映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
『ソハの地下水道』にユダヤ人を匿った真実の物語
2012年08月15日 (水) | 編集 |
戦争について描く作品を一本。
第2次大戦時、ナチ支配下のポーランドでユダヤ人を地下水道にかくまっていた男を描く
実話をもとにしたドラマ。
監督は『太陽と月に背いて』のポーランド人女性監督アニスカ・ホランド
来月(9/22~)日本公開予定の作品です。





ソハの地下水道
2011年(ドイツ・ポーランド)
原題:
In Darkness
監督:アニエスカ・ホランド
出演:ロベルト・ビッキィービクス、ベンノ・フユルマンヘルベルト・クナウプ



1943年3月、ナチス占領下のポーランド。
地下水道で働くソハ(ロベルト・ビッキィービクス)は、
盗んだものを売り、生計の足しにする日々。
ある日、ゲットーから穴を掘って逃げてきたユダヤ人たちを見つけたソハは、
金目当てで彼らを地下水道に匿う。





ユダヤ人を救う話というと『シンドラーのリスト』を思い出しますが
本作は、ユダヤ人迫害の様子はスクリーンの中の風景的な見せ方で
歴史にも残っていないようなこじんまりした実話を
政治的な部分よりも、ヒューマニティに焦点を当てて描いているのが
この手の作品としては珍しい。


ポーランド人であるソハはホロコーストの対象ではないけれど
ユダヤ人を匿う罪は大きく、見つかれば家族の安全の補償もない。
逆にユダヤ人が隠れていることを通報すれば報奨金がもらえるとあって
ユダヤ人としては、ソハがいなければ生き続けることができない反面
いつ裏切られるかわからない不安に苛まれる。





両者の間には疑心暗鬼の空気が流れ、その緊張の描き方が絶妙。

しかし、溝鼠の生息する暗い地下水道に14ヶ月。
中には幼い子供もいたわけで、これが実話というのが驚きです。
実際、撮影の殆どが本物の地下水道で行われていて
出演者、製作者の苦労は並大抵ではなかったでしょうが
暗闇の中に揺れる光から、断片的に映し出される映像を追うのは
観てるほうもちょっと辛い。

けれどもそれによって閉塞感を共有できたのは確かで
監督は敢えてこのリアリティを選んだのでしょう。

人の悪は敵国によってのみもたらされるのではなく
人それぞれの中に存在するのだ と監督。
誰でも状況によっては悪魔に身を売ることもあるが
ソハのように、人命を救う勇気も持ちえるのだということでしょう。
ジーン・ハックマン似の悪人顔だったソハが
次第に優しい表情を見せ始め、妻と価値観を共にする様子が心地よい。
妻のキンガ・プレイスがいい味出すんだな、これが。



「ユダヤ人を密告するなんて、神様の罰を受ける」
「ユダヤ人も私たちも同じ人間」とうソハの妻の言葉に
監督のメッセージが込められているように思います。
どんな状況にあっても宗教心が大きな支えであるところも印象的。

最後は誇らしげに顔を輝かせるソハと妻の可愛らしさにほっこり。
泣き笑いになりました。
アカデミー外国語映画賞にノミネートされています。


★★★★


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コメント
この記事へのコメント
これ、知らない映画でしたが、pu-koさんの書き方が上手い。
凄く興味を持ちました。
私が好きな感じの映画に感じる(爆)
公開情報をチェックしておきます。
2012/08/14(火) 22:54:31 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
これは予告編を観てマークしていたのですが、日本では9月公開でしたか。pu-koさん、こちらの事情のおくわしいですね。映画は期待を裏切らない出来栄えのようですね。ユダヤ人を売ったポーランド人の映画は「聖週間」で観ているのですが、今度は助けたポーランド人のお話というのが興味を惹きます。後味のよさそうなのも期待です。
2012/08/15(水) 03:58:55 | URL | einhorn2233 #79D/WHSg[ 編集]
これ気になってました。
記事で書かれているように、ヒトラーやナチスが怖いのではなくて、
それにスポイルされちゃったり、保身を図ったり、無関心だったり、
そう云う部分が本当に怖いんですよね。
ある意味本質をついている作品そうですね
2012/08/15(水) 04:41:32 | URL | miskatonic #79D/WHSg[ 編集]
昨日、映画館にチラシが置いてあり、それで知りました。
こちらでは1月公開予定ということで、
半年近く待たないといけませんが、
必ず観たいと思う作品です。
楽しみに待つことにします
2012/08/15(水) 09:45:21 | URL | 突っ張り太郎 #79D/WHSg[ 編集]
これは。予告でみて気になってました。
匿うって大変なことですよね。家族にも危害をくわえることになるかもしれないし、とても危険な行為ですよね。何か映像ではとても閉塞感が伝わってきました。是非劇場鑑賞したいなと思ってます。
2012/08/15(水) 10:29:57 | URL | laguna #79D/WHSg[ 編集]
アンジェ・ワイダ監督の『地下水道』にも通じる話のようですなぁ。
博愛精神を持った人はどこの国にでも居るものですね。
日本での公開はあるのかな? あっ、ありそうですねぃ。
2012/08/16(木) 04:14:47 | URL | Kaz.Citta' #79D/WHSg[ 編集]
えっ!監督さん、あの人だったの!
つらそうで見送ろうと思ったけど
トタンにみたくなったぞ
2012/08/16(木) 04:59:14 | URL | る~ #79D/WHSg[ 編集]
ナチスが絡んだ映画が好きなので、凄く興味があります、
地下水道に14ヶ月息を潜めながら暮らすって辛いですね、
地元に来たら是非みたいです。
2012/08/16(木) 08:05:03 | URL | くらげ #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
興味持っていただけたら嬉しいです。
実話にはやっぱり重みがありますね。
外国人俳優が英語で演じても伝わらない部分の
リアリティも感じる作品になってます。
2012/08/16(木) 09:58:02 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
この作品は多分アカデミーノミネートの時点でリストインしていたんですが
普段はこんな風に日本の公開が近づいたら観ることが多いです。
日本公開作品をチェックしてレンタルをリストインすることもあります。
ユダヤ人を売った方を描く作品もあるのですね。
この映画でも、密告する人がいたし、
売るほうにも走るのも自然で、双方を描くことに意味あいを感じました。
2012/08/16(木) 10:09:59 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
miskaさん>
そうなんですよね。
ホロコーストに関しては描かれつくしてる気がするんですが
ナチスを前面に出さず、自分の中の善や悪というのを描いている視点が新鮮でした。
ポーランド人の良心、宗教に導かれる心の尊さというのも描きかたっかのかなぁと思います。
2012/08/16(木) 10:13:46 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
突っ張り太郎さん>
実話だけにリアリティもあったし題材が面白いですよね。
半年後、ぜひお楽しみください。
2012/08/16(木) 10:14:55 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
らぐなさん>
そそ、匿うことで何度も危険に直面してるんで、緊張感の持続する映画です。
閉塞感ありますね~。
暗闇に懐中電灯の光が揺れるシーンはてんかんの持病がある人にはちょっと危険かもと思う感じで
あまり気持ちよくないんですけどね。
敢えてその闇を体験させた感じ。途中からはそんなに気にならない程度になります。
2012/08/16(木) 10:19:44 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
ワイダの『地下水道』を観てないので書かなかったんですが
監督はワイダの主催する映画グループで一緒に仕事をした人で、
ワイダ作品の脚本を担当してるものもあるんんだそうです。
テーマ的にもワイダの後継者と言える存在かもですね。
悪意と善意は表裏一体、人は悪にも善にも走れる存在だと感じる一本でした。
2012/08/16(木) 10:23:09 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
る~さん>
『太陽と月に背いて』がお好きかな。
観たくなったでしょ。
そんなにグロい描き方ではないのでる~さんにも大丈夫だと思います。
チェックしてね~。
2012/08/16(木) 10:24:46 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
くらげさん>
私もホロコーストものは、観なければという気持ちにさえなるんですよね。
これはナチものとしてはまた変わった視点だと思います。
ぜひぜひ。
2012/08/16(木) 10:26:02 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
アンジェイ・ワイダの
『地下水道』はレジスタンスが
追われる映画だったけど、
あの話より1年前の設定で
どちらかと言えば
『シンドラーのリスト』もそうだけど
『アンネの日記』
『終電車』
『パリの灯は遠く』
に通じる作品みたいね。
ナチスのユダヤ人迫害って
永遠に語り継がれそうな・・・
2012/08/16(木) 11:56:19 | URL | GH字幕 #79D/WHSg[ 編集]
これは予告編だけで心ガッツリ持ってかれたんですよね~
ドキドキしたなぁ
このポスターだけでも結構惹かれますよね。
大阪では9月末。楽しみにしてます
僕も泣き笑いしたい~
あ、ソハ役の方エディ・マーサンにもちょっと似てますよね?^^
2012/08/16(木) 22:23:20 | URL | SHIGE #79D/WHSg[ 編集]
これはラジオでまっちーが話していた。
面白そうです。
でも最近このテの社会派戦争ドラマは
後回しにする傾向アリ。
いかんなあ。
2012/08/19(日) 00:31:11 | URL | HK #79D/WHSg[ 編集]
字幕さん>
ワイダの未見なんですが、隠れていたのはレジスタンスなんですね。
そう、ユダヤ人を匿う、あるいは潜む系の話し結構映画になってますね。
そういう意味では割と普遍的ですがやっぱり地下水道に長期間ということと、小悪党みたいな人が次第に変わってくところが面白いところでした。
2012/08/19(日) 08:09:48 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
SHIGEさん>
おー、予告は緊迫するものになってるんですね。
そそ、このポスターもどういうシーンかなって気になるし、興味を惹く見せ方の上手い映画だと思います。
あは、最近大活躍のエディ・マーサンにも確かに似てるのかなw
見た時には気付かず。
というかもう少し老けた感じなのでハックマンっぽいw
9月、まもなくですね。お楽しみに。
2012/08/19(日) 08:14:29 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
HKさん>
まっちーとは町山さんかな。
こういうのも取り上げるんですね。
守備範囲広いなぁ。
社会派戦争ものも最近のは見せ方が色々なので観たら結構面白いです。
私は勉強がてらに観る事が多いかな(笑)
2012/08/19(日) 08:17:08 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ラストのクレジットで、「人間は神を使ってでも、人を罰したがる」 と言うメッセージがグググッときました。 この監督、かなりの描写力を持ってるから、それに合いまわって印象に残る一作です。
TBしますね~っ。
2013/09/30(月) 04:11:27 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
kaz.さん >
ほんとですねぇ。
昔から紛争の多くは、神のみ名のもとにやってるわけで・・・
そういった戦争に翻弄された国に住む方々は余計にそう思うでしょうね。
監督は次にどんな映画を見せてくれるのかと期待したくなる一本でした。
TBありがとうございました。
2013/09/30(月) 09:23:41 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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現在公開中の『地下水道のソハ』は、1943年ナチス政権下のポーランドで、地下水路にユダヤ人をかくまった男の姿を、実話に基づいて描いた驚くべき物語だ。本作のメガホンを取ったアグニェシュカ・ホランド監督が来日した際にお話を伺った。【Page1/2】
2012/09/23(日) 21:22:28 | INTRO
【ソハの地下水道】 In Darkness ドイツ・ポーランド・カナダ 2011 監督・脚本 :アニエスカ・ホランド  脚本 :デビッド・F・シャムーン  出演 : ロベルト・ビェンツキェビチ / ベンノ・フユルマン 他             ナチ
2013/09/30(月) 19:07:39 | CINEmaCITTA'