映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】 『アンブレイカブル』:「滝汗!サスペンス映画100」制覇シリーズ
2014年06月29日 (日) | 編集 |



アンブレイカブル(2000)アメリカ
原題:Unbreakable
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソン/ ロビン・ライト・ペン/ スペンサー・トリート・クラーク/イーモン・ウォーカー/ シャーレイン・ウッダード/レスリー・ステファンソン 
 
【ストーリー】
乗客131人が死亡するという悲惨な列車事故が起きた。その中で中年警備員デイヴィッド(ブルース・ウィリス)だけはかすり傷1つ負わずに生き残る。ある日彼の元に、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)と名乗る人物から手紙が届く。イライジャは骨形成不全症という難病を持って生まれ、今はコミックのコレクターとして画商を経営している。ガラスの身体を持つイライジャはデイヴィッドとは対照的な存在だった。

M・ナイト・シャマラン監督によるファンタジー・スリラーです。
『シックス・センス』で人気を博し、その次の作品ということで大いに期待されたものの、世間の評判はもうひとつに終わりました。
私も前に観たときにはサミュエル演じるイライジャが、自分とデイヴィッドの立場をコミックに例えるのをウザく感じて入り込めないところがあったんですよね。
ところが今回再見して気づいたのは、この映画自体がアメコミの世界だったということ!


ここからプチネタバレで書いてますのでご注意くださいね。




ブルース演じるデイヴィッドは、事故をきっかけに自分が「不死身」であることに気づき、同時にヒーローとしての役割を認識していくんですよね。イライジャはその過程に深く関わることになるのですが、その関わり方が助言とかのレベルでなかったことに、驚愕のオチが待っていました。
生きていることになんの価値も見出せないでいた男が、自分の可能性を模索する。2人それぞれに求めるものは同じかもしれないのに、生み出す結果は間逆という皮肉。同時に「悪と正義」の境界はどこにあるのかと考えさせられました。

途中、どこに向かうのか分からず興味を持続しにくいところがあったし、実写としては突飛さが際立ってしまうところもありました。
でもこれを『バットマン』のようなアメコミとして捉えたなら十分楽しめます。
-ヒーロー誕生の陰には悲しい男の物語あったー
『バットマン』のスピンオフのような形でノーランにでも撮らせたら、渋くカッコいい一本になりそうです。



【映画】 『W/ダブル』:「滝汗!サスペンス映画100」制覇シリーズ
2014年06月26日 (木) | 編集 |



W/ダブル(1987)アメリカ
原題:The Stepfather
監督:ジョセフ・ルーベン
出演:テリー・オクィン/ シェリー・ハック/ ジル・シュエレン/ スティーヴン・シェレン/ チャールズ・レイニャー

映画秘宝から出た必修科目シリーズ9弾目「滝汗!サスペンス映画100」のラインナップから、未見あるいは記事にしてない約20本を観ていこうという企画です。(ただし雑誌は入手しておりません)

企画2本目はジョセフ・ルーベン監督による『W/ダブル』

冒頭、顔に返り血を浴びた男が鏡の前で綺麗に身支度。
別人のようにすっきりして家を出ようとする男の足元には・・・!!

「父の日」月にふさわしく(?)、一本目『フォーリング・ダウン』から家族を想う父親が主人公の映画が続きましたな。
ただしどちらも愛情の持っていきかたを間違えるとちと怖いというお話です。

本作に登場する父親ジェリーは理想的な家庭を持つことを夢みる男。
彼は子持ち未亡人を見つけては一家の父親(ステップファーザー)に収まり、しばし幸せを満喫するわけですが、やがて自分の理想とのギャップを感じ始めるやフラストレーションをつのらせていくんですね。
そして・・・

『フォーリング・ダウン』のマイケル・ダグラスとの違いは、実際の家族に愛情を向けるのではなく、家族像を追い求めているところ。そのため家族はその材料にしか過ぎず、「こりゃだめだ」となったら簡単にリプレイスできる存在であり、彼の失望が残忍な犯罪を誘発するのです。しかも犯行を周到に準備する狡猾さが恐ろしいんですよね。



人当たりのいい笑顔の裏に、凶暴なシリアルキラーのサガを秘めた主人公ジェリーを演じたテリー・オクィンの存在感は凄いものがありました。
「次」に向かって変身するシーンはちょっとした衝撃だったしね(笑)
ちなみに今ではすっかりツルツルです。

とどめはやや「普通」ですが、義父に疑問を抱き始める娘ステファニーとの攻防はスリリングで
冒頭の衝撃といいかなり面白く観れた一本です。




【映画】 『きっと、星のせいじゃない。』さよならを待つふたりのために
2014年06月26日 (木) | 編集 |


きっと、星のせいじゃない。(2014 )アメリカ

原題:The Fault in Our Stars
監督:ジョシュ・ブーン 
出演:シャイリーン・ウッドリー/アンセル・エルゴート/ローラ・ダーン/ナット・ウルフ/ウィレム・デフォー
日本公開:2015/2/20

16歳のヘーゼル(シャイリーン・ウッドリー)は13歳のときに癌を発症し、奇跡的に回復するが今も酸素ボンベを手放せない。
オーガスタス(ガス)(アンセル・エルゴート)は骨肉腫で右足の膝から下を切断した18歳の少年。
2人はサポート会で知り合い互いに惹かれあうが・・

ジョン・グリーン原作のベストセラーヤングアダルト小説「さよならを待つふたりのために」の映画化です。

癌を患ったティーンエイジャーの恋ということで、泣くんだろうなぁと、公開から今まで少し観るのを躊躇していました。

実はチケットを買うときに「クリネックス(ティッシュ)持ってる?」と訊かれて困惑したんですよね。
一瞬『40歳の童貞男』が浮かび、「wha・・What for?(な、なんに使うの?)」と間抜けな質問をしちゃった。
「泣くと思うよ。悲しい映画だから」と言われて「あー、大丈夫ハンカチ持ってる」と応えた私w
頭の中見透かされなかったかしら。恥ずかしい~(笑)
日本人的には涙を拭くのはハンカチですから!w




 闘病生活3年目のヘーゼルは泣き叫んだり攻撃的になることもないけれど自分の将来に希望がないことは分かっていて、
どこか冷めた目で学校生活を送っています。
そんな彼女は母(ローラ・ダーン)に勧められいやいや行った癌友の会でガスと出会うんですね。
あっという間に惹かれあう2人。
穏やかでいて明るく、あっけらかんと義足の足を見せるガスにいつしかへーゼルも前向きな気持ちを貰っている
。2人のやり取りが微笑ましくて、これが永遠であって欲しいと願わずにいられないのだけど、
やがて厳しい現実はやってくるんですよねぇ。

こう書くとありがちな泣かせ映画みたいだけど、ちょっと違うのはこの映画が死を迎える過程の中でも
主に受容の段階にスポットを当てているから。
へーゼルには好きな小説があって、ある物語の結末をどうしても知りたい。
それは小説の主人公に自分自身を重ねているからで、
彼女は自分の死を愛する人たちがどう受け止めるのかを知らずにおれないわけです。
死を宣告された直後を描く難病ものと違うのはそのあたりで、死を迎えるもの、
それを受け止め見送るものそれぞれの心理が丁寧に描かれているところが秀逸でした。

とにかくシャイリーンがいいですね。
ガスに惹かれていくへーゼルの表情を見ているだけで胸がいっぱいになる。

”遅かれ早かれ、死は誰にもやってくる。
死を恐れて何もしないより、出来ることを探すことで毎日はより輝く”
そんなメッセージも特に新しいわけではないけれど、登場人物たちの魅力が映画を100倍輝かせてました。
監督の監督のジョシュ・ブーンは30代の新鋭とあってポップな演出に若さを感じます。
『(500)日のサマー』のお二人によるビタースィートな脚本は現実に目を背けないのがいい。

IMDb8.5と高評価(個人的には7点台)。
全世界76カ国で公開日が決まってるけど、日本は予定なし かな。


<11/21 追記>
日本公開が来年2月に決まったようです。
サントラもいいよ。


【映画】 フォーリング・ダウン:「滝汗サスペンス映画100」制覇シリーズ
2014年06月24日 (火) | 編集 |






フォーリング・ダウン(1993)アメリカ
原題:Falling Down
監督:ジョエル・シューマカー
出演:マイケル・ダグラス  /ロバート・デュヴァル/ レイチェル・ティコティン/ フレデリック・フォレスト/ チューズデイ・ウェルド/ ロイス・スミス/ バーバラ・ハーシー
ストーリー

ロサンゼルス。真夏の太陽にさらされた灼熱のハイウェイで、道路工事による大渋滞が発生。これに巻き込まれた中年男性は、エアコンや窓の故障、車内に入り込み飛び回る蝿に苛立ちを募らせる。業を煮やした彼は遂に車を乗り捨て、問いかける他のドライバーに対して「家に帰る」と言い残し、道路から立ち去った。彼の、怒りに満ちた大暴走が始まる。(wikiより)




映画秘宝から必修科目シリーズ9弾目となる「滝汗サスペンス映画100」が出たようですね。
未読ですが、ネットで拾ったラインナップのうち、未見あるいは記事にしてない約20本について、こちらとあちらで順次感想をあげていきたいと思います。

まずは、ジョエル・シューマカー監督、マイケル・ダグラスが切れた角刈り男を演じて衝撃を与えた『フォーリング・ダウン』

夏のロサンゼルス。
周囲ではベトナム帰りらしい浮浪者たちが、職や食べ物を求めプラカードを掲げるハイウエイで渋滞に巻き込まれた角切り男ビルがうだるような暑さの中イライラを募らせていく。
やがて男は車を降りハイウエイを後にするという暴挙に出るんですが、尋常でない主人公を緊張感たっぷりに紹介しつつ、社会に漂う空気をも一気に見せるこの冒頭のシークエンスがまず秀逸です。
背筋を伸ばしたその姿からだけでもストリクトな生真面目が漂うわけで、いやはやマイケル・ダグラスってこんなにうまい役者だったっけ。 再見するまですっかり忘れていたのが、この日定年を迎えた刑事のロバート・デュヴァルのエピソード。あることからデスクワークに甘んじていた彼は、仕事仲間からも馬鹿にされる存在。 しかし、ハイウエイを立ち去るビルをたまたま目撃していた彼は、やがて周辺で起きる一連の事件とビルとの関連を疑い始めるんですね。 誰も話を聞こうとしない中、犯人を追おうとするデュヴァルそれまで封印してきた情熱と使命を刑事生活最後の日に蘇らせるデュヴァルの姿に、観ているこちらは緊張。ダグラスとデュヴァル、二人の対決はやがて大きく明暗を分けることになるのだけど悲しい過去にとらわれたもの同士だからこそ分かち合う思いに、クライマックスは哀愁とともにある種の爽快感を感じました。


要所要所に差し込まれるアイロニーに満ちたユーモアも楽しく、うん、これほんと面白かった。









【映画】 リスボンに誘われて
2014年06月23日 (月) | 編集 |


リスボンに誘われて(2013)ドイツ
原題:Night Train to Lisbon
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジェレミー・アイアンズ/ ジャック・ヒューストン/シャーロット・ランプリング/メラニー・ロラン/ マルティナ・ゲデック / アウグスト・ディール / ブルーノ・ガンツ/ レナ・オリン/ クリストファー・リー  
日本公開:2014/9 リスボンに誘われて [DVD]
 
何年かに一本、泣きたくなるほど好きな映画に出会うことがある。これは私にとってそんな一本です。
パスカル・メルシエの世界的ベストセラー「リスボンへの夜行列車」の映画化である本作は、スイスで退屈な毎日を過ごす高校教師である主人公が、一冊の本に出会うところから始まります。
ページをめくるたびに何かが彼の魂を揺り動かす。
それが何かを知るため、彼はリスボン行きの夜行列車に飛び乗るのです。

主人公ライムントを演じるのはジェレミー・アイアンズ
妻と離婚し一人暮らしの彼の味気ない日常は、ゴミ箱から拾い上げた出がらしのティーバックでお茶を飲む様子にも象徴されています。そんな彼が仕事も放り出しリスボンで紐解いたのは、著者アマデウの半生。
映画は過去と現代を交錯させ、アマデウの生きた時代を浮かび上がらせます。
70年代、ポルトガル最後の独裁政権下に生きたアマデウは医者であると同時に革命家だったことがわかってきます。その生き様にライムントは自分の人生のなんと平凡で退屈であるかを思い知ることになるのですが、この映画が面白いのはそれだけに留まりません。
ライムントはリスボンでいくつかの閉ざされた扉に出くわす。アマデウの人生を紐解くジャーニーは、やがてこの扉を開く役割を果たすことになり、その様子が静かな感動をもたらすんですよね。




思えばこの映画にはたくさんの偶然が描かれます。
赤いコートの女性と出会ったことも、彼女のポケットにアマデウの本が入っていたことも、列車の出発時刻が15分後に迫っていたことも、リスボンで眼鏡を壊してしまうことも 全部偶然。
でも運命論的に見ると、全ての偶然が必然だと思えます。
ライムントがこの本に惹かれたのは、おそらく彼の中で何かを変えたい想いがあったからでしょう。
人生にはさまざまな出会いがあり、気づかずに見過ごしてしまうこともあるけれど
思い切って列車に飛び乗ってみたら人生変わるかもしれない。
劇中流れる音楽も美しく、久々に「好きで好きでたまらない」1本でした。




監督のビレ・アウグストは、2度のパルムドールを受賞したデンマークの名監督とのこと。
そんなことも知らずに観たのだけど、なるほど上手いわけだ。
アマデウを演じるのはジャック・ヒューストン、彼を愛する革命家女性にメラニー・ロラン
アマデウの妹にシャーロット・ランプリング、アマデウの親友ジャックに ブルーノ・ガンツ等々キャストも豪華でした。
ポルトガルのサラザール政権の末期について少し知っておくとより分かりやすいかもしれません。
日本公開は9月です。