映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】アノマリサ
2017年01月16日 (月) | 編集 |
anomalisa.jpg

アノマリサ(
2015 アメリカ
原題:Anomalisa
監督:デューク・ジョンソン/チャーリー・カウフマン
脚本:チャーリー・カウフマン
声の出演:デヴィッド・シューリス/ジェニファー・ジェイソン・リー/トム・ヌーナン

【あらすじ】
カスタマーサービス界で名声を築き、本も出版しているマイケル・ストーン。私生活でも妻子に囲まれ恵まれた人生を歩んでいるかに見えたが、本人は自分の退屈な日常に不満を募らせていた。そんなある日、講演をするためシンシナティーを訪れたマイケルは、そこでリサという女性に出会う。長い間、すべての人間の声が同じに聞こえていたマイケルは、「別の声」を持つ彼女と特別な夜を過ごすが……。

【感想】
 英エンパイア誌選出2016年のトップ25から、14位にランクインの『アノマリサ』を観ました。
今回全編ネタバレで感想を書いてますので、未見の方はご注意ください。


いわゆるストップモーションアニメの手法で作られた本作は、共同監督&脚本を『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』の脚本家チャーリー・カウフマンが担当しています。

New-Anomalisa-Clip-Shows-David-Thewlis-Character-Landing-in-a-New-Life.png


冒頭、聴き慣れた機内放送が流れ、主人公マイケル・ストーンを乗せた飛行機は目的地シンシナティに到着する。
乗客の声は重なり、話の内容は聞き取れない。
ホテルに着いたおっさんマイケルは家に電話し、妻や息子と話すのだけど・・
ここで違和感。妻の声は男、息子も同じ大人の男の声なのだわ。

どうやら、マイケルは最近何かに違和感を覚え、気がふさいでいる。
・・・何かに違和感って。。気づいてないのか?
周りの人の声、みんな一緒。みんなトム・ヌーナンの声じゃないか(笑)

そう、この映画、面白いのは主人公のマイケルともう一人を除いて、登場人物は皆同じ顔で同じ声をしてるんですよ。
勿論、周囲の人間がみな同じように見えるというのは、誰にも興味を持てない、誰にも心を開けないマイケルの心の問題を表現しているんでしょう。そんなとき、ホテルで出会ったリサだけは普通に女性の声(ジェニファー・ジェイソン・リー)、女性の顔をしてるんです。
当然ながらリサに心惹かれるマイケルはリサを自分の部屋に誘い、交流する。
この映画、ストップモーションアニメなのにしっかりベッドシーンがあるんだわ。
いったいどれだけの時間をこのシーンに費やしたんでしょうか。

ってか、こんなちっちゃいのか!
1220ANOMALISA1-jumbo.jpg


でも特別の存在だったリサも、セックスの後、マイケルがある癖を指摘し、リサがそれを直そうとした途端
リサの声にヌーナンの声が重なってくる。
マイケルの落胆は言うまでもないわけですね。

チャーリー・カウフマンという人は、孤独とか疎外感や憂鬱とかの人の心理的な問題を変わった視点でとらえ、独自の映像に置き換えることが得意な映画作家なのでしょうね。
マイケルは啓発本を出すほど「人の観察」に長けた人のはずなのに、今彼は人の区別もつかない自分に疲れ果てている。
リサと出会い、まだマイケルにも人と通じ合える可能性があると言っているのか、はたまた彼は孤独から抜け出せないと言っているのか私にはわかりませんでした。

maxresdefault.jpg


彼が子供のおもちゃを買おうとして間違えて入った大人のおもちゃ屋さんで手にした日本人形(どうやらこれも大人のおもちゃw)が歌う「桃太郎」の変な日本語が耳について離れない。
その人形がマイケルにとって唯一の他人とは違う声、顔だとしたら・・
そっちに走るのかマイケル?! だとしたら悲しい映画です。


ブログパーツ





【映画】コングレス未来学会議
2015年01月28日 (水) | 編集 |


『戦場でワルツを』のイスラエル人監督アリ・フォルマンの新作。
ポーランドのスタニスワフ・レムの『泰平ヨンの未来学会議』を原作にしたSF映画です。

コングレス未来学会議(2013)イスラエル/ドイツ/ポーランド/フランス/ベルギー/ルクセンブルク
原題:The Congress
日本公開:2015/6
allcinemaデータ

主演のロビン・ライトは、映画の中でもハリウッド女優ロビン・ライトを演じてまして
期待の若手女優だったにもかかわらず、結婚し家庭を優先したという設定はご本人のキャリアに被ります。
冒頭、彼女は所属の映画会社と20年契約の話をするんですが、
これが、彼女のデーターをデジタル化して、映画に出演するというものなんですね。
ポルノやナチものは嫌、などと言ってはみるものの、障害のある息子を抱えたシングルマザー、ライトに選択の余地はなく・・




そこから話は一気に飛んで、20年後、60代になったロビンは映画会社との契約更改のため、タイトルのコングレス、いわゆる会議に出席することになるんですが、なんとここからはアニメになっちゃうんですよ。しかもかなりエキセントリック。
そこでロビンに持ちかけられる話というのがまた突拍子もなくてね。
デジタル技術の発達でアクションできなくてもアクションスターになれたり、着ぐるみ着なくても猿になれる時代。未来はもっとえらいことになりますぞ。もはや俳優はモノ・・
映画の将来はどうなるんでしょう。

監督の前作『戦場でワルツを』は、兵士として戦争に参加したものの、ある記憶がまるで失われていた監督自身の体験を映画にしたものでした。
監督は記憶や存在の曖昧さをファンタジーで描くのがお得意なのかな。
本作でも妄想と現実が何層にも入り混じる描き方になっていて、そのため正直かなりヤヤコシイ。
変形『レナードの朝』と申しますか・・、覚悟して見ないと、かなり混乱すると思います。
しかしその一筋縄ではいかないところも面白さのうち。
ロビンが妄想の世界に生きることになる理由がわかる終盤では、切ない気持ちでいっぱいになりました。

どう生きるべきか決めるのは自分自身。
できれば現実の世界に幸せを見出したいものです。
途中戦争の混乱を垣間見せるところはイスラエル出身の監督ならでは。
『ソラリス』の原作者の作品ということで、どこか悠久を思わせる終盤の感じは凄くよかった。


日本公開は6月。



アナと雪の女王
2014年02月19日 (水) | 編集 |
 

こちらいよいよフィギュア女子のSPです。
白銀の女王の栄冠を手にするのは誰でしょう。
その前に、ディズニー・アニメ『アナと雪の女王』いっときましょう。
アナと雪の女王(2013)アメリカ
原題:Frozen
監督:クリス・バック/ジェニファー・リー
声の出演:クリステン・ベル/ジョナサン・グロフ/イディナ・メンゼル
日本公開:2014/3/14
 アナとエルサはとある王国のプリンセス姉妹。
幼い頃の二人はとても仲良しだったが、触るものを氷に変えてしまう不思議な力を持つ姉エルサは、あることをきっかけに、アナとの接触を避け、隔絶された部屋で数年を過ごすことになる。女王に即位する日、初めて公の場に姿を現すエルサ。しかし、感情の高ぶりから魔法の力が爆発。真夏の王国を冬に変え、エルサは姿を消した。エルサと王国を救うべく、妹のアナは冒険の旅に出る。
 

アンデルセンの『雪の女王』をモチーフにしたミュージカル・ファンタジーです。
評判どおり、これは面白かった!
 
まず、登場人物のキャラがいいんですね。
妹のアナは、元気がよく勇気があって、自分の力で道を切り開こうとするプリンセス。
もともとはもう少しガーリッシュな設定だったようだけど、声を担当するクリステン・ベルが、「
自分だったらこう言う」という意見を述べたところそれが採用され、
ユーモアがあって元気な現代的なアナのキャラが完成したのだとか。

脚本兼共同監督を務める女性監督ジェニファー・リー(『シュガー・ラッシュ』の脚本)の柔軟さも成功の秘訣でしょう。

序盤アナとハンス王子との会話がツボの面白さで、一気にアナが好きになる。
だからアナの繰り広げるアドベンチャーをともに楽しめちゃうのです。

 

旅のお供となる脇の面々のキャラも最高。
山男のクリストフと相棒のトナカイのバディ関係にほっこり。
真夏に憧れるスノーマン、オラフの楽観的なところにハラハラするけれど、
やってみたらうまくいくこともある。
向こう見ずだけど姉妹の絆を繋ぐオラフは本当の愛を象徴する存在であり、前向きさに元気をもらえます。



劇中歌われる歌曲もいいんですよね。

特に、外に出たエルサ(イディナ・メルゼン)が歌う「Let It Go」はスペクタキュラーな映像の美しさもあって聴き応えたっぷり。
日本版でエルサの声をあてる松たか子の歌声も話題ですね。

アナのロマンスにキュンとするし、姉妹の絆にも胸が熱くなる。
ファーストインプレッションもことごとく覆され、意外な展開も楽しい。

判断を間違うこともあるのが人間という描き方も新しい。
おとぎ話の王道「真実の愛」の描き方にもちょっとした捻りがあって
古き良き物語を新しい感覚で描くこれからのディズニーに期待が膨らむ作品でした。

松たか子さん版の「Let It Go」のクリップ貼っておきます脳内ヘビロテ中~
      



パラノーマン ブライス・ホローの謎
2013年01月07日 (月) | 編集 |
 

 
パラノーマン ブライス・ホローの謎 2012年(アメリカ)
原題:ParaNorman
監督:クリス・バトラー 、サム・フェル
声の出演:コディ・スミット=マクフィー、タッカー・アルブリジー、アナ・ケンドリック、ケイシー・アフレック、レスリー・マン
 
 
マサチューセッツ州ブライス・ホロー。
魔女伝説で有名なこの街に暮らすノーマンは、ちょっと変わった男の子。
彼には死者が見え、会話までできるのだ。
おかげで学校では変わり者として虐められ、父親や姉にも疎まれる日々。
ノーマンには、やはり死者と話す能力を持つ叔父がいたが、叔父はあることをノーマンに託して死んでしまった。
叔父に託された任務とは・・・
 
 

『コララインとボタンの魔女』のライカ・エンターテインメントが手がける3Dストップモーションアニメです。

死者と話すことのできる男の子が、ある秘密に立ち向かい街を救うという物語。
舞台となる街は魔女伝説で有名で、メイン通りは魔女博物館などで溢れている
そう、ブライス・ホローという架空の名前をつけてはいるけどこの街が先日訪れたセイレムをモデルにしていることは明らかで
そうすると、その秘密にも想像が付くというものですね。

死者が出てきたり、呪いをかけられたゾンビに襲われたりホラーアドベンチャーの形は取るものの、
本作は「虐め」の本質に触れるテーマに深みがあります。

人間には「人と違う風変わりな者」を恐れる性質があって、
それが虐めや排除に繋がるというのは「呪い」の発端となる歴史的事件の起きた300年前も、今も同じ。

痛みをわかるノーマンだから怒りを沈め「呪い」を解く事が出来たのも納得で
後半ノーマンが邪悪なものに対峙するシーンの優しさと切なさに涙してしまったのでした。
「人と違うことは個性」であることに気づき、耳を傾けることの大切さも教えてくれる作品です。
 

日本公開は3/29~  

余談ですが、私は小さいときに買い物にいく道端に頭から血を流し座っているおじいちゃんを見てました。
(一度だったか、複数回だったかも覚えてないのだけど)
幼心に、誰も気にせず放置してるのを不思議に思いながら一緒にいた母にも何も言わずにいたっけ。
でも今思うと、きっと見えてたのは私だけだったんでしょうね。そんなことを思い出しました。
 
★★★★
 


ファンタスティックMr.FOX
2010年08月07日 (土) | 編集 |




2009年
監督:ウェス・アンダーソン
声の出演:ジョージ・クルーニー/メリル・ストリープ/ジェイソン・シュワルツマン/ビル・マーレイ
     
ジョジクル特集 1本目
■感想
さーて、熱い男ジョージ・クルーニー特集開始~。
・・え?  アニメやんけ ってですか?
はい、すみません。

でもこれ主人公のミスターフォックスの声がジョジクルなんですよ。
ご存知ウェス・アンダーソン初のアニメ作品
ストップモーション・ピクチャーでおりなす、動物たちのアドベンチャー活劇です。




主人公のミスター・フォックス(クルーニー)は妻と幸せに暮らす野生のキツネ。
ニワトリ泥棒を生業とするミスターは、ある日妻ファシリティ(メリル・ストリープ)とともに罠にかかってしまう。

檻の中で「妊娠してるの」と告げる妻・・・

それから2年後、
妻と息子のアッシュ(ジェイソン・シュワルツマン)と平和に暮らすミスター・フォックスは
穴を抜け、地上の家に暮らすことを夢見るようになります

「強欲な3人の地主の土地に近いからとやめとけ」という弁護士(ビル・マーレイ)の忠告を無視してついに丘の上の家に移り住むことを決めるのですが・・・


えーと動物が主人公ではあるけど、勿論これは人間に置き換えることの出来るお話。

より安全な暮らしをという妻の願いにしたがって、今では新聞のコラム二ストとして働く主人公。
でも強欲なご近所3農家の家には、目もくらむような美味しそうなものがいっぱい
かつてニワトリ泥棒でならした、野生の血が騒ぐというものです。

ま、泥棒なんて表現すると、それでいいのか?ってことになりそうだけど
あくまで自分の野心に正直に生きる男の姿としてみるのがよろしいかと。

やりたくもない仕事、それでも家族の平穏な暮らしのためと、自身の野望を置き去りにしてる
世の中のオヤジには、ことさら響くものがあるかもしれません。

できのいいいとこが同居することになり、孤独を感じる一人息子の成長物語など
家族一人ひとりの姿にも、普遍的な人間像を与えてるのも面白いところ。

なんたって楽しいのは、擬人化された動物たちが見せる野生の姿。
ついついクルーニーやメリルを重ねてみてるもんで
あんなことも、こんなこともしちゃうその姿にププと笑いが出ちゃいますねw


ドライな笑いを誘うその作風はウェス・アンダーソンらしいところでしょう。
大人も子供の楽しめるアニメになってると思います。
あとやっぱり音楽がいいんだよね。
トマトメーターも93%という高評価。
アカデミーアニメ部門にもノミネートされ、話題になりました。


ただ個人的には監督の作品は
役者が演じてこそ、味が出るのではないかなとも思うのだけど。