映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ひとりぼっちの青春
2014年02月26日 (水) | 編集 |



アカデミー賞授賞式も近づいてきました。
今年は主演男優賞が激戦の模様ですね。
個人的には『ネブラスカ』のブルース・ダーンを応援したいので
今日は出演作品からシドニー・ポラックの『ひとりぼっちの青春』を観てみました。
ひとりぼっちの青春(1969)アメリカ
原題:They Shoot Horses,Don't They ?
監督:シドニー・ポラック
出演:マイケル・サラザン/ジェーン・フォンダ/スザンナ・ヨーク/ ギグ・ヤング/ レッド・バトンズ 
 ボニー・ベデリア/ ブルース・ダーン/ マリリン・ハセット
1932年。カリフォルニアの海辺の通りでダンス・マラソンなる競技が開催された。
2時間ごとに10分の休憩を挟みながら、最後の一組になるまで延々と踊り続けるという過酷なものだが、不況の時代を反映して会場は賞金目当てのカップルでごったがえした。
偶然その場に立ち寄ったロバート(マイケル・サラザン)は、ひょんなことからグロリア(ジェーン・フォンダ)という女優志願の女性のパートナーとして競技に参加するはめになるのだが・・・


ブルース・ダーンはこの過酷な競技に身重の妻と出場する夫を演じていまして、
少なくとも参加中は食事にありつけるという苦しい時代を象徴する役割でしたね。
ただ、あまり出演シーンもなくしっかり脇役。応援にならないな、すみません。

それにしてもこれ、かなり面白かった。
というのも憚るほどにつらい映画ではあるんですけどね。




とにかくこの競技が凄すぎる。
ダンスといって揺れていればOKなんですが、殆ど寝ずに延々と続くわけで、会場は次第に悲惨な様相を呈し始めるんですわ。
恐ろしいのは競技を見学する客もいて、主催者はショーを演出するため煽りまくること。
『ハンガーゲーム』に通じるものがありますね。




貧しさから抜け出すことが困難な時代
人生の転機にしようと競技にかけるグロリアほか出場者の思いと会場の熱気が
異様な空気を醸し出し、まさに狂気の世界。

時折差し込まれるロバートの少年時代の牧歌的な記憶がラストシーンに繋がるとき
狂気は絶望へと姿を変えるんですよね。




原題は『They Shoot Horses,Don't They ?』
直訳すれば「彼らは馬を撃つ。そうだよね?」

誇りと煌きの象徴である絹のストッキングを失ったグロリアは
くぼみに嵌り動けなくなった廃馬と同じだったのでしょう。

製作年からするとアメリカンニューシネマのくくりでしょうか。
ベトナム戦争の時代の狂気と絶望感を重ねた傑作ですね。

マリリン・モンロー風のスザンナ・ヨークも印象的でした。



『おとなの恋には嘘がある』:邦題どうかしてくれ
2014年02月24日 (月) | 編集 |



バツイチ同士の恋をユーモラスかつリアルに描く、ちょっと苦い大人のラブコメです。
おとなの恋には嘘がある(2013)アメリカ
原題:Enough Said
監督:二コール・ホロセフナー
出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス/ ジェームズ・ガンドルフィーニ/ キャサリン・キーナー / トニ・コレット/ ベン・ファルコーン
日本公開:2014/4/4おとなの恋には嘘がある (字幕版)
シングル・マザーのエヴァ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)はボディセラピストとして働き、仲のよい友にも恵まれ、離婚後の人生を楽しんでいた。しかし、一人娘が大学進学のため家を出ることになり、にわかに寂しさを感じ始めている。そんなとき、同じような境遇の男性アルバートと知り合い魅かれはじめるのだが・・

 本作の公開を待たず昨年6月に51歳で急逝したジェームズ・ガンドルフィーニが、その演技を高く評価された作品です。
残念ながらオスカーには蹴られたけれど、前哨戦のいくつかで助演男優賞にノミネートされましたね。

 デートしてみたら意外にも相性がよくて互いに好感触。
しかし、そんなスムーズにことが運んだら映画にならないわけで、必然的に問題が浮上する。
エヴァはある理由から、アルバートを先入観をもって見てしまうようになるんですねぇ。
気になり始めると、小さなことまで気になるもので、エヴァにはアルバートがだめ人間に見えてくる。
そんな空気をアルバートも感じてしまい、二人の関係はギクシャク・・ってな話。



太ってるのにバターをたっぷり絡ませてポップコーンを食べるアルバートにエヴァはこの顔w


二コール・ホロセフナー監督の作品を観るのは初めてですが、彼女は脚本も書いていて
主演のキャラは監督自身のキャラに被るところが多いらしいのですね。
本作も愛すべき人を傷つけてしまうエヴァのキャラはとっても痛い。
けれど何がいけないのか、どうすればいいのかと気づかせてくれるのは
監督自身が自分で解決策を見つけられた部分も多いからでしょう。

エヴァを演じたジュリア・ルイス=ドレイファスはゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされました。

マフィア役がはまるガンドルフィーニは、本作ではクマみたいで可愛いw
一見だらしなく見えるしシャイだけど、自分のスタイル、価値観をしっかり持ち大人のアルバート。
ユーモラスで複雑で繊細で・・、ガンドルフィーニの素のキャラに近いのではないかな。


ところで・・・
記事タイトルにも書いちゃったけど、この邦題どうかして欲しいわぁ。

確かにヒロインはあることを隠さざるを得ない状況になったのだけど
彼女はけっして嘘つきではないし、むしろ正直すぎるチャーミングな二人の恋物語に
このタイトルは意味をなさないと思うのよねぇ。

enough said は「よくわかった。もう言わなくてもいいよ」という意味。
おそらくアルバートの許しを表現しているのでしょう。
観終わってホッとするような優しいニュアンスがあり
ラストシーンのアルバートの穏やかな微笑みとともに、心に残るタイトルだと思います。


ちなみに、彼の遺作はトム・ハーディ主演の『The Drop』。
前に『アニマル・レスキュー』として紹介した作品ですね。





      

『大統領の執事の涙』:オプラに一票
2014年02月22日 (土) | 編集 |



前哨戦のいくつかで作品賞や演技賞にノミネートされた、リー・ダニエルズ監督による
『大統領の執事の涙』を観ました。ホワイトハウスの執事として歴代7人の大統領に仕えた
セシル・ゲインズの伝記です。
大統領の執事の涙(2013)アメリカ
原題:Lee Daniels' The Butler
監督:リー・ダニエルズ
出演:フォレスト・ウィテカー/ オプラ・ウィンフリー / ジョン・キューザック/ ジェーン・フォンダ/ キューバ・グッディング・Jr/ テレンス・ハワード / レニー・クラヴィッツ/ ジェームズ・マースデン/ デヴィッド・オイェロウォ/ ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ アラン・リックマン/ リーヴ・シュレイバー/ ロビン・ウィリアムズ
日本公開:2014/2/15
主人公のセシル(フォレスト・ウィテカー)は南部の綿花農場で奴隷たちと働いていた少年時代、
農場主に父親を殺され、その後家の手伝いをするハウスニガーとして登用されます。
成長したセシルはホテルでの仕事を経て、ホワイトハウスで執事として働くまでになります。
観るまではてっきり、黒人として差別を受けながらも、執事として一流に成長していく話だとばかり思っていたらちょっと違いました。

本作は、黒人執事セシルの生涯を、黒人差別の歴史と重ね合わせ描く作品。
リー・ダニエルズ監督は前にマーティン・ルーサー・キング Jr.の映画を計画しながら実現しなかったと聞いていましたが、黒人差別の歴史を描くことに使命感を感じているという監督は、本作で形を変えて、その使命を全うしたことになりますね。




本作は白人大統領に仕える主人公と、父に反感を持ち活動家になっていく息子との確執を描くことで、
より多面的に差別問題を捉えることに成功しています。

セシルにフォレスト・ウィテカー、妻グロリアにオプラ・ウィンフリー
未完成に終わったマーティン・ルーサー・キング映画で、キングを演じるはずだったデヴィッド・オイェロウォが父と対立する息子ルイスを演じています。





ウィテカーとオプラはいくつかの前哨戦で演技賞にノミネートされてましたね。
個人的には   夫を愛しながらも、その仕事には息子同様に抵抗があり、
葛藤する妻を演じるオプラが凄くよかった。
カルチャーを映す鏡のような存在でもあり、彼女の時代ごとのファッションも楽しい。
何よりも家族の物語をより深いものにする役割を果していて、オプラのこの映画への貢献度は高いと言えます。
それだけに、オスカーに蹴られたのはすごく残念ですね。
私ならニョンゴやジェニファーよりもオプラに一票を投じます。



7人の大統領の差別問題に対する考えなども興味深いものがありました。
心から差別を撤廃しようと思うものもいれば、政治に利用するだけのものもいる。
大統領を演じる役者たちの配役もお楽しみのひとつですね。
ケネディ役のジェームズ・マースデン、レーガン大統領役のアラン・リックマンが印象的。
ナンシー夫人役のジェーン・フォンダもうまかった。
前作『ペーパーボーイ 真夏の引力』でジョン・キューザックにとんでもない犯罪者を演じさせた監督
本作でもジョンキューにこんな役(笑)嫌いなの? 
いや、きっと好きだからに違いないと思っておこう(笑)

ベトナム戦争行きを志願するセシルの次男の台詞に、差別の中生きる黒人たちの切実な思いが投影されていて、
ハっとすると同時に胸が痛みます。

面白かったのに、全米での評価がいまひとつだったのは何故か。
個人的には最後に、オバマ大統領を出してきたのがまずかったかなと思ったりします。
虐げられた歴史を経て、黒人大統領の登場に歓喜する感動は十分に伝わるのだけど
オバマ人気が低迷している今観ると鼻白むものを感じる人もいるんじゃなかろうか。
今年は黒人監督による『それでも夜は明ける』で差別問題を扱う作品が被ったことも不運。
2年ほど早くに作っていたら評価は違ったかもです。

とはいえ、公民権運動の推移を捉えた歴史ものとしても見ごたえがあり、監督の実力を感じさせる素晴らしい出来。
あと、セシルの執事としての活躍や腕前をもう少し見せてくれると
エンタメ性が出てより楽しめたように思います。


      

アナと雪の女王
2014年02月19日 (水) | 編集 |
 

こちらいよいよフィギュア女子のSPです。
白銀の女王の栄冠を手にするのは誰でしょう。
その前に、ディズニー・アニメ『アナと雪の女王』いっときましょう。
アナと雪の女王(2013)アメリカ
原題:Frozen
監督:クリス・バック/ジェニファー・リー
声の出演:クリステン・ベル/ジョナサン・グロフ/イディナ・メンゼル
日本公開:2014/3/14
 アナとエルサはとある王国のプリンセス姉妹。
幼い頃の二人はとても仲良しだったが、触るものを氷に変えてしまう不思議な力を持つ姉エルサは、あることをきっかけに、アナとの接触を避け、隔絶された部屋で数年を過ごすことになる。女王に即位する日、初めて公の場に姿を現すエルサ。しかし、感情の高ぶりから魔法の力が爆発。真夏の王国を冬に変え、エルサは姿を消した。エルサと王国を救うべく、妹のアナは冒険の旅に出る。
 

アンデルセンの『雪の女王』をモチーフにしたミュージカル・ファンタジーです。
評判どおり、これは面白かった!
 
まず、登場人物のキャラがいいんですね。
妹のアナは、元気がよく勇気があって、自分の力で道を切り開こうとするプリンセス。
もともとはもう少しガーリッシュな設定だったようだけど、声を担当するクリステン・ベルが、「
自分だったらこう言う」という意見を述べたところそれが採用され、
ユーモアがあって元気な現代的なアナのキャラが完成したのだとか。

脚本兼共同監督を務める女性監督ジェニファー・リー(『シュガー・ラッシュ』の脚本)の柔軟さも成功の秘訣でしょう。

序盤アナとハンス王子との会話がツボの面白さで、一気にアナが好きになる。
だからアナの繰り広げるアドベンチャーをともに楽しめちゃうのです。

 

旅のお供となる脇の面々のキャラも最高。
山男のクリストフと相棒のトナカイのバディ関係にほっこり。
真夏に憧れるスノーマン、オラフの楽観的なところにハラハラするけれど、
やってみたらうまくいくこともある。
向こう見ずだけど姉妹の絆を繋ぐオラフは本当の愛を象徴する存在であり、前向きさに元気をもらえます。



劇中歌われる歌曲もいいんですよね。

特に、外に出たエルサ(イディナ・メルゼン)が歌う「Let It Go」はスペクタキュラーな映像の美しさもあって聴き応えたっぷり。
日本版でエルサの声をあてる松たか子の歌声も話題ですね。

アナのロマンスにキュンとするし、姉妹の絆にも胸が熱くなる。
ファーストインプレッションもことごとく覆され、意外な展開も楽しい。

判断を間違うこともあるのが人間という描き方も新しい。
おとぎ話の王道「真実の愛」の描き方にもちょっとした捻りがあって
古き良き物語を新しい感覚で描くこれからのディズニーに期待が膨らむ作品でした。

松たか子さん版の「Let It Go」のクリップ貼っておきます脳内ヘビロテ中~
      



『ミケランジェロ・プロジェクト』:美術品奪還に懸けるオーシャンズ7
2014年02月17日 (月) | 編集 |
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ロバート・M・エドゼルの『ナチ略奪美術品を救え』をもとに、ナチスドイツに奪われた美術品奪還の命を受けた7人のモニュメント・メンの活躍を描く実録ドラマ。ジョージ・クルーニー監督&主演の『ミケランジェロ・プロジェクト』を観てきました。
ミケランジェロ・プロジェクト(2013)アメリカ
原題:The Monuments Men
監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー/ マット・デイモン/ ビル・マーレイ/ ジョン・グッドマン/ ジャン・デュジャルダン/ ボブ・バラバン/ ヒュー・ボネヴィル/ ケイト・ブランシェット
日本公開: 2014/4公開中止
 
第二次世界中、ヨーロッパ各地から美術品を略奪していたナチスドイツは、戦況の悪化に伴い、奪った美術品を焼き捨てるという暴挙に出た。これに危機感を感じたハーバード大学付属の美術館館長ストークス(ジョージ・クルーニー)が大統領の認可を得て美術品奪還プロジェクトを立ち上げる。
集められたのは学者などからなる美術に通じた6人。本作は、プロジェクトに命を懸けた7人の「モニュメンツ・メン」の活躍を描く作品です。

ナチスに奪われた美術品を取り戻せ!!
こんな映画みたいなことが実際にあったとことさえ知りませんでしたが、
ゴッホのひまわりやダ・ヴィンチの最後の晩餐など、私でも知っている偉大な美術品の数々が、ナチスによって隠され、焼き払われようとする寸前にこのプロジェクトによって救われていたんですね。
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当然ながらプロジェクトは危険を伴うもの。
それゆえ、映画にもトレジャー・ハンティングのワクワクと、戦火でのスパイ映画的なスリルを味わえるものと大いに期待したんですが・・、意外に静かな仕上がりで思ったのと少々違いました。
プロジェクトのメンバーにビル・マーレイジョン・グッドマン、『アーティスト』のジャン・デュジャルダンなどですからね、オフビートな笑いどころがチラホラ。ただ、危険なシーンもさり気にユーモラスに描かれているので、サスペンスとしての盛り上がりに欠けたのはちょっと残念。
これをタラちゃんが撮ったら、イングロ的な大エンタメ作品になるんじゃないかな。

しかしながら、クルーニーの持ち味は勿論健在で、偉大なる芸術や先人へのリスペクトを感じさせてくれるまじめなつくり。人は何のために戦うのか、その意味は・・というところにメッセージも込めています。
ただ、個人的にはそのメッセージ部分に完全には共感できず、答えは観客に委ねた方が良かったんじゃないかなという気がします。

キャストではビル・マーレイ、ジョン・グッドマンがグッド・ジョブ。
ボブ・バラバンも2人に負けないいい味を出してます。

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フランスの美術館の職員を演じるケイト・ブランシェットは、アメリカ人を警戒しながらも、マット・デイモン演じるモニュメンツ・メンの少尉と交流するうち心を開いていく女性を演じています。
相変わらずフランス訛りの英語を器用に操ってますが、彼女の美術品を愛する気持ちが伝わるシーンは感動的で、映画のテーマにも通じる大事な役どころでした。

日本の宣伝のように、スリルを期待しすぎると「あれ?」ってことになるかも。
偉大な美術品が次々に発見され、救われるシーンはホーっとなりますが
絵画や彫像に詳しいと余計に楽しめるかもしれません。

それにしてもヒトラー、どんだけ集めたねん!