映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
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【映画】クリーピー 偽りの隣人
2017年03月15日 (水) | 編集 |
クリーピーポスター

 クリーピー 偽りの隣人(2016 日本

監督:黒沢清
脚本:黒沢清/池田千尋
出演:
西島秀俊/香川照之/竹内結子/東出昌大/藤野涼子/川口春奈

【あらすじ】
大学で犯罪心理学を教える元刑事の高倉は郊外の一軒家に引っ越した。ある日、刑事の野上から6年前に起きた未解決の一家失踪事件の分析を依頼され、事件の鍵を握る一家の長女・早紀から話を聞くも事件の核心になかなか迫れない。そんな折、高倉と妻の康子は、隣人・西野の不可解な言動に振り回され始め…。


【感想】
久々の邦画です。
キャッチコピーの
あの人、
お父さんじゃありません。
全然知らない人です。
が結構衝撃的な一本。

新居に引っ越して、心新たに新生活をスタートさせようと思っても
隣人が変な奴だと憂鬱になるよね。
本作の隣人、香川照之扮する西野も、登場シーンから何か変で
高倉夫妻は違和感を感じまくりです。

そんな矢先、刑事時代の後輩が高野の犯罪心理分析能力を頼って
6年前に起きた未解決事件の協力を依頼してくる。
一家失踪と思われた事件は、やがて殺人事件へと発展

さて犯人は?となるわけですが、この映画いわゆる犯人探しのミステリーとはちと趣が違う。
というのも、犯人一択! ほかに怪しい奴など出てきませんから。

クリーピー
やー、気持ち悪かったね香川さん。
『レインマン』のホフマン歩きで、陰湿かと思えば妙に愛想が良かったり
人の心はどこに忘れてしまったのかと聞きたくなるような西野はとんでもサイコ野郎

これ観て思いだしたのが『ボーグマン』です。
いつのまにかやってきて、問題がある一家に入り込んでは人を殺す、
あるいは若い子は仲間にして、新しい住処を見つけるボーグマン。
冒頭、神父らに追われる様子から、彼らは「悪魔」なのかと想像するものの、正体は結局不明。
そんなボーグマンの雰囲気がこの映画にはあると思ったな。

クリーピー2


まずは問題のある家庭を選ぶ西野の嗅覚がボーグマン。
美男美女で素敵な夫婦に見える高倉夫妻だけど、妻の異常にも気づかない仕事バカ(しかも犯罪者の心理を追求するのはもはや趣味!)の夫との生活は壊れかけていたのかもしれない。

西野家の周囲で明らかに妙な「風」が吹くのは、よからぬことの前兆にも見えるけれど
近所のおばさんに「西野は鬼」と言わせているのも確信犯的で、私には西野は人間でないという演出にも感じられました。

終盤もはやファンタジーなのもボーグマン。
夏でもないのに扇風機に当たるという演出はよかったけど、薬剤の効用はリアリティ欠いたし
ま、そういう細かいことは追求しちゃいけないんだなと、振り上げそうになった拳を納めたよ。

何はともあれ、布団圧縮袋がボーグマンらによって爆買いされないことを祈ります。


お気に入り度4.0




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【映画】『野性の証明』
2014年12月03日 (水) | 編集 |
 

私も追悼に健さんの映画を観てみよう・・と思ったんですが、
こちらではレンタルできるものが7本しかなく、その中から『Never Give Up』をチョイス。

借りたあとに邦題を確認したら『野生の証明』でした。
健さんを偲ぶにふさわしい作品はもっと他にたくさんあるんでしょうけど、私なりの追悼です。
野性の証明(1978)日本原題: 監督:佐藤純彌 出演:高倉健/薬師丸ひろこ/夏八木勲/中野良子/三國連太郎/ 舘ひろし/田村高廣/ ハナ肇/ 松方弘樹/ 丹波哲郎/成田三樹夫/原田大二郎/ 梅宮辰夫
森村誠一の同名小説を佐藤純彌が監督した角川映画の大ヒット作ですね。
これ、大昔にテレビでチラりとは観てるはずだけどほとんど記憶になかったので、新鮮に観ました。

高倉健さん演じる味沢は元自衛隊特殊部隊の優秀な隊員でしたが、東北の山中でのサバイバル訓練中、
寒村で起きた大量惨殺事件に遭遇し、その後自衛隊を退職。
 
一年後、保険外交員として働く味沢は惨殺事件の唯一の生き残り、13歳の頼子を養子とし、ともに暮らしています。
薬師丸ひろこ演じる頼子は、ショックから事件に関する記憶をなくしている。



さんはなぜ頼子を養子にしたのかに謎を残しつつ、
映画は保険外交員となった健さんが、保険を担当したある死亡事故に疑問を持つところから始まり、
地元を牛耳る組織の陰謀を探るサスペンスへと発展していきます。

地元の大物が三國連太郎で、その馬鹿息子が舘ひろし
やくざもんの土建屋に梅宮辰夫等々、出てくる人がみんな大物役者ぞろい。
しかも36年も前の作品ですからみんな若い。
薬師丸ひろこちゃんなんて14歳ですよ。

彼女演じる頼子はちょっと先を予見できるニコラス・ケイジ程度の予知能力があるという設定。正
直それ要る?と思うところだけど、
「お父さん怖いよ。大勢でお父さんを殺しに来るよ」とCMで聞けばそそられるのは確か。

『野性の証明』というタイトルも『人間の証明』の二番煎じなのでしょうけどこの映画のいう「野性」ってなんだろう。
特殊部隊で「人殺しマシーン」に鍛えられているとしても、それ野性ちゃうし。

自衛隊脱退後、どんな暴力にも黙って耐えた健さんが唯一強さを発揮するシーンで
夏八木さん演じる刑事に「それがお前の本性だ」みたいなこと言われるけど、斧投げて渡したの誰やねん!だったしね。

ま いいか。

健さんがその土地に住むことになる理由などかなり強引だったり、荒唐無稽と思う部分も多いですが
何より凄いのは自衛隊をこんな風に描いてしまうこと。
協力を得られず、戦車を使うクライマックスシーンはアメリカロケとのこと。そりゃそうだろな。
 
個人的にこの映画で一番よかったのは、健さんとひろこちゃんの擬似親子の関係です。
ここね、ある部分を明かさずには書けないので、以下半分ネタバレさせていただきます。

未見の方はご注意ください。

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【映画】 他人の顔
2014年08月04日 (月) | 編集 |



「もうひとりの自分」をテーマにした映画を観てみようという企画
今日は安部公房原作を勅使河原宏が監督した1966年製作の傑作SFドラマ『他人の顔』です。
他人の顔(1966)日本
英題:The Face of Another
監督:勅使河原宏
出演:仲代達也/ 京マチ子/ 平幹二朗/ 岸田今日子/ 岡田英次/ 入江美樹
 奥山仕事中の事故で大やけどを負い、顔と手を包帯で覆われることとなる。
妻に拒絶され、対人関係にも失望した奥山は、他人の顔になって自分の妻を誘惑しようと考えた。精神科医が実験的な興味から、彼に以後の全行動の報告を誓わせて仮面作成を引受けた。

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事故で顔を失った男が、新しく得た「他人の顔」と対峙する姿を描く不条理ドラマ。
顔のない男=奥山を演じるのは仲代達也
透明人間のように包帯で顔を覆い、顔を失うことはすなわち自己の喪失であるということを、精神科医(平幹二朗)と語り合うシーンは哲学的で面白いですね。
奥山は特殊なプラスティックで作ったマスク「他人の顔」を得て、自身ではなしえなかったことを実現しようとする。さらには、他人の皮を被った自分は本来ある自己とまるで違うことを証明しようともがき、あげくに犯罪に及ぶ。犯罪者の心理にはこういうこともあるのかもしれませんね。

洗練された武光徹の音楽、磯崎新らによるアーティスティックな造形美
どれをとっても芸術性の高い作品として目と耳を楽しませてくれました。

しかしながら、一度観ただけでは理解できない部分もあり
精神科医や顔の半分に火傷を負った少女の映画の中での存在意味
ナースを演じる岸田今日子さんが終盤手を洗うシーンが挿入される意味合いは?などなど
多くの謎が頭の中をぐるぐると駆け巡ることになりました。
youtubeに監督のインタビューを参考にしたというレビューが投稿されていて、参考になったので
以下自分なりに理解したことを述べていきます。
未見の方はご注意ください。

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みな殺しの霊歌
2013年10月26日 (土) | 編集 |



「復讐を描く映画」シリーズ、めずらしく邦画で締めます。

みな殺しの霊歌(1968)日本
監督:加藤泰
出演:佐藤允、 倍賞千恵子、中原早苗、 応蘭芳、 角梨枝子、 松村達雄、  菅井きん
ひとりの女が情交の後惨殺された。
半月のうちに、被害者と友人関係にあった女たちが次々と殺され、警察は連続殺人事件として捜査を進めるも、犯人を特定できずにいた。。


犯人(佐藤充)の姿は最初からスクリーンに映し出されていて
本作が犯人探しを主眼にしたミステリーでないことは分かります。
川島と名乗る男は、事件後小さな食堂に立ち寄り、店員春子(倍賞美津子)に魅かれ始める。
男と春子の純な交流にしばしホッとするのもつかの間、彼は新たな殺人に手を染める。
男にはどうしてもやり遂げなければならない復讐があったのです。


この映画がカルト的な位置づけにあるのは、まず
犯した後に惨殺するというインモラルな殺害方法があるでしょう。
そして、ひとつには犯人の「動機」にもあるでしょうね。




美しいもの、本当に大切にしたかったものを不条理に奪われた男の憤り
もしも春子と一月早く出会っていたら、
彼の空虚な心が春子という希望で満たされつつあったならば
事件は起きなかっただろうと思うとやるせない。
幸せを掴めそうで掴めない男と女の悲しい物語として印象に残りました。

春子の幸せを願う食堂のおやっさんの思いとか、昭和ならでは人情が滲むのがいいね。
『男と女』を意識したかのようなシャバダバダ系の音楽は、ドロドロした物語には不似合いに感じたけど
切ないノワールを盛りたてた 気もする。





大人の見る絵本 生まれてはみたけれど
2013年09月24日 (火) | 編集 |
タイトルの「大人の見る絵本」で妄想に走ったあなた残念でした。
今日は小津作品なんですよ。
大人の見る絵本 生まれてはみたけれど(1932)日本
監督:小津安二郎
出演:斎藤達雄、 吉川満子、 菅原秀雄、 突貫小僧、 坂本武、 早見照代 、 加藤清一日本
公開:1932/6
郊外に越してきた吉井家幼い二人の兄弟にとって父親は世界で一番偉い人。
しかしある日、会社で上司にペコペコし変顔までする父親の映った8ミリビデオを見てしまい・・・。


小津安二郎監督によるサイレント映画です。
トーキーの黎明期の32年に、あえてサイレントにこだわり、その完成形を目指したというだけあって
本作のクオリティの高さと面白さに驚きました。

大人の世界の一端を知りショックを受ける兄弟と子供たちを導く両親の普遍的な関係を描いているのですが
30年代という時代のほのぼの感もあいまって、アイロニカルなだけでなく実に優しく可愛らしい映画になってるんですね。
子供たちの日常の描写もユーモアたっぷりでチャップリン映画を観てるよう。
それが日本だから余計微笑ましいんですよね。

子供たちの中には、背中にこんな貼り紙をしてる子供もいてねw

おかしいやら可愛いやら今時の子供は、いくらこの年齢でも嫌がるでしょ。
親の権力がまだ絶対だった頃なんでしょね。

体の大きな、ジャイアン的存在の子供はいつもうずら卵を食べてる。卵は強さの源?
スタローンはきっとこの映画を観て『ロッキー』に応用したんでしょうね(笑)
あと、うずら卵が賄賂みたいな役割をしたりして
子供の間にも、偽大人社会が存在するという描き方も面白い。
子供に現実を教えることは、親にとって時にとても切ないこともあるでしょう。
それでも父は厳しく、母は一歩引いて、でも優しく、ともに子供に向き合うんですね。

現代人が失いつつある家族の形がそこにありました。
ありふれた日常を切り取っただけかもしれないけれど日本人の原点みたいなのをいっぱい感じた作品でした。       



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