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【映画】『イーダ』ポーランドの歴史を静かにみつめる
2014年10月05日 (日) | 編集 |



イーダ(2013)ポーランド
原題:Ida - Formerly Sister of Mercy
監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
出演:アガタ・クレシャ / アガタ・チュシェブホフスカ/ ダヴィッド・オグロドニック/イェジー・トレラ 
 アダム・シシュコフスキ/ ハリナ・スコチンスカ/ ヨアンナ・クーリグ
 
 1962年ポーランド。
正式に修道女となる儀式を前に、アンナは初めて親族の存在を知らされ、叔母ヴァンダの元を訪ねる。
そこで知らされた事実に戸惑いながらも、叔母と2人、両親を知る者に会うため旅に出る・・






 パヴェウ・パヴリコフスキ監督の前作、イーサン・ホーク主演の『イリュージョン』は一風変わったミステリー映画でしたが、アーティスティックでムーディなところが気に入ったので、本作も楽しみに観ました。
今回は監督が初めて祖国に戻って撮り上げた一本とのことで、ポーランドの歴史を踏まえた静謐なる仕上がり。修道院で育ったユダヤ人少女のルーツを探るロード・ムービーでもあります。

 冒頭、印象的なのは、修道院に暮らす主人公アンナが大きなスクリーンの片隅に小さく映し出されること。
顔の下部も切れるほどの映し方につい意味を考えてしまいます。
その後、初めて会ったおばから、自分の名前がイーダで、ユダヤ人だと知らされるアンナ。
叔母と共に訪れた地で、アンナいやイーダは自分のルーツを知ることになるのです。

 この時代のユダヤ人を描くものとして、切り離せないのが侵略とユダヤ人虐殺の歴史でしょう。
悲しいのはユダヤ人虐殺にポーランド人自身も加担しているという事実。
被害者であり加害者である祖国を真摯にみつめる監督の視線が印象的です。




彼女の出した答えは意外にも思ったけれど、力に力で立ち向かおうとした叔母に対し、慈悲を自愛で返すことを択ぶイーダ。監督は未来に向かうものにその道筋を与えようとしたのでしょうね。
牛小屋にステンドグラスを飾るのは、イーダが唯一母から学んだもの。
イーダを演じたアガタ・チュシェブホフスカはフードを取るととても幼くて可愛らしい。
「自分」を知り、歩く道をみつけたイーダが、最後にはしっかり画面の中央を歩くのも象徴的でした。
 
 台詞を抑え、美しいモノクロ映像で切り取る画面はポエティックな挿絵のごとく。
ジャズシーンの音楽もよかった。監督はやっぱりアーティストだと思う。



ちなみにジャズバンドの美しいボーカリストは『イリュージョン』の鄙びたホテルの謎めいたポーランド人女性を演じていたヨアンナ・クーリグ。監督のミューズかな。
と思ったら『ヘンゼル&グレーテル』の魔女も彼女w七変化女優だわ







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コメント
この記事へのコメント
『イリュージョン』は観てないから、どうかは分らないけど、画像を見ただけでも個性的な画を撮る監督さんなのかな~と感じます。
テーマが興味深いですな。
2014/10/05(日) 09:42:31 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
『イリュージョン』は世間の評判は悪かったんで、自信をもっておススメしにくいんですが、やっぱりアートな側面は感じる一本でした。
本作はモノクロなのもあって映像が凄く綺麗で、きっとKaz.さんの写真に通じるテイストですよ。
ポーランドらしいテーマを変わった切り口で語った一作で凄くよかったです。
2014/10/05(日) 10:09:35 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
日本では永遠のナントカとかくだらない映画がヒットしてるようですが 
2014/10/05(日) 16:55:49 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
これは公開済みですよね。
ミニシアターで予告を見た気がする。
モノクロが印象的やった。
最近は絵や構図で語る作品が少ない。
pu-koさんの記事と合わせて、良作だとわかる。
2014/10/06(月) 03:12:12 | URL | ゾンビマン #79D/WHSg[ 編集]
「イリュージョン」って以前pu-koさんが「邦題あかんがな」っつーてたイーさんの知的(っぽい系)サスペンスだっけ?
あちゃちゃ、まだ観てないわ~。
知的ではなく、アート系な監督さんだったのね。
この時代、歴史はイタイけど観ずにはいられないジャンル。
カメラアングルで少女の内面が伝わるとか、美味しそうな感じするです。 ゴックン。
2014/10/06(月) 03:54:03 | URL | みーすけ #79D/WHSg[ 編集]
私にはちょっと難しめかしらん!?
タイトル見た時すぐ浮かんだ言葉…「いーーだ!」
って喧嘩した時悔し紛れに言うセリフ!
そんな程度しか浮かばない私って。。。ごめんね。
印象的なのは、主演の女子の「パックリあご」です。
やっぱり、ごめんね。
2014/10/06(月) 04:35:50 | URL | chaco #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
永遠のなんとか、くだらないの?w
ヒットするなにかはあるんでしょうね。アイドル主演?
2014/10/06(月) 08:36:43 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
みーすけさん>
あ、そうそう、わけわかんねーけど考えたら知的だったって一本。
で、『イリュージョン』はあかーんって思ったんだけど、後から考えれば映画の意味を想像するにはそのくらいのヒントがあったほうがいいかなとも思ってみたり(笑)
アートで知的な映画を撮る監督さんだと思います。
映像もとってもいいし、映画としてもかなりおススメ!
2014/10/06(月) 08:46:51 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
ゾンビマンさん>
まだ公開中のところもあるんですが、東京と大阪は終わってますね(すまん)。
映像の美しさは予告でもインパクトありますね。
そう、これも言葉で説明しなくても映像で表現できることがあると感じる作品でした。
傑作だと思います。
2014/10/06(月) 08:54:03 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
エンタメ性が高いとは言わないですが、全然難しくなかったのは私も愕くくらい。
わはは、私もよっぽど「イーだ!」書こうかと思ったんだよ。
若いのに見事な尻顎もベンアフつながりだしw
やっぱり私らピーマン姉妹だわ(笑)
でも映画があまりに素敵だったのでおちゃらけないでいようと思った。
でも姉貴が指摘してくれることを期待してました(笑)
2014/10/06(月) 08:59:50 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
くっくっく・・・
やっぱし、思考回路が激似なんだね(笑)
そーゆー「つまらん」ツッコミ担当は
やっぱ私デショ!?
真面目なレビュー何回読んでも「いーだ!」
が頭から離れない。
ったく、いい歳してどんな脳ミソが詰まってるんだろ!?
あ、詰まってないからピーマンなんだ!!!
2014/10/07(火) 00:48:45 | URL | Chaco #79D/WHSg[ 編集]
chacoさん>
やっぱピーマン姉妹だよね(笑)
私らそれでいーんだw
これからも激ツッコミよろしく~。期待してまっさ。
2014/10/07(火) 08:39:41 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
この映画、今、近所の映画館で公開されているので、どうしようかと思っていたのですが、記事を拝見して俄然興味わいてきました。最近、映像でじっくり語る映画を観てないので、劇場のスクリーンでどっぷり浸りこんで観たい映画です。
2014/10/14(火) 06:03:02 | URL | einhorn2233 #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
台詞は少なめに、映像で語ることの多い作品でした。
これはおススメです。ぜひ劇場で堪能してください。
2014/10/14(火) 09:05:35 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
観てきました。映画館で観るにふさわしいスタンダードならではの映像が印象的でした。ラストで彼女がどこへ向かうのかは色々な解釈ができるなあって思いました。買ったプログラムから、ポーランドの戦後史の勉強もできましたし、色々と勉強になる映画でもありました。
2014/10/20(月) 04:12:25 | URL | einhorn2233 #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
ご覧になりましたか。
劇場での鑑賞うらやましいです。
あ、そうか。ラストは確かに観るものによって解釈が違ってくるでしょうね。
映画で歴史の思いがけない側面を知ることも多々あります。
これは作り手のメッセージをしっかり受け止めたいと思う作品でした。
TBありがとうございました、
2014/10/20(月) 16:32:40 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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2014/10/20(月) 19:13:06 | 今昔映画館(静岡・神奈川・東京)