映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ザ・ビリーバー/The Believer(原題)
2011年07月31日 (日) | 編集 |
5大映画祭特集 2本目
今日もサンダンスからの一本
これ、『ヘドウィグ~』と同じ2001年にグランプリを獲得した作品なんですが
日本には全く入ってきてないのね。邦題もなしです。
ライアン・ゴズリング主演の問題作『ザ・ビリーバー/The Believer
 
ザ・ビリーバー/The Believer (2001)アメリカ
監督:ヘンリー・ビーン
出演:ライアン・ゴズリング/サマー・フェニックス/ビリー・ゼイン/テレサ・ラッセル/ギャレット・ディラハント
 
ハリウッド俳優の中で今 一番の注目株は? と聞かれたら、
まっさきに ライアン・ゴズリングをあげます。
注目作品の公開が目白押し。 その実力が徐々に認められてきてますね。
本作で、ライアンが演じるのは、ネオナチに傾倒するダニエル。
スキンへッドにナチのTシャツといういでたちで
仲間とビリー・ゼインの主催するファシストの会に参加する 反ユダヤを掲げる青年です。
憎々しくユダヤ人学生を見つめ、電車を降りた学生の後を追い、暴行を加える 
その緊張感たるや、半端じゃない。
 
ネオナチが、ユダヤ人を憎む様子を描くスリラー・・と思いきや
映画はそんな単純じゃないのですよ。
 
まず驚くのが、ダニエルは、実はユダヤ人であるという事実。
そして、これ少しネタバレだけど、彼はフラッシュバックで、
ナチス兵として、ユダヤ人を虐殺する自分の姿を見るわけなんですね。
これはダニエルの前世の姿なのか・・・
 
 
ダニエル自身、反ユダヤ的な破壊行動に出る一方で
ユダヤ教を敬うという、まるで逆の行動を取り始める
もう、どっちやねん!って話なんですが
彼の中に潜む両面性が複雑極まりない。
最もそれを象徴するのが、
ユダヤ教の教会から持ち帰ったタリート(礼拝のときに男性が着用する布)を腹に巻き
「ハイル・ヒトラー」のナチス式敬礼を繰り返すという、おぞましいシーン。
 
ラストは、ダニエルの輪廻の業とも言える、ファンタジーなシーンで終わり
切ない余韻を残しました。
 
これ、かなり面白い作品だと思うんだけど、内容が内容なだけに、
ユダヤ人支配のハリウッドから嫌われ、映画祭の直後は配給が付かずじまい。
のちにマイナーな会社が買い上げ
ケーブルで放送されていたものの、911以後はスケジュールもキャンセルになったとか。
そんないわくつきの作品だけど、存在は知っておいてもいいかなと思い、記事にしました。
 
ダニエルを演じるゴズリングの演技は見もの.。
恋人役のサマー・フェニックス(リバーの妹)との刹那な恋物語でもあります。
隠れた問題作ですね。
トレーラー貼っておきます
 
 

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【映画】ムーンライティング
2011年07月21日 (木) | 編集 |




 



ムーンライティング (1982) イギリス
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:ジェレミー・アイアンズ/ユージン・リピンスキ/Eugeniusz Haczkiewicz



【ストーリー】
1981年、冬。ノヴァクをリーダーとする4人の男が空港から降り立つ。
彼らは、ロンドンのアパートの一室の改造工事を請け負い、ポーランドからやってきた不法労働者だ。
4人はアパートに住みながら、工事に取り掛かるが、
まもなくして、祖国ポーランドでは戒厳令がしかれ、外からの連絡は一切取れなくなる・・

ポーランド出身のイエジー・スコリモフスキ監督が、ポーランド民主化運動を背景に撮りあげた作品です。
映画の時代背景となる1981年の12月には、戒厳令が公布され約一年間続いたんですね。



 ノヴァクを演じるのはジェレミー・アイアンズ
英語を喋れるということで、リーダーとして仕事を任されているのですが
彼は祖国ポーランドで起こっている事実を、仲間に伝えることができず
あらゆる情報を隠し、仲間に仕事を強いります。
ポーランドと連絡も付かないことから、お金も尽きてくるなか
万引きを繰り返し、なんとか帰国の資金を維持しようとするノヴァク・・

祖国に政治的な問題が勃発し、よその国に取り残されるという点で
『ターミナル』を思い出すところだけど
本作では、一人だけ事実を知っているアイアンズが、仲間に真実を隠し立ち回る様子が滑稽でいてスリリング。
でも、彼らは本当にポーランドに帰れるのかと、観てるほうは気が気じゃない。


言葉も分からず、言われるままに労働に従う3人の労働者に、
ポーランドの国の情勢を被せているのかな など、いろんな解釈ができますね。
時々「なんじゃこりゃ?」なシーンがはさまれるのが監督らしい感じかな。

コメディの形をとりながら、ポーランド出身の監督ならではの憤りや、悲哀がつめこまれた作品でした。

本作はカンヌで脚本賞を受賞。
戒厳令勃発の翌年にカンヌに出品していることからも、世界に事実を発信しようとする監督の思い入れを感じるところ。






七人の侍
2011年07月19日 (火) | 編集 |

 
ダラス・アジア・フィルム・フェスティバルでの鑑賞です。
世界のクロサワ作品の中でも、一番の評価を得ている作品ですね
七人の侍 (1954) 日本
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/志村喬/津島恵子/藤原釜足/加東大介/木村功/千秋実/宮口精二/小杉義男/左卜全
【ストーリー】
麦の刈入れが終わる頃。とある農村では野武士たちの襲来を前に恐怖におののいていた。
百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば飢え死にしてしまう。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことを決断する。やがて、百姓たちは食べるのもままならない浪人たち7人を見つけ出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。(allcinemaより)
 
今頃観たんかい!シリーズですね~。
3時間27分という長さにびびってましたが、時間を感じませんでした。
 
ハリウッドリメイク品の『荒野の七人』を観てましたが
ドラマの深さは、クロサワに軍配ですね。
 
村を盗賊から守るために百姓が侍を雇う、
普通に考えたら、ありえないようなお話だけど
お腹を空かせた侍を、白米のおにぎりで釣ろうというのが面白い。
けど、百姓たちの思惑とは違って
侍たちは、必ずしも食べ物に惹かれて引き受けるわけではない
ストイックな侍魂 心に持ち続けてきたあだ討ちの思い 憧れなど それぞれ。
最初に引き受けることになった志村喬の人柄に触れ、人が結束する
リーダーシップとはこうあるべき。
 
上映前のトリビア・コーナーで、「出演者の名前は?」との質問に
「トシロ・ミフネ」(発音悪しw)と正解者が答えてくれたけど
やっぱりクロサワ映画の立役者は三船敏郎なんでしょうね。
粗野で、果敢で、時に能天気で、大きなガキ大将みたいなキャラだけど
彼が登場し、ピョンと飛び上がるたびに会場が爆笑する
サイレント映画のチャップリン的な役割を担ってるんだと思った。
馬芸ならぬ、馬とのユーモラスな絡みも楽しい。(馬も巧いんだけどw)
 
あと、剣の達人宮口精二に憧れる若者は、
一瞬ゲイに目覚めたのかと思ったけど、そうではなかったのねw
 
後半の盗賊との戦いは凄まじい
村人も確実に成長した。
ズビズバァの左朴全(歳がばればれw)のすっとぼけたキャラが好き(笑)  
 
ラストにかかり、田植えのシーンのエンタメ性の心地よさ
自らの身分を悟る村娘の悲哀など
戦の後の悲喜こもごもにもジンとする。
 
この時代に日本でこんな映画を作ったことに驚くし、誇りに思いますね。
映画鑑賞の直前に、なでしこジャパンの世界一が決まったわけで
SHIGEさんがコメントしてくれたように、
同じ日に、世界の頂点に立つ日本をダブルで経験できたことは、最高に幸せでした。

『ウィズネイルと僕』と青春の終わり
2011年07月01日 (金) | 編集 |
 
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60年代の終焉を生きる若者の青春物語『ウィズネイルと僕』を観ました。
ウィズネイルと僕 (1988) イギリス
監督:ブルース・ロビンソン
出演:ポール・マッギャン/リチャード・E・グラント/リチャード・グリフィス
 
■感想
1969年、ロンドン北部カムデンタウン。5年越しの友人、ちょっとエキセントリックな売れない役者のウィズネイルと、同じく売れない役者の"僕"は、汚れもののたまった男二人暮らしのフラットの淀んだ空気や、イカれたドラッグラッグ仲間にうんざり。気分転換にウィズネイルの叔父モンティのコテージに出かけたが、食料も燃料もなく、思い描いていた"カントリーサイドでの休暇"にはほど遠い。おまけにゲイのモンティ叔父さんは、 "僕"に気があるようで…。
 
イギリス映画のトップ25とか、カルト映画のランキングには必はいってくる本作は、脚本も努める監督ブルース・ロビンソン自身の半自伝だそうです。

「僕」(ポール・マッギャン)は日々の暮らしにうんざりで、ウィズネイル(リチャード・E・グラント)のアル中も度を増す一方。お金が欲しくても仕事がない。どうしたもんだ。
 
まぁ、そう言うと、どんより暗い映画を想像するかもだけど
どん底な暮らしぶりを、ゲイの叔父との絡みや、田舎の人々との交流などを、
独特のユーモアで描いていて、笑いどころも満載。
でもそんな二人に、やはり未来はないのよねぇ。

これ、イギリス英語が苦手な私にはちょっと難しく、2度観ないといけなかったのだけど
2度目に観ると、最初から切なさが募ってくる、
冒頭のキング・カーティス「A Whiter Shade of Pale」も痺れるし
ジミ・ヘンドリクス など音楽の使い方も最高なのです。
ひとつの青春が60年代という時代とともに終わりを告げる
ほろ苦い味わいがたまらない作品でした。