映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ヒドゥン・フィギュアーズ(原題)
2017年02月06日 (月) | 編集 |
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 ヒドゥン・フィギュアーズ(原題)(2016) アメリカ
原題:Hidden Figures 
監督/脚本:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン
オクタヴィア・スペンサー/ジャネーヌ・モネイ/キルスティン・ダンスト/ケヴィン・コスナー

【あらすじ】
60年代初頭、NASAでは黒人女性たちが人間コンピューターとして宇宙開発プログラムに携わっていた

【感想】
 2月はオスカー月ということで、関連作品を観ていきます。
今年のノミネーションのサプライズの一つ、作品賞候補となった『ヒドゥン・フィギュアーズ』を観ました。

監督は『ヴィンセントが教えてくれたこと』のセオドア・メルフィ。
NASA初期の宇宙開発計画に貢献した3人のアフリカ系アメリカ人女性数学者の知られざる実話を映画化した一本です。

舞台となる1961~2年は『ヘルプ~人とつながるストーリー~』と同じ頃。
ヘルプでオスカーに輝いたオクタヴィア・スペンサーが本作でも助演女優賞にノミネートされています。

今回オクタヴィア(ドロシー)の職場はNASA!
NASAは数字に強い黒人女性を雇い、人間コンピューターとして計算業務にあたらせていたんですね。
キャサリン(タラジ・p・ヘンソン)、メアリー(ジャネール・モネイ)も同僚です。

しかし彼女らの職場の部屋には「colored computers」=「黒人のコンピューター課」の標識。
実はNASAでも水飲み場やトイレは「黒人用、白人用」で分けられ、黒人差別が普通に行われていたという事実。
ロケットを宇宙に飛ばそうというNASAで、まだこれだったんだとビックリ。

映画はそんな環境で奮闘する女性陣を描くわけだけど、この映画の面白いのは単なる人種差別映画になってないこと。
キャサリンは子供のころから数学に天才的な能力があり、その才能が宇宙飛行に多大な貢献をするのが痛快で感動的なんです。

しかし、歴史に残る働きに違いないのに、キャサリンの功績が知られてないわけで、それがタイトル「知られざる偉人」の所以でしょう。figuresと複数なのは、それぞれの分野で活躍したドロシー、メアリーを含めるのかと。他にもたくさんの知られざる偉人がいるということかもしれませんね。
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本作は先日のアメリカ映画俳優組合賞の、色んな映画賞のアンサルブル演技賞はじめ、様々な賞でアンサンブル演技が評価されています。タラジの天才っぷり、肝の据わったオクタヴィアのリーダー的カリスマ感、ジャネールの負けん気、
加えて、ジンワリ意地悪パンチを食らわすキルスティン・ダンストに代表される典型的な白人たち、(いつオクタヴィアが●●●パイで反撃に出るかとヒヤヒヤしましたがw)、チームの成功に心を尽くす一途さが黒人女性との垣根を取り払うことになるケヴィン・コスナーも機能してる。クライマックスのNASAの一体感も興奮しました。
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それにしても黒板につらつらーっと書き連ねた数式が宇宙飛行の成功を左右するんだから、数学ってすごい。
これぜひ子供さんにも見て欲しい。

「黒人」というタグが必要でないほどに、女性として、人として道を拓いた3人
彼らの本物の写真が最後に出てきて、涙腺が緩んだなぁ。
映画も最高に面白かった。



お気に入り度4.5

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【追悼】ジョン・ハート『The Naked Civil Servant (原題)』
2017年02月05日 (日) | 編集 |
 
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The Naked Civil Servant(原題)(1975) イギリス
原題:The Naked Civil Servant 
監督:ジャック・ゴールド
脚本:クエンティン・クリスプ(自伝)、フィリップ・マッキー(脚本)
出演:
ジョン・ハート/パトリシア・ホッジ

【あらすじ】
強盗仲間を裏切り、スペインで隠れ住む男の元へ二人の殺し屋が現れた。二人の目的は、組織のボスが待つパリへ男を連れていくこと。そこへ誘拐事件に巻き込まれた少女が加わり、奇妙な4人組の旅が始まった……。

【感想】
  ジョン・ハートの追悼最後は、役者ジョン・ハートの名を一躍有名にしたとされる『The Naked Civil Servant』
作家、モデル、役者、パフォーマーなどで活躍したクエンティン・クリスプ氏が1968年に出版した自伝小説の映画化です。
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こちら本物↑

ハート演じるクエンティン・クリスプは、10代の頃から「ホモセクシャル」をオープンにし、化粧にマニキュア、派手な衣装に身を包み堂々と生きてきた人。
まだ女装をする前から、道を歩けば同性愛者に見初められ、そちらへと流れていくのも極自然。
しかし、まだまだゲイに不寛容な時代ということで、時にはあらぬ暴力を受けたり、警察に捕まったり。
それでも、彼はどんなに辛い目に遭っても人を恨むことなく、その時々を飄々と生き抜いていくわけですねぇ。
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ジョン・ハートはいわゆるおかまちゃんなクエンティンを滑稽なほど大げさに演じているのに、不思議と可憐で品を損ねず、内面の美しさを感じさせるのが凄い。もともと小柄で色白なので女装した姿も自然だし、脱ぐとまたきれい。
時代を感じさせる音楽もいいし、どこか可笑しくて、どこか寂しいハートの演技も心地よい。

自分らしく生きるクエンティンの生き方に、ゲイの権利を感じずにはいられません。
長い年月をかけてようやく手に入れたものを、トランプの政策で奪われることがないよう願いたいですよ。

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TVムービーということで、日本ではソフトになってないようですが、youtubeに全編(8本に分けて)アップされてます。タイトルのNaked civil servantは裸体のモデルとして生計を立てることを決めたクエンティンが、自身をそう呼ぶところから。そのシーン含むパートの動画を貼っておきます。






ちなみに続編『An Englishman in New York』でもハートはニューヨークに舞台を移し活躍した老齢のクエンティンを演じているそうです。

若き日のクエンティン 美しい
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お気に入り度3.8


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【映画】ジャッキー/ファーストレディ最後の使命
2017年01月28日 (土) | 編集 |
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 ジャッキー/ファーストレディ最後の使命(2016 アメリカ/チリ
原題:Jackie
監督:パブロ・ラライン
脚本:ノア・オッペンハイム
出演:
ナタリー・ポートマンピーター・サースガード/グレタ・ガーウィグ/リチャード・E・グラント/ビリー・クラダップ/ジョン・ハート

【あらすじ】
1963年11月22日、テキサス州ダラスを訪れたケネディ大統領が、パレード中に何者かに射撃される。妻ジャクリーンは悲しむ間も与えられず、葬儀の取り仕切りや副大統領の大統領就任式への出席等対応に追われ・・


【感想】
  ケネディ元大統領夫人ジャクリーン・ケネディの視点で大統領暗殺を描く伝記ドラマ。
ナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。

ケネディが銃弾に倒れた直後、ジャクリーン夫人が後ろに飛んだ頭蓋骨のかけらに手を伸ばそうと、リムジンのトランクに這い上がる映像は、世界中で何度も再生されたであろう衝撃的瞬間です。
夫人がどんな思いでその悲劇に対峙したのかに興味もあり、劇場に足を運びました。


もともとはダーレン・アロノフスキー監督、レイチェル・ワイズ主演で企画が進んでいたらしいですが、破局によりレイチェルが降板。製作に回ったアロノフスキーの代わりにチリのパブロ・ララインがメガホンを取り、ナタリー・ポートマンを主演に迎えて制作にこぎつけました。映画は暗殺直後のジャクリーヌ夫人(ポートマン)が、ファーストレディとしての最後の使命を果たす姿を描いていきます。


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大統領の仕事は待ったなしなので、目の前で夫を殺された2時間後には血の付いたままのスーツで次期大統領の宣誓式に臨むジャッキー。すぐにホワイトハウスからの退去も余儀なくされるわけで・・
大統領夫人の肩書も失い、自身の存在価値さえなくことになるなんて残酷ですねぇ。

彼女は大統領の記憶を最高のものとして後世に残したいと、暗殺から一週間後には雑誌ジャーナリスト(ビリー・クラダップ)を招きます。クラダップのインタビューに答える形でランダムなイベントがフラッシュバックで再現される中、ジャッキーの発言に段々と違和感を感じる部分が出てくるんですよね。ずっと煙草を吸ってるのに「タバコは吸わない」と言ってみたり。
言ったばかりの言葉をなかったことのように否定するシーンでは会場中が「へっ?!」でした。

ジャッキーはすでにPTSDに近い状況だったのか。
その辺が少し曖昧で、ジャッキーが変な人に思えてしまった。

終盤ジャッキーの孤独な悲しみと『キャメロン』の歌詞が重なり、その心情も理解できるのだけど、それまでにすでに心が離れてしまっていたのは残念。これレイチェル・ワイズがやった方が似合ってたかもなぁ。顔もレイチェルの方が似てますよね。

左は本物のジャクリーヌ夫人。 ポートマン(右)はファッションも再現

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大統領暗殺の瞬間をジャッキーの視点で見せる映像は新鮮で、本作のハイライトでした。
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終盤、神父役でジョン・ハートが登場します。
随分と歳をとったという印象で、一瞬彼とわからなかったんですが、まさかその日に訃報に触れることになるとは。
わずかな登場時間でも、含蓄のあるお言葉で映画にしっとりした余韻を残すのが流石でした。
心からご冥福をお祈りします。

追悼は次記事で。




お気に入り度3.4
・ジャッキーの喪失と困惑も最後には理解できるけれど、いい映画を観たという満足感を得られなかった。
・ポートマンの喋りに方に違和感。ジャッキーに似せたのだろうけど生理的になんか嫌w
などの理由で低めです。

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【映画】バスキア
2016年09月13日 (火) | 編集 |

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 バスキア(1996 アメリカ
原題:Basquiat
監督:ジュリアン・シュナーベル
脚本:ジュリアン・シュナーベル/マイケル・トーマス・ホルマン
出演:ジェフリー・ライト / クレア・フォーラニ/ マイケル・ウィンコット/ デヴィッド・ボウイ/ デニス・ホッパー/ ゲイリー・オールドマン/ ベニチオ・デル・トロ / ウィレム・デフォー/ クリストファー・ウォーケン

【あらすじ
1979年、壁に落書きするグラフィティスタイルで独自の世界観を表現していたバスキアは、徐々にその実力を認められるようになる。

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感想
1988年に 27歳で亡くなったアーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアの伝記映画。
『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベルの監督デビュー作品です。

主役はバスキアを演じるジェフリー・ライトですが、「イギリス男優50人斬り」につき、今日は主に共演のデヴィッド・ボウイゲイリー・オールドマンについて書きます。
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まずはオールドマン。
登場人物のほとんどが実在の人物という中、オールドマン演じるアルバート・マイロは架空の人物です。実はこの役に監督は画家でありバスキアと親交のあった自身を投影したんですね。家の廊下にバスキアが排尿するのも監督の家で実際にあったこと。オールドマンの娘として登場するのは監督の実の娘です。

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ボウイ演じるアンディ・ウォーホルはポップアートの旗手として有名ですが、バスキアとも親交があった人。
映画の中でバスキアの恋人ジーナが「ウォーホルはバスキアを利用している」と言うシーンがあるように、世間ではそういう噂も立っていたようだけど、監督はウォーホルをバスキアのメンターであり父親のような存在として描きたかった様子。ボウイ自身は頭角を現した新しい才能に敬意を表しつつ、自分の知識を与え、ともに成長しあう存在として演じたとのことで、当人をよく知る監督と、アーティストとしてウォーホルを尊敬するボウイ、2人とも引けないものがあるらしくらインタビュー動画で少し気まずい空気が流れてました。

それでもボウイの演技には監督も絶賛で、本物のウォーホルが着用していたという銀髪のウィグをつけ、世間を見る空虚さや反発心を目で表現したボウイが凄くいい。
劇中バスキアがキャビアを買って、ウォーホルが3000ドルをカードでポンと払うシーン
これは「お前なんかに買えないだろう」という態度の店員をバスキアが見返す場面として描かれてますが、成功の影には世間の偏見や中傷にもさらされてきたんでしょう。
ちなみに実際に一緒にキャビアを買ったのはウォーホルではなく監督だったらしいですよ。

ジャンキー仲間で何言ってるのかわからないベニー役のベニチオ・デルトロには吹き出したけど、ラストシーンにはベニーのやさしさが救いに感じられて心が温まった。

初監督のインディーズ作品にもかかわらず、デニス・ホッパーやクリストファー・ウォーケンなど著名な俳優陣や多くのミュージシャンが参加してるのもアーティストへの共感とリスペクトがあるからこそ。

時に洗脳ビデオを見てるような感覚に陥る映像も面白かったし、アーティストによるアーティストの映画としてユニークさを楽しみました。

ちなみにこちらバスキアの作品
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私も描けそうな気がする・・・w





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【映画】ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ
2016年09月10日 (土) | 編集 |
 
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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ(2016 イギリス/アメリカ
原題:Genius
監督:マイケル・グランデージ
脚本:ジョン・ローガン
出演:コリン・ファース
 ジュード・ロウ  / ニコール・キッドマン/ ローラ・リニー /ガイ・ピアース
日本公開:2016/10/7

【あらすじ
アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドら世界的な作家を世に出した編集者マックスウェル・パーキンズは無名の作家トマス・ウルフに才能を見出し、出版を約束する。

感想
ジュード・ロウコリン・ファースがダブル主演で実在の作家と天才編集者を演じる伝記ドラマです。
ガイ・ピアースがF・スコット・フィッツジェラルド役で登場するので、今日は英国男優3人斬りね。

ジュード・ロウ演じるのはアメリカの小説家トム・ウルフ。知りません(汗)

長けりゃいいってもんじゃないのは顔だけじゃない。
ウルフの持ち込む原稿は莫大な量(しかも手書き)で、どこの出版会社からも相手にされない。
でも名編集者マックスウェル・パーキンズだけはウルフの文に目をとめるんですね。
そこから出版に向けての長い長い道のりが始まります。
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編集といってもパーキンズが勝手に手直しするわけではなく、真の言葉を導きだすウルフとの共同作業。ダラダラ説明に終始した文が洗練された美しいフレーズに生まれ変わるシーンにはワクワクしました。
名作もはじめから傑作なわけではないですね。

自分で書く力もあっただろうにそうせず、埋もれた才能を開花させることに人生を捧げるマックス。エキセントリックで、できればお近づきになりたくないタイプのウルフに家庭を犠牲にしても固執するのは、その才能を確信しているから。
ウルフの原稿を読むときの至極の表情で、文学への静かな情熱を表現するファースの素晴らしいこと。

こんな暑い・・もとい熱いジュードを観るのはたぶん初めてで、俳優としてのジュードの変化も感じました。

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この表情。心を通わせていく二人に言葉はいらないっていうね。


本作が初監督というマイケル・グランデージは舞台の演出家として活躍する方らしく、ウルフと愛人役ニコール・キッドマンのやり取りなどには舞台風な演出も見て取れます。
でもいったんカメラが外に飛び出すと、雰囲気は一転。
セピア色に彩られた20年代から40年代のニューヨークが、舞台ではどうしても表現できないだろう重厚さとスケールで映し出され、圧巻なのですよ。
ジャズをはじめとする音楽も本当に素晴らしく、映像と音楽だけでも「いい映画を観た!」という気にさせてくれる。

マックスの妻を演じたローラ・リニー、ウルフの愛人役ニコール・キッドマン、フィッツジェラルド役のガイ・ピアースもいい。精神を病んだ妻を支えるため小説家活動に没頭できなかったフィッツジェラルドのことなど、有名作家にまつわるエピソードも文学好きにはたまらないでしょう。

これしみじみよかった。
監督は今年のトップ10入り確実です。


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