映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
『拾った女』:「滝汗!サスペンス映画100」制覇シリーズ
2014年07月31日 (木) | 編集 |






拾った女(1953)アメリカ
原題:Pickup on South Street
監督:サミュエル・フラー
出演:リチャード・ウィドマーク/ ジーン・ピータース/ セルマ・リッター/ リチャード・キーリー/ マーヴィン・ヴァイ/ ミルバーン・ストーン


ストーリー

スリのスキップは、ニューヨークの地下鉄で、一人の女性の財布をスリとった。ところがその中には、重要機密のマイクロフィルムが収められていた。スキップは次第に、当局と諜報組織のスパイ戦に巻き込まれていく…... 。



うわぁ。一ヶ月以上あいちゃった。
最近TVからの録画をDVDに焼くのに凝っちゃってまして(汗)
普段HDDに録画するタイプのTivoというDVRを使ってるんですが、
これが独自のファイル形式のため、DVDやPCなど一般のデバイスで再生するにはファイル形式を変えないといけないんですね。
その過程でクローズドキャプションが抜け落ちるなどの問題もあり、試行錯誤の末やっと納得できる形でDVDに焼けるようになり、バリバリと頑張ってるしだいです。
ブログさぼりぎみですが、ここも一応運営中ですので見捨てないでくださいね


前置きが長くなりました
滝汗サスペンスシリーズ・・滝汗の二本目は
サミュエル・フラー監督の50年代のサスペンス映画『拾った女』。
ある日、いい女のバッグから財布を盗んだら、その中に重要機密フィルムが入っていて、警察や諜報組織の絡む攻防に巻き込まれる・・・ という話。


本作でスキップを演じるのはリチャード・ウィドマーク
スリを生業とするアンチヒーロー的な男が主人公というのはめずらしいですね。
列車内でのスリのシーンは決して手際がいいと言えず、ちょっとどきどきするんですが冷徹で飄々としてはいるけれども情も頭も持ち合わせたスキップが時代の流れの中でスリに甘んじているという点で、全くのプロでない手際の悪さも逆に説得力があります。






バッグから財布を盗まれたヒロイン、キャンディは実は運び屋として利用されていただけ。
ジーン・ピータースは事件に巻き込まれながら、スキップに心惹かれていく蓮っ葉なヒロインを好演。スキップとの関係もちょっとロマンティックです。


でもこの映画で一番すばらしいのは、オスカーノミネートされた情報屋モーを演じたセルマ・リッターでしょ。







ネクタイ売りをしながら、お金のために警察のタレコミにも協力する。
それでも、悪人には大金を積まれても口を割らない一本筋の通ったおばさん。
しけた鉛筆をなめながら、稼いだ小金をノートに書き込むのも
すべては誰にも迷惑をかけずに自分の葬式をあげるため・・。


時代を反映する警察と共産主義者との攻防などもありますが
都会の片隅に暮らす弱き者たちの生き様と、彼らの交わす情の描き方に心打たれる。


ちなみに邦題の「拾った女」って何かなw
スリを意味するPICKUPから来てるのでないといいのだけど・・


 



【ネタバレ感想】 複製された男
2014年07月29日 (火) | 編集 |
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複製された男
(2013)カナダ・スペイン
原題:Enemy 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ジェイク・ギレンホール/メラニー・ロラン/サラ・ガドン ヘレン/ イザベラ・ロッセリーニ
日本公開:2014/7/18
  【ストーリー】大学で歴史を教えるアダム(ジェイク・ギレンホール)はある日同僚に勧められた映画の中に自分と瓜二つの役者を発見。エンドクレジットからアンソニーと言う男のことを知ったアダムはアンソニーとじかに会って、顔や声、身体の傷まで同じであることに驚愕する。

自分にそっくりな男を見つけてしまった大学講師の混乱を描く心理サスペンスジョゼ・サラマーゴの原作を『灼熱の魂』     『プリズナーズ』のドゥニ・ヴィルヌーヴが映画化しました。
とにかく難解と評判ですね。
ジェイク演じるアダムが遭遇することになるアンソニー(ジェイク 二役)とは何者か。
途中何度か登場する蜘蛛が意味するのは何か など解明すべきポイントがいくつかあります。
「講義の内容にもヒントがありそう」と聞いていたので、自分なりに楽しみながら解釈してみたし DVD特典の監督インタビューなども助けにはなったものの、全容解明には至らず(汗) youtubeのネタバレ解説を見ちゃいました。
以下投稿内容に沿って謎を明かしていこうと思います。 ネタバレにつき、未見の方はご注意ください。
 


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【映画】『LUCY/ルーシー』:超越するスカヨハ
2014年07月27日 (日) | 編集 |



リュック・ベッソン監督、スカーレット・ヨハンソン主演の『LUCY/ルーシー』を初日鑑賞しました。
LUCY/ルーシー(2014)フランス
原題:Lucy
監督/脚本:リュック・ベッソン
出演:スカーレット・ヨハンソン/モーガン・フリーマン/ チェ・ミンシク/ アムール・ワケド/ アナリー・ティプトン
日本公開:2014/8/29
 
映画によると人の脳は10%しか使われてないらしいですね。
ベッソン新作は「人間の脳が100%機能したらどうなるのか」を見せるSFアクションです。

スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーは台湾に暮らすごく普通の女性。
ある日彼女はマフィアの新種ドラッグの闇取引に巻き込まれます。
アクシデントでドラッグが体内に入ってしまったルーシーの脳は異常に活性化し始めるんですね。


目的を果たすべく動き出すスカヨハと、ドラッグを奪還しようと追うマフィア。
ベッソンらしいカーアクションにアジア人マフィアのゴアがコラボし見せ場は押さえています。
ただ残念なのはそこにスリルが生まれないこと。
活性化したルーシーが強すぎて危機感がない(笑)
しかし、スカヨハはどこにでもいる普通の女の子から、超越な能力を獲得していくルーシーのそれぞれの過程を明確に演じTス。彼女の七変化も見所で、スカヨハじゃなかったらもっと退屈してたでしょう(笑)




科学を説明する役割を果たす脳学者モーガン・フリーマンも らしい役どころ。
マフィアのボスチェ・ミンシク、警察の アムール・ワケドなど男性陣も渋く活躍しています。

ルーシーの向かう先は超絶過ぎて、背景にある科学には興味を通り越して呆然。
ラストシーンにはポカーンとなりますが、これもベッソン流の美学かな。
近年多くのSFが科学の発展に危惧するものであるのに対し、科学の起源、可能性に迫る本作は
『トランセンデンス』と対極にある映画かもしれませんね。


余談ですが
ベッソンによると、彼は本作のアイディアを10年前に思いつき、学者と語りながら
科学的なプロットを構築してきたのだとか。
ただし、「人は脳の10%しか使ってない」というのは正確には証明されていないらしく
「人は全ニューロンの15%しか使っていない」という事実にアイディアを得たメタファーとのこと。
「嘘だけどそれが何か?映画なんだからいいじゃん」だそうです(笑)


【映画】 『刑事グラハム/凍りついた欲望』:「滝汗!サスペンス映画100」制覇シリーズ
2014年07月25日 (金) | 編集 |



滝汗シリーズまだまだ続きます。
今日はトマス・ハリスの原作『レッド・ドラゴン』をマイケル・マンが映画化したサスペンス・ミステリー『刑事グラハム/凍りついた欲望』です。
刑事グラハム/凍りついた欲望(1986)アメリカ
原題:Manhunter
監督:マイケル・マン
出演:ウィリアム・L・ピーターセン/キム・グライスト/ トム・ヌーナン/ ジョーン・アレン/ ブライアン・コックス/ デニス・ファリナ/ スティーヴン・ラング
 一線を退き浜辺の家で家族と静かに過ごすウィル・グレアム(ウィリアム・L・ピーターセンのもとに、FBIの同僚ジャック・クロフォード(デニス・ファリナ)から捜査を手伝ってほしいとの依頼が舞い込む。2つの家族を惨殺した殺人事件の捜査が難航し、FBIはレクター博士を逮捕に追い込んだウィルの分析力を必要としていた。レクターの事件以来心身のバランスを欠いていたウィルはためらいながらも協力することに。。




予備知識なしに見て、ハンニバル・レクター?噛み付き魔?あれれ?と思ったら
これ、なんとハンニバル・レクターシリーズで『羊たちの沈黙』の前日譚として2002年に製作された『レッド・ドラゴン』と原作を一にするものだったんですね。
『レッド・ドラゴン』でエドワード・ノートンが演じたFBI捜査官ウィル・グレアムを演じるのがウィリアム・L・ピーターセン。『レッド・ドラゴン』の記憶が曖昧なところをみるときちんと観てないのかもですがw、本作はとにかく面白くて引き込まれました。

グレアムは犯人の心理にシンクロし事件を推理するタイプの捜査官で、
その推理をもとにFBIはさまざまな技術を駆使し捜査していく。
その様子がとても丁寧でまず犯人像に迫るミステリーとして見ごたえがあります。
しかしこの映画の主題は実はグレアム自身の心の闇の描き方にあるんですね。
それをなんとなく言い表したのが副題の「凍りついた欲望」ということになるのかな。

グレアムは犯人が「噛み付き魔」なこともあり、犯人の心理に迫るため収監中のレクター博士に会いにいきます。レクターを演じるのはブライアン・コックス




レクターはグレアムの闇を見抜き、傷口に塩を塗りこむようにグレアムを翻弄する。
最初はグレアムの動揺の理由が判りにくかったんですが、後に彼が何を恐れているかがわかってくると、グレアムの陰鬱な表情のわけも凄く理解できる。
レクターを知的に絡ませ、グレアム、犯人それぞれの心理を暴いていくマイケル・マン自身による脚本のうまさに感心してしまいました。

犯人に関することは割愛しますが、
以下ネタバレで語らせて欲しいので、未見の方はスルーしてください。








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【映画】『荒野の千鳥足』:凄まじいほどに不快(byスコセッシ)
2014年07月23日 (水) | 編集 |



世界が驚愕する日本未公開の映画を上映しようという“初公開!世界のどす黒い危険な闇映画”なる企画があるようで、その第一弾『荒野の千鳥足』が9月に公開されるということで観てみました。
カンヌでお目見えし、ヨーロッパ各地で上映された後、フィルムの所在がわからなくなり長い間幻の名作と言われていたらしいのですが、2004年にようやく発見され復元の運びになったのだとか。
荒野の千鳥足(1971)オーストラリア/アメリカ
原題:Wake in Fright
監督:テッド・コッチェフ
出演:ゲイリー・ボンド/ドナルド・プレザンス/チップス・ラファティ/ ジャック・トンプソン
日本公開:2014/9/27
 
オーストラリア。砂煙の舞う黄色い大地、灼熱の太陽、目の周りを飛びかう蝿、額ににじむ汗・・
ご丁寧にサントラまでもが蝿の羽音を思わせます。
そんな中、学校教師のジョン・グラントは年末の休暇をシドニーで過ごすべく列車に乗り込みます。
途中、砂漠地帯の町に一泊することになるのですが・・・



一夜を過ごすために立ち寄った砂漠の町で破滅に向かう若い学校教師の姿を描く異色作です。
巻き毛の金髪、ちょっとハンサムで教養もあるグラント(ゲイリー・ボンド)は、寂れた砂漠の町では異色の存在であり『アラビアのロレンス』を思い起こさせます。
そんな主人公がトランジットの地で酒、ギャンブル、狩りを経験するうち、およそ文明からかけ離れた原始的な欲望に翻弄されることになります。
地元住民からの執拗な誘惑は、美しいものをよどんだ世界へと引き込むかのようで
主人公には罠にはめられたような不憫さも感じるのだけど、
結局は彼の中にある野蛮なものが目を覚ましたということなんでしょうね。

カンガルー狩りの残忍さは観るのをやめようと思うほど強烈です。
それでも画面から目が離せなかったことには自分の残酷さも感じるところだけど
この映画には野蛮さの中に人の本質があり、他人事では済まされないから引き込まれるんですよね。
しかし、画面を眺めている観客と違い、実際に自分の蛮性が暴かれる立場となったら
これはつらいでしょう。
自分に対峙することになる主人公のその後の行動も緊張感たっぷり。





共演にドナルド・プレザンス
医者でありながら文明を捨て、あばら屋に暮らすプレザンスは、本能の欲するままに生きる男。
主人公グラントと合わせ鏡のような描き方だったのが印象的。

監督は『ランボー』のテッド・コッチェフ
ギャンブルや狩りの高揚感を見せるカメラワークも秀逸で
カンガルーを追いかけるシーンのスピード感と臨場感はヤバイ。
スコセッシに「凄まじいまでに不快」と言わしめた本作は
ホラーに近い、これぞ滝汗の衝撃作でした。

ってことで、少々サボり癖がついちゃってますが、明日からまた滝汗シリーズに戻ります。