映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
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【映画】眼には眼を
2011年01月18日 (火) | 編集 |

oeil

【作品情報】
眼には眼を(1957)フランス/イタリア
原題:Oeil pour Oeil
監督:アンドレ・カイヤット
脚本:アンドレ・カイヤット / ヴァエ・カッチャ
出演:クルト・ユルゲンス/フォルコ・ルリ/パスカル・オードレ/レア・パドヴァニ

【あらすじ】
シリアの小都市。
ある夜、仕事を終えくつろぐフランス人医師ヴァルテル(クルト・ユルゲンス)は、一人の患者の診察を断った。
腹痛を訴える妻を連れ、男(フォルコ・ルリ)は車で20分の病院に向かうが、途中車が故障。
歩いて病院に着いたが、当直医師が診断を誤ったこともあり、男の妻は手遅れで死んだ。
その日を境に、医師は男に付回されることとなり・・・。

 
【感想】
患者の診察を断った医師が、死んだ患者の夫の恨みを買うことになるという話。

まずこの映画の怖いのは、医師を付回す男がアラブ人であり
フランス人の医師には相手の心が読めないことがあります。
男が何を考え、何をしようとするのか、まるで予測がつかないのです。
それは観ている私にしても同じ事で、
男の逆恨み的行為に驚き、アラブ人って何するかわかんないから怖いよねって思ってしまう。
そういう言い方をするとレイシストだと思われそうだけど
民族が違い、宗教も違うと考え方も全く違うというのは常々感じるところで、
どうしても「偏見」という壁は生じてしまう。
だからこそフランス人とアラブ人の二人の確執が、あり得ない緊張をはらむんですね。
映画の中でも道を塞いでラクダと歩くアラブ人の群れに医師が苛立つ姿を描いていたりと
ちょっとした描写に医師の偏見が見て取れます。
 
もうひとつ、医師の罪悪感というのも大きなポイントになります。
ーあのとき自分が診ていたら患者は助かったのではないかー
優秀な医者だからこそ、その思いは打ち消そうとしても消えず、
その罪悪感から医師は精神を衰弱させ、疑心暗鬼に陥るわけです。
実際、途中までは、本当は男はいいやつで、医師が勝手に怖がってるだけなんじゃないかと
思えてくるところもあるのだけど、
後半になるとそんな甘いもんじゃなかったことを思い知らされます。

医師と男が険しい砂漠の山間をともに歩く後半の緊張感と言ったら(泣)。
映画のラスト、カメラが大きく引き、光陵な砂漠の全貌が姿を現すとき、
絶望感はピークに達します。
怖さからか、エラい映画を観たという興奮からなのか、背筋がゾワっ!ですよ。
 
不条理な復讐劇だけど、アラブ人が自らの命もいとわないところが壮絶さに輪をかけました。
心が通じ合わない人種間の問題である点は、今の時代余計に怖さを感じるところですよね。




*旧ブログから引っ越した記事で、内容がほぼ変わってないものは投稿日を同じにしています。

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息もできない
2011年01月14日 (金) | 編集 |

 
2008年(韓国)
監督/製作/脚本:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン/キム・コッピ/イ・ファン/チョン・マンシク/ユン・スンフン/キム・ヒス
 
■感想
今日は先日発表になったキネマ旬報、年間ベスト10で外国映画の第一に輝いた本作を。
これ主演のチンピラ、サンフンを演じたヤン・イクチュンが監督や脚本なども努めています。
可愛いクシャミみたいな名前、ってそんなことはいいかw
 
長編初監督作品らしいですが、これがなかなかに衝撃的
 
サンフン(ヤン・イクチュン)は暴力で借金を取りたてる、ヤクザな仕事を生業とする男
ある日、サンフンの吐いた唾が通りがかった女子高生ヨニ(キム・コッピ)にかかり、
無謀にもはむかうヨニを、サンフンが殴って気絶させるという(笑)
なんともあり得ない出会いを果す二人。
それでも何かウマが合って、女子高生と強面のチンピラの不思議な交流が始まるんですね。

話が進むにつれ、サンフンが父親への大きな怒りを抱えて生きてきた男であることが分かってきます。
ヨニもまた家庭に問題を抱えた少女
同じ哀しみが互いを惹きつけたのかもしれません。
 
父親を、ただ憎んでいられたら、そのほうがまだ楽なのかもしれない。
けれども、どんな父親であっても生きてそこにいて欲しいと思う、それが人間、血の繋がりというものでしょう。
どうしようもない怒りを暴力に変え、自分に憤り、暴言を吐き
それでも心根の優しさが見え隠れする主人公サンフンに感情移入し始めた頃
彼を襲う悲劇が虚しいんですよね。
 
ヨニとは、あることでもめる事になるだろうと予感させながら
そこは表現せず、ラストシーンでその後のヨニの葛藤を暗示するなんてね。
哀しみの連鎖がとまらない・・
深いため息をもって見終えることになりました。
 
暴力描写は好きじゃないけど、
主人公のリアルな心の叫びと純な優しさに惹かれます。
今の日本人が無くしかけている、何か懐かしいものがそこにあるような。
逆に、ヨニの弟に見る鬱屈した人間性には
親子同士で殺しあう今の日本人に共通するものも感じるところで
より複雑な時代になるなぁと、寒いものが走る思いでした。
 
悲しみに、愛おしさに、息もできない・・そんな映画でしたね
ちなみにキネ旬のトップ10はこちら



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