映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ドローン・オブ・ウォー
2015年09月30日 (水) | 編集 |


ドローン・オブ・ウォー(2014)アメリカ
原題:Good Kill
監督/脚本:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク / ブルース・グリーンウッド / ゾーイ・クラヴィッツ/ ジェイク・アベル/ ジャニュアリー・ジョーンズ
日本公開:2015/10/1

アメリカ空軍に所属するトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、ラスベガスの基地にあるコンテナにいながら、コンピューターで無人機ドローンを遠隔操作し、遠く離れた異国の地の爆撃を行っている。任務が終われば郊外の自宅に戻り、妻のモリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)と子供たちと一緒に過ごすのがトミーの日常だったが・・



『ガタカ』のアンドリュー・ニコルイーサン・ホーク主演に描く戦争映画です。

アメリカは911の報復に、タリバンの武装勢力のアジトをドローンによる遠隔操作で空爆しています。ドローンを操縦し爆撃の発射を担当するのがイーサン演じる空軍少佐でパイロットのイーガン。
爆撃が成功したときに彼が言う「一掃した」が原題の「Good kill」です。
しかし相手は当然ながら血が流れる人間であり、時には女子供を巻き添えにすることもあってイーガンは精神を疲弊させていくんですね。

まず驚くのが、ドローンがこんな風に使われてるという実態。
敵地に行くこともなく、スクリーンを見ながら敵を爆撃する様子はまるでテレビゲームです。

モニターが映し出すドローンからの映像はまるで神の目線。
郊外の悪者に罰を与える行為自体が神の思し目であるがごとしです。
面白いのはイーガンの自宅も同じように上空から映し出していること。
ラスベガスの郊外にあるイーガン宅は、中東のテロリストらの家と同じように黄色い砂漠の中に建設された振興住宅街の一角にあるんですが、イーガンの家だけが不自然なまでに青い芝生を植えているのは、奴らとは違うというイーガンの主張が形になったものでしょう。


イーサンはパイロットとして爆撃機を操縦していた頃を回想し
その頃に帰りたいと思っている。
同じ戦争でも、自らの命を危険に晒しつつ向かってくる相手と戦う昔スタイルの戦争はある意味スポーツ感覚だったでしょうね。
高揚感の中、倫理など考える余地もなく、国を守るという使命に燃えることも出来たでしょう。


爆撃シーンが何度も繰り返されることに飽きてもきますが、イーガンの苦痛を観客も体現するという意味では効果的と言えますね。
女性兵士スアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)の率直な言動が正義を語っていてよかった。

神は上空から何を見るのか。
悪いやつにおしおきをするのは、はたして正義なのか。
戦争の是非を含め、複雑な思いで見終えました。

トラックバックされた記事

  • 「ドローン・オブ・ウォー」は、戦争の本質が垣間見れる反戦映画としてオススメ。

    今回は新作の「ドローン・オブ・ウォー」をTOHOシネマズ川崎プレミアスクリーンで観てきました。ここは椅子が豪華で座席配置もゆったりしているのですが、特別料金で上映することがなくなってしまい、普通料金で観られるようになってからは、あんまり豪華感がなくなっちゃったんですよね。ちょっと椅子がいいだけの映画館。 アメリカ軍が戦争に無人戦闘機を導入するようになったのは、2000年代に入ってからで、その最も盛んであった、2011年、空軍のジェット機乗りのイーガン少佐(イーサン・ホーク)は、紛争地域での 

  • 「ドローン・オブ・ウォー」

    これが現代の「戦争」である。エアコンの効いたコンテナの中で、桿を握り発射ボタンを押す。命中すれば「グッド・キル」と呟き、車を走らせ家族の待つ自宅に戻る。だが、「戦争」である事に変わりはない。コンテナの扉には「ここから合衆国外」とコーションが付いている。そこは領空外なのである。入隊する若者の半数はゲームセンターでスカウトされた。遠い異国を旋回するドローンを操るのに体力や根性は必要ない。ただ、技術のみ。しかし、恐らくは大いなる精神力も…。トミー・イーガン(イーサン・ホーク)は空軍パイロットとしてイラ 

    ここなつ映画レビュー

    2015/10/9(金) 午後 0:28

  • 『ドローン・オブ・ウォー』お薦め映画

    どんな大義名分があろうと、自分のクリックひとつで人が死ぬ。これは遊びのゲームではない。敵ばかりでなく関係ない女性や子どもまで巻き添えにしてしまうこともあるから、罪悪感を抱く兵士の方が正常と言える。進化する現代戦争の実態と矛盾を描いたタイムリーな問題作。 

    名機ALPS(アルプス)MDプリンタ

    2015/12/6(日) 午後 0:05




【映画】ウエストワールド
2015年09月30日 (水) | 編集 |

westworld-poster

【作品情報】
ウエストワールド(1973)アメリカ
原題:Westworld
監督:マイケル・クライトン
脚本:マイケル・クライトン
出演: ユル・ブリンナー/ リチャード・ベンジャミン/ ジェームズ・ブローリン / ノーマン・バートールド / アラン・オッペンハイマー 


【感想】
1880年代の西部劇の世界や中世などを再現したアミューズメントパークとして人気のデロス・ランド。
ここでは人間と見分けがつかないほど精巧なロボットたちに混じって、人々はその時代を「体験」できる。
ところが制御を失ったロボットが突然人間を襲い始め・・・

アミューズメントパークを訪れた主人公らが体験する恐怖を描くSFアクションスリラーです。
監督/脚本はマイケル・クライトン
なるほど、クライトン原作の『ジュラシック・パーク』の原型とも言える作品ですね。

『ジュラシック・パーク』では、大きな恐竜が絶対的に怖いのだけど
『ウエストワールド』のアンドロイドの反乱もとてつもなく怖い。
何が怖いってユル・ブリンナー演じるガンスリンガーが銃を片手にひたすら追ってくるんですよ。

westworld-1973-movie-4

そもそも西部劇の世界にコスプレで参入し、ガンマンロボットを殺してもいいとか
現代人のエゴが炸裂するわけで、メタファーは人種差別?ベトナム戦争?など深読みすることも可能だけど
、西部劇ごっこは単純に男のロマンでもあるんでしょう。
でも完全にコンピューター制御されているはずのロボットのが勝手にゲストを殺し始める。
科学の副産物に手痛いしっぺ返しを食らう今の時代に見ると、また違った感慨がありますね。

監督により様々なシーンがカットされたらしく、作りは大変シンプル。
誰がアンドロイドで誰がゲストか分からない部分などで、もうひとしきり恐怖を演出できたはずだけど
わけの分からないまま恐怖に巻き込まれる不条理さが際立っていたのでよしでしょう。
gunman

ユル・ブリンナーの演じたガンスリンガーは『荒野の七人』で彼自身が演じたガンマンのキャラ。
無表情で本当にアンドロイドに見えるブリンナーが怖すぎてグッジョブでした!

ちなみに『ウエストワールド』はJ・J・エイブラムス製作で2016年放映のドラマにリメイクされるとのこと。
ガンスリンガー役にはエド・ハリスがキャスティングされているようです。
ちょっと老けすぎじゃないか?(汗)


【映画】ハスラー2
2015年09月28日 (月) | 編集 |

The-Color-of-Money

【作品情報】
ハスラー2(1986)アメリカ
原題:The Hustler
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:リチャード・プライス
出演:ポール・ニューマントム・クルーズ /  メアリー・エリザベス・マストラントニオ/ ヘレン・シェイヴァー / ジョン・タートゥーロ / ビル・コッブス/ ロバート・エイギンス/ アルヴィン・アナスタシア


【感想】
『ハスラー』の続編となるマーティン・スコセッシ監督の『ハスラー2』です。


あれから25年。
かつてハスラーとしてならしたエディ(ポール・ニューマン)も、今は現役を退き、酒の販売などで生計をたてつつ、時にはハスラーの胴元として賭けを楽しむ中年男となっている。
そんなエディの目に留まるのが、抜群の腕を持つヴィンセント(トム・クルーズ
ヴィンセントに自分の姿を重ねたエディは、彼を一流のハスラーに育てるべくマネージメントを買って出る。
ヴィンセントの恋人カーメンも同行し、トーナメントの行われるアトランタを目指すのだが・・・

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これね、『ハスラー』から間を置いて観たらば素直に楽しめたかもしれない。
変な髪形でお調子者なハスラーを演じるトム・クルーズの教育に四苦八苦しながら
やがて自分の情熱を蘇らせるニューマン。二人の攻防は見ごたえがあります。

でも『ハスラー』のエディに感情移入し、苦いラストの余韻を引きずったまま見ると、納得できないところが多すぎてね。

まず、ハスラーの裏世界から追放されたエディが、その後もハスラーの胴元(っていうの?)みたいなことして今もビリヤード場に出入りしてることに「あ、そうなん?」ってなるし
痛い過去を引きずるはずのエディが、ハスラーとしていかに賢く(汚く)金を稼ぐかをヴィンセントに教えることにも違和感を感じてしまった。

勿論好きでハスラーの世界を捨てたわけではない。
エディの中には沸々としたビリヤード愛があっただろうことは分かるんだけど、出来れば死んだサラや盟友ファッツのことなどに触れるなど、悔恨の念をもう少し表現して欲しかったとも思ってしまった。
まぁ、ビリヤード場を舞台にすることがこの映画の醍醐味であり、スコセッシは、エディの再起を新しいビリヤード映画として描きたかったのでしょうけどね。
全てはマネーゲームとしてのビリヤードの楽しみ方を理解してない私自身の問題かもです。

ヴィンセントを演じるトム・クルーズは青くダサいヴィンセントを好演してます。
ヴィンセントがお金に執着がないことを彼が一銭にもならないゲームの攻略に夢中になるところに垣間見せる演出もよし。そんなヴィンセントをハスラーとして教育する過程のニューマンとクルーズのデコボコ師弟劇は面白い。
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しかし、マネーゲームの駆け引きよりも力を出し切ることに真剣になるヴィンセントがやがてエディを変えることになり、ヴィンセントのゲームに25年の思いをめぐらせるニューマンの表情がいいんですよね。
歳をとってもその後の人生において今日が一番若いんだというのはいつも思うことで
後悔するより挑戦してみようとするエディの姿に多くの中年が勇気を貰ったことでしょう。

ただ個人的にはせっかくならヴィンセントはビリヤード馬鹿のままでいて欲しかった。
予測不能の展開も面白さだとは思うものの、見ていて何度も「そっち?」と期待を裏切られました。
こういう映画も珍しい(笑)
映像もスタイリッシュでよかったし、ニューマンがこれでオスカーをゲットしたのも嬉しい。
ただ、どうしてももう少し前作への愛が欲しかったな。

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ところで、ひとつ疑問に思うところがあるんですが・・

フォレスト・ウィテカー演じるアモスがエディに「お前はハスラーか?」と訊かれて
それには答えずゲームを終えて立ち去る前に「もっとやせたほうがいいかな?」とエディに訊くシーン
あれはミネソタ・ファッツを意識してるとする意見をいくつか目にしたのだけど、本当のところはどうなんだろう。
デブのファッツ=ハスラーで、ファッツを思い起こさせることで自分はハスラーだと暗に答えているという意見も分からなくはないけど
なんだか作りこみに感じるし、アモスがファッツとエディの攻防を知ってたかも疑問。

個人的には単純に「お前はハスラーか?」のイエスの答えの代わりに
「もっとやせたほうがいいか?」と訊いて「イエス」の答えを誘導したと考えるほうが自然じゃなかろうか。


【映画】ハスラー
2015年09月26日 (土) | 編集 |
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9/26は2008年に83歳で亡くなったポール・ニューマン7回目の命日です。
今日、明日はニューマンの代表作でもある『ハスラー』『ハスラー2』を観て
ニューマンを偲びたいと思います。まずは61年の『ハスラー』から。

hustler poster

【作品情報】
ハスラー(1961)アメリカ
原題:The Hustler
監督:ロバート・ロッセン
脚本:ロバート・ロッセン /シドニー・キャロル
出演:ポール・ニューマン/ ジャッキー・グリーソン/ パイパー・ローリー/ ジョージ・C・スコット/ マーレイ・ハミルトン/ マイロン・マコーミック/ マイケル・コンスタンティン

【感想】
本作でニューマンが演じるのは名うてのハスラー、エディ・フェルソン。
ハスラーというのはビリヤードのプロの賭け師みたいなもので
コンベンションで地方を回り賞金を稼ぎ、時には素人相手に賭けをふっかける。
華やかなプロプレイヤーというより、むしろ裏世界に暗躍する勝負師といったところ。

hustler

自信家のエディが15年負け知らずの”ミネソタ・ファッツ”に挑む冒頭から
35時間にも及ぶゲームの世界が展開。
名前のとおり「デブ」なのにキレのある所作でゲームを進めるジャッキー・グリーソンがなかなかカッコいい。
さて、われ等がニューマンはというと、キューを構える姿は美しいし、ビリヤードを知らない私が見てもなんだか上手そうよ。でも調子こいて酒を煽り、気づけばスッカラカン。
腕はあるのに自分をコントロールできない駄目ハスラーぶりが情けないんだわ。

勿論最初から頂点に立ったのでは映画にならないわけで
それから再びファッツに対戦する日が来るわけですが・・・

こういう話で期待するのはエディの成長と再生 でしょ。
でも本作はスポ根的なさわやかなサクセスストーリーになってないところが味噌。
なぜなら映画は裏社会のどす黒さを描く諦念のドラマだから。

エディは自分のふがいなさから恋人サラ(パイパー・ローリー)を失い
サラのために再生をかけゲームに挑むことになります。
序盤と打って変わって真剣なエディのゲーム運びと会場の緊張を映すカットが秀逸。

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しかしゲームに勝ってもハスラーの世界では葬られることになるであろうエディの抵抗が虚しいんですよね。
計算しつくされた間の空気と、バート役のジョージ・C・スコットの憎らしさが最高。
『華やかな情事』で見たばかりなのに別人とも思える強欲さがゆるぎない悪役っぷり。
エディが立ち去った後、何事もなかったかのように動き出す人々の姿に
闇の世界にもルールが存在することを思い知らされます。

最後にファットと力を称えあうシーンに、そこには確かに男の世界があることが
せめてもの救いでした。

虚しいからこそクールとも言える、最高に面白い映画でしたね。
サラの物語も深いものがあって触れると長くなりそうなので、いつかまた。

【映画】気狂いピエロ
2015年09月24日 (木) | 編集 |
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22日はゴダールのミューズとして知られるアンナ・カリーナの75回目のBirthdayでした。
今日はお誕生日企画で、若きアンナがまぶしいゴダール作品を。

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【作品情報】
気狂いピエロ(1965)フランス/イタリア
原題:Pierrot Le Fou
監督:ジャン=リュック・ゴダール
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド / アンナ・カリーナ/ グラツィエラ・ガルヴァーニ/ ダーク・サンダース/ ジミー・カルービ/ サミュエル・フラー/ レイモン・ドボス

【感想】
子持ちの男フェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド )のもとにかつての恋人マリアンヌ(アンナ・カリーナ)がベビーシッターにやってくる。
パーティに退屈し一人帰宅したベルモンドは、終電を逃し寝こけてる(おそらくは彼を待っていたであろう)カリーナを送るが2人は関係を持ってしまう。
しかし翌朝マリアンヌの部屋には男の死体が・・
あとで話すからというマリアンヌに手を取られ2人は逃避行へと向かう羽目に・・

ゴダール作品は私には敷居が高い気がして、『勝手にしやがれ』『はなればなれに』(←これは大好き!)の初期の2本しか観てないんです。本作も全くの初鑑賞。

まずは、キッチュな色彩に溢れた自由な作風に驚きますね。
マリアンヌの部屋にすでに死体があったり、逃亡中のマリアンヌがいつも可愛い服に着替えていたり
狐やオウムなど、どこから来たのか分からないような動物まで登場したり、
犯罪ものをベースにしながら突然ミュージカルになってみたり、いきなり観客に向かって話しかけたり。
詩を朗読するような進行も面白くおよそネオレアリズモなどとは間逆の世界観は映画界に風穴を開けただろうと思います。
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でも一つリアルなのはフェルディナンの心理でしょう。
犯罪を重ねながら逃避行を続ける2人ですが、マリアンヌは次第に逃亡生活に飽き、フェルディナンと一緒にいることにも意味を見出せなくなってしまう。
ピエロと呼ばれることに一々反応しつつ、フェルディナンはマリアンヌの愛を模索しながら疲弊していくんですよね。

ゴダール自身この映画が発表されたあとにアンナとの結婚を解消していて
おそらくはフェルディナンに自分の思いを重ねたのでしょう。
マリアンヌと戯れつつも音楽はメローだったりで、ゴダールのアンナへの未練がそこそこに溢れ
とんでもない破滅に向かうラストも切なかった。

難しいかなと思っていたゴダール作品だけど、内に流れるものがピュアに感じたことで
作品にも思いのほか入り込めた気がします。

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アンナは奔放だからこそ魅力的。
作品をそしてアンナを愛し続けるために彼女を手放したであろう監督の
心の叫びみたいなのを感じられる作品でしたね。
映画の中で引用される映画や詩への知識がないので退屈に思うところもあったけど。
雑誌を切り取ったようなお洒落な映像もアーティスティックな魅力に溢れてました。

ベトコンごっこのシーンは顰蹙だったけどね。
アンナのコスプレはピカチューにしか見えなかったし(笑)