映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】夏の日の体験
2015年04月29日 (水) | 編集 |




夏の日の体験(1969)イギリス
原題:Three
監督:ジェームズ・ソルター
作品情報

あらすじ
クラシックカーをゲットしヨーロッパを旅行中のテイラー(サム・ウォーターストン)とバート(ロビー・ポーター)は美術館で出会った美しい女性マーティ(シャーロット・ランプリング)と意気投合し行動を共にする。


フルムービー(英語)字幕なし
  

感想


アーウィン・ショウの原作を『白銀のレーサー』の脚本家ジェームズ・ソルターが映画化した本作は、旅の途中で出会う一人の女性を巡り、2人の若者が恋と友情の狭間で揺れるさまを描くロードムービーです。

若きシャーロット・ランプリング目当てで観たんですけど、yahoo!はじめ日本の大手の映画サイトでも作品登録されてないところが多いですね。テレビ放映はされたようなので、観てる人もいると思うのだけど。



当時23歳のランプリングが演じるマーティは
「2人の男性と結婚し一週間ごとに過ごすのが密かな夢」
なんてぬかしても、許さなしゃあないほどに美しく、しかもすでにミステリアス。

テイラー・キッチュとアーロン・ジョンソンがブレイク・ライヴリーを共有した『野蛮なやつら』って映画があったけど、本作のテイラー(サム・ウォーターストン)とバート(ロビー・ポーター)はややこしい関係を避けるためプラトニックを通すことを約束するんですね。
でもそれもまた難しいって話。

監督と脚本を務めたジェームズ・ソルターはこれが唯一の監督作品ということだけど
台詞を抑え、ニュアンスや間(ま)を重視したポエティックな作風がいい感じ。



言葉で説明したりはしないかわりに、例えば、ひげを伸ばすことを決めたバートがあっさりひげを剃ったり、ちょっとしたシーンで性格を垣間見せ、次の展開を予測させるという手法が上手い。

波に揺れるボート
昼寝中のバートの胸に置く花束

それらが時にミスリードしつつ不安を煽ってくるので、ノミの心臓の私なんか
ドキドキして途中で休憩入れたりしてね。

サム・ウォーターストンは誠実だけど、自分の思いを口に出来ない大学生テイラーを優しげに演じていてこういう役似合ってる。彼の心情にシンクロする音楽もいいです。
ちなみにロゴを見ると本作の配給はユナイテッド・アーティスツ
この12年後にウォーターストンが悪役で出演した『天国の門』で潰すことになるのは皮肉だよなぁ。


秋の気配と共にひとつの恋が終わり、大人になるしかなかったあの日
きっと誰の中にもあるほろ苦い青春を呼び起こすノスタルジックな一本です。




【映画】奇跡の2000マイル
2015年04月27日 (月) | 編集 |


奇跡の2000マイル(2013)オーストラリア
原題:Tracks
監督:ジョン・カラン
日本公開:2015/7/18
作品情報

あらすじ
1977年、ロビン・デヴィッドソンは一匹の犬と4頭のラクダを連れ、アリススプリングスからインド洋に向かってオーストラリアの砂漠地帯を歩いて渡ることを決める

トレーラー

感想

オーストラリアの砂漠を7ヶ月かけて横断したロビン・デヴィッドソンさんの手記を基にジョン・カランが監督をしたロードムービーです。

徒歩で砂漠を、何ヶ月もかけて歩く。

無謀 自殺行為 クレイジー

周囲のそんな声にも耳をかさず、住み込みで働きながらラクダの調教を学び
ナショナルジオグラフィック協会とスポンサー契約を結び、ついに旅を決行するロビン。
ラクダ4匹と愛犬を引き連れての旅は、果たして成功するんでしょうか と言う話。



まずは、主演のミア・ワシコウスカに拍手を送りたい。
日焼けはする、服も髪もドロドロ。
ビジュアルにこだわる女優ならまず受けないでしょ。
しかも犬はいいとして、旅の道連れがラクダですよ(汗)
白い涎ダラダラで、フガフガグルグルうるさい盛りのついた雄のラクダを制御するのも凄いし、野性のラクダと対峙するロビンを演じるのは、よほどの根性がないと出来ないでしょう。脱帽ですよ。

ロビンさんのインタビューによると、過去にはジュディ・デイヴィスで映画化という話もあり、昼食を共にしたことがあるらしいんですが、その際ジュディはロビンさんの動作の一つ一つを真似しようとしたそうです。ミアは逆でむしろあまり見ないのに、3日目にはロビンさん(のキャラ)をものにしていたと驚いてました。天性の才能というものでしょうか。

ミアが演じるロビンという女性
映画の冒頭は、人と接触することを嫌うどこかとっつきにくい人なんですね。
実際、彼女が旅に出るのは人から離れたいという思いもあってのこと。
しかし孤独に身をおいて初めて彼女は人のぬくもりを知ることになる。

途中原住民の老人と旅を共にするんですが
現地語でモゴモゴ、でもお喋りのおじいちゃんに最初は戸惑っていたロビンが
最後には意味もわからないのにニコニコ顔になっててなんだか愛おしい。


旅の途中途中、ちょっとしたイベントがあるし風景も美しい
でも映画をまるで飽きずに観てしまうのは
やはりロビンのそんな変化に心を動かされるから。

旅のはじめと終わりとではまるで別人のロビンに、最後はこみ上げてくるものがありました。
ロビンを演じきったミアはあっぱれ。
いつのまにか、ラクダとも友情を育んでたりするのにもホッコリ
ラクダがまたいい演技するんだw

原作にはなかったロビンさんの背景を加え、キャラクターを掘り下げた作り手の力も大きいのでしょうね。

制作に『英国王のスピーチ』のスタッフ。
静かだけど美しく、いい映画でした。



トラックバックされた記事

「奇跡の2000マイル」は純粋な旅もの映画としてオススメ、ヒロインが◎。

今回は新作の「奇跡の2000マイル」を有楽町スバル座で観てきました。こんな映画、誰も観に来ないだろうと高をくくっていたのですが、意外とお客さんが、それも年配のお客さんが入っていたのでびっくり。ここは上映時にスクリーン前の幕が開く、今は珍しい映画館です。 1975年のオーストラリア中央部のアリス・スプリングスにロビン(ミア・ワシコウスカ)という女性が愛犬ディギティと共に降り立ちました。彼女はここから、インド洋まで2000マイルを徒歩で歩こうというのです。都会に住んでいた彼女がそういうことを思 

2015/7/21(火) 午後 7:07 [ 今昔映画館(静岡・神奈川・東京) ]


【音楽】クォーターフラッシュ『Night Shift』
2015年04月25日 (土) | 編集 |
久々に音楽記事の更新です。

『ラブINニューヨーク』は音楽をバート・バカラが担当していていて
80年代を彩る名曲の数々が印象に残りました。

オープニングクレジットに使われていたのはクォーターフラッシュが歌うタイトル曲の『Night Shift



他には


実は、トランペットの音が夜のニューヨークをジャジーに演出するオープニングシーンが大人カッコよかったので動画をアップロードしたんですが、速攻ブロックの憂き目に遭い、やむなく削除(泣)
ブロックされるのとされないものの違いは何だろう。

youtubeにタイトル曲に続くシーンが見れる動画があったので載せておきます。
バスケットゴールのリングに○○が落ちてくる演出がカッコいいでしょ♪






【映画】ラブINニューヨーク
2015年04月23日 (木) | 編集 |


ラブINニューヨーク(1982)アメリカ

原題:Night Shift
監督:ロン・ハワード

作品情報

 あらすじ
ニューヨークの死体置き場でまじめに働くチャックは、夜勤にシフトチェンジを命じられた。婚約者との時間を持てないことに不安を持つが、文句は言えない性格だ。助手として採用されたビルはアイディアマンだが変わったやつ。ある日アパートの隣人で娼婦のベリンダがポン引きの愛人を亡くし困っていることを知ったビルは・・。

 トレーラー
ラブ IN ニューヨーク [DVD]


感想

今頃になったけど、「オスカーとれず残念でした」の意味を込めて、マイケル・キートンの出演作を一本。

ニューヨークを舞台に、夜の死体置き場に働くチャックとビルの「裏家業」を描くロン・ハワード監督2作目のドタバタ・ラブコメです。


キートンが演じるのは死体置き場の夜間勤務の助手として採用されたビル。
ビルは、思いついたアイディアを録音機に吹き込む自称アイディアマン
ビルは娼婦のべリンダがポン引きの愛人を失い業務に支障を来たしていることを知り、「売春仲介ビジネス」を思いつく。
果たしてうまくいくのでしょうか。  という話

キートン目当てで観たのだけど、主役はチャック役のヘンリー・ウィンクラーですね。
まじめで人がいいけど、「弱気」を絵に描いたようなチャックはキートンと好対照。
そのチャックがビルに引っ張られる形で売春ビジネスの片棒を担ぐことになり
思わぬ成功もおさめるんですが、まぁ、人生そう甘くはないよね。



やがて人生のどん底を味わうことにもチャックですが、気づけば成長し、
大切なものも得てるという展開に最後はほっこり。
いいとこなしに思えたビルのこともアイディアマンたる長所をちゃんと認めててよかった。

夜の死体置き場でのドタバタというプロットが突飛で楽しいのだけど
どうせならもっとブラックな笑いを入れて欲しかった。
「死体置き場」という不気味さが生かせてなかったのはちょっと残念。

それでも、殺伐としたニューヨークの街で、小さな友情や恋が日々生まれてるっていう感じがちょっとキュンとする
80年代らしい映画でした。


【映画】チャイルド44 森に消えた子供たち
2015年04月21日 (火) | 編集 |


チャイルド44 森に消えた子供たち(2014)アメリカ
原題:Child 44
監督:ダニエル・エスピノーサ
日本公開:7月
作品情報

 あらすじ
1953年、スターリン政権下のソ連で子供の全裸死体が発見され、事故死として処理される。しかし同様の子供の死体が線路沿いの森から次々に発見され・・。

トレーラー






感想

トム・ロブ・スミスのベストセラー小説『チャイルド44』を『デンジャラス・ラン』のダニエル・エスピノーサ監督で映画化したミステリー・サスペンスです。

原作は5年ほど前に一度読んだきりですが、最高に面白かったので、トム・ハーディ主演で映画化されると聞いたときには飛んで喜んだんですが、いざ公開されたらやけに評判が悪い。
なんでやねん!ってことで、確かめて参りました。

あーー、うーーん、、そうねぇ・・
でも世間が言うほど酷くはなかったよ(汗)

トム・ハーディ演じるレオは、終戦時に勝利の旗を掲げた写真を撮られたことから戦争ヒーローとされ、出世し、気づけば秘密警察の上層部にいる男。
組織の犬として忠実に任務を果たすレオですが、あることから彼はその座を追われることに。



物語の核となるのは、ソ連を脅かしたスターリン時代の恐怖政治
そして、理想の国ソ連に存在しないはずの殺人事件が起きてしまったこと。
事件の存在をほのめかそうものなら身に危険が及ぶのは必至で、人々は「王様の耳はロバの耳」状態で口をつぐむしかない。けれどもどう考えても殺人と思われる死体発見が相次ぎ、レオの中で正義がうずき始めるんですね。
前半の傲慢なレオが後半変わっていくところは、ファンには嬉しい見所でした 

が・・・

残念ながら、ハーディが映画の低評価の一因を担ってる部分もあるかも とも思う。
というのも、ロシア語風の台詞回しが彼を粗野を通り越してアホっぽく見せるんですよ(汗)
正直ハーディの喋りは芝刈りに来てくれるメキシコ人の英語にそっくりで笑いそうになったし
小説のイメージと違ってしまったのは残念。
どうせ全員に英語を喋らせるのなら、普通の英語でよかったと思うんだけどなぁ。
ロシア語風を意識してる人がほんの数名のためその一握りが浮いてしまってた。
監督なり周りが指示して調整して欲しかったですよ。



ま、でも裏切られても、傷ついても誠実に妻を守り、野獣だけど朴訥として優しい
こういう役が嵌るハーディはやっぱり魅力的で、ユニフォーム姿にも萌えたんですけどね。
前半垣間見せた優しさがラストシーンに生かされていたのも嬉しかった。

ノオミ・ラパスとのコンビもいいし共演者も豪華。
孤児から秘密警察のリーダーにまで登り詰めた男が、全てを失って初めて誠意と向かい合う物語。トムハ好きの私は楽しめたけど、繋ぎ方や見せ方でもっとずっといい映画になりえたと思う。
惜しい!!