映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】善き人
2011年11月26日 (土) | 編集 |

オスカーを騒がせそうなイイ男 ヴィゴ・モーテンセン

フロントランナーではないんですが、ヴィゴにはクローネンバーグの新作『デンジャラス・メソッド』で
オスカーノミネートの期待がかってますね。
第一次世界大戦前夜を舞台にカール・ユング(マイケル・ファスベンダー)とフロイト(ヴィゴ・モーテンセン)と
患者(キーラ・ナイトレイ)との精神分析にまつわる三角関係を描くというダークな心理ドラマらしいです。
むむ、難しそう(汗)
今日はヴィゴの作品から、ヴィゴがナチ党員となった大学教授を演じる『善き人』を観ました。
 
善き人(2008) イギリス
監督:ヴィセンテ・アモリン
出演:ヴィゴ・モーテンセン/ジェイソン・アイザックス/ジョディ・ウィッテカー/スティーヴン・マッキントッシュ
 
英国の劇作家C・P・テイラーの舞台劇『GOOD』の映画化で
ナチ政権下のドイツを舞台に、一人の大学教授の苦悩を描く作品です。
 
ヴィゴ演じるジョンは、半分ボケた母親を介護し、
妻に代わって子供の食事まで作る家庭人であり、熱心な大学教授。
戦争を共に戦ったユダヤ人モーリス(ジェイソン・アイザックス)の良き友でもあります。
ところが、彼の著書をヒトラーが気に入ったことから、
ジョンはナチ入党を余儀なくされ、次第に激化する反ユダヤの動きの中
彼は党員としての立場と友情との狭間で悩み、追い詰められることになるんですね。
 
20年ほど前には同じドイツ人として国のために戦った者同士が
片やSS、片やユダヤ人という相反する立場になってしまうという構図が恐ろしいです。
 
時代の流れとは言え、知識人が実感もないままにSSの指揮官にまで上り詰める。
ジョンのように、気づいたらホロコーストに加わっていたという人も多かったのでしょうか。
 
後半、ジョンが危険を犯し、モーリスの逃亡を助けようとするところが緊張をあおります。
最後の最後に、呆然とするジョンにかぶさる『GOOD』の文字が虚しいですね。
 
 
劇中 印象的に使われているのが、美しい旋律の音楽です。
あとで調べたらグスタフ・マーラーのシンフォニーからで、劇中3度ほど登場するんですが
その美しい歌声を耳にしたジョンは一度目は嬉しそうに一緒に歌うのですが
二度目はナチ党内で耳にし、つい口ずさんでしまうところを新妻に「何してるの?」と顔をしかめられます。
三度目はユダヤ人収容所で。ファンタジーとも言うべきシーンでしょう。
もはやジョンは口ずさむことはしません。ただ呆然と、自分が全てを失ったことに気づくんですね。
あの音楽は彼の中の「善き人」の象徴だったのかもしれません。
 
ただ、肝心なヴィゴの葛藤を描くところまでたどり着くのが長い。
それだけ、日々の生活にかまけ、ことの重大さから目を背けていたのかもですが
ヴィゴも、人物像を描き演じるのが難しかったかも。
 
監督のヴィセンテ・アモリンは本作が長編2本目とのことですが
次の作品『DIRTY HEARTS』では
伊原剛志と常盤貴子が日系人を演じ、高い評価を得てるみたいです。
 
 
『善き人』はお正月に公開です。
 
 

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風と共に去りぬ
2011年11月25日 (金) | 編集 |

 
究極の「今頃観たんかい!」ですが、感謝祭にいっとくか!ってことで、やっと観ました~w
 
風と共に去りぬ(1939) アメリカ
監督:ヴィクター・フレミング
出演:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲイブル/レスリー・ハワード/オリヴィア・デ・ハヴィランド/
    トーマス・ミッチェル/バーバラ・オニール/ハティ・マクダニエル
 
南北戦争の頃のアトランタを舞台に
南部の大牧場主の娘スカーレット・オハラの波乱万丈の半生を描く超大作です。
 
南北戦争による南軍の敗退で、全てを奪われ、かろうじて残った家と土地を守るために、
ゼロから這い上がるヒロイン スカーレットをヴィヴィアン・リーが演じ
アカデミー主演女優賞を受賞しています。
 

このスカーレットという役は、激しく高飛車でねw
多額な税金を支払うためには、妹の婚約者を奪ったり
涙を女の武器にしたりと、計算高いことこのうえない。
有名なドレープ(カーテン)ドレスも、バトラー(クラーク・ゲイブル)に金の無心にいく手段だったしね。
 
でも、プライドをかなぐり捨ててでも、逆境に立ち向かおうとするその気概こそが魅力的で
奇麗事では済まされない時代を物語ることに成功しています。
自分の気持ちに正直で、クルクル変わるヴィヴィアンの表情を見てるだけでも飽きないし
ゴージャスなドレス姿は目を楽しませてくれるしね。
 

正直凄く感動したかというと、そうでもなかったんですが
それは、ラストシーンがあれだったからなぁw
バトラーとスカーレットのじれったいロマンスがあの形で終わったのは正直びっくり。
そして、かの有名な「明日は明日の風が吹く」になるわけですからね。
ポカーン
 としちゃいましたけど、
いやいや、スカーレットはん、あなたなら絶対大丈夫、頑張りや~って思えますよね
 

 
砲弾にやられ、負傷した無数の南軍兵士が赤土の上に横たわるシーン↑
赤い炎に包まれるシーン、スカーレットが再起を誓う夕日のシーンなど
記憶に残るシーンも多く、映画のつくりとしての大きさには圧倒されました。
 

一番楽しかったのはスカーレットとメイドのマミー(ハティ・マクダニエル)のやり取りですね。
特に妹の婚約者に、「妹はあなたを待てずに他の人と結婚するの」と告げる
下心満々のスカーレットを、お口あんぐりでみつめるマミーが最高。ここ爆笑でした。
コミカルなだけでなく、スカーレットのことを誰よりも理解しているところが泣けるんですよね。
ハティ・マクダニエルも黒人初となるアカデミー助演女優賞受賞
 
ピンクの電話のよしこちゃん声の若い方のメイドもインパクトあったけど
『ヘルプ~』を観たあとなもので、奴隷側からみるとまた別の物語になるんだろうな、なんて思ったり。
 
観終えると「今ではすべて夢 人の心にのみ残る 風と共に去った時代である」という冒頭の説明書きが
しっぽりと心に収まる そんな映画でした。

【映画】バーバー
2011年11月21日 (月) | 編集 |
 
コーエン兄弟の『バーバー』観ました~。
バーバー(2001) アメリカ
監督:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
出演:ビリー・ボブ・ソーントン/フランシス・マクドーマンド/ジェームズ・ガンドルフィーニ
アダム・アレクシ=モール/マイケル・バダルコ/キャサリン・ボロウィッツ/リチャード・ジェンキンス
       スカーレット・ヨハンソン
 
主人公のエド(ビリー・ボブ・ソーントン)は妻の兄の営む床屋に働く無口な男。
ひょんなことから妻(フランシス・マクドーマンド)の浮気を疑い始めた頃
ドライクリーニングのベンチャー企業を始めようとしている客の話に心を動かされる。
共同経営者となるための資金を調達すべく、
エドは妻の浮気相手をゆすることを思いつくが・・・


冴えない床屋があることをきっかけに人生の歯車を狂わせていくという
コーエン兄弟お得意の悲喜劇です。
モノクロの映像がクールで美しく、陰影がときにサスペンス性を高めることにも成功してますね。
 

ビリー・ボブ・ソーントン演じる床屋のエドは
妻の浮気を察知しても、義兄のおしゃべりにうんざりしてても、顔色を変えるでもなく
静かに煙草をふかしてやり過ごす男。
その姿勢は彼の周りで次々に事件が起こり始めても変わりなく
淡々と運命を受け入れていく姿はこっけいでいて哀しくもあります。
 
原題は『THE MAN WHO WASN'T THERE』
時代背景となる1949年は、戦後の賑わいが増す一方で
米ソが核兵器開発競争に突入し、ハリウッドでは赤狩りが行われた時代。
そんな中でのエドの存在はまさに初めから存在しなかったほど という描き方でしょうか。
登場する刑事たちが妙に人情的だったところにちょっと笑ったのだけど
それはエドとの対比だったのかしら。
 
劇中、エドが子供の髪に視線を落とし
「髪の毛はどうして伸びるんだろう。身体の一部にも係らず、埃と一緒に捨てられてしまう」
と嘆くシーンが印象的。
落ちていく人生に身を任せるような、ある意味達観した主人公だけど
(立派な父親がついてるのにw)若いスカヨハの将来を気にして
立派なピアノ教師のところまで連れて行く
そんな一面も持ち合わせていることに微笑ましさを感じました。
まぁ、それもあんなことに繋がる という皮肉もいとおかし ですね(笑)
 
渋くてオフビートなビリボブがぴったりはまっていて、好きな作品でした。
 

サスペクト・ゼロ
2011年11月13日 (日) | 編集 |
 
オスカー関連一休みして
今日はアーロン・エッカート主演、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』のE・エリアス・マーヒッジ監督がによる
サスペンス・スリラー『サスペクト・ゼロ』観ました。
 
サスペクト・ゼロ (2004) アメリカ
監督:E・エリアス・マーヒッジ
出演:アーロン・エッカート/ベン・キングズレー/キャリー=アン・モス/ハリー・レニックス
   ケヴィン・チャンバーリン/ウィリアム・メイポーザー/フランク・コリソン

アーロン・エッカート演じるのは、不当逮捕が原因で
アルバカーキーの片田舎に左遷をくらったFBI捜査官トム。頭痛もち。
赴任初日から、猟奇殺人事件が立て続けに発生。
被害者はまぶたを切り取られ、死体には「0(ゼロ)」のマークが残されていた。
トムのもとには犯行を予告するかのようなスケッチが送られ
捜査線上に元FBI捜査官を名乗る謎の男(ベン・キングズレー)の存在が浮かび上がるが・・
 
 
シリアルキラー・キラー(ややこしいw)キングズレー VS FBI捜査官エッカートの攻防を描く作品です。
まぶたを切り取る猟奇性や、マークを残す犯行の手口から
『セブン』や『ゾディアック』のように、サイコな犯人が捜査官を翻弄する話かと思ったら違いました。
キングズレーはなぜシリアルキラーを血祭りにあげるのか?
その謎に迫れば迫るほど、思いがけない事実にぶち当たって、まぁびっくり。
 
 
とにかくベン・キングズレーが凄いですね。登場シーンからえらい迫力。
殺人現場に現れるシーンもどんだけ怖いねん! 
↑頭光ってるだけでも怖いでしょw
 
終盤にはキングズレーの苦悩が明かされ、
トムに接触を求めたのは何故だったのかも知ることになるんですが
トムの左遷や頭痛などの伏線にもきっちり答えを与え
キングズレーの苦しみは彼だけに終わらないんだというラストに、深い余韻を残しました。
 
あ、でも、これあまり人気ないの? 設定がとっぴ?
いやいや、この映画に描かれるような「謎のプロジェクト」も あり でしょう。
J・エドガーならそんなことも考えそうだもんw
 
しかし、人間って想像を超える可能性を秘めてるんですね。
何かひとつ鍛えてみようかしらん。。遅いか?
 
クルーニーの『ヤギと男と男と壁と』とセットでどうぞ