映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『野性の証明』
2014年12月03日 (水) | 編集 |
 

私も追悼に健さんの映画を観てみよう・・と思ったんですが、
こちらではレンタルできるものが7本しかなく、その中から『Never Give Up』をチョイス。

借りたあとに邦題を確認したら『野生の証明』でした。
健さんを偲ぶにふさわしい作品はもっと他にたくさんあるんでしょうけど、私なりの追悼です。
野性の証明(1978)日本原題: 監督:佐藤純彌 出演:高倉健/薬師丸ひろこ/夏八木勲/中野良子/三國連太郎/ 舘ひろし/田村高廣/ ハナ肇/ 松方弘樹/ 丹波哲郎/成田三樹夫/原田大二郎/ 梅宮辰夫
森村誠一の同名小説を佐藤純彌が監督した角川映画の大ヒット作ですね。
これ、大昔にテレビでチラりとは観てるはずだけどほとんど記憶になかったので、新鮮に観ました。

高倉健さん演じる味沢は元自衛隊特殊部隊の優秀な隊員でしたが、東北の山中でのサバイバル訓練中、
寒村で起きた大量惨殺事件に遭遇し、その後自衛隊を退職。
 
一年後、保険外交員として働く味沢は惨殺事件の唯一の生き残り、13歳の頼子を養子とし、ともに暮らしています。
薬師丸ひろこ演じる頼子は、ショックから事件に関する記憶をなくしている。



さんはなぜ頼子を養子にしたのかに謎を残しつつ、
映画は保険外交員となった健さんが、保険を担当したある死亡事故に疑問を持つところから始まり、
地元を牛耳る組織の陰謀を探るサスペンスへと発展していきます。

地元の大物が三國連太郎で、その馬鹿息子が舘ひろし
やくざもんの土建屋に梅宮辰夫等々、出てくる人がみんな大物役者ぞろい。
しかも36年も前の作品ですからみんな若い。
薬師丸ひろこちゃんなんて14歳ですよ。

彼女演じる頼子はちょっと先を予見できるニコラス・ケイジ程度の予知能力があるという設定。正
直それ要る?と思うところだけど、
「お父さん怖いよ。大勢でお父さんを殺しに来るよ」とCMで聞けばそそられるのは確か。

『野性の証明』というタイトルも『人間の証明』の二番煎じなのでしょうけどこの映画のいう「野性」ってなんだろう。
特殊部隊で「人殺しマシーン」に鍛えられているとしても、それ野性ちゃうし。

自衛隊脱退後、どんな暴力にも黙って耐えた健さんが唯一強さを発揮するシーンで
夏八木さん演じる刑事に「それがお前の本性だ」みたいなこと言われるけど、斧投げて渡したの誰やねん!だったしね。

ま いいか。

健さんがその土地に住むことになる理由などかなり強引だったり、荒唐無稽と思う部分も多いですが
何より凄いのは自衛隊をこんな風に描いてしまうこと。
協力を得られず、戦車を使うクライマックスシーンはアメリカロケとのこと。そりゃそうだろな。
 
個人的にこの映画で一番よかったのは、健さんとひろこちゃんの擬似親子の関係です。
ここね、ある部分を明かさずには書けないので、以下半分ネタバレさせていただきます。

未見の方はご注意ください。

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【映画】 他人の顔
2014年08月04日 (月) | 編集 |



「もうひとりの自分」をテーマにした映画を観てみようという企画
今日は安部公房原作を勅使河原宏が監督した1966年製作の傑作SFドラマ『他人の顔』です。
他人の顔(1966)日本
英題:The Face of Another
監督:勅使河原宏
出演:仲代達也/ 京マチ子/ 平幹二朗/ 岸田今日子/ 岡田英次/ 入江美樹
 奥山仕事中の事故で大やけどを負い、顔と手を包帯で覆われることとなる。
妻に拒絶され、対人関係にも失望した奥山は、他人の顔になって自分の妻を誘惑しようと考えた。精神科医が実験的な興味から、彼に以後の全行動の報告を誓わせて仮面作成を引受けた。

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事故で顔を失った男が、新しく得た「他人の顔」と対峙する姿を描く不条理ドラマ。
顔のない男=奥山を演じるのは仲代達也
透明人間のように包帯で顔を覆い、顔を失うことはすなわち自己の喪失であるということを、精神科医(平幹二朗)と語り合うシーンは哲学的で面白いですね。
奥山は特殊なプラスティックで作ったマスク「他人の顔」を得て、自身ではなしえなかったことを実現しようとする。さらには、他人の皮を被った自分は本来ある自己とまるで違うことを証明しようともがき、あげくに犯罪に及ぶ。犯罪者の心理にはこういうこともあるのかもしれませんね。

洗練された武光徹の音楽、磯崎新らによるアーティスティックな造形美
どれをとっても芸術性の高い作品として目と耳を楽しませてくれました。

しかしながら、一度観ただけでは理解できない部分もあり
精神科医や顔の半分に火傷を負った少女の映画の中での存在意味
ナースを演じる岸田今日子さんが終盤手を洗うシーンが挿入される意味合いは?などなど
多くの謎が頭の中をぐるぐると駆け巡ることになりました。
youtubeに監督のインタビューを参考にしたというレビューが投稿されていて、参考になったので
以下自分なりに理解したことを述べていきます。
未見の方はご注意ください。

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みな殺しの霊歌
2013年10月26日 (土) | 編集 |



「復讐を描く映画」シリーズ、めずらしく邦画で締めます。

みな殺しの霊歌(1968)日本
監督:加藤泰
出演:佐藤允、 倍賞千恵子、中原早苗、 応蘭芳、 角梨枝子、 松村達雄、  菅井きん
ひとりの女が情交の後惨殺された。
半月のうちに、被害者と友人関係にあった女たちが次々と殺され、警察は連続殺人事件として捜査を進めるも、犯人を特定できずにいた。。


犯人(佐藤充)の姿は最初からスクリーンに映し出されていて
本作が犯人探しを主眼にしたミステリーでないことは分かります。
川島と名乗る男は、事件後小さな食堂に立ち寄り、店員春子(倍賞美津子)に魅かれ始める。
男と春子の純な交流にしばしホッとするのもつかの間、彼は新たな殺人に手を染める。
男にはどうしてもやり遂げなければならない復讐があったのです。


この映画がカルト的な位置づけにあるのは、まず
犯した後に惨殺するというインモラルな殺害方法があるでしょう。
そして、ひとつには犯人の「動機」にもあるでしょうね。




美しいもの、本当に大切にしたかったものを不条理に奪われた男の憤り
もしも春子と一月早く出会っていたら、
彼の空虚な心が春子という希望で満たされつつあったならば
事件は起きなかっただろうと思うとやるせない。
幸せを掴めそうで掴めない男と女の悲しい物語として印象に残りました。

春子の幸せを願う食堂のおやっさんの思いとか、昭和ならでは人情が滲むのがいいね。
『男と女』を意識したかのようなシャバダバダ系の音楽は、ドロドロした物語には不似合いに感じたけど
切ないノワールを盛りたてた 気もする。





大人の見る絵本 生まれてはみたけれど
2013年09月24日 (火) | 編集 |
タイトルの「大人の見る絵本」で妄想に走ったあなた残念でした。
今日は小津作品なんですよ。
大人の見る絵本 生まれてはみたけれど(1932)日本
監督:小津安二郎
出演:斎藤達雄、 吉川満子、 菅原秀雄、 突貫小僧、 坂本武、 早見照代 、 加藤清一日本
公開:1932/6
郊外に越してきた吉井家幼い二人の兄弟にとって父親は世界で一番偉い人。
しかしある日、会社で上司にペコペコし変顔までする父親の映った8ミリビデオを見てしまい・・・。


小津安二郎監督によるサイレント映画です。
トーキーの黎明期の32年に、あえてサイレントにこだわり、その完成形を目指したというだけあって
本作のクオリティの高さと面白さに驚きました。

大人の世界の一端を知りショックを受ける兄弟と子供たちを導く両親の普遍的な関係を描いているのですが
30年代という時代のほのぼの感もあいまって、アイロニカルなだけでなく実に優しく可愛らしい映画になってるんですね。
子供たちの日常の描写もユーモアたっぷりでチャップリン映画を観てるよう。
それが日本だから余計微笑ましいんですよね。

子供たちの中には、背中にこんな貼り紙をしてる子供もいてねw

おかしいやら可愛いやら今時の子供は、いくらこの年齢でも嫌がるでしょ。
親の権力がまだ絶対だった頃なんでしょね。

体の大きな、ジャイアン的存在の子供はいつもうずら卵を食べてる。卵は強さの源?
スタローンはきっとこの映画を観て『ロッキー』に応用したんでしょうね(笑)
あと、うずら卵が賄賂みたいな役割をしたりして
子供の間にも、偽大人社会が存在するという描き方も面白い。
子供に現実を教えることは、親にとって時にとても切ないこともあるでしょう。
それでも父は厳しく、母は一歩引いて、でも優しく、ともに子供に向き合うんですね。

現代人が失いつつある家族の形がそこにありました。
ありふれた日常を切り取っただけかもしれないけれど日本人の原点みたいなのをいっぱい感じた作品でした。       



藁の楯 わらのたて
2013年05月27日 (月) | 編集 |
日本滞在最終日(帰国前日)、夫は東京で2件の仕事が入ったため私のみ成田に直行。
ホテルにチェックインしたあと、夕方までの時間をイオンモールで潰し、ついでに映画を観てきました。
映画館のチラシをチェックしたのが3時ちょっと前。映画の開始が3時25分。。。
でもホテルに着いて、お菓子を少し食べただけだったので、迷った挙句フードコートへ。
よせばいいのに、ばくだん丼セットなる、ねばねば系丼にお蕎麦のついたセットを6分ほどでかっ込み、行ったこともない映画館へと走ったのでした。どんだけ早食い大将やネン!
というか、もっと味わって食べたかった(笑)


藁の楯 わらのたて(2013)日本
監督:三池崇史
出演:大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、山崎努
 政財界を牛耳る蜷川の孫娘が殺され、事件の3か月後に、蜷川によって容疑者・清丸のクビに金がかけられる。その額は10億円。日本中がその額に色めきだつ中、恐怖を感じた清丸は自首。銘苅、白岩ら警視庁警備部は、清丸の身を守り、彼を移送する任務を受ける。

ってなわけで、『藁の楯』観てきました。
観てて思ったのは、日本もこんな大掛かりな映画を作るんだなぁと言うこと。
カークラッシュなどのアクションも派手、機動隊などのエキストラも相当な数だったでしょう。
噂に違わずエンタメ性があって面白いですよね。
なんたって、10億円の懸賞目当てに、日本中が清丸の命を狙うと言う設定が面白い。
刺客がどこから現れるか分らないばかりか、内部の誰が裏切り者か分らないところが緊張感を生む。
そんな中、護送を担当するSPらの葛藤が描かれるわけですが、
「こんな虫けらみたいなヤツを命をかけて守る意味があるのか」と言った台詞は早いうちに出てくるので、後半は何か他のメッセージがあるのだろうと期待したんですが、
肝心の大沢たかおのキャラがブレてるというのか、彼を突き動かすものの正体が正義とはちょっと違ったものだったところに、個人的には少し冷めてしまい、ドラマとして物足りなかった。

全体的に男性コミック誌の原画を観てる感じでしたね。
勿論それを実写にしちゃったのは天晴れというべきでしょうが。
アクションスリラーとして退屈せずに観たけど、感動は残らず観終わってモヤモヤした。

清丸を演じた藤原竜也の、天使の顔をした悪魔っぷりが良かったですね。
性犯罪に走るものの本性は揺るがない。
こんな輩を精神鑑定にかけたりして保護しては、死んだものは浮かばれない。
その辺りが隠されたメッセージだったかしら。





      

トラックバック一覧

  1. 1. ■藁の楯■’13(邦2)

    • [ティアドロップス〜涙の数だけ〜]
    • May 27, 2013 16:30
    • ■藁の楯■     チェック:『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズで知られる漫画家の木内一裕の小説家としてのデビュー作品を、三池崇史監督が映画化したサスペンス・アクション。凶悪な殺人犯に10億円の懸賞金がかかり、犯人を移送することになった刑事たち
  2. 2. ◆藁の楯◆ 劇場にて

    • [■翔room CINEMA■]
    • May 28, 2013 08:35
    • 藁の楯  2013年/日本/125分       監督 : 三池崇史 出演 : 大沢たかお /松嶋菜々子 /岸谷五朗 / 伊武雅刀 /永山絢斗 / 余貴美子 /藤原竜也 /山崎努       観てきた────♪   たかおが待ってるから────♪
  3. 3. 駄作か?名作か?カンヌで酷評?『藁の盾』

    • [字幕映画のススメ]
    • May 29, 2013 00:14
    •       『 藁の盾 』(2013)   原作は 木内一裕 。40代以上の方は懐かしいと思う あのヤングマガジンで『 ビーバップ・ハイスクール 』を描いていた 漫画家、 きうちかずひろ 氏の小説を元に 三池崇史 が演出。 九州・鹿児島から東京
  4. 4. 映画「藁の楯〜わらのたて」 2013年 監督 三池崇史

    • [アンダンテ あっち行って ホイ♪]
    • May 29, 2013 12:09
    • 本日公開の「藁の楯」観ました 期待以上に面白かった!  エンタメ作品でありながら ちょっと考えさせられもして アクションというより日本という大きな密室での 息詰まる神経戦の様でもありました   作中のセリフにもあるように「誰にでも何か はある・
  5. 5. 『藁の楯』

    • [京の昼寝〜♪]
    • August 29, 2013 12:37
    • □作品オフィシャルサイト 「藁の楯」□監督 三池崇史□脚本 林 民夫□原作 木内一裕□キャスト 大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗■鑑賞日 4月29日(月)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<
  6. 6. 映画『藁の楯』を観て

    • [kintyre's Diary 新館]
    • September 14, 2013 23:00
    • 13-35.藁の楯■配給:ワーナー・ブラザース■製作年、国:2013年、日本■上映時間:125分■観賞日:4月29日、TOHOシネマズ渋谷■料金:1,800円□監督:三池崇史◆大沢たかお(銘苅一基)◆松嶋菜々子(白岩篤子)◆岸谷五朗(奥村武)◆伊武雅刀(関谷賢示)
  7. 7. 藁の楯

    • [マープルのつぶやき]
    • September 19, 2013 09:17
    • JUGEMテーマ:サスペンス映画全般「藁の楯」監督:三池崇史2013年  日本映画  124分キャスト:大沢たかお     松嶋菜々子     岸谷五朗     伊武雅刀     永山絢斗     藤原竜也少女惨殺事件が起き、その犯人として清丸が指名手配される
  8. 8. 「藁の楯 わらのたて」 言い訳

    • [はらやんの映画徒然草]
    • September 23, 2013 15:14
    • しかし、三池崇史監督の作品というのは、いつもいつも大きな熱量を持っているな、と思
  9. 9. 藁の楯 わらのたて

    • [いやいやえん]
    • September 24, 2013 09:36
    • 懸賞金10億のクズ(-凶悪犯-)を、命懸けで移送せよ! たしかに10億もの賞金をかけられてたら、真剣に探しちゃうかも、殺意向けちゃうかも、という荒唐無稽さはありますが納得出来る部分もあり。 孫娘を殺された財界の大物が、その犯人と思われ指名手配をされている清丸
  10. 10. ◆藁の楯 わらのたて。

    • [「らりるれろ」通信 Remark On The MGS]
    • June 04, 2014 02:50
    •               「藁の楯 わらのたて」(2013)。 監督三池崇史 出演 大沢たかお      銘苅一基    松嶋菜々子       白岩篤子    岸谷五朗         奥村武    伊武雅刀         関谷