映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
東京物語
2013年01月31日 (木) | 編集 |





恥ずかしながら初小津監督作品です。

東京物語(1953)日本
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、東山千栄子、山村聡、三宅邦子、村瀬禪、毛利充宏、杉村春子、原節子、香川京子



地方から老いた夫婦が上京し、成人した子供たちの家を訪ねる。子供たちははじめは歓迎するが、やがて両親がじゃまになって熱海に追いやられる。戦死した息子のアパート住まいの未亡人だけが親身になって面倒をみてくれた。

戦後の日本の家族の親子関係の崩壊を描く本作は、家族をテーマに描き続けたとされる小津作品の中でも代表作とされる一本ですね。
笠智衆、東山千栄子演じる老夫婦が上京し、息子や娘の家を訪ねるものの、都会で暮らす子供たちは忙しさにかまけ、ついには邪魔者扱い。
親をないがしろにする子供たち、親に乱暴な言葉を吐く孫、
戦後の高度成長の中、家族の関係は変わってしまったのだという嘆きが伝わります。





そんな中で戦死した次男の嫁(原節子)のみが、親身に世話をしてくれるという皮肉。
親と暮らす次女(香川京子)の古風な佇まいが本来の日本女性の姿であり
尾道での家族の姿があるべき親子の象徴だったのでしょう。

一見小学生の劇のように見える抑揚のない台詞回しは、小津監督の徹底した指導によるものだそうで、独特のペーソスと味を生んでいます。
そういえば小津を崇拝していると聞くアキ・カウリスマキ監督の淡々とした台詞回しに通じるものがありますね。

昔は子供たちももう少し優しかったのになぁと嘆きつつも会えた事を喜び、自分たちの人生は幸せな方だと笑いあう老夫婦を観ていると、かくありたいと思う一方で、涙がこぼれて仕方がなかった。
多くを求めず穏やかに生きる夫婦の台詞の一言一言が琴線に触れ、親孝行もままならなかった自分自身の後悔ともシンクロしたのかもしれないな。

今回観たのはTCMというクラシック映画専門チャンネルでしたが、解説者によると、『東京物語』がアメリカで知られるようになったのは製作から20年ほどたってからとのこと。
あまりに日本風と思われた本作も今では世界の名作のトップ10に入るほどだとか。
日本古式の家族の姿は古臭くもあるけれど、今も昔も変わらない親の思いや情けに触れ、家族を大事にしたいという思いに駆られる。
日本の美しさも醸しだす本作が、世界で受け入れられるのにも納得の秀作でした。







マリーゴールド・ホテルで会いましょう
2013年01月29日 (火) | 編集 |
劇場で観てから数ヶ月が経ってしまった。
まもなく日本公開ということで、DVDで再見しました。




マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2011)イギリス/アメリカ/アラブ首長国連邦
原題:The Best Exotic Marigold Hotel
監督:ジョン・マッデン
出演:ジュディ・デンチビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、マギー・スミス、デヴ・パテル、ペネロープ・ウィルトン 、セリア・イムリー、ロナルド・ピックアップ


「神秘の国インドの高級リゾートホテルで、穏やかで心地よい日々を」という謳い文句と美しいガイド写真にひかれて、イギリスからインドにやって来た未亡人イブリンら、それぞれの事情を抱えた男女7人。しかし、彼らを待ち受けていたのは「近いうちに豪華になる予定」というオンボロのホテルと刺激的すぎる異国の文化だった。

映画はホテルに集った7人の男女がそれぞれの問題に向き合う様子を
ホテルの再生物語と平行させて描く群像ドラマです。

一昔前は定年したら海外でのんびり暮らしたいと思う人も多かったと思うけど
最近はどうでしょ。住むとしたらオーストラリア?それともハワイ? 
インドを候補地に挙げる日本人は少ないかな。



本作ではインドで老後を過ごそうとする7人のワケあり中高年者が
これまたワケありホテルに集い、それぞれの問題に向き合いながら
進む道を決めていくお話。男女7人+インドの若者の群像劇ですね。

まず老齢のイギリス人とインドという組み合わせが面白いよね。
インドに偏見を持ち、恐々として日々を過ごすマギー・スミスなど
ベテラン陣のコミカルな演技も楽しい。
常套手段ではあるけれど、最初はインドの表面的な部分を描き見せ
徐々にカルチャーや人々の魅力を見せていく手法。

人生も終盤に近づくと、最後の人生をどう生きようかと思うことでしょう。
7人はそれぞれに、何かを変えようと切望していて、彼らの思いには大いに共感できるのですよ。



平行して描かれるのがホテルマネージャーの若者(『スラムドッグ&ミリオネア』のデヴ・パテル)のエピソード。倒れかけのホテルを再建しようと奮闘する彼の情熱が老人たちの気持ちを守り立て、老人たちの英知が若者をバックアップする。美しい恋人も目の保養になりました。
インドの街もまたカラフルで力強い。
欲を言えば、カルチャーギャップをもう少し見せてくれるともっと楽しかったかな。
あくまでイギリス人が垣間見たインドの形だったと思います。




監督は『恋におちたシェークスピア』でジュディ・デンチにオスカーをもたらしたジョン・マッデン
本作でのデンチは悲しみをたたえながらも前向きに生きる女性。素直な笑い声も可愛らしい。
インドの喧騒にも自然に溶け込むデンチ、そして彼女に思いを寄せるビル・ナイも素敵です。

いくつになっても成長できるし人生変えられるのだというメッセージが心地よい作品でした。
★★★★



 

トラックバック一覧

  1. 1. ■マリーゴールド・ホテルで会いましょう■’13(洋2)

    • [ティアドロップス〜涙の数だけ〜]
    • February 04, 2013 16:57
    • ■マリーゴールド・ホテルで会いましょう■     チェック:『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督が、ジュディ・デンチら実力派ベテラン俳優陣を迎えた群像コメディー。人生の終盤を迎えそれぞれに事情を抱える男女7人が、快適な老後を送るため
  2. 2. 「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」 で人生観が変わってしまう!

    • [★ B型的偏見思考 ★]
    • March 19, 2014 13:21
    •     最初に言いたいことを言わせていただくと、   「素晴らしい! 人生観変わっちゃう! 齢取る事なんて怖くない! 世の中明るいさ!」   って思わせる映画ってコトかな!?       ジュディ・ディンチが主演なんだけど、



SAG賞発表と、ジェニファー・ローレンスのドレスの秘密
2013年01月29日 (火) | 編集 |

Jennifer+Lawrence+2013+SAG+Awards

アメリカ映画俳優組合(SAG)賞が発表されました。
受賞結果は以下の通り。(受賞=★)

【主演男優賞】
ダニエル・デイ=ルイス  「リンカーン
 ブラッドリー・クーパー  「世界にひとつのプレイブック
 ジョン・ホークス  「The Sessions」
 ヒュー・ジャックマン  「レ・ミゼラブル
 デンゼル・ワシントン  「フライト

【主演女優賞】
ジェニファー・ローレンス  「世界にひとつのプレイブック
 ジェシカ・チャステイン  「ゼロ・ダーク・サーティ
 マリオン・コティヤール  「君と歩く世界
 ヘレン・ミレン  「ヒッチコック
 ナオミ・ワッツ  「インポッシブル

【助演男優賞】
トミー・リー・ジョーンズ  「リンカーン
 アラン・アーキン  「アルゴ
 ハビエル・バルデム  「007 スカイフォール
 ロバート・デ・ニーロ  「世界にひとつのプレイブック
 フィリップ・シーモア・ホフマン  「ザ・マスター

【助演女優賞】
アン・ハサウェイ  「レ・ミゼラブル
 サリー・フィールド  「リンカーン
 ヘレン・ハント  「The Sessions」
 ニコール・キッドマン  「The Paperboy」
 マギー・スミス  「マリーゴールド・ホテルで会いましょう

【アンサンブル・キャスト賞】
★「アルゴ
 「マリーゴールド・ホテルで会いましょう
 「レ・ミゼラブル
 「リンカーン
 「世界にひとつのプレイブック

昨日は授賞式をテレビで観て、主演女優賞受賞のジェニファー・ローレンス
プチアクシデントについてツィートしました。
動画を見てもらえればわかるように、壇上に上がるときに、二重になってるドレスの
下の部分が下がって、健康的な太ももが露になってちょっと冷えたんだよねぇ。


最初は途中で椅子に引っ掛けて下の生地をとめてある部分が破れたのではないかと言われてのだけど、実際にはドレスは薄地の生地に縫いつけられていて、正常な状態。
ジェニファーがドレスの上の部分をつまみあげたのと、多分ヒールで下の部分を踏んだのとの
コンビネーションアクションで、太ももが大きく露出しちゃったようなんですね。
衣装を担当したディオールも冷えたでしょうが
まぁ、パンツが見える位置じゃなくて良かったし、22歳のジェニファーだから可愛いです。
これがマギー・スミスとかだと洒落にならないですけどね(笑)

いずれにしても、彼女の度胸には感心したということで
アクシデントもプラスに変えてしまったジェニファーはやっぱり大物です。

動画のマリオン・コティヤールの「ギョ」っとした表情が笑えるw


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マリア・ブラウンの結婚
2013年01月28日 (月) | 編集 |


ニューシネマの旗手として、37歳の生涯を終えるまでに、年齢を上回る数の作品を残したというライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
没後30年として昨年日本でも監督の作品が上映されたようなので、私も乗じて、
まずは監督の代表作であり、西ドイツ三部作の一本『マリア・ブラウンの結婚』を。





マリア・ブラウンの結婚(1979)西ドイツ
原題:Die Ehe der Maria Braun
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:ハンナ・シグラ、クラウス・レービッチェ、イバン・デニ、ギーゼラ・ウーレン、エリザベト・トリッセナー


時下で結婚式を挙げたマリアとヘルマンだったが、ヘルマンはすぐに東部戦線へと送り出される。戦争が終わってもヘルマンは戻らず、マリアは夫の戦死を知らされる。やがてマリアは黒人兵士ビルと結婚し、平穏な生活を手にするが、そこへ死んだと知らされていたヘルマンが戻ってくる。

第二次大戦後の西ベルリンで混乱の10年を生き抜く悲劇のヒロインを描く作品です。





結婚生活わずか1夜と半日。
瓦礫の中、戦争から戻らぬ夫を探し駅に通っていたマリア(ハンナ・シグラ)は
ある日それをやめ、GIバーで働き始めます。
美貌を武器に、男に身体を許しながらも、
自分の愛は夫にあることを公言してはばからないマリア。
戦死したと思った夫が戻り、あることから夫は獄中生活を送ることになるのですが、
夫の消息がわからないときも、その後も、マリアが男を踏み台にしながら
地位を高めていくのは、夫を支えるためという目的があるからこそ。







でもね、観ていて、マリアは本当に夫を愛しているのだろうかと疑問に思ってくるんですよね。
仕事に没頭し、綺麗に着飾るにつれ、マリアは周囲の愛にもぞんざいになっていく。
ついに大きな家を構え移り住むことになった時、マリアの高圧的な口調はヒトラーをも思わせます。

この後は映画の結末に触れますので、未見の方はご注意ください。

ファスビンダーはマリアの姿にドイツの姿を重ねたんでしょうね。
夫ヘルマンはさしずめ愛国心の象徴でしょうか。

へルマンが自分の無事の証として月に一本の薔薇を送るエピソードもそれを思わせます。
マリアの部屋に飾られた薔薇たちは最初生き生きと美しい。
けれど、終盤には花瓶の薔薇は枯れしおれてしまっている。
思えば一ヶ月以上も前の花がいつまでも美しいはずがなく、当然の姿なのに
夫のためと懸命になっているときには本当の姿が見えないんですよね。
信じてきたものが幻だったと気づくとき、彼女は失った愛の大きさも知るのです。

ラストシーン、ワールドカップを中継するラジオがドイツの勝利を高らかに称える中
マリアが最期の時を迎えるのも象徴的。
戦争ってなんだったんだ。虚しさが残りますね。

途中ため息がでるほどに上手さを感じたし
考えれば考えるほど深みに嵌ってしまえる作品です。
ファスビンダーの世界をもっと知りたいと思いました。






ジェレミー・レナー『ヘンゼルとグレーテル:ウィッチハンターズ(原題)』
2013年01月27日 (日) | 編集 |




ヘンゼルとグレーテル:ウィッチハンターズ(2013)ドイツ/アメリカ
原題:Hansel & Gretel: Witch Hunters
監督:トミー・ウィルコラ
出演:ジェレミー・レナー、ジェマ・アータートン、ファムケ・ヤンセン、ピーター・ストーメア、トーマス・マン


グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』の後日談
あれから15年、今では賞金稼ぎで世界中の魔女を退治するヘンゼルとグレーテル兄妹の姿を描くホラーアクション映画です。
ヘンゼルとグレーテルにジェレミー・レナージェマ・アータートン
IMAX3Dで観たのですが・・前日の睡眠不足がたたり、半分くらい寝ちゃいまして(汗)
とりあえず空白を部分を友達に聞いての、ザル式鑑賞記録であります(笑)

これ、監督が『処刑山-デッド・スノウ-』のノルウェー監督トミー・ウィルコラだったのね。
ご存知の方はテイストをいくらか想像していただけるかもしれませんが
ブラックユーモアの効いた『処刑山』が好きな方は本作もそれなりに楽しめるかと。



お薦めポイントはまずはジェレミーとジェマのコンビのクールさでしょうね。
二人のテンションが高すぎずシニカルなので、ファンタジーながら大人も付き合える。

オリジナルの『へンゼルとグレーテル』はそもそも口減らしのために
姥捨てならぬ、子供を森に捨てるという、実は暗い話なのだけど
本作での両親のエピソードは、魔女狩りのあった時代ならでは新しい解釈で面白い。
その時代には絶対になかっただろという武器が出てくるのも武器マニアには嬉しいかも。
エンドロールではじっくり武器を見せてくれました。



ま、寝てましたから、このくらいのことしか書けませんw
あ、魔女のリーダーを演じたのは『96時間シリーズ』のリーアムさんの元妻
ファムケ・ヤンセンだったのはビックリ(笑)

日本公開はいつでしょう。