映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】あん
2016年11月29日 (火) | 編集 |
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 あん(2015)日本

監督/脚本:河瀬直美
原作:ドリアン助川
出演:樹木希林/永瀬正敏/内田伽羅/市原悦子/水野美紀

【あらすじ】
あることがキッカケで刑務所暮しを経験し、どら焼き屋の雇われ店長として日々を過ごしていた千太郎。ある日、店で働くことを懇願する老女、徳江が現れ、彼女が作る粒あんの美味しさが評判を呼んで店は繁盛していく。しかし、徳江がかつてハンセン病を患っていたという噂が流れたことで客足が遠のいてしまい・・

久々の邦画です。

桜の咲くころ、70半ばと思われる女性が小さなどら焼きショップの店長千太郎(永瀬正敏)に声をかけ、雇って欲しいと言いますす。お金に困っているわけではなくて、彼女を引き付けたのは実は千太郎の孤独。
徳江というその女性は、若い頃からハンセン病を患い、人生の大半を療養施設で過ごしてきた。
偏見にさらされてきたはずなのに、世間を恨むといった風でなく、自然体の徳江を樹木希林さんが演じています。
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希林さんは随分と昔からおばあさんを演じてましたが、ようやく実年齢でおばあさんを演る歳になったんだ。だけどなんでしょ。この生まれたての赤ちゃんみたいなかわいらしさは。
木々や風の音に耳を傾け、鳥や小豆の心の声まで聴く徳江は、精霊みたいにも見えてくるもんなぁ。

粒あんを作る過程をじっくりじっくり見せてくれるのもいい。
愛情とひと手間で美味しいあんこが出来上がる
こんな風にアクを流せばいいんだ なんて学びながら
鍋の中にふつふつとわいてくる、生きるための知恵みたいなものをすくいとる。

どら焼き食べたい
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甘いものが嫌いなのにどら焼き屋をやってる千太郎に、徳江が「なんで?」と驚くシーンも印象的。
多分様々な不条理にあえぎ、色んな事を我慢してきた彼に「好きだから仕事にする」という概念はなかったんでしょう。徳江のシンプルすぎる「なんで?」にぽかんとしつつも、彼の中で何かが変わり始める。
そしてあのラストに繋がるんですよね。千太郎はもう大丈夫。

一方、前向きに自分を肯定してみても、どうしても抗えないものがあって
それが徳江にとっては病気であり世間の目でした。
「なんで?」と憤ってもかなわなかった夢を、たとえわずかな時間でも実現できたことを
「楽しかったぁ」とはかなげに笑う徳江の姿に涙が溢れた。希林さんは天才。
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ワカナを演じた内田伽羅は実の孫だったんやね。
というか、モックンの娘かい!
いつのまにか大きくなってて(小さい時を知らないけどw)、そっちの方にびっくりだったわ。


河瀬監督作品気になりながらこちらではDVDもなし。今回初鑑賞と相成りました。
桜や木々や月など自然の描写が驚くほどに美しく、心の琴線に触れるいい映画でした。
ありがとうNetflix!(ストリーミングにて)



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【映画】マリアンヌ
2016年11月26日 (土) | 編集 |
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 マリアンヌ
(2016)アメリカ
原題:Allied
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:スティーヴン・ナイト
出演:ブラッド・ピットマリオン・コティヤール/ジャレッド・ハリス/サイモン・マクバーニー/リジー・キャプラン
日本公開:2017/2/10

【あらすじ】
パラシュートで砂漠の地に降り立ったカナダ人諜報員のマックスはカサブランカでフランス軍レジスタンスのマリアンヌと会う。彼らのミッションは夫婦を装い、パーティの席でドイツ大使を殺害すること・・。

ブラッド・ピット、マリオン・コティーヤールを主演に、ロバート・ゼメキスがメガホンをとったラブストーリーです。
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序盤はかの『カサブランカ』同様に、第二次世界大戦中のカサブランカが舞台。
ここで主人公2人に与えられたミッションはドイツ大使の殺害です。
自由を求めてアメリカに渡りたいお金持ちが集まる、複雑な土地にして社交界の縮図のようなカサブランカで夫婦を装うスパイカップルのブラピとマリオンが美しい。
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いつしか愛し合うようになる2人は、ミッションを成功させた後イギリスで本当の夫婦として新生活をスタートさせる。子宝にも恵まれ幸せな日々を送るある日、マックスは
上官からマリアンヌにスパイの疑いがあることを告げられるんですね。

愛する妻は本当にスパイなのか? という以上にブラピの若返りはボトックスかCGか?が話題ですがw
確かにブラピが久々に美しいんです。
40年代のカサブランカの上流な装いも、イギリスでのユニフォーム姿もファンにはたまらないのでは。
猜疑心と愛とのはざまで苦悩する姿もよし。
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ただしゼメキス映画と思って観ると少し違う感じがするかも。
ところどころスリリングなシーンはあるものの、全編にわたってテンポはゆっくり
私なんか同じスパイ夫婦ものの『Mr&Mrsスミス』みたいなバトルを期待してたので
終盤少し寝てしまいました(笑)

でもムードたっぷりのロマンス映画として観ればしっとり素敵。


なにせ二人がスクリーンに現れると一面に薔薇の香りの漂うがごとしで
格の高さを感じてしまうのですよ。これがスターというものでしょうかね。
マリオンの美しさと演技力も際立ってました。

残念だったのはフランス語シーンの英語字幕が速くて、読み終えないうちに消えてしまうことw
アメリカ人が字幕映画を嫌う理由がわかるってもんです。

色んなバージョンのポスターもいいよ
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【映画】『アフターマス/Aftermath(原題)』「カティンの森」の脚本家が新たに明かすポーランドの歴史
2016年11月25日 (金) | 編集 |
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アフターマス/Aftermath(原題)
(2012)ポーランド
原題:Poklosie/Aftermath
監督/脚本:ヴワディスワフ・パシコフスキ
出演:マチェイ・シュトゥル/Ireneusz Czop 他

【あらすじ】
シカゴに暮らすポーランドからの移民のフランチェシカは20年ぶりに故郷の土を踏んだ。子供を連れてアメリカにやってきた弟の妻が、その理由を語ろうとしないからだ。弟ヨゼクと再会したフランチェシカは、弟がユダヤ人の墓石を300以上も集め母の残した農地に置いていること、地域住民に疎外されていることなどを知ることになる。

ミステリー特集7本目

アメリカからポーランドに帰郷した主人公が弟とともに土地にまつわる秘密を暴いていくというドラマ。
監督/脚本を務めるヴワディスワフ・パシコフスキはアンジェイ・ワイダ監督の『カティンの森』の脚本家だそうで、ポーランドの歴史を紐解くことに情熱を捧げる方なんでしょう。
日本では未輸入のようだけど、とにかく面白かったので紹介します。


冒頭、バスを降り立ったフランチェシカが、森のそばを歩くシーンの効果音の恐ろしいこと。
彼は人の気配を感じ森に入るもそこには誰もいない。
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20年ぶりに再会した弟ヨゼクはコミュニティではじきものにされ、時々何者かに襲撃されている。
一つにはクリスチャンばかりのこの地で、彼はユダヤ人の墓石を自分の農場に集めてるんですね。
墓石が道路の敷石などに使われていることにユダヤ人への同情を感じているらしい。お金を出して墓石を買い取るようになった弟に妻は愛想を尽かしたのだとか。
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ヨゼクはなぜユダヤ人の墓石を集めるのかをミステリーの発端に、この映画はその土地にまつわるダークな歴史を明かしていく。父から受け継いだ農地の秘密、この土地にユダヤ人がいないわけ、村人が激しくユダヤ人を嫌う理由など・・ただただ驚くばかり。ヒントは『イーダ』と言えば、わかる人はお分かりになるでしょう。しかももっと壮絶です。

弟の行動に驚いていた兄ですが、いつのまにか一緒に墓石を集めようとする。
何故?と言う部分が『リング』に通じるホラーなんだなこれがまた。

絆が深まったころ、歴史を闇に葬るかどうかで衝突する兄弟。
そうして迎えるクライマックスは絵的にも衝撃的です。
犯人を明白にしないところにホラーのテイストを加味し、奥行きを持たせた一本です。


ミステリー特集、これにて終わりとします。
ご参加ありがとうございました。


【映画】ニースの疑惑 カジノ令嬢失踪事件
2016年11月23日 (水) | 編集 |
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 ニースの疑惑 カジノ令嬢失踪事件(2014)フランス
原題:L'homme qu'on aimait trop/In The Name of My Daughter
監督:アンドレ・テシネ
脚本:セドリック・アンジェ/ジャン=シャルル・ル・ロー/アンドレ・テシネ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ギョーム・カネ/アデル・エネル /ジュディット・シュムラ

【あらすじ】
76年、南仏ニース。カジノの筆頭株主である女性実業家ルネの娘アニエスが、結婚に失敗して故郷へ戻ってくる。ニースではイタリアのマフィアがカジノ経営権を狙っていたが、ルネは顧問弁護士モーリスの助言によってカジノの新社長の座に就く。一方、母ルネに強い反発心を抱くアニエスは、モーリスと恋に落ちてルネと対立する立場にまわり……。


ミステリー祭り6本目

アンドレ・テシネがフランスのニースで実際に起きた事件を映画化した作品です。
タイトルの「失踪事件」につられましたけど、ミステリーとはちょっと違った(汗)
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ギョーム・カネ演じるモーリスはルネ(ドヌーヴ)の顧問弁護士を務めながら、ルネのカジノの共同経営者に収まることを目論んでいる。しかしその野心を見抜いたルネはモーリスを解雇。すると今度は娘のアニエスに取り入るわけです。甘いお顔でとんでも強欲なギョーム・カネのワルっぷりが半端ない。
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アニエス自身、空港に迎えに来た初対面のモーリスと運転手を待たせて海で泳いだりする奔放かつ自己中な女性。母に対してそれほど美人でない自分に引け目を感じてか、どこか卑屈な雰囲気も。
そんな女の子が恋に落ちると、周りなんか見えやしない。
妻子や愛人までいるモーリスを愛し、冷たくされ始めると自殺するぞと脅す始末。
いや、モーリスでなくても殺したくなるかも・・。

実際彼女は自殺未遂を起こしてしまい、電話に出ないからとモーリスは警察に通報。
しかし、このときモーリスはアニエスの住所を間違えて伝えるんですよね。
発見が遅れることを期待したんでしょ、これ。
幸い(不幸にも?)アニエスは一命をとりとめる。
しかし、間もなくアニエスは忽然と姿を消してしまいます。

アニエスはどこに?

と思っていたら、映画はいきなり20年後に飛んでみんな急に老けた(笑)
アニエスの失踪に関する20年前の裁判結果を受け入れられないルネが、再びモーリスを訴え裁判を起こす。10年争って新たな判決が出るんですが・・。

カジノ社長時代の華やかさは影を潜め、老けて質素な佇まいのドヌーヴが悲しかったなぁ。
疎まれ、裏切られても母は娘を愛し、その捜索と裁判に実に30年の月日と財を投じたんですね。

邦題はいかにもミステリーを思わせますが、英題はIn The Name of My Daughter
謎を解くというより、娘の名にかけて真実を追求しようとする悲しき母の物語ということでしょう。
ただ、ドヌーヴの心境は映像でおもんぱかる部分が殆ど。それならミステリー部分を際立たせる演出にした方が面白かったかも。


終盤、悪夢に目覚める若きモーリス。間を置かず映し出される、同じように夜間目を覚ます現在のモーリスの姿に、彼が30年間、こうして夜を過ごしてきたであろうことを知ることになりました。この演出はよかった。

娘の裏切りにより社長の座を追われたルネがカジノを後にするとき
カーラジオから聴こえてきた『うわさの男』(イタリア語バージョン!)を運転手の青年とやけっぱちで歌うドヌーヴさまを貼っておきます。









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ミステリー映画祭り einhornさん選出『4デイズ』『別離』『セイフ・ヘイヴン』
2016年11月22日 (火) | 編集 |
 参加者の選んだミステリー作品を紹介します。
今日はYahoo!ブログ今昔映画館(静岡・神奈川・東京)のeinhornさんです。
einhornさんは、劇場鑑賞映画を中心にレビューを展開されている映画ブロガーさんです。

私はeinhornさんの深い考察と文章力は絶対に素人のそれじゃないと思ってます。いや本当に。
そして私が羨望のまなざしで見てしまうのがeinhornさんの記憶力!
きっとeinhornさんの頭の中では、家に帰って観てきた映画がそのまま再現されるのでしょ?
淀川長治さんも、観てきた映画をお母さんに詳しく語って聞かせていたらしい
サントラにもお詳しく、映画の中で音楽がどんなふうに使われていたかもきっちり記憶されてる。

世の中にはそういう特殊能力を持った人がいるんですよね。
10分前に観た内容も忘れがちなメメントな私には羨ましい限りです。

今お付き合いくださってるyahoo!の皆さんそうですが
さすらいのブロガーになってしまったわがブログに、足を運んでいただき本当に感謝です。

ということで einhornさんのチョイスはこの3本。



4days.jpg 4デイズ (2010)
 監督/グレゴール・ジョーダン
 出演/サミュエル・L・ジャクソン/キャリー=アン・モス/マイケル・シーン
アメリカ国内の3都市に核の時限爆弾を仕掛けたテロリストと尋問スペシャリストとの緊迫の攻防を描く作品だそうですが、私は未見です。
拷問のプロフェッショナルを主人公に持ってくることで、ドラマのポイントを際立たせることに成功していると評価するeinhornさんのレビューはこちら


betsurri.jpg別離(2011)
 監督/アスガー・ファルハディ
 出演/レイラ・ハタミ/ペイマン・モアディ/シャハブ・ホセイニ

一組の夫婦のすれ違いが思わぬ事態へと発展していくさまを描くイラン映画
どこの国でも起きる普遍的な家族の問題をイランの宗教や風習と絡めて描いているのが興味深い作品でした。
映画の結末を推理するのが難しい作品ですが、作り手の言わんとするところを鋭く読み取り考察するeinhornさんのレビューはこちら


safe.jpgセイフ・ヘイヴン(2013)
 監督/ラッセ・ハルストレム
 出演/ジョシュ・デュアメル/ジュリアン・ハフ/コビー・スマルダーズ
都会から田舎町に流れ着いた若い女性と地元のシングル・ファーザーの恋の行方を、ヒロインの抱える秘密をサスペンスとロマンス両面を織り交ぜ描くミステリー・ラブ・ロマンス。
これは私も大好き!珍しくわが夫もお気に入りの一本です。
einhornさんのレビューはこちら



ロマンスあり、サスペンスあり、家族のドラマあり
多様なジャンルのミステリー作品をありがとうございました!



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