映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜
2013年06月30日 (日) | 編集 |


スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜(2011)スペイン
原題:Sleep Tight
監督:ジャウマ・バロゲロ
出演:ルイス・トサル/マルタ・エトゥラ/アルベルト・サン・フアン
映画サイトの紹介を見ると、男の妄想をテーマに描く官能サスペンス 
などと 説明されてるけど ちょっと違うなぁ。

主人公のセシル(ルイス・サルト)はマンションの住み込み管理人として働く冴えない中年男。
冒頭、ビルの屋上に立つ主人公
ラジオから流れるのは、生きることに希望を見出せない人々の電話相談。
不幸な人間は自分だけじゃない そんな思いが彼に自殺を思いとどまらせる。 

セシルの興味はマンションの美しい住人クララ(マルタ・エトゥラ)に向いていた。
ある朝、クララの眠るベッドから起きだし、自室に戻るセシル
クララのベッドサイドには、恋人と一緒に微笑む写真




そう、セシルは管理人の特権を利用し、クララの部屋に侵入。
ベッドの下でクララの帰りを待ち、寝静まった彼女に薬をかがせるという行動に出ていたのだ。

という話で、よくあるエロティック・ストーカーものの雰囲気を漂わせるのだけど、
実のところまるで違う。映画サイトの説明も腑に落ちない。
だって、セシルは妄想にとりつかれているわけではなく、彼の目的は他にあるから。

いや、これは面白かった。
男が潜んでいることがバレそうになるときの緊張感たるや半端ない。

言ってみれば、おっさん版『あるスキャンダルの覚書』
しかし、本作のほうが限りなく陰気。
罪のない人間を陥れ、静かに、最も効果的な方法で苦しみを与える主人公には同情の余地がない。

面白いのは、セシルの秘密を握った少女とセシルの関係。
子供のくせにセシルを脅し金を巻き上げる少女は、セシルにとってウザい存在のはずなのに
セシルは脅された後に一人ほくそ笑む。
おそらく二人は似たもの同士。セシルにはそれが分かるのでしょうね。




無邪気な幸せオーラは悪魔のトリガーを引く
人間の弱さの裏にある醜さを、サスペンスフルに描ききった秀作だと思います。
ちなみに主演のお二人は実生活でもパートナーだそうです。





  




小間使の日記
2013年06月30日 (日) | 編集 |







小間使の日記(1963)フランス/イタリア
原題:LE JOURNAL D'UNE FEMME DE CHAMBRE
監督:ルイス・ブニュエル
出演:ジャンヌ・モロー/ミシェル・ピッコリ/ジョルジュ・ジェレ/フランソワーズ・リュガーニュ 


すっかり更新をサボってました(汗)
今月はフランス映画特集をしようと思いながら、結局ブニュエルだけになってしましましたが、ま、それもいいか。
ということで、最後までブニュエルで。






今日は、ジャンヌ・モロー主演の『小間使の日記』
モロー演じる小間使いセレシティーユは片田舎の貴族の家に働きにやってきます。
屋敷の奥様は、これは高いから壊すなだの、口うるさい
妻におされ気味の主は小間使いにも手を出す色情狂で、老主人は足フェチ
一家は隣に住む軍人上がりといさかいが絶えない

お高くとまってはいても中身はこんなに病んで醜い というブルジョワたちの生活を、
ブニュエルはセレシティーユの「家政婦は見た」的視線でシニカルに描いています。


面白いのはちょっと危険な下男の存在。
彼はセレスティーユに、自分と同じ匂いを感じている。

パリからきたセレスティーユは、小間使いにしては都会的で洗練されてもいる
けれども、小間使いは主に動物のようにこき使われ、さげすまれるだけの存在でしかないのも分かっている。
そんな彼女が、何に幸せを見出そうとするのか興味深かったのだけど
結局彼女の選んだものが、尽きることなき倦怠と憂鬱を残すのみなのが切なく
ブルジョワたちと同じ、腐った日常に身をおとすのかと思うと、それも皮肉。

ジャンヌ・モローのドライな美しさがセレスティーヌによく合ってました。

マリオン・コティヤール主演で映画化も予定されてるとのこと
比べてみるのも面白そうです。




俺たちニュースキャスター
2013年06月28日 (金) | 編集 |



アパトー製作のコメディ『俺たちニュースキャスター』の続編が12月に全米で公開されます。
劇場予告に好きすぎる空気を感じ、未見のオリジナルを今頃だけど観賞~♪
俺たちニュースキャスター (2004)アメリカ
原題:Anchorman: The Legend of Ron Burgundy
監督:アダム・マッケイ
出演:ウィル・フェレル/クリスティーナ・アップルゲイト/ポール・ラッドスティーヴ・カレル/デヴィッド・ケックナー
日本未公開
 
70年代、まだインターネットなんてないこの時代、テレビは最大のメディ
グッドナイト&グッドラック』でデヴィッド・ストラザーンが扮したエド・マローのように、ニュースの顔は国民にとって世間に通じる大きな存在だったんでしょうね。
本作はサンディエゴのテレビ局を舞台に、おばかなニュースキャスターたちの巻き起こす騒動を描く、ジャズ・アパトー製作のコメディです。

ウィル・フェレルが演じるのは地元テレビ局の人気キャスター、ロン・バーガンディ。
そこに、クリスティーナ・アップルゲイト扮する女性キャスター、ヴェロニカが赴任してきたことから
男社会である、ニュース業界にひと騒動が巻き起こるというもの。

監督のアダム・マッケイはこれが初監督。
この後もウィルと組んで、『タラデガ・ナイト』『俺たちステップ・ブラザーズ』『アザーガイズ~』を監督してます。シモネタに走りすぎない描き方は好み。

新しいものに歯向かい、やがてその実力を認めて受け入れる描き方は、西部劇のそれ。
本作も、女性アンカーマンのニュース業界参入を基軸に、70年代の女性の社会的な地位を垣間見せ、ムーブメントの一環を見せる社会派な一面も持ってます。
ロンとヴェロニカのラブストーリーでもありますね。

共演者は、お天気キャスターにスティーヴ・カレル、レポーターにポール・ラッドデヴィッド・ケックナー
などコメディ系の楽しいメンバーが笑わせてくれます。
カメラマンにセス・ローゲンJBティム・ロビンスなどノンクレジットの面々も豪華。

言葉を喋るウィルのワンちゃん(ワン、ワンだけですがw)の活躍も楽しい。

お約束ではあるけれど、世間に干されて、再び立ち上がるという展開にホロりとさせられたしね。
これは本当に面白かった。続編がますます楽しみになりました。









アップサイドダウン 重力の恋人
2013年06月27日 (木) | 編集 |





アップサイドダウン 重力の恋人(2012)カナダ
原題:Upside Down
監督:フアン・ソラナス
出演:キルステン・ダンスト/ジム・スタージェス/ティモシー・スポール
日本公開:9/7
 2重引力の存在する世界を舞台に、異なった引力の支配する世界に住む二人が惹かれあうという
ちょっと変わったSFロマンスです。

ジム・スタージェスは「下」の世界に住む青年アダム
キルステン・ダンストは富裕層の暮らす「上」の世界に住む女性エデン。
2人は幼い頃、引力の合流する地点で偶然知り合い、愛をはぐくむものの、ある事故で離れ離れに。




それから10年後、テレビでエデンが無事でいることを知ったアダムはエデンに遭う為に
危険を侵し、エデンの職場であるトランスワールドで働き始める・・

富裕層と貧困層の暮らす2重の世界が存在するというのは、近年SFでよく描かれるけれど
2つの重力が存在する世界と言うのは初めてかしら。
人々はそれぞれの世界の引力の影響を受けるため、アダムとエデンも逆さの状態で交流します。
上の世界のキルステンとスタージェス君のキスは、スパイダーマンを髣髴とさせるし
互いの引力を使って、大きくジャンプしながら森を駆け抜けたりするのが楽しい!


面白いのは一方の世界においても、元の世界の引力に支配されてること。
だから、エデンの世界で逢瀬を果たすのは大変なことで、
そのための苦労や工夫がコミカルで笑わせてくれます。
撮影はどうやったんだろうなぁと興味も沸きます。



しかし、異なった世界の交流は認められておらず2人の恋は危険を伴うことから
映画はサスペンスフルなものへと展開していくんですね。
それだけに、切実な恋物語として面白く観ました。

奇想天外なSFゆえ、ツッコミどころも多いですが
独創的な発想と、幻想的で美しい映像はとても新鮮でした。

上の世界は豊かではあるけれど強欲で、排他的
貧しい下の世界の人々の方が優しく素朴であることなど
富裕な国家に対する皮肉も垣間見えますね。

2人の恋を助けることになるトラススワールドでの同僚、「上」の世界のボブを演じるティモシー・スポールは、相変わらず脇役としていい仕事をしますね。
無重力を利用したスポールのダンスシーンは笑えました。

ラストはあまりに足早なんですが、続編ありきなのかなぁ。
ま、語り過ぎないくらいの方がいいのかもしれません。





 











【映画】パージ
2013年06月26日 (水) | 編集 |



いつもの映画館で『ビフォア・ミッドナイト』の上映が終わってしまい、仕方なくイーサン・ホーク主演のこちらを観てしまいました(泣)
パージ(2013)アメリカ
原題:The Purge
監督:ジェームズ・デモナコ
出演:イーサン・ホーク/レナ・へディ/マックス・バークホルダー/エドウィン・ホッジ/リース・ウェイクフィールド
舞台は2022年のアメリカ
増加する犯罪への対策として、政府は年に一度「パージ」と呼ばれる粛清日をもうけた。これは夜間の12時間の間、殺人含むあらゆる犯罪がお咎めなしに行えるというもの。

映画はイーサン・ホーク演じるジェームズ一家が迎える、あるパージの夜を描きます。
ジェームズはセキュリティ会社のやり手のセールスマンで、勿論自宅のセキュリティも万全。
しかし、モニターに助けを求める手負いの男が映し出されるに気づいた息子が、ロックを解除し、男を家に入れてしまうんですね。男はパージの標的として追われる身であったことから、危険はジェームズ一家に及ぶことに。一家の運命やいかに という話で、ハラハラドキドキ出来るつくりでした。




監督、脚本は『交渉人』の脚本家ジェームズ・デモナコ
赤狩りがレッドパージと呼ばれるように、purgeというのは抹消とか追放、粛清を意味し
この映画では、恨みに思う人を抹消したり、あるいは犯罪を犯しそのカタルシスを得ることで、逆に犯罪を減らそうという粛清の意味で用いられているようなんですが、犯罪を一日許可することで、住みよい未来が構築できるという発想がまず理解不能。
なんといっても政府が公的に粛清日を設けること自体、あまりに突拍子もないですよね。




『ファニーゲーム』『時計仕掛けのオレンジ』のような不快な不条理感はあるし
人はどんなところで恨みを買うか分からないとするプロットは面白いのだけど、登場人物の誰にもあまり共感できず、結果的にバイオレンスに嫌悪するだけの映画になってしまいました。
けれど、実際に犯罪社会にいることを思うと、色んな教訓は含まれていたとみるべきかもですね。

イーサン・ホークが、きちんと髪をまとめ、成功したサラリーマンを演じてたのはちょっと新鮮でした(笑)