映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
コレクター
2008年11月16日 (日) | 編集 |


1965年(米)
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:テレンス・スタンプ/サマンサ・エッガー/モーリス・ダリモア/モナ・ウォッシュボーン
【ストーリー】
蝶の採集が趣味の孤独な銀行員、フレディー。ある日、彼はくじで手に入れた大金で、地下室のある大きな古い離れの一軒家を購入する。前から気に入っていた女性ミランダを誘拐し、地下室に監禁する。
フレディーは、監禁したミランダに何をするわけでもなく、ただ望みを叶えようと努力する。しかし、ミランダの必死の抵抗に、仕方なく監禁の期限を設けるという条件を聞き入れる。この日からおかしな同居生活が始まる。

プチプチ・サイコ祭り第一弾3/5 『コレクター』

■感想
ローマの休日』『ベンハー』などの巨匠ウィリアム・ワイラーが描くサイコ・スリラーです。
これまたゾクゾクするほど面白かった!

銀行員のフレディ(テレンス・スタンプ)は、仕事仲間にも笑い者にされる蝶のコレクションを趣味とする内気な青年。
そんなフレディがくじで大金を手に入れたことから、かねてからの念願を実行に移す事になるのです。
それは美しい女性を自分のものにすること。。

美しい蝶を、その美しい姿のまま標本に残すように、長い間遠くから見つめていた美しい画学生ミランダを誘拐し、地下セラーに監禁したフレディ。彼はミランダを尊敬し、大事にしようとしているのです。
彼女のために食事を作り、クローゼットに服を準備し、好きな絵も描かせる。一ヶ月の期間を設けての不思議な共同生活。

私の親戚にも蝶のコレクターいるんですけど、申し訳ないけどなんか自己満足という気がして仕方がない。
いくら美しい姿を留めたとしても、そこに生のないものに、私は美しさを感じる事ができないのですが
これがコレクターとの美意識の違いでしょうか。

若きテレンス・スタンプは時々クリスチャン・ベイルに見えましたが、複雑なコレクター心理を繊細に演じあげています。
内気な青年が、自分の求める美に対し、時としてあまりにもどん欲。
しかもその対象が思いどうりにならないとなると、その表情は氷のように冷たく凍り付くのですから恐ろしいです。



ミランダを演じるサマンサ・エッガーは、それほど美しいとも思わなかったものの、スタイルが良くて魅力的なものだから
、フェレディは彼女に指一本触れる訳ではないにも関わらず、その監禁生活にちょっと官能的な匂いもしました。


異常な心理がどんどん明らかになる後半はドキドキしながら観てしまいましたね。

ラストにも驚きましたが、反面、あっけらかんとコレクター魂を描き上げるワイラーに拍手したい気分でしたが、
こんな私はひんしゅくものかな(笑)

お気に入りになりそう。



★★★★*

M
2008年11月15日 (土) | 編集 |



1931年(ドイツ)
監督:フリッツ・ラング
出演:ペーター・ローレ/オットー・ベルニッケ/グスタフ・グリュントゲンス/エレン・ウィドマン/インゲ・ランドグット
【ストーリー】
ベルリンで、幼い少女ばかりを狙った殺人が繰り返される。警察の必死の努力にも関わらず犯人のめどは立たず、市民や暗黒街のギャング達は自分自身で犯人を捕まえる事を思い立つ。手がかりはないかに思えたが、子供が連れ去られるときに、いつも同じ口笛が聞こえることに気づいた盲目の売り子の証言により、一人の男に焦点が絞られ、チョークで「M」(殺人者-Murderer)のマークを付けられた男は追い詰められてゆく。

プチプチ・サイコ祭り第1弾2/5 カルトな傑作『M』

■感想
デュッセルドルフの吸血鬼と異名を持つ、実在した連続殺人犯ピーター・キュルテンをモデルに描く、
ドイツの巨匠フリッツ・ラング初めてのトーキー作品です。

幼児連続殺人事件の犯人を探し出し捕まえる。
そのストーリーの中に、犯罪者の心理、被害者の心理、犯罪者を裁くものの心理などを見事に描きあげた傑作ですね。

ベルリンで少女連続殺人事件が起こり、容疑者から新聞社に声明文が届く。
面目丸つぶれの警察は必死の捜査劇を繰り広げるが、犯人を見つける事ができない。

しらみつぶしの警察の捜査に最も迷惑をこうむる暗黒街の面々が、警察に秘密裏に犯人を見つけ出そうと組織を立ち上げてしまうところが実にユニーク。

街にたむろする浮浪者に担当区域を割りあて、怪しきを追跡させるという作戦が功を奏し、見事に犯人を探し当てるのですが、その時犯人の背中に「M」という文字をチョークで印し、目印にするのですね。Mは殺人者という言葉の頭文字。



この作品の面白いのはまず、犯人は自分たちの隣にいるかもしれないという考えからくる民衆心理。
子供に声をかける男を見かけるや、人々は疑いの眼差しを向けます。誰もが犯人に見えてくるわけです。

犯人が少女を誘拐するシーン。影や口笛だけで姿が見えないところが実に恐いのです。

中盤ようやく正体を現す犯人。
小太りにギョロ目の風貌のペーター・ローレが実に不気味で異常な雰囲気を漂わせるのですよ。

浮浪者に追われビルの地下倉庫に追いつめられていく様子もスリリングでした。

しかし圧巻なのはラスト。暗黒街の面々による人民裁判の場で犯人がその犯罪心理を吐露するシーンは鳥肌もの。
罪を冒したもの、罪を裁くもの、子供を失った親の心理などを鋭く描いている点にも驚きます。


前半の警察の捜査の状況に、やや眠気が差してしまうものの、中盤以降はグイグイと引き込まれましたね~。。
観応えのある傑作だと思います。


★★★★*