映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】楢山節考
2009年03月24日 (火) | 編集 |


1983年(日本)
監督・脚本:今村昌平
出演: 緒形拳/ 坂本スミ子/あき竹城/倉崎青児/左とん平/辰巳柳太郎/深水三章/清川虹子/江藤漢/常田富士男/小林稔侍/三木のり平/ケーシー高峰/倍賞美津子/殿山泰司
【ストーリー】
信州の山深い寒村。いまだ元気に働くおりんだったが、今年、楢山まいりを迎えようとしていた。それは、70歳の冬に皆、息子に背負われ楢山へ捨て置かれるという村の掟のこと。神に召されると喜ぶおりんに対し、息子・辰平は気持ちの整理がつかない……。
■感想
緒方挙さんがお亡くなりになったときに、彼の出演作を観ようとレンタルリストにあげていて、先日届いたので観ました。

この映画が姥捨て山のことを描いた作品だということは知っていたのですが、今回初めての鑑賞。
信州のとある山深い村・・ここでは70歳になると、「楢山参り」が待っています。
それは口減らしのため、楢山に捨て置かれるという村の掟。

姥捨てという古い風習があったことは聞き知ってはいたものの、この話のどこまでが本当なのかはわかりません。
しかしこの映画で描かれる村の掟の数々には言葉をなくしました。

長男が母を背負って山に捨てに行く。
非情で残忍なことではあるけれども、掟に従うことは子孫繁栄のため、それは神を崇めることだと信じるしかないのです。

まもなく「楢山参り」を受け入れる69歳の母おりん(坂本スミ子)。
母を捨てることに葛藤する長男辰平(緒方挙)。
前半、ややもすれば左とん平のびっくり演技におされ気味に思えた挙さんの演技でしたが、
母を背負い山を歩く無言の演技では、悲しみと罪悪感、そして諦めの気持ちをよく演じていました。
途中水を汲みに行った際に母の姿を見失い、母は逃げ去ったと感じた瞬間の安堵の表情、しかしすぐにもとの場所に逃げも隠れもせずにいる母を見つけたときの落胆の表情などうまいですよね。

新しい生を受け入れるためには、「死」もまた受け入れなければならない時代。
映画の中で自然界の小動物たちの性の営みの映像が多く挿入され「生」が強調されてるのも印象的で、ちょっと『狩人の夜』を思い出しました。

カンヌでパルムドールを獲得したこの映画、世界中に衝撃を与えたことでしょう。
余談ですが、アメリカでリリースされてるDVDには言葉の説明(例:やっこ、ほっぺたが落ちる)や度量のリファレンスなどがあり、そのまま日本語バージョンを聞くよりもわかりやすく勉強になりましたw



【映画】ぼくのエリ 200歳の少女
2009年03月16日 (月) | 編集 |



2008年(スウェーデン)
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘデブラント/リナ・レアンダーソン/ペール・ラグナー
【ストーリー】
オスカーはいじめられっこの12歳の少年。ある日アパートの隣に越して来た少女エリに声をかけられ仲良くなる。
しかし彼女は200歳のヴァンパイアだった。
■感想
これはエドガー・ライト監督(『ショーン・オブ・ザ・デッド』)が選ぶ2008年のベストムービーの第一位にランクインしていたスウェーデン発ヴァンパイア・ムービーです。


12歳の少年とヴァンパイアの少女との恋‥ってことで、他のヴァンパイアものと趣の違うものでした。
昨年、多くの映画祭で賞を獲得し、高い評価を得ているこの作品(トマトメーターも97%です)、人気の秘密はきっとアーティスティックなラブストーリーとなっているところでしょうね。

少女の姿で200年も生き続けているヴァンパイアの少女といじめられっこのオスカー少年。
孤独なもの同士が惹かれ合い、互いを求め合う存在になっていくのですが
ドラマティックでもの哀しい主題歌の効果もあって、この映画、なんとも美しく心を揺さぶられるんですよ。





いじめられることの反動からか、殺人事件に興味のあるオスカー。
エリがオスカーに声をかけたのは彼の内に秘めた狂気を感じ取ったからなのか。。
生き血が必要なエリに殺人を犯してでも血を提供してくれる存在としてオスカーに白羽の矢がたったとも考えられます。
なんていったら、ロマンチックじゃないですけどね^^;

ピュアなオスカーに対し、エリの心はどうなんだろうかということも気になったんだなぁ。

CGが多少変!ではありますが、ホラーにラブストーリーをミックスしちゃったのが斬新で
ヴァンパイア版『小さな恋のメロディ』の趣。面白い作品でした。

ちなみに『クローバー・フィールド』の監督によりハリウッドリメイクが決まっているようで、、、
うーん、この美しい作品、できればこのままそっとして欲しいなぁという気もします。
あ、ヴァンパイアものなので、それなりにグロい映像もありますので、そこのとこよろしく。


日本での公開予定はまだないようです。
ハリウッド版(2010年)を観る前に、ぜひオリジナルを観てくださいね。



【映画】ミルク
2009年03月11日 (水) | 編集 |


2008年(米)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ショーン・ペン/エミール・ハーシュ/ジョシュ・ブローリン/ジェームズ・フランコ/ディエゴ・ルナ
アリソン・ピル/ルーカス・グラビール/ヴィクター・ガーバー/デニス・オヘア/ジョセフ・クロス/ハワード・ローゼンマン/ブランドン・ボイス/ケルヴィン・ユー
【ストーリー】
1972年のニューヨークでハーヴェイ・ミルクは20歳年下のスコット・スミスと恋に落ちる。二人はサンフランシスコに移り住み、カストロ地区と言われる地域で小さなカメラ店を開く。やがてミルクは同性愛者、有色人種、シニアなど弱者の声を伝えるべく政治の世界へ。
■感想
同性愛者であることを公表して、初めてアメリカの公職についたハーヴィー・ミルク。
弱者の声を伝え続けたミルクの人生最後の8年間を描いた、真実のお話です。

彼の生きた70年代はゲイには暮らしにくい時代で、ミルクは3度市政執行委員選に出馬して落選。
対抗馬となる元歌手のアニータさん(これは実際の映像を使ってたのかな)なんて、奇麗な顔してるのに「ゲイであることはイリーガル」だなんて平気で言ってますもんね~。

それでも徐々に彼の活動は世に知れるところとなり4度目に当選。
一方、出る杭は打たれる&どうしてもゲイの進出を許せない者もいるわけで、、
冒頭から「自分が暗殺された場合のみ公表して欲しい」としてテープに自分の活動の全てや信念、思いを吹き込むミルクの姿に、彼にどんな運命が待っているのかとドキドキしてしまいました。

とにかくミルクを演じたショーン・ペンの演技が素晴らしいです。
彼はつけ鼻とコンタクトレンズなどで実物に似せていたようですが、本人に似てるってよりも、どこから見てもゲイなのね。





最初の恋人ジェームズ・フランコに恋する様子も可愛らしい(笑)
社交的で機転が利き、活動家としてカリスマ性を発揮していく反面で、暗殺に怯え、恋人の死に嘆くミルク。
ショーンの演技力にはあらためて感心させられます。

本物のミルクさんはこの映画が作られ、自分の信念が世に再び知られることをきっと喜んでますね。
ミルクとスコットの暮らしたアパートやカメラ店は本物のミルクさんが暮らした場所で撮影したものらしいのですが
撮影時、カメラ店の入り口から入り店内で座っているミルク本人の亡霊を見たとの目撃談も飛び交っているのだそうな^^;

ジョシュ・ブローリンの神経衰弱な演技も作品にとんでもない緊張感をもたらしていて秀逸でした。

ハーヴィー・ミルクはタイム誌の「英雄100人」にも選出されてるんですね。
随所に当時の実際の映像を入れているのでしょう。彼がいかに人々に愛されていたのかがよくわかり効果的でした。
ラスト彼の死を悼む3万人がともすキャンドルライトが美しく、多くのマイノリティに希望をあたえたミルクの存在の大きさを感じ、感動的でした。

オバマ大統領に通じるところがありますね。

ショーンの演技力に惹き付けられたけど、淡々と物語りが進む前半はちょっと眠気が^^;
ガス・ヴァン・サントらしい作りと言えばそうですね。

アカデミー脚本賞、主演男優賞受賞

日本公開はゴールデン・ウィークだそうです。