映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ひまわり
2010年04月27日 (火) | 編集 |

ひまわり(1970)イタリア
監督:ヴィットリオ・デシーカ
出演:ソフィア・ローレン/マルチェロ・マストロヤンニ/リュドミラ・サベリーエワ/アンナ・カレナ
 


■感想
巨匠シリーズ最後となるのはヴィットリオ・デ・シーカの『ひまわり』
いや~『自転車泥棒』も『ひまわり』もこんな有名な作品なのに監督さんが同じだったのは
今回初めて知りました^^;
先日観た『自転車泥棒』と『ウンベルトD』では戦後の貧しさが描かれていましたが
『ひまわり』は戦争で引き話された夫婦の悲しい物語です。
 
終戦を迎えても戦地から戻らない夫。
誰もが消息不明=戦死と考える中、ソフィア・ローレン演じるジョヴァンナは夫の生存を信じ、
戦地シベリアまで探しにいきます。
写真を携え、夫アントニオの消息を訪ね歩き、ようやく一軒の家にたどり着くわけですが、
庭には洗濯物を取り入れる美しい女性の姿。
夫は凍死寸前のところを助けてくれたこのシベリアの女性と
子供までもうけ、ここで幸せに暮らしてたんですね。
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もちろんこの映画は随分前に見たことはあったものの、詳細を忘れていました。
タイトルにもなっている『ひまわり』は
ひまわりが太陽を求めるように、夫を探すひまわりのように強いヒロイン、ソフィア・ローレンを象徴している
自分の中でそういう解釈だったのだけど、
シベリアの地で画面いっぱいに広がるひまわりは
戦争で死んだ兵士たちを埋めた、その上に植えられたものだったことを改めて知り
戦争がもたらした悲劇というのを一層に感じることになりました。
 
夫の生存を信じ、気丈に前を向き続けたヒロインが
アントニオと再会した駅で何も言わずに列車に飛び乗り
席に座るや声を上げて泣くシーンには、こらえきれずもらい泣きです。
一方アントニオを演じたマルチェロ・マストロヤンニの戸惑いの表情も印象的でした。
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互いに思いを残しながら、もう元には戻れない二人
戦争さえなければと思わずにいられません。これは反戦映画でもありますね。
切ない音楽もいい。センチメンタルのきわみですが、やっぱり心に残る名作でした。



ウンベルトD
2010年04月26日 (月) | 編集 |

ウンベルトD(1951)イタリア
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:カルロ・バティスティ/マリア・ピア・カジリオ/リナ・ジェナリ 

■感想
『自転車泥棒』をアップした際に、『ウンベルトD』をお勧めいただいたので
今月のお題の世界の巨匠シリーズの最後は
イタリア、ネオレアリズモの先駆者ヴィットリオ・デ・シーカをあと2本。
 
1951年製作の『ウンベルトD』は、「観るべき映画」の一本でもあります。

本作も『自転車泥棒』同様、戦後の貧しい時代のイタリアが舞台。
主人公のウンベルト・ドメニコ・フェラーリ(カルロ・バッティスティ)は、愛犬とアパートに暮らす年金生活者.

手にする年金は十分ではないのに、アパート代が値上げになり
ウンベルトはアパート代滞納を余儀なくされている。
困っているのは彼だけではない.。
ウンベルトは年金引上げデモに老人たちと参加するが警官隊に蹴散らされすごすごと帰宅。
アパートに帰ってみると、なんと自分の部屋で見知らぬ男女が情事の真っ最中。
アパート代滞納に対する大家の嫌がらせで、ウンベルトの部屋をラブホ代りに時間で貸していたのだ。
 
なんとも不条理なお話ですが、これもこの時代の貧しさゆえ。
大家がいよいよウンベルトを追い出そうと実力行使に出ると
ウンベルトは友人を真似て物乞いまでしようとするもののプライドが許さないんですね。
長年働いてきた彼は、年金できちんとした生活が守られる権利を主張するのだけど、
それさえ叶わない現実の厳しさ。。
彼なりに頑張ろうとするものの、頑張りようなんかないんです。
老人だからこその悲哀に満ちて切ない。
『自転車泥棒』では息子ちゃんの果たした役割を、今回は飼い犬のフライクが担います。
ウンベルトは希望を失い、自殺まで図ろうとするのだけど
フライクのことが気がかりで、犬を大事にしてくれそうなところを探し奔走するんですね。
でもこのご時勢どこも犬を大事にする余裕などないわけで・・

とにかく切ないのだけど、最終的にはフライクが老人の生を繋ぎとめることになるんですね。
切なさと温かさが交錯するラストシーンも『自転車泥棒』に通じるものがありました。
ウンベルトを演じたカルロ・バティスティも素人だったらしいですが、温厚だけど頑固な老人を好演。


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そしてなんといっても犬のフライク!
ウンベルトじゃなくてもこんな可愛い犬を手放すなんて絶対にできないと思うくらい健気で可愛い!
上の画像は帽子をくわえて物乞いのしぐさ。チラッとウンベルトを横目で見るところもいいの。
クライマックスなんて最優秀助演ワンワン賞ものの演技でした。
切なさに泣けてきますが、老人好き、動物好きにはたまらん映画でした!
フィルムは監督のお父さんに捧げられています。



ロマン・ポランスキー『テナント/恐怖を借りた男』
2010年04月16日 (金) | 編集 |




1976年(フランス/アンリカ)


■感想
世界の巨匠シリーズ後半戦のスタート
6本目となる今日は、ポーランド大統領専用機墜落に追悼の意を表し、
もうひとりのポーランドの巨匠ロマン・ポランスキー作品を。

ロマン・ポランスキー監督/脚本/主演。日本劇場未公開の心理サスペンスです。

ポランスキーが演じるのは、フランスの古いアパートに空き部屋をみつけたトレルコフスキー。
彼の借りた部屋は前の入居者(テナント)のシモーヌが、窓から飛び降り自殺を図ったばかりの曰く付き。
シモーヌは瀕死の重体となり回復の見込みなし。
大家は見切り発進的にトレルコフスキーに部屋を貸したのだった。
部屋にはまだシモーヌの持ち物が残されている状態
入居早々に友人がトレルコフスキーの部屋で入居祝いのパーティをしたことで、
アパートの住人から苦情がきた。大家からも次はないと釘をさされる。
物音に過剰に神経を尖らせるようになるトレルコフスキーの周りで不思議なことが起こり始め。。


この作品は外国人である主人公が、他人に気を使いながら暮らすうちに
周囲の人間が自分をシモーヌにしたて、自殺に追い込もうとしてるという妄想に駆られ始める様子を描くもの。

次第に神経を衰弱させていく主人公をポランスキー自身が好演していますが、
その妄想シーンがホラーチックでちょっと怖いんです。

これは監督が『チャイナタウン』のあと例のスキャンダルを起こし、
疲れ果てハリウッドを去ったあとに、フランスで撮った作品らしい。
スキャンダルの後は、彼を見る世間の目も変わったのでしょう。
一度偏見をもってしまうと、ポランスキーの全ての行動は変人に見えたかもしれないし、ポランスキー自身も人を信じることが出来なくなった時期でもあったでしょう。
全てを失い心を閉ざした監督の出した作品でもあると思いますね。

そんな時期に作品内で女装を披露するポランスキーは、ある意味潔し!
ポランスキー自身が主人公を演じることも、監督にとっては必然だったのかもしれません。

共演にイザベル・アジャーニ。監督には美味しいシーンも。




バニー・レークは行方不明
2010年04月05日 (月) | 編集 |
 

1965年(米)
出演:ローレンス・オリヴィエ/キャロル・リンレー/ケア・デュリア/ノエル・カワード/マーティタ・ハント

■感想

今日はイースター、復活祭です。
イースターと言えばカラフルにペイントされたイースター・エッグが有名ですが
イースター・バニーといって、ウサギグッズが街に溢れるのが
私にはとっても嬉しい(^-^〃)♪
 
そこで今日ははウサギ関連の作品を紹介しようと思って観たのがこれ
『バニー・レークは行方不明』・・・ 
あら、バニーって子供の名前、ウサギなんか出てこないジャン(≧∀≦)
でもこれ、とっても面白いミステリーでした。
 
アメリカからロンドンに越してきたばかりのアンは4歳の娘バニーを預けるため保育園に。
10時にファーストデイ室でと約束していたが、まだ10分ほどあり保育士は来ない。
アンは、引越し屋が荷物を届けに来る時間と重なったことを気にしていた。
調理室に入るとドイツ人の女性調理師がいた。
「10分くらい、私が見ていてあげるから、行っていいわよ。」
アンはバニーをファーストデイ室に残していることを告げ、アパートへと急ぐ。
 
アパートに戻るとすでに引越し屋は来ていたが、それほど待たせた様子でもなく無事荷物を受けとれた。
用事を済ませ、保育園に向かう。ところがバニーの姿が見えない。
保育士に尋ねるも、誰もバニーに会った者はいないという。
アンは兄スティーブンに連絡し、兄妹は園内をくまなく探すのだけどみつからない。
 
バニーはどこへ???

保育園からバニーが消えたことを皮切りに警察を巻き込んだ捜索が始まります。
ところが、園の誰もバニーを見ていない
しかもバニーの存在を示すものがなにもないのです
 
この映画の面白いのは比較的早い時期に
「バニーははじめから存在しないのではないか」という疑いが持ち上がること。
 
カメラがバニーの姿を映し出さないこともあり
架空の子供をでっち上げる母親の狂気と思い始めるわけですが
それにしては兄も一緒にバニーの存在を主張するのが腑に落ちない。
見るものはローレンス・オリヴィエ扮する刑事とともに途方に暮れるわけですねぇ。
 
ところが、幼い頃から二人で生きてきた兄妹の背景が徐々に明らかになってくると
得体の知れぬ違和感を感じ始める。
同時にバニーの行方に関し、それまでフワフワと実態を持たなかった不安や恐怖が
一気に首をもたげてくるんですよね。
バニーはどこへ???!!!
 
徹底したカメラワークで(これは二度見直して新たな発見があった!でもあえて伏せます。)
いびつとも言える兄妹の倒錯した愛をサディスティックに描き出した監督のセンスに脱帽です。
 
監督はオーストリア出身のオットー・プレミンジャー
イースターにふさわしい作品でした。
って、なんでやねん!(≧∀≦)