映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ルックアウト/見張り
2009年01月19日 (月) | 編集 |


2007年(米)
監督:スコット・フランク
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ジェフ・ダニエルズ/マシュー・グード/ブルース・マッギル/アイラ・フィッシャー
【ストーリー】
4年前にドライブで事故を起こし、同乗していた恋人や友人を失ったクリス。それ以来、彼自身も短期間しか記憶を保てない障害に陥ってしまう。それでも昼は学校に通い、夜は銀行で掃除係として働きながら盲目のルームメイト、ルイスと共に日々を食いつないでいた。しかし、クリスは何をするにもメモを取らなければ覚えられない暮らしにストレスを募らせていく。そんなある日、バーでミステリアスな女性ラヴリーやゲイリーたちと出会い友達になる。ところが、ゲイリーたちはある目的のためにクリスに接近してきたのだった。
■感想
これは面白かったです。
交通事故で記憶障害をもつ青年の、試練と再生の物語りというところでしょうか。

主人公のクリスは、3年前の事故により、記憶障害に陥っています。
一日の行動のすべてを書きとめ、そのメモを見ながらなんとか日常生活を維持するという毎日に焦燥感を覚える日々。
そんな中、クリスはある事件に巻き込まれていきます。

物語りの後半は、犯罪がらみのスリリングな展開となるんですが、この作品全般を支配するのが
記憶障害を背負ったクリスの苦悩。

記憶を維持することができないことへの焦燥感。
事故を起こした自分自身を許せない気持ち。将来への不安。
このままではいけないというクリスの思いが非常に切ないんです。
ヒース似の主人公クリスを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットはとっても上手く演じていますね。





この作品が面白いのは、主人公だけでなく、登場人物の全てがとても大きな役割を果たしていること。
クリスの盲目のルームメイトのジェフ・ダニエルズ、毎晩銀行に立ち寄りクリスに声をかけていく警官。
さりげない存在のようで、クリスを陰で支えている彼らとの友情のサブストーリーがとってもいい。

特に警官のエピソードが良かった。
一度は立ち去った彼が再び戻って来たのは、クリスにとって明るい兆しとなる「あること」に気付き、どうしてもそれを伝えたかったんでしょう。ヘタレな警官と思っていた彼の役割にちょっと泣けました。

葛藤の末に自分に向き合うクリスの再生の物語。観終わった時には穏やかな気持ちが胸に広がりますね。
単なるクライムサスペンスに終らず、主人公や彼を取り巻く人間模様がきちんと描かれた秀作でした。

キングも2007年のトップ10の第8位に入れてましたよね。
未公開はもったいないと思う作品でした。



グラン・トリノ
2009年01月06日 (火) | 編集 |


2008年(米)
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/コリー・ハードリクト/ブライアン・ヘイリー/ブライアン・ホウ
ジェラルディン・ヒューズ/ドリーマ・ウォーカー/ビー・ヴァン
【ストーリー】
ウォルト・コワルスキーは朝鮮戦争兵役の経験を持つ老人。長年連れ添った妻を亡くし一人暮らしが始まった。
ある日、隣に住むアジア系マイノリティー、モン族の一家の少年が愛車のグラントリノを盗もうとしたことから、彼らに深く関わることになる。
■感想
クリント・イーストウッドが監督・主演を努める新作です。

今回イーストウッドが演じるのは、朝鮮戦争を経験した老人ウォルト・コワルスキー。

今の若者の体たらくぶりも自分の家族のことも気に入らず、世の中の全て気に喰わないことだらけの偏屈じじい。
特に隣に住むアジア系移民モン族の家族のことが大嫌いのウォルトでしたが、ある日、隣の少年がギャングにそそのかされ愛車を盗もうとしたことをきっかけに少年と関わるようになります。
少年や、その家族と交流するうち、次第に自身の偏見や過去のトラウマにも対峙することになるのですが‥。

タイトルのグラン・トリノとは主人公ウォルトの愛車、72年型フォード、グラン・トリノのこと。
ピカピカに磨かれ倉庫に入れられたグラン・トリノは、自分の殻に閉じこもり、頑固一徹を貫き通すウォルト自身を象徴するものだったのでしょう。

オスカーの呼び声も高いイーストウッドの頑固ジジイぶりが最高。
気に入らないものは気に入らない。それを隠しもしない。しかもかなり口が悪い(笑)
イーストウッドがうーっとか、あーっとか苦虫を噛み潰したような顔で低く唸る毎に会場はクスクスと笑いに包まれます。

少年を除く移民家族は、アメリカに住むモン族の人たちを起用したそうですが、彼らの文化に触れるのも興味深いところ。
時にコミカルに描かれる彼らの暖かさや団結力は、ウォルトの家族との対比も効いています。

監督は偏見を捨てよということだけでなく、文明人が失いつつある人との繋がりを思い起こさせようとしたのでしょうね。

そしてイーストウッドからの最大のメッセージ。
それは、暴力を制すのは暴力ではないということ。

色んな伏線を張られた中、ラストシーンは衝撃的で、誰もが言葉をなくしました。
エンドロールで、最初に流れる歌声はイーストウッド自身なのかな?(確かではないですが)

映画が終わり、みんなすすり泣きながら会場を後にする。こういう経験は初めてでしたね。

イーストウッドが国民に託したメッセージ、多くの人に届くといいなと思います。
78歳のイーストウッド自らが主演を果たしたことに、大きな意義があると感じました。




[READ MORE...]