映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】アリスのままで
2015年02月22日 (日) | 編集 |
明日(・・あ!もう今日か)はいよいよアカデミー賞発表ですね。
作品賞も前哨戦完全に割れてるし、どうなるか楽しみ。
ジュリアン・ムーアが主演女優賞有力とされる『アリスのままで』を観ました。





アリスのままで(2014)アメリカ
原題:Still Alice
allcinemaデータ

ジュリアンが演じるのは言語学者であり、大学教授の50歳のアリス。
エリート一家で公私共に充実した暮らしを送るアリスですが、公演中ある一つの言葉がすっとんでしまったことを契機に、彼女の中で異変が起こり始めます。不安に思ったアリスは病院を受診。アルツハイマーと診断されてしまうのです。

アルツハイマーを扱った他の映画を見ていたのと、ジュリアンが上手く演じるであろうことも容易に想像できたこともあり、正直あまり気乗りがしないままに劇場に足を運んだんですが、いい意味で想像を裏切られました。

前半はアリスの異変に回りも気づくんじゃないかと妙にドキドキ。
誰よりも「言語」に通じていたアリスの中から言葉がひとつふたつと抜け落ちていくのは本当に残酷です。でもアリスは苦悩するだけでなく、「抗い、闘う」ですね。
その力強さと、アルツハイマーに目いっぱい立ち向かう姿がまず新鮮。
やがて誰の目にも異常は見て取れるようになるんですが、
病気が進行していく様子を繊細に演じたジュリアン・ムーアは本当に上手い。

発症初期のアリスと病状が進んでからのアリスが同時に映し出されるある場面では、その対比にハッとさせられました。
聡明で美しく、誰からも愛され敬われる存在だったアリス。
病気が外観を変えてしまうけど、アリスの本質が変わるわけではない。
原題にはそんな意味が込められてるんでしょうね。
言葉や思い出、尊厳・・
アリスが失おうとしているものがいかに掛け替えのないものであるかを思い知らされたというのかな。失いたくないものだからこそ大事にしなくちゃいけないと教えてもらった気がします。



夫役にアレック・ボールドウィン。
二人の娘にケイト・ボスワースとクリスティン・スチュワート

アリスが公演でスピーチするシーンは最大の見所。
共同監督のお一人はALSで闘病中だと聞き
アリスの言葉にご自身の思いを重ねたのかなぁと思ったり。

アリスの記憶が失われる様子をボカした映像で見せているのが面白い。
音楽の美しさも印象に残りました。

日本公開は6月です。


【映画】傷だらけの栄光
2015年02月21日 (土) | 編集 |


傷だらけの栄光(1956)アメリカ
原題:Somebody up There Likes Me
allcinemaデータ

 
みーすけさんと一緒にプチ・ニューマン・ブームでして(笑)
今日も若き日のニューマン目当てに、彼が初めて主演を任された本作を観てみました。

貧しい生活からのし上がり、ミドル級のタイトルを獲るまでに至った実在の ボクサー、ロッキー・グラジアノの半生を描く伝記映画。
監督はロバート・ワイズ。アカデミー賞では撮影賞と美術賞を受賞しています。


ロッキーと聞くと、どうしてもスタローンの『ロッキー』を思い出します。
イタリア系移民の青年、無名の素人が頂点を目指すという点など、類似点はあるものの、スタローンがこのロッキー・グラジアノをモデルにしたのかはわかりません。


ニューマン演じるロッキーはボクサー上がりのアル中の父親に粗野に扱われながら、貧しい暮らしの中生きるために仲間とこそ泥を働く不良青年。そんな彼が服役中面会に来た母の言葉に開眼し、全うな道を目指すために偶然選んだのがボクシングだったんですね。

そもそもはジェームズ・ディーンが演じるはずのところ、急逝によりニューマンに白羽の矢が立ったとのこと。ワルだけど心根は優しく、どこかあっけらかんとしたキャラはディーンよりニューマンが合ってる気がします。
不良を演じていても陰にこもり過ぎず、コミカルな演出にもニューマンのキュートな部分が生かされてました。

ボクシングのことはよくわからないけど、最初は腕っ節の強さだけが目立つ荒削りのボクシングから、時間の経過と共に「らしく」なっていったし、映画出演2本目の駆け出しながらニューマンは違和感無くボクシングシーンもこなしています。
モノクロの街並み、ボクシングシーンのアングルなど、撮影賞受賞の映像もいい。

原題の意味合いとしては、どこかで誰かがちゃんと見て、愛してくれているといった感じかな。
ロッキーが更生するきかっけになった母の一言、ロッキーを支えた妻と家庭など、半生をスピーディに展開させながらもドラマ部分もきちんとおさえ、スポーツ映画とドラマをバランスよく配しているのは名匠と言われたワイズの手腕でしょうね。

誰もが貧しい時代。どうしようもない不良だったロッキーが英雄となって、貧民街に暮らす人々に希望を与えるさまが爽やかで、ペリー・コモの歌う主題歌もよかった。


ちなみに街のワル役で、本作が映画デビューのスティーヴ・マックィーンがチラリと登場します。





【映画】セッション
2015年02月18日 (水) | 編集 |
アカデミー賞終わっちゃいましたが、しばらくは関連作品を取り上げます。
今日はJ・K・シモンズが助演男優賞に輝いた『セッション』です。



セッション(2014)アメリカ
原題:Whiplash
監督:デイミアン・チャゼル


あらすじ
ジャズドラマーを目指して名門音楽学校に入学したニーマンは、伝説の教師と言われるフレッチャーの指導を受けることに。しかし、常に完璧を求めるフレッチャーは容赦ない罵声を浴びせ、レッスンは次第に狂気に満ちていく。

感想
これは最高に面白かった!
説明もなしに始まり、そこから続く音楽がまずかっこいい。
本作は権威ある学校のジャズバンドに所属し、鬼コーチのもと鍛えられた監督デイミアン・チャゼル自身の体験を基にしたお話だそうです。
特記すべきはやはりJ・K・シモンズ演じたフレッチャーの役どころですね。
監督が師事した鬼コーチをモデルに、他の有名ジャズメンやバンドリーダーのキャラも盛り込んだと言うこの鬼教師のスパルタ振りが楽しくてね(笑)
鍛えた身体にピッタリフィットした黒いTシャツ、あの声でシモネタ交じりの罵声を浴びせ倒す。
こめかみに走る青筋とはげ頭でさえも彼のストリクトさを象徴しているようで、とにかくJ・Kがはまり役。


マイブームになりそうなのは、演奏を止める合図に手をクルルっ!とさせるあのポーズ(笑)
J・Kに鍛えられるニーマンを演じるマイルズ・テラーは今まであまり好きな俳優ではなかったですが、今回は彼の生意気な部分が生かされてました。
フレッチャーに認められたかと思えばとことん下げられる。鼻をへし折られ、次第に狂気に走っていくという演出に、ドラム演奏で挑んだテラーには拍手。
ほぼ演奏だけというシーンが長く続くのに、これが全く退屈しない。
ジャズのかっこよさは勿論のこと、そこにはアーティスト同士のプライドをかけた意地があり求めるべき極限があるから。
中学時代、部活が凄く厳しかったけれど、やるだけのことはやったという壮快感は生涯残る、それに似た感覚かな。

終盤、予測不能の展開に「うっそおおーーーーーーん!」となったかと思えば
次に不思議な爽快感が沸き起こり、なんか笑ってしまってる自分がいました。
これ昨年観てたら『博士と彼女のセオリー』と同等のランクをつけてたはず。
ジャズメンの名前もいくつか出てくるのでジャズ好きにもたまらない作品ではないかしら。
監督は20代の新鋭。ホラー系の脚本を手がけてきたとあって、どこかホラーチックなところもいい。今後が大いに楽しみですね。
日本公開は4/17


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【映画】カサブランカ
2015年02月17日 (火) | 編集 |


カサブランカ(1942)アメリカ
原題:Casabranca
allcinemaデータ

第16回(1943年度)アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞に輝いた『カサブランカ』を久しぶりに観ました。
この映画が凄いのは、本作がナチスドイツによるパリの侵攻から逃れた人々の吹き溜まりであるフランス領モロッコのカサブランカを舞台に、ほぼタイムリーに描かれた作品であること。



古い作品でもあり、映画の内容に触れる表現になってるところもあるので
以下、未見の方はご注意ください。


ハンフリー・ボガート演じる主人公のリックの経営するカサブランカのカフェは、パリから逃れてきた人々で賑わっている。彼らはアメリカに渡って新しい人生を始めたいと思ってはいるけれど、余程のお金とコネと運がなければ、それさえ叶わない。

カフェに漂う多国籍感と、夢や諦念や切望の織り成す享楽の空気が面白いね。
カサブランカを統治しているのはフランスだけど、ナチス側も目を光らせていて
カフェにはフランス人警察署長やナチス将校も普通に出入りする。
双方の水面下の確執なんかは背景を考えると当然としても、ナチスが崩落することなど知る由もない段階で、あの結末を持ってくるのはある意味凄い。

まぁ、そんな時代背景を置いては語れない作品ですが、ハンフリー・ボガートイングリード・バーグマンというビッグスター競演のロマンス映画というイメージのほうが強いかしらね。
でもTCMの解説者ロバート・オズボーン氏によると、バーグマンはあまりこの映画が好きではなく、ロマンス映画として多くの人に愛されることが理解できないと言っていたとのこと。

それは、なんとなくわかる気がするな。
革命家である夫とリックの間で揺れるイルザは悪く言えば優柔不断。
自分が誰を愛しているのか、愛していくべきなのか分からない。
そのことは映画の先を見えなくさせて面白いんだけど、演じるのは難しかったことでしょうね。

その分、カッコよかったのは男気溢れるボガートですなぁ。
クールを装っていても、内に熱い想いとセンチメンタルを秘めた男。
パリで愛し合った、そのことに偽りがないことを知るだけで
彼の心は充足されたのでしょう。


最後は友情の始りを示唆し、新たな人生に足を踏み出すリックの姿を見せますが・・
ん?そっち方面にいくという映画じゃないよね(笑)



カフェのピアノ弾き、サムが奏でる「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」
「君の瞳に乾杯」など粋な台詞の数々。
ナチスの演奏に対抗しカフェで合唱する「ラ・マルセイエーズ」と、見所いっぱいですね。







【映画】パディントン
2015年02月12日 (木) | 編集 |
先日英国アカデミー賞が発表されました。受賞結果はこちら。
この賞では英国作品を対象にした英国作品賞という部門があって、今年は『博士と彼女のセオリー』が受賞しています。嬉しいなぁ。
今日はその英国作品賞にノミネートされた一本、イギリス人作家マイケル・ボンドの児童文学作品『くまのパディントン』を実写映画化した『パディントン』を観てきました。



パディントン(2014)イギリス
原題:Paddington
IMDbデータ


おじさん夫婦と仲良く森で暮らす小熊は、地震で森が壊滅状態になったことを機にロンドンへとやってくる。駅で途方に暮れる彼に親切に声をかけてくれたのはブラウン家のメアリー夫人。パディントンと名前をつけてもらったクマは、ブラウン家で一晩を過ごすことになるが・・

CGのクマを主人公にした児童小説の映画化って、正直自分の観る映画じゃないと思ったんですけどね(笑)まぁ付き合いもあって、たまには友達の選択にお任せするわけなんですよ。
英国作品賞にノミネートされてることも知らなかったし、とにかく期待ゼロで観たんですが、これが意外に面白かった。


昔、おじさん夫婦と交流のあったクライド博士という探検家を頼ってロンドンにやってきたパディントン。しかし彼はそのことで思わぬ危険に遭遇することになります。
映画はパディントンの奮闘をアドベンチャーで見せつつ、ブランウン家との交流をハートウォーミングに描くというもの。



原作を知らないもので、駅で佇むクマに人間が普通に声をかけるところとか、その世界観を受け入れるのに少し時間はかかったんですけどw、クマなのにマーマレードを手作りしたり、その意外な行動が可愛くてツボ。

思うにこの映画、意外性というところに結構こだわってると思うんですよね。
登場人物にしても、お父さんが意外と・・・だったり
クライド博士の娘があれだったり(笑)

ロンドンの町並みや家のインテリア、家族の暮らしぶりなどイギリスの文化自体私には目新しく胸が弾んだし、色んな映画のオマージュと思えるシーンを入れる監督のセンスも好き。目新しさにも次第に慣れてはくるものの、95分とコンパクトなので飽きるまでに終わるのがいい。

ところで、これストレートに観れば、パディントンの存在が家族を結束させていくというハートウォーミングなファミリーものに違いないんだけど最後のパディントンの台詞に「ウン?」と思うところがあってね。パディントンが森を離れるきっかけが、森が破壊されたことだったり、ロンドンにはシートの下に隠れて船に乗ってきたりと、何か「移民」を髣髴とさせるんですよ。
勝手な見解ですが、異端なパディントンを移民とみなすと、彼を取り巻く環境や人々との交流も違った意味合いを持ってくる気がしますね。

パディントンの声にベン・ウィショー。
知らずに観たので、エンドロールで吹き出しちゃったわ。
もともとはコリン・ファースだったらしいですが、コリンの声は大人っぽ過ぎてどうしても合わないということで、途中からウィショー君に交代したそうです。
オスカー俳優を下ろすの勇気が要ったことでしょう。

二コール・キッドマンが若い!