映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】心霊ドクターと消された記憶
2016年06月28日 (火) | 編集 |

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心霊ドクターと消された記憶(2015)
オーストラリア
原題:Backtrack
監督/脚本:マイケル・ペトローニ
出演:エイドリアン・ブロディ/ サム・ニール /  ジョージ・シェヴソフ/ ロビン・マクリーヴィー/ クロエ・ベイリス


最愛の娘を亡くした悲しみから未だ立ち直れずにいる精神分析医のピーターのもとには奇妙な患者が訪れる。その一人エリザベス・ヴァレンタインという少女の出現はピーターを過去のある事実に直面させた。


【感想 
エイドリアン・ブロディ主演のミステリー・ホラーです。
エイドリアン演じる精神科医ピーターは娘を事故で亡くして以来不思議なものを見るようになる。
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邦題から想像がつく通りそれは幽霊なんですが
てっきり、霊能力のあるピーターが幽霊たちの悩みを聞いて
それぞれの問題を解決するゴースト・ウィスパーみたいな映画かと思ったらちょっと違いましたね。

不幸を身にまとわせたらピカイチのエイドリアン・ブロディ
本作でも不注意から娘を亡くし、妻からもジワリと責められお気の毒のところに持ってきて
幽霊にまでまとわりつかれるというどん底状態。
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やがてすべては20年前、故郷で起きたある事故につながることが分かってくるんですが
でもなぜピーターに?というところをミステリーに物語が展開します。

前半、徐々にホラー描写が過激になってCG丸出しのクリーピーなお化けを出してきたときには
ちょっと気持ちが離れそうになったけど、ピーターが事実を解明しようとするあたりから俄然面白くなりました。
心霊ホラーから、ピーターの封印された記憶を紐解く部分は一筋縄でいかないのでちょっとややこしいけど
サイコロジカルミステリーにシフトしていくのが面白く、さらに警察の捜査で謎を解明していくという犯罪ミステリーの側面も見事で期待以上に楽しめました。

エイドリアン・ブロディのどん底ながらすべてに誠実であろうとする姿が
映画に優しさを与えていた気がしますね。

幽霊たちにそんな力があるなら自分たちで解決すればと思わないでもないですが
ピーターの心の平安なくしては家族の再生はないわけで
娘ちゃんは若くて死んでしまったのは可愛そうだけど、彼女はピーターの心を解き放つ使命を持って
生まれてきたのだなと、そんな風に感じさせてくれるのがよかった。

強調して描かれている部分(患者の靴下とか)は、のちに意味を持って再登場するので
記憶にとどめながら見るのが正解。


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水先案内を務めたサム・ニールも面白い描き方でした。
いつもおんなじ服だし・・


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【映画】ベトナム戦争の傷跡を真摯に描く『グリーン・アイズ(原題)』
2016年06月28日 (火) | 編集 |


面白い映画を観たので日本未公開のテレビムービーですが記録に残します。

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グリーン・アイズ(原題)(1977)アメリカ
原題:Green Eyes
監督:ジョン・アーマン
脚本:デヴィッド・セルツァー
出演:ポール・ウィンフィールド/リタ・トゥシンハム/ジョナサン・ゴールドスミス/ヴィクトリア・ラチモ/レミ 



ベトナム戦争で負傷したアメリカ陸軍兵士(GI)ロイド(ポール・ウィンフィールド)は帰郷を果たすものの職探しに難航。
帰還兵に対する世間の理不尽な対応にも憤りを覚え、戦地入院中に送られてきた手紙で知った「緑の瞳」のわが子を探しにベトナムに戻る。



【感想 
元となるのは、『オーメン』の脚本で知られるデヴィッド・セルツァーによるドキュメンタリーです。
セルツァーはベトナム戦争の孤児を取材するため、サイゴン陥落の2年前にあたる1973年にベトナムを訪ね、
そこで10万に及ぶ混血児が孤児となり、50万人のベトナム人の子供が死んでいくという現実を知り大変なショックを受けたと言います。そうして作られたドキュメンタリーを元に、TVムービーとして制作されたのが本作です。


ベトナム人女性との間に生まれた子供を探しに再びべトナムを訪ねる黒人のロイド
まずは、子供の母親である恋人の実家を訪ねるが、彼女は子供とともにサイゴンに行ったと告げられ
かわりにその母親から愚痴をこぼされる。
多くの兵士は子供を作り、金を送ると言いながら女を捨ててそれっきりだという現実。
タクシーの運転手からは地雷で息子を亡くし、仏教徒なのに骨壺に入れる骨が足りないと嘆かれたり
ロイドは旅の途中で凄まじい戦争の爪跡を目の当たりにします。

特に里子あっせん施設で働く白人女性マーガレットとの会話からベトナム孤児の悲惨な現状を知っていく過程は、セルツァーが受けた衝撃をそのまま表現したものでしょう。
誰もが貧しく作物を育てる農場さえ灰と化したベトナムで、戦争孤児たちが生きることはたやすいことではない。
特に敵国兵との間に生まれた混血児は忌み嫌われ、捨てられ飢えて無情に死んでいくしかなかったんですね。

こういうベトナム戦争が一般市民に与えた影響を描いていて、それだけでも価値があるんですが
本作が素晴らしいのは映画ならではのツイストを加え、ロイドの成長を描くロードムービーに仕上げていること。
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歯に衣着せぬ言葉で厳しい現実を淡々と語るマーガレットに反発していたロイドが、
いつしか価値観を共有し、恋心(多分)を感じていくさまも微笑ましい。

ストリートキッズである少年トゥラングと出会い、まんまと詐欺にあう場面など
ユーモアの中に孤児のたくましさも描かれます。
二人の交流はハート・ウォーミングにして、最後には大きなカタルシスを感じるものへと変わっていきました。
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監督は『ルーツ』などのジョン・アーマン
ロケ地はフィリピンということだけど、市街を見せるシーンで時々ノイズのある生々しい映像が使われるのは
多分当時ベトナムで撮られた映像でしょうね。

タイトルの「緑の瞳」は勿論ロイドが探すわが子のこと
でも黒人とベトナム人のハーフがなぜ緑の瞳?との疑問も沸き、それも興味を持続させる部分。

ロイドを黒人に設定し、マイノリティの視点を入れていたり
マーガレットを(多分)イギリス人女性として戦争を客観的に描いているのもいい。

不思議なのは子供たちはみんなGIが大好きで、ロイドの周りにも子供たちがいっぱいなこと。
「ギブミーチョコレート」と米兵にねだった日本の戦後の子供たちと同じかもだけど
単にたかるというだけない、大きくたくましい兵士は憧れの対象でもあったのか。
あるいは純粋に心の美しさを見抜く力が子供には備わっているのかもしれないね。

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ベトナム戦争映画というと、アメリカ兵が受けた心の傷に焦点が当てられがちだけど
本作ではアメリカが戦争で何をしたのかを直視し、ロイドのフラッシュバックと反省とで、
その悔恨を素直に表現しているのは貴重ですね。
こういう映画が今やっとTCMで放送されたのは、時代が変わったのかなと感じます。
生存するベトナム戦争のベテランが少なくなったのもあるでしょうね。
真摯な反戦映画にして、心温まるヒューマンドラマ。傑作です。










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【映画】アントン君追悼『5時から7時の恋人カンケイ』はほろ苦い大人のラブストーリー
2016年06月26日 (日) | 編集 |
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5時から7時の恋人カンケイ(2014)
アメリカ
原題:5 to 7
監督・脚本:ヴィクター・レヴィン
出演:アントン・イェルチンベレニス・マルローオリヴィア・サールビーランバート・ウィルソン /フランク・ランジェラ/グレン・クローズ 

アントン君追悼ラストは、アントン君には珍しい恋愛もの。

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アントン君が演じるのは24歳、作家の卵ブライン。
通りの向こうに見かけた煙草の似合う大人な女性アリエルに引き寄せられるように接近し、フランス語で話しかける
別れ際「また会う?」と誘ってきたのは彼女の方。
二人は「5時から7時まで」という決まりでデートを重ねる。
しかし彼女は結婚し二人の子供のいる33歳だった。

これはなかなか拾いものでした。

アリエルを演じるのは『スカイフォール』のボンドガール、ベレニス・マルロー
実は彼女の夫(ランバート・ウィルソン )には愛人がいてアリエルは自分の恋愛も自由だと思っている。
「それでも不倫に変わりはない」と別れを切り出すブライアンだけど、
彼はすでにアリエルを愛し始めていた
二人の恋の行方は という話。

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この映画まず面白いのは、アリエルの家の結婚象です。
愛人にどっぷりの夫を認め、さらに夫は妻のボ-イフレンドとしてブライアンを受け入れ
家族ぐるみでおおらかに付き合おうとする。

いやいやいや・・いくらフランス人一家ったって
そりゃ無理でしょ

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戸惑いながらも真剣にアリエスを愛するアントン君が可愛くてね
お相手はボンドガールで背丈も同じくらいなもので、
どうしても最初は不釣り合いに見えるのだけど
ベレニス・マルローの笑顔が思いのほかキュートで
ドライに思えた夫婦の関係にも実はとっても傷ついていたことが分かってくると
優しいアントン君との新たな幸せを願ってしまったもんね。

『今日、キミに会えたら』以来久々に見た恋愛もののアントン君は
責任感という意味でうんと大人になっていて、それでも繊細さは失わず
誠実でピュアなブライアンがぴったりでした。


ブライアンの両親にフランク・ランジェラとグレン・クローズ
アリエルの夫の愛人で、のちにブライアンの小説の編集者となるオリヴィア・サールビー(『ジャッジ・ドレッド』)も魅力的。

映画を引き立てる素敵な音楽や、街角の風景
ベンチに書かれたメッセージプレートなどのアイテムも小じゃれていて
スタイリッシュでいてほろ苦い大人のラブストーリーに仕上がってます。

幸せな結婚だったかなんて、人生に黄昏が近づいて初めてわかるのかもしれない。
黄昏も知らずに逝ってしまったアントン君
もっともっと渋い演技も見せて欲しかったよ。
安らかに。










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【映画】アントン君追悼『スパイダー』
2016年06月23日 (木) | 編集 |
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スパイダー(2001)
アメリカ
原題:Along Came a Spider 
監督:リー・タマホリ
脚本:マーク・モス
出演:モーガン・フリーマンモニカ・ポッター/マイケル・ウィンコット / ペネロープ・アン・ミラー/ マイケル・モリアーティ/  ミカ・ブーレム/ アントン・イェルチン

アントン君作品を録画するように設定していたらこれを拾ってくれましたので追悼2本目。
ジェームズ・パターソンの全米ベストセラー小説“アレックス・クロス・シリーズ”の映画化で前作『コレクター』に次ぎ、ワシントン市警の犯罪心理捜査官アレックス・クロスをモーガン・フリーマンが演じる犯罪ミステリー。
allcinemaのキャスト一覧にも名前が載ってないのだけど、アントン君結構重要なキャストで出てました!

ワシントンD.C.の一流私立学校からローズ上院議員の聡明な娘ミーガンが誘拐された。犯人は2年間も教師になりすました末、計画を遂行したのだ。アレックス・クロスの著作に精通する犯人は、クロスに捜査を担当することを依頼し挑発する。

【感想 
上院議員の娘の誘拐事件をめぐる犯罪ミステリーですが、これ初めから「あれ?」と思う部分がある。
というのも、学校にはFBIの捜査官が複数常駐し、教室でまで警備をしていること。
そしておもむろに上院議員の娘ミーガンの誘拐事件が起きるわけですが・・。
たかが上院議員の娘の警護にFBI常駐? 事件が起きる前から?と疑問符出まくりになる。
実は犯人の狙いはほかにあって、そこに係ってくるのがミーガンと同じ学校に通うボーイフレンドのアントン君ってことになるんです。

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ちょっとネタバレしますが
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R.I.P.:アントン・イェルチン『ゾンビ・ガール』
2016年06月21日 (火) | 編集 |
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アントン・イェルチン君が逝ってしまった。
自分の車と煉瓦製の郵便受けに挟まれるという事故
発見されたときにはギアはニュートラルに入り、エンジンがかかったままだったらしい。
事件性はないとされながらも、車はパーキングに入れても自動的にギアが変わってしまう恐れがあるとしてリコール対象になっていたというからなんともやりきれない。

27歳、あまりに若いよ。
デビューは『ER』だそうで、こんなに可愛い。
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アンソニー・ホプキンス主演の『アトランティスのこころ』(2001)で初めて見たときもまだ12歳の子供だった。

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『スター・トレック』のチェコフ役も可愛くて好きだったな。
ご両親はロシア人でまだ赤ちゃんのときにロシアからアメリカに亡命したということを知って
ロシア語訛りがうまかったのにも納得。
これからもともっと、いい役者に成長したでしょうに。本当に残念。

追悼にアントン君の未見の作品をいくつか観ていくことにします。
まずはこんなゾンビ映画から。。(すみません)

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ゾンビ・ガール(2014)
アメリカ
原題:Burying the EX 
監督:ジョー・ダンテ
脚本:アラン・テレッツァ
出演: アントン・イェルチン/ アシュリー・グリーン/ アレクサンドラ・ダダリオ/ オリヴァー・クーパー
恋人エヴリンと別れることを決めた矢先、エヴリン(アシュリー・グリーン)は事故で帰らぬ人に。
エヴリンの死に罪悪感を感じつつも、アイスクリーム店で働くオリヴィア(アレクサンドラ・ダダリオ)に心惹かれ始めるマックス(アントン・イェルチン)。しかし生前マックスと一生離れないと誓ったエヴリンは墓から蘇り・・
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【感想 
ジョー・ダンテ監督による日本未公開のゾンビ・ホラー・コメディです。
アントン君が演じるのはホラー映画マニアにしてホラーグッズ店店員のマックス。
家でも職場でもテレビには『ドラキュラ』などレトロなクラシック・ホラーが流れ、
壁もレトロ映画のポスターがいっぱい。有名なセリフが盛り込まれているのも楽しい。
  
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別れようと思った矢先に恋人が死んでゾンビ化というのは
デイン・デハーン君の『ライフ・アフター・べス』と似てるけど
マックスは恋人に振り回され、あげくゾンビとなったエヴリンにもなかなかノーと言えない
優柔不断だけど最後まで誠実さを感じられたのがアントン君らしくてよかった。
 
ジョー・ダンテ監督昨品ゆえ、B級風であってもホラーの押さえは効いていて
だんだんと腐敗が進む彼女の特殊メイクはイケてたし、怖い部分はしっかり怖いのがいい。
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実はこの映画を観る前に一本『約束の馬』(2015)という作品を観かけたんだけどどうにも辛い内容で挫折。
最近は困り顔のアントン君ばかり観てる気がするので、
遺作となってしまった『スタトレ』の新作でまた可愛いチェコフが観れるといいな。
その前に『ブルー・リベンジ』の監督作品の、アントン君最後の主演作『グリーン・ルーム』を観たい。




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