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孤島の王
2012年05月31日 (木) | 編集 |
ノルウェーのバストイ島の少年更正施設で実際に起きた脱走劇を描くサスペンス。
ノルウェーの権威あるアマンダ賞で作品賞、脚本賞など4部門を制した作品です。



孤島の王
2010年(ノルウェー・フランス・スウェーデン・ポーランド)
原題:Kongen av Bastoy
監督:マリウス・ホルスト
出演:ステラン・スカルスガルドクリストッフェル・ヨーネル
ベンヤミン・ヘールスタートロン・ニルセン

 1915年、ノルウェー・バストイ島の非行少年矯正施設に
非行少年エーリングが送られてくる。
ここでは厳しい規律の元、少年たちは重労働を課せられ、共同生活を送っている。
エーリングはやがて、模範的な施設という表の顔とは違う院の実態に直面し、
反抗心をあらわにしていく。

監督のマリウス・ホルストがこの映画を撮ろうと思ったのは
偶然にこの施設で少年時代を過ごした老人から話を聞いたからだそうです。
理想の矯正施設と思われたバストイ島では、
見せしめとしての暴力や、性的虐待までもが存在したことに驚き
今にも通じる問題として、リサーチに基づき真相を映画にしたのだとか。




少年たちはc-19などの通し番号で呼ばれ、個人などあってないようなもの。
その多くが犯罪者ではなく、孤児であったことにも驚きます。
エーリングの存在は少年たちに変化をもたらします。
不屈な精神で虐待に抗議し、施設からの脱出を図るとするエーリングに
初めは戸惑っていた少年たちも、徐々に共鳴し、
密かに期待と羨望を持ちはじめる。
少年たちの心の変化の描き方が丁寧で、演技も秀逸。
極寒のノルウェーでの撮影はかなりハードだったことでしょうが
その厳しさが映画に陰鬱さと重みを与えてますね。

途中、エーリングの回想シーンとして、銛を打たれ、傷つきながらも
必死に生き延びようと荒れ狂う鯨の姿が何度も映し出されます。
それは次第に屈強な精神で立ち向かう
エーリング自身の姿に重なって見えました。

厳格な院長を演じるのがステラン・スカルスガルド
おそらくは理想的な院を目指す教育者が、欲や名声、しがらみから
変わっていったのか。悲しき孤島の王を静かに演じて映画を引き締めます。

閉鎖された環境で、虐待に苦しむケースは
100年経った現在も、そこここであるのでしょう。
重い作品ですが、監督のメッセージは感じる作品で見ごたえがありました。

★★★★

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コメント
この記事へのコメント
これこの間、東京のミニシアターで観ようとしたんですが、時間の都合で未見になりました。
いいですね~、ステラン・スカルスガルド。
実際の出来事だと言うコトで、その分迫力ありそうですね。
DVDが出たら鑑賞しますっ。
2012/05/31(木) 09:33:25 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
時間合いませんでしたか。残念。
スカルスガルドさんますます良くなりますね〜。
今回主演はむしろ子供たちで、彼は登場時間はそれほど長くはないんですが、憎々しい悪役かと思えば、ちょっと違っていて
理想もありながら弱さもある、多面的な教育者を演じていて見事でした。
ノルウェーの厳しい自然と相まって映像も良かったです。
DVDでぜひ。
2012/05/31(木) 09:54:05 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
まさに、クジラが冷たい海を往くシーンの気高さはエーリングのようでしたね。
誇り高いクジラの姿を見て
H.C.ローレンスの「クジラよ泣くな」の
詩を思い出しました。
ラストで見せるエーリングの決断に
重なって感動しました。
2012/05/31(木) 10:43:30 | URL | 港町キネマ通り #79D/WHSg[ 編集]
あ。。。P・H・ローレンスの間違い。
『スタートレック4故郷への長い旅』で
カーク船長が引用していましたっけ。
2012/05/31(木) 10:49:05 | URL | 港町キネマ通り #79D/WHSg[ 編集]
これ、おもしろそうですよね。
映像の色なんかも重厚で、雰囲気がありますよね。
見た方の評判はいいですよね。
最近、北欧の監督&作品キテますよね~。
なんとなく印象なんですが、寒いせいか?
閉塞感などが、ロシア文学と近い気がします。
2012/05/31(木) 13:38:58 | URL | miskatonic #79D/WHSg[ 編集]
港町キネマ通りさん>
エーリングに力強いクジラの姿が重なって見えました。
P・H・ローレンスですか。
『クジラよ泣くな』知らないのですが、
エーリングの最後の決断とも重なると聞くとそれだけでも泣けそうですね。
調べてみよう。
2012/05/31(木) 17:39:58 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
miskaさん>
そう、厳しい自然を映し出す映像もどんよりながら重厚で
時代と映画の雰囲気にマッチしてました。
ほんと北欧の作品でいい作品がいっぱい出てきてるようですね。
ハリウッドが3Dの中身のない(失礼w)アクションが目立ってるので、余計に北欧作品の質の高さが引き立つような。。
はい、閉塞感は確かにポイントですね。
2012/05/31(木) 17:44:27 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
青っぽい色の はこの北欧の国々の特長でしょうか  ノルウェーは日本とともに捕鯨国ですね
2012/05/31(木) 17:58:39 | URL | おみゃあ #79D/WHSg[ 編集]
えぇっ
犯罪者よりも孤児の方が多いなんて。
驚きです~
重そうですがこれは見てみたいです。
2012/05/31(木) 18:34:11 | URL | 翔 #79D/WHSg[ 編集]
これはDVD化を待っているところです^^
外側からはわからない、院の内部…
少年たち、表情も服装もみんな同じにみえます。更正できるのでしょうか?
結末がどうくるのが楽しみです。
院長のステランさんも!
2012/05/31(木) 21:47:38 | URL | けいとき #79D/WHSg[ 編集]
おみゃあさん>
デンマークの映画とか、自然光だけで撮るという手法もあるようで、そういう色合いのもの多いですよね。
これはどうだろう。
どんより曇り空や雪の景色に溶け込む青から緑灰色かかった映像でした。
そう言えば冒頭から捕鯨船が出てきます。
2012/06/01(金) 17:13:52 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
翔さん>
そそ、映画の中では教会の賽銭を盗んだとかの子供がいるくらいの説明しかなかったけど、実際にはこの施設は孤児も収容する施設だったみたい。
非行少年たちと一緒に重労働させられるというのも可哀想だけど。
2012/06/01(金) 17:16:44 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
けいときさん>
そう、身の回りのものもすべて支給されたもののみ。
名前もなく、個人を尊重するものは何もないところで
圧力に怯えながらの更正なんて形だけだと思ってしまうよね。
興味深いお話でした。
ステランさんは上手い人ですね。
DVDお楽しみに!!
2012/06/01(金) 17:19:51 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
これすごく観たい映画で
注目してました。
字幕さんがかつていた施設を描いた
実録映画。
ステラン・スカルスガルドって
出てるだけで観たいと思わせるよね。
2012/06/01(金) 20:37:46 | URL | HK #79D/WHSg[ 編集]
リアルな実録ものというよりは、少年二人の友情を描いたある意味、寓話ではないかなって思いました。鯨に象徴される、自由への希望を前面に出して、その舞台として、更生施設を選んだという感じでしょうか。映像的に絵になるシーンの多い映画でしたし、「ぼくのエリ」のヨーハン・ソーデルクヴィストの音楽も素晴らしかったです。
2012/06/02(土) 05:44:42 | URL | einhorn2233 #79D/WHSg[ 編集]
HKさん>
ぎゃははw 字幕さん、ここにいたんかいw
まさか性的虐待を加える方の教育者じゃないよね(笑)
ほんと、スカルスガルドって、脇役で出てるだけで観たくなる役者。
そういうのって凄いね。
2012/06/02(土) 10:45:29 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
einhornさん>
なるほど。寓話的ですか。
少年の友情を主軸におくことで、悲惨な事件をゆったりしたペースで、詩的に描くことに成功していて、独特の味わいですよね。
ただ監督は施設で暮らした人からこの偶然に話を聴いて
この事件を多くの人にしってもらいたいという意図をもって映画を作ったようです。
あ〜、音楽は『ぼくエリ』の方でしたか。
ほんと、静かで美しい音楽が良かったですよね〜。
TBありがとうございました。
2012/06/02(土) 10:54:14 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
あ~これは未だ観にいけてない!!
早くいかないと終わっちゃうな
これも評判通り、興味深い内容ですね。
スカルスガルドさんが院長役ってのもまたいいわ~
この人はそういう役を上手く演じそうですもんね。
うんうん、これは観なくちゃ!
2012/06/04(月) 21:54:15 | URL | SHIGE #79D/WHSg[ 編集]
SHIGEさん>
がっつり見応えのある映画でしたよ。
はい、これは私も劇場で観たかったなぁと思ったので、お時間許せばぜひ。
スカルスガルドは単に抑圧的なだけでなく、とても多面的に演じていて流石でした。
上手い人ですよね〜
2012/06/05(火) 15:12:49 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
これは重いけれど見応えのある作品でした。
時代とは言え過酷で辛いことですよね。
こういう理不尽さはどこの国でもあったと思いますが、ノルウェーの暗く寒々しい景色が、より過酷さを感じさせました。
キャストの少年たちも好演でしたね。
ステランはさすがの存在感でした。
2012/06/16(土) 08:08:11 | URL | choro #79D/WHSg[ 編集]
Choroさん>
ほんと見ごたえがありましたね。
この厳しい自然環境化での撮影、しかも殆ど素人の子供を集めての撮影は
さぞかし難しかっただろうと思うけど、重厚さを損なわず素晴らしいできばえですね。
ステランさんは流石に映画を引き締めますね。
実物よりもより多面性を引き出した演技を心がけたのだそうで
完全に悪でない存在が人間らしさを感じさせてくれました。
2012/06/17(日) 10:26:00 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
こんにちは♪
エーリングの反抗とオーラヴの怒りが、
少年たちの心に影響を与えた…
実際の少年たちの行進の映像がありましたが、雰囲気が非常に似ていて絶句しました
本当に綿密なリサーチをして描かれた作品だったのでしょうね
鯨の話は抽象的なものですが、銛打ちがエーリングで陸におりた船員がオーラヴならば、鯨は何を表しているんだろうか…と色々考えてしまいますね
見ごたえのある、心に何かを残す作品のひとつになりました
リンクこちらからも完了しております
ありがとうございます♪
2012/10/23(火) 17:57:46 | URL | maki #79D/WHSg[ 編集]
makiさん>
おーー、実際の映像をご覧になったのですね。
少年たちの哀しみや怒りが一層感じられそう。
綿密なリサーチあってこそのリアリティでもあったでししょう。
極寒の地での撮影、子供たちをまとめるのもさぞ大変だったでしょうね。
鯨は自由とか希望といったところでしょうか。。
良い作品でした。
早速のリンクありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2012/10/24(水) 00:22:43 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
やっと観れました~。
いやいや、エンドロールで実際の矯正施設の古い映像が出てきますが、作品も忠実に再現してるようですね。
こういうテーマは現在でもありそうなのが、ちと怖いところでした。
見応えは充分です。 TBやっときますね~。
2013/01/22(火) 10:01:15 | URL | Kaz. #79D/WHSg[ 編集]
Kaz.さん>
ほんと、極寒の地で大勢の子供を使っての撮影は相当大変だったようですが、忠実に再現しテーマを投げかけようとする作り手の思いが伝わりますね。
手堅い一本でした。
TBありがとうございました。
2013/01/22(火) 10:09:03 | URL | pu-ko #79D/WHSg[ 編集]
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今回は新作の「孤島の王」を横浜シネマベティで観て来ました。DLPのシネスコサイズでの上映だったのですが、暗いところがつぶれたり、明暗のコントラストが強い画面では、動きに色が追いついてこなかったりして、フィルム上映より、明らかに見劣りしちゃうんだよなー。
2012/06/02(土) 20:45:23 | 今昔映画館(静岡・神奈川・東京)
ノルウェーの孤島にあった少年矯正施設で暴動が起き鎮圧のために150名の兵士が出動したという実話をベースにしたストーリーのようです。外界と隔絶した矯正施設のあまりにも理不尽な現実…重労働の懲罰、性的虐待などが引き金になり、少年たちが暴動を起こすサスペンス
2012/10/24(水) 08:37:56 | いやいやえん
【孤島の王】 KONGEN AV BASTOY ノルウェー・フランス 他 2010 監督 :マリウス・ホルスト  出演 :ステラン・スカルスガルド / ベンヤミン・ヘールスター / トロン・ニルセン / クリストッフェル・ヨーネル            
2013/01/23(水) 00:58:18 | CINEmaCITTA'