映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
チェンジリング
2009年02月19日 (木) | 編集 |



2008年(米)
監督:クリント・イーストウッド
出演:アンジェリーナ・ジョリー/ジョン・マルコヴィッチ/ジェフリー・ドノヴァン/コルム・フィオール
   ジェイソン・バトラー・ハーナー/エイミー・ライアン/マイケル・ケリー
音楽:クリント・イーストウッド
【ストーリー】
1928年、ロサンゼルス。シングルマザーのクリスティン・コリンズは、9歳の息子ウォルターを女手一つで育てる傍ら電話会社に勤め、せわしない日々を送っていた。そんな彼女はある日、休暇を返上してウォルターをひとり家に残したまま出勤する羽目に。やがて夕方、彼女が急いで帰宅すると、ウォルターは忽然と姿を消していた。警察に通報し、翌日から捜査が始まる一方、自らも懸命に息子の消息を探るクリスティン。しかし、有力な手掛かりが何一つ掴めず、非情で虚しい時間がただ過ぎていくばかり。それから5ヶ月後、ウォルターがイリノイ州で見つかったという朗報が入る。そして、ロス市警の大仰な演出によって報道陣も集まる中、再会の喜びを噛みしめながら列車で帰ってくる我が子を駅に出迎えるクリスティン。だが、列車から降りてきたのは、ウォルターとは別人の全く見知らぬ少年だった…。
■感想

祝オスカー・ノミネート 主演女優賞候補 アンジェリーナ・ジョリー!

今日は主演女優賞にノミネートされたアンジェリーナ・ジョリーの『チェンジリング』を。

クリント・イーストウッド監督の本作は、1920年代のロサンゼルスで実際に起きた事件を元に描かれた真実の物語です。

アンジーが演じるのはロスに暮らすシングルマザーのクリスティン。
ある日、仕事から戻ると一人息子の姿が見えない。
それから5ヶ月後、保護され帰って来た息子は、息子に似た別人だった!
歓びの再会のはずが一転失望へ。「自分の息子ではない」と伝えるものの
警察は動揺により判断ができなくなっているとし、クリスティンの言葉を聞き入れようとしません。



イーストウッドはとにかく見せ方が巧いですね。
息子の名を名乗る少年。彼は本当にウォルターではないのか?
だとしたら、本物のウォルターはどこへ?というミステリータッチで始まり、一気に引きこまれます。

「息子ではない」とのクリスティンの主張は警察の捜査ミスを指摘するもの。
ロス警察は、再捜査をしないばかりか、クリスティンに圧力をかけて来ます。
クリスティンは息子の失踪という悲しみのどん底にありながら、警察を相手に孤独な闘いを強いられるのでした。

息子の生存を信じ待ち続けるアンジーは壊れそうなほど痛々しいのですが、
一方で、警察に挑む強い姿も見せてくれます。
実生活でも養子を含め6人の子供たちの母親ですから、子供を愛する母親の気持ちは誰よりも分るところでしょうね。

クリスティンの闘いを助けるのは、警察の不正を正すことに使命を燃やすブリーグレブ牧師。
ジョン・マルコビッチが知的に演じてます。
その犯人役や、子役たちもとっても巧いですね。

一人の女性が、我が子への愛を貫き、警察という大きな組織の体制を変えることになる。
それがタイトルのもつチェンジリングの意味合いでしょうか。

でも作品中には様々なチェンジリングがしこまれています。

我が子がすり替わってしまうのもそうだし、犯人の心が変わっていくのもそう。
重く辛い作品ですが、最後にクリスティンの中のチェンジリングを見せることで穏やかな後味を残すのも巧いですね。

イーストウッド自身の作曲による音楽は、いつもながら優しく作品に溶け込みます。
それにしても『グラン・トリノ』では自らも主演を務めていたイーストウッド。
これほど重い作品を年に2本も撮るという、そのバイタリティはどこから来るんでしょうね。凄いです。






ストップ・ロス/戦火の逃亡者
2009年02月09日 (月) | 編集 |



2008年(米)
監督・脚本:キンバリー・ピアース
出演:ライアン・フィリップ/アビー・コーニッシュ/ジョセフ・ゴードン=レヴィット/チャニング・テイタム
   キアラン・ハインズ/ヴィクター・ラサック/ティモシー・オリファント/ロブ・ブラウン/メイミー・ガマー
【ストーリー】
イラクの過酷な戦場からアメリカに帰還した若き兵士たち。戦場で多大な傷を心に負った2等軍曹のブランドンは、兵役の終了と同時に軍を除隊する決意を固めていた。しかし、ストップ・ロスが彼に適応され、再びイラクへの赴任が命じられる。猛抗議が受け入れられず、カッとなったブランドンは軍から脱走。軍と警察から追われる逃亡者になりながらも、理不尽な制度に戦いを挑むのだが…。
■感想
ボーイズ・ドント・クライ』のキンバリー・ピアースが、「ストップ・ロス」制度に焦点を当て、イラク戦争を闘う若者の姿を描いた作品です。
タイトルにもある「ストップ・ロス」って聞いたことありますか?
これは任期を終えた兵士に、大統領令によってその任期の延長を義務づけるというもので、イラク戦争における兵士の不足を補うための制度なんですって。

本作でこの制度を適用されてしまうのは二等軍曹ブランドンを演じるライアン・フィリップ君。
彼は国や家族を守るためにと志願し、イラクで真面目に任務を果たして来た若者です。
そのリーダーシップが評価され、故郷テキサスに凱旋するほど優秀で、忠実に任を努めきたものの、
戦争で負った心の傷は大きく、任期終了とともに除隊し、新しい人生を歩むことを構想していた矢先、
「ストップロス」が適用され、任期延長を命令されてしまうのです。



そもそも志願して入隊したはずなのに、延長を強制される。
再び戦地で闘い、そこで命を落とすものも多いのですから、たまったものではありません。

この映画でもライアン君は猛抗議。しかし受け入れられず軍を飛び出した彼は逃亡者として追われる身になってしまうんですね。捕まれば禁固刑。昨日までは英雄だった彼が、ですよ。なんという理不尽!

映画の前半では、戦場での激しい攻防が描かれ、その体験が心身に多大なダメージを与える様が生々しく描かれます。
そして後半は脱走兵と化した主人公の抗議の逃亡が描かれるのですが、、。
うーん、とにかくこれはやるせない。

実際にこの制度に抗議し、ワシントンDCで抗議デモを決行した兵士もいたらしいです。
最終的なライアン君の選択は切なさを感じるものでした。
描き方によっては作品も違ったトーンをもつものになるでしょうね。

しかしながら、兵士の心の傷を繊細に描きあげた本作は、「ストップ・ロス」という制度を世に知らしめるという意味からも大きな役割を果たす、秀逸な戦争映画に仕上っています。
でもこれ、あっという間に未公開が決まっちゃったのですね~。もったいない。


ライアン君の逃亡を助ける、友人の婚約者にライアン君と恋の噂もあるアビー・コーニッシュ
兵士仲間にジョセフ・ゴードン=レヴィットチャニング・テイタム
彼らもそれぞれの選択をするのですが、ジョセフ・ゴードン=レヴィット君はここでも脆く切ない役を好演していて
目を惹きます。今後も注目したい気になる俳優になっちゃいましたね。
あ、もちろんライアン君もいいです。私の中で株上昇しっぱなしですよ~。


★★★★☆