映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
トム・ハーディ新作『欲望のバージニア』
2012年08月31日 (金) | 編集 |
トム・ハーディの新作『Lawless] 初日に行ってきました~。
禁酒法の時代に密造酒を扱った三兄弟を描く実話ベースのクライム・サスペンス。
監督は『プロポジション -血の誓約-』『ザ・ロード』のジョン・ヒルコートです。

 

欲望のバージニア 2012年(アメリカ)
原題:Lawless
監督:ジョン・ヒルコート
出演:シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ジェイソン・クラーク、ジェシカ・チャステイン、ガイ・ピアース、ゲイリー・オールドマン、ミア・ワシコウスカ 

 
禁酒法の時代のヴァージニア州フランクリン。
ジャック(シャイア・ラブーフ)、フォレスト(トム・ハーディ)、ハワード(ジェイソン・クラーク)のバンデュラント兄弟は、
地元警察とも密かに取引しながら密造酒で生計を立てていた。ジャックの幼馴染で密造の相棒クリケットの作り出す酒が絶品を極める折、赴任してきた捜査官チャールズ・レイクスの存在が兄弟を危機に追い込む。


これは期待以上に良かった!!
 

まず捜査官チャールズ・レイクスを演じるガイ・ピアースが憎たらしくて最高!
違法な密造施設を取り締まる任務を与えられながら、実はとんでもない汚職役人。
ジットリ陰湿でホモっぽいかと思えば、異様なまでに暴力的。彼を知り尽くしすヒルコート監督は、
ガイ君のガイはキチガイのガイとばかりにwその狂気を最大限に引き出し、映画に緊張を与えることに成功しています。
レイクスは間違いなく今年一番の悪役でしょう。
ガイ自身が付け加えたという見事な分け目にも笑えるところで役を理解し演じきったガイにはオスカーをあげたい。
 
 

わがハーディは、凶暴だけど寡黙で朴訥とした次男坊のフォレストを演じてます。
モゴモゴ話す彼がジェシカ・チャステインと接するシーンなどであーとかおーとか言うたびに会場は笑いに包まれる。
ハーディがコメディ部門を担当しているとは夢にも思わなかっただけに新鮮でした。
ギャングを演じる久々に残忍クレイジーなゲイリー・オールドマンにもニマニマしたし
グラマラスなジェシカ・チャステインやミアなど脇のキャラがたってます。

つい役者のことばかり書いてしまうのはキャラクターの面白さがこの映画の最大の魅力でもあると思うから。
バイオレンスとユーモアを共存させている点で、監督はタランティーノに近い作家性を持ってると言っていいかもしれません。
IMDbでも8.1。公開2日目にして、ツイッターでも大評判の本作個人的には今年一番に楽しめた一本でした。
 
★★★★☆


『最愛の大地』ボスニア紛争の悲劇を描くアンジー初監督作品
2012年08月30日 (木) | 編集 |
1990年代に起きたボスニア紛争を舞台に、セルビア人とムスリムという敵対する民族の恋人同士の運命を描く社会派ヒューマンドラマ。
アンジェリーナ・ジョリーの初監督作品です。




最愛の大地
2011年(アメリカ)
原題:In the Land of Blood and Honey
監督:アンジェリーナ・ジョリー
出演:ザナ・マルヤノヴィッチ、ゴラン・コスティッチ
 


サラエボを首都とし、主にムスリム人(ボスニア人)、セルビア人、クロアチア人からなる多民族国家であるボスニア・ヘルツェゴビナでは、ユーゴスラビアから独立する際に、目指すものの違いから民族間で衝突が起きる。それがボスニア紛争(1992~95)ですね。




主人公のアイラ(ザナ・マルヤノヴィッチ)はムスリムの独身女性
セルビア人兵士である恋人ダニエル(ゴラン・コスティッチ)とデート中に紛争が勃発。

独立した国家を作りたいセルビア人は、多数派であるムスリム人を迫害
若いムスリム女性を集めて施設に収容してしまうんですが
その施設の管理者になるのがダニエル。
施設ではセルビア人兵士によりレイプが繰り返される中、
ダニエルはアイラを守るべく、部屋を与え匿う・・ という話。

他民族の排除のために、戦える若い男は銃殺し、嫌がらせとして女性をレイプしたり
『あなたになら言える秘密のこと』でサラ・ポーリー演じた主人公が、
砂を噛むような味気ない日々を送りながら、胸の奥底に閉じ込めた秘密
その全てが、この映画で描かれる形なわけですよねぇ。



そんな異常な世界で、はたして異民族同士愛し合うことができるのか。。
二人の運命の行方は映画を観て確かめていただくとして

迫害されるものの苦しみ、迫害する側の葛藤含め
ボスニア紛争で何が起きたのかを、多面的に描こうとしているのは興味深いし
スリリングな描き方も悪くない。主演女優の演技もいいです。

但し、恋愛の描き方が意外に浅いので、ドラマとしての面白みに欠けたかな。
そんなに昔じゃないのに、こんなことが起きたんだなぁというのを
客観的に眺めて終わってしまったというのが正直なところ。

とは言え、初監督作品にこういう題材を選ぶアンジーの度胸には拍手だし
世界で何が起きてるのかをジャーナリスト的に発信してくれる映画人として
これからも注目したいと思います。


日本公開の話はまだ聞きませんね。
追記:2013 8月10日~公開決定

★★★☆


『バーク アンド ヘア』19世紀に実在した殺人鬼を描くブラックコメディ
2012年08月29日 (水) | 編集 |
今日は日本公開中の作品から
サイモン・ペッグとアンディ・サーキス主演で、19世紀のイギリスで実際に起こった
連続殺人事件を描くブラックコメディ『バーク アンド ヘア』。




バーク アンド ヘア
2010年(イギリス)
原題:Silent House

監督:ジョン・ランディス
出演:サイモン・ペッグアンディ・サーキス トム・ウィルキンソンアイラ・フィッシャー



エジンバラの露店でニセモノの薬売りをしていたバークとヘアは、インチキがばれて稼ぎがなくなってしまう。残された収入源は貸している部屋の家賃だけだったが、部屋を訪ねると借り主が死んでいた。死体の処理に困った2人だったが、解剖学者のノックス博士のもとに運び込んだところ、死体は5ポンドで売れた。これに気をよくした2人は、金稼ぎのために死体を手に入れようと武器を手に街に繰り出す。

19世紀のイギリスでは急速に医学が発達し
医者は高いお金を払って解剖用の死体を買い取る。
すると、金儲けのために墓荒らしをするものまででてくるんですなぁ。



本作の主人公の二人組みも、墓荒らしから始まり、次第に殺人を繰り返すことになる。
これ実話ということで、1971年にも同タイトルでホラー映画になってるんですね。
前に観た『I Sell The Dead』もこの時代かな。

今回、二人組を演じるのが『宇宙人ポール』のサイモン・ペッグ
『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム、アンディ・サーキス
監督は『ブルース・ブラザース』のジョン・ランディとあって
なかなかにコミカルな仕上がり。
しかながら死体を買い取るノックス博士にトム・ウィルキンソン等、実力者が脇を締め、
実録物の味付けなのが渋いです。




まぁ、色々にマイルドで、大笑いのブラックコメディを期待すると予定が外れるんですが
19世紀という時代背景が意外にも丁寧に描写されているので、
時代ものとして見るのもいいかもです。
ちょっとしんみりなロマンスを見せてくれるサイモンも珍しいしね。

★★★☆


長回しで恐怖を畳み掛ける『サイレント・ハウス』
2012年08月27日 (月) | 編集 |
夏が終わるまでに私もホラーを少しいっときましょ。
今日はエリザベス・オルセン主演、『オープン・ウォーター』の
クリス・ケンティス&ローラ・ラウ夫妻がメガホンを取った
サイコホラー『サイレント・ハウス』です。





サイレント・ハウス
2012年(アメリカ)
原題:Silent House

監督:クリス・ケンティスローラ・ラウ
出演:エリザベス・オルセン、Adam Trese、 Eric Sheffer Stevens


サラは父親とともに、湖畔の別荘にやってきた。
別荘を売り出すために片づけをするのが目的だが、サラは気乗りがせず作業が進まない。
そんなとき、家の中で不審な物音を聞くサラ。
恐怖に怯えながらその正体に近づこうとした矢先、父は何者かに襲われ倒れた・・




予告が怖すぎたため、劇場をスルーしてDVDでの鑑賞と相成りました。
SHOT/ショット』というウルグアイ発スリラーのリメイクという本作は
オリジナルの86分ワンカットというノンストップスリラーを踏襲した長回しが話題です。
実際には3~4カットを繋ぎ合わせているらしいですが、見ているほうは
サラが感じる恐怖を、タイムリーに体験できるという作り。

まず暗闇で、部屋の中もランプに照らされた一部しか見えないところが怖いんですね。
その見えないところに何かがいるでしょ、、とか
イヤ~ん、今一瞬何かが見えたよ、とか。



あるいは、サラのすぐそばのカメラが捕らえてない所に
何かが潜んでいそうでとにかく怖い。
マーサ・マーシー・メイ・マリーン(原題)』で主演し、
新ホラーの女王としてハリウッドで最も注目されるエリザベス・オルセンの
恐怖に怯える様子はそれだけで、ホラーを際立たせて上手いし
清楚なお顔に不釣合いなプチ巨乳なお体にも目が離せないんですがw
ただね、88分というのはお化け屋敷的恐怖を観せるには、ちと長いんですね~。
その恐怖にも次第に麻痺してくる、私はね。
いい加減次に進もうよという気になってきましたもん。
そして、ようやく明かされた謎も
今となってはありきたりな気がして、個人的には肩透かし。

あとで『オープン・ウォーター』の監督コンビの作品と知って、なるほどと納得したのだけどね。

オリジナルはめっさ怖いらしいからそっち観てみようかな。
ってか、オルセン嬢がなかなか日本上陸を果たせないのは何故なんだ。

★★★







ペーパー・ムーン
2012年08月25日 (土) | 編集 |

ピーター・ボグダノヴィッチがライアン・オニール、テイタム・オニールの父娘を起用し描く陽気なペテン旅行。
最高にハートウォーミングなロードムービーです。

 

ペーパー・ムーン
1973年(アメリカ)
原題:
Paper Moon
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
出演:ライアン・オニール /テイタム・オニール /マデリーン・カーン /ジョン・ヒラーマン  
     ランディ・クエイド

聖書を売り付けて小金を稼ぐ詐欺師のモーゼが、亡くなった知り合いの娘アディと出会う。
彼は嫌々ながら彼女を親戚の家まで送り届ける事になったが、ペテンの相棒としてアディと旅を続けるうち、モーゼは父親めいた愛情を感じていく……。
 

父親を知らない9歳の少女アディに扮するのがテイタム・オニール
母を無くし一人ぼっちになったアディー。
その葬儀に参列したモーゼは母の友人らしい。
「あごが似てるから、あんた、この子の父親?叔母さんのところへ連れてってあげなさいよ」
みたいなノリで、アディと一緒に旅することになったモーゼ。

モーゼを演じるのは「ある愛の詩」のライアン・オニール
実のパパだもの、あごも確かに似てるよね。

モーゼが生業としてるのが未亡人を相手にしたセコイ詐欺なんだけど、
モーゼという名前で、聖書を使ったペテン師ってところがまた面白い。

あれよという間に詐欺の片棒を担ぎ
しっかりモーゼの相棒の役割を果たしていたアディ。


危ない橋を渡りながらの珍道中。
アディは途中何度も「あなたは私のパパじゃないの?」と聞くけれど
モーゼの答えは「ノー」

本当のところは最後まで分かりません。
でも、二人には確かな絆が生まれていくんです。

「信じあえば… 愛しあえば… 助けあえば… 
紙のお月様だって ほら!本物に 見えるでしょ」

これは、キャッチコピーの抜粋。


ベッドで煙草は吸うし、いつもラジオで聴くのは落語風
心の中の寂しさを隠しながら、小生意気に振舞うアディは
歳の倍も早く大人になろうとしてるかのよう
可愛いリボンがちっとも似合ってないのが最高に可愛いく
がに股歩きも、にんまり笑いもいけてます。

テイタムはこの演技でアカデミー助演女優賞獲得。最年少かな。
禁酒法の時代を背景にし、敢えてモノクロでクラシックな味わいなのもいいですね。

途中、決闘をして得たトラックのドアが壊れたり
ラストシーンで走り出した車に二人追いついて飛び乗るシーンは
『リトル・ミス・サンシャイン』を思い出したよ。


紙の月も、本物のお月様になりえる。
大好きな最高のロード・ムービーです。


★★★★☆