荒野の千鳥足』:凄まじいほどに不快(byスコセッシ)
2014年07月23日 (水) | 編集 |



世界が驚愕する日本未公開の映画を上映しようという“初公開!世界のどす黒い危険な闇映画”なる企画があるようで、その第一弾『荒野の千鳥足』が9月に公開されるということで観てみました。
カンヌでお目見えし、ヨーロッパ各地で上映された後、フィルムの所在がわからなくなり長い間幻の名作と言われていたらしいのですが、2004年にようやく発見され復元の運びになったのだとか。
荒野の千鳥足(1971)オーストラリア/アメリカ
原題:Wake in Fright
監督:テッド・コッチェフ
出演:ゲイリー・ボンド/ドナルド・プレザンス/チップス・ラファティ/ ジャック・トンプソン
日本公開:2014/9/27
 
オーストラリア。砂煙の舞う黄色い大地、灼熱の太陽、目の周りを飛びかう蝿、額ににじむ汗・・
ご丁寧にサントラまでもが蝿の羽音を思わせます。
そんな中、学校教師のジョン・グラントは年末の休暇をシドニーで過ごすべく列車に乗り込みます。
途中、砂漠地帯の町に一泊することになるのですが・・・



一夜を過ごすために立ち寄った砂漠の町で破滅に向かう若い学校教師の姿を描く異色作です。
巻き毛の金髪、ちょっとハンサムで教養もあるグラント(ゲイリー・ボンド)は、寂れた砂漠の町では異色の存在であり『アラビアのロレンス』を思い起こさせます。
そんな主人公がトランジットの地で酒、ギャンブル、狩りを経験するうち、およそ文明からかけ離れた原始的な欲望に翻弄されることになります。
地元住民からの執拗な誘惑は、美しいものをよどんだ世界へと引き込むかのようで
主人公には罠にはめられたような不憫さも感じるのだけど、
結局は彼の中にある野蛮なものが目を覚ましたということなんでしょうね。

カンガルー狩りの残忍さは観るのをやめようと思うほど強烈です。
それでも画面から目が離せなかったことには自分の残酷さも感じるところだけど
この映画には野蛮さの中に人の本質があり、他人事では済まされないから引き込まれるんですよね。
しかし、画面を眺めている観客と違い、実際に自分の蛮性が暴かれる立場となったら
これはつらいでしょう。
自分に対峙することになる主人公のその後の行動も緊張感たっぷり。





共演にドナルド・プレザンス
医者でありながら文明を捨て、あばら屋に暮らすプレザンスは、本能の欲するままに生きる男。
主人公グラントと合わせ鏡のような描き方だったのが印象的。

監督は『ランボー』のテッド・コッチェフ
ギャンブルや狩りの高揚感を見せるカメラワークも秀逸で
カンガルーを追いかけるシーンのスピード感と臨場感はヤバイ。
スコセッシに「凄まじいまでに不快」と言わしめた本作は
ホラーに近い、これぞ滝汗の衝撃作でした。

ってことで、少々サボり癖がついちゃってますが、明日からまた滝汗シリーズに戻ります。


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コメント
この記事へのコメント
邦題が妙ですが、この時代の映画だと、
今はアウトな描写もありで、そう云う残酷さもあるかもですね。
時代だなぁ、と云う内容な気もしますね。
こっちではレイト・ショー公開みたいですね。
企画はおもしろいですね。
2014/07/22(火) 11:12:56 | URL | miskatonic #79D/WHSg[ 編集]
miskaさん>
邦題ちょっと笑えますね(笑)
そう、カンガルー狩りに関してはエンドロールでプロによる狩猟の映像を使ったという説明があり、あくまで害獣として狩を正当化してますが、いまだと動物保護団体からお叱りを受けそうですよね。かなりやばいです(汗)
それでもトマトメーター100%と高評価で受け入れられてますね。
企画面白いですよね。次はどんなのだろ。
2014/07/22(火) 15:09:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
70年制作で、しかもドナルド・プレザンスが出るってんで、うぉっっ観てみたい!
内容の印象、雰囲気が70年代臭プンプンで、子供の頃、平日午後のテレビで垂れ流されてた数々のトラウマ映画の雰囲気が溢れてるような(笑)
今とレイティング規制の違いあるでしょうし、マジに滝汗っぽいなぁ(笑)
スコ爺に不快と言わせちゃう映画ってだけで、売り文句として掴みOKだよね。
でも作り物でない狩りの残虐シーンって大きな画面で耐えられるかなぁ(汗)
2014/07/22(火) 21:05:50 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
まず邦題が凄い(爆)・・・。酔い酔いのオッサンを連想させる。
私は暴力性とか否定しないんですが、動物の虐待とかはダメなんですよ・・・生きる為にお肉をいただいているだけにね。
本当に野蛮が理性レベルの人って、pu-koさんのようにちゃんと正視して受け止める。
危ない野蛮が潜んでいる人は目を背けますから。
参考になる面白い記事でした。
2014/07/23(水) 02:43:49 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
うは~、そんなに不快ですか…。
人間の本性がむき出しになった感じなのかな。
でもホント、千鳥足って(笑)
2014/07/23(水) 08:07:38 | URL | じゅり #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
ね、キャスティング、テーマ的にもそそられるものがあるでしょ。
まさにこれはトラウマ映画ですよ。
カンガルーたちが人間を警戒してなくてキョトンとしてるだけに不憫でね。
滝汗もいいとこ。心構えが必要です。
そそ、スコセッシがそう言うんならって思うから売り方もうまい!
2014/07/23(水) 08:18:36 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
もう、どんだけ飲むねん!ってくらいにビールを煽るんで、酔っ払いのロードムービーともいえるんですけど強烈な邦題ですよね。
ちょっと『ベルフラワー』に通じるものがあるかな。幻覚なんかはないけど。
狩りのシーンは私もどん引きました。
高揚感に共鳴するか、蛮性に目を背けるか、はたまたそれを理性で処理するか。
それぞれの見方がある映画でしょうね。
2014/07/23(水) 08:26:25 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
じゅりさん>
酒でドロドロ、砂と汗でドロドロ
女性の描き方もえぐく、狩りのシーンは「なにすんねん」ってなもんで(汗)
不快もいいとこなんですけどね。
それを柔らかくするための「千鳥足」だろうか(笑)
2014/07/23(水) 08:29:21 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
フィルムの所在が分らなくなってたって、それも凄いですね。(笑)
ある意味インパクトのある邦題は、配給会社の狙いかな~?とも思ったけど、読んでるとそうでも無さそうな内容みたいやわ~。
これは観ておきたいっす。
2014/07/23(水) 11:29:12 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
おかえりなさーい。
フィルムどこにいっちゃったんでしょうね。
オーストラリアの恥部を描くものなので、紛失には何かの力が働いたとする見方もあるようです。
原題の「恐怖に目覚める」も自分の内なる本能に目覚めるという内容と合っていて深いんですが、そのまま邦題にするのはわかりにくいし、配給も頭を絞ったんでしょうね。
ぜひ観ていただきたいです。
2014/07/24(木) 06:59:21 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
>ハンサムで教養もあるグラント
>酒、ギャンブル、狩り
そういえば、日本で王子製紙の東大卒のオーナー社長がギャンブルの穴埋めに会社の金を100億円使い込んでました。
知性教養も越える破滅への誘惑ってあるんですかねえ
2014/07/24(木) 07:49:28 | URL | yossy #79D/WHSg[ 編集]
yossyさん>
それまでまじめにやってきた人が、何かのきかっかけでその快楽を知ってしまうんでしょうかね。
その高揚感から逃れることの難しさtがあるのかも。
それにしても・・100億って額が想像できません(笑)
2014/07/24(木) 11:12:49 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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