映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ブラッディ・ガン
2016年10月21日 (金) | 編集 |
 英国男優総選挙の結果が出たようです。
昨年同様、今年も厳戒態勢でTitterのTLが制御されてますね。
ひとしきり読者がSCREENを買ったところでオープンとなるのでしょう。
わが英国男優50人斬りももう少し継続し、結果とともにまだ出てない上位陣を斬っていきます。

今日は漏れ聞こえたところによると4位にランクインのアラン・リックマンさま。
まさかの訃報でしたが昨年より順位を上げた形。ファンの気合を感じる結果ですね。

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ブラッディ・ガン(1990
アメリカ/オーストラリア
原題:Quigley Down Under 
監督:サイモン・ウィンサー
脚本:ジョン・ヒル
出演:トム・セレック/アラン・リックマン/ローラ・サン・ジャコモ

オ―ストラリアが舞台の西部劇です。
長距離射撃の名手を求められ、オーストラリアにやってきたクィグリ―(トム・セレック
ところが、広告主である大牧場主マーストンの目的が、先住民のアボリジニの大虐殺だと知ったクィグリ―は、「やなこった」とばかり、マーストンを窓からたたき出す。そこから両者の対立が始まるという話です。

リックマン先生の西部劇は珍しいなと興味を持ったんですが、これは期待以上に面白かった。
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単純に見れば、セレック演じるクィグリ―が『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパーよろしく、1km先の標的にも正確に命中させる射撃の腕を持ち、悪役の手下たちを撃破するアクションが見もので、クィグリ―を「ロイ」と呼び続けるクレイジー・コーラと呼ばれる、悲しき過去をもつ女性とのやり取りを楽しむ映画。
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大牧場主マーストンを演じるアラン・リックマンも、サディスティックで傲慢ではあるけれど、自身も早撃ちに自信があって最後にはクィグリ―へのリスペクトを感じさせる挑戦を見せてくれる。どこかストイック&ノーブルで憎々しいだけに終わらない複雑な悪役を作り上げているのがリックマン先生らしいところ。悪役がいいと映画が引きしまりますよね。
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オーストラリアの先住民を守るため命をかけるのがアメリカ人という設定は興味深い。
白人に迫害される先住民というと、いやでもアメリカの西部におけるアメリカン・インディアンとの戦いを思すわけで、リックマン演じるマーストンが「生まれる大陸を間違えた」と嘯く西部かぶれであることも意味があるでしょう。彼がアメリカの西部にいたら間違いなくインディアンを迫害していた。

マーストンがアボリジニを嫌う理由として、文明の発達や進化に無頓着なことをあげているけど、それは一方的な見方に過ぎないと思う。クィグリ―に投げ縄を学ぶ彼らの顔は好奇心にあふれていたしね。
マーストンの家で雇われていたアボリジニの男性が、マーストンの牧場を去るときに服を脱ぎ捨てるのも象徴的。
本来あるべき姿が彼らにとって一番自然。価値観はそれぞれで違うのです。

アクション・アドベンチャーとしてのエンタメ性も十分ですが、差別問題に関して思うところも多かった。
今の時代に西部劇を観てみるのもまた一興かもですね。


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【映画】マグニフィセント・セブン(2016)
2016年10月01日 (土) | 編集 |
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 マグニフィセント・セブン(2016 アメリカ
原題:The Magnificent Seven
監督:アントワーン・フークア
脚本:ニック・ピゾラット/
リチャード・ウェンク
出演:デンゼル・ワシントン
クリス・プラットイーサン・ホーク/ヴィンセント・ドノフリオ/イ・ビョンホン/
マヌエル・ガルシア=ルルフォ/
マーティン・センスマイヤー/ヘイリー・ベネット/ピーター・サースガード
日本公開:2017/1/27

感想
黒澤明監督の名作『七人の侍』のハリウッドリメイク『荒野の七人』の再リメイクです。
監督は『トレーニング デイ』『サウスポー』などのアントワーン・フークア

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非道な実業家バーソローミュー・ボークに牛耳られたローズ・クリ―クの町
目の前で夫を殺されたエマ(ヘイリー・ベネット)ら町の住人の依頼により、賞金稼ぎのサム・チザム(デンゼル・ワシントン)を筆頭に7人のならずものが集結する。


「誰にも気を許せない時代」の緊張感をピリピリに漂わせるの酒場のシーンから秀逸です。
無法地帯を生き抜くには必ずしも善人ではいられないわけで、集まった7人も例外ではない。
そんな彼らが雇われて戦ううち、いつしか縁もゆかりもない町のために仕える侍と化す。
ドラマ部分は控えめではあるものの、個々にトラウマや闇を抱えているがゆえに、戦いを通して自分を克服し、仲間と絆を深め命をかける様にグっとくるんだな。
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リメイクとはいっても別ものというだけあって、今回、7人は黒人、アジア人、ヒスパニック、ネイティブ・アメリカンなど多様な人種の集まりとなっています。これも時代の流れでしょうか。
黒づくめのリーダー、デンゼルはさしずめユル・ブリンナー。ユーモアで盛り上げるクリス・プラットはマックイーンでしょうね。
ナイフ使いで惚れ惚れするほどキレのいいアクションを見せるイ・ビョンホン、一回り大きくなった体で敵に体当たりをくらわすヴィンセント・ドノフリオ(あの高い声はなんやねんw)など、各々の個性が光ります。

なんといっても
この映画の核はアクション!
縦横に馬を走らせる銃撃戦の迫力たるや!
今どきこれほどリアルなアクションで魅せてくれる映画も少ないでしょ。
デンゼル・ワシントンの馬上からの銃さばきにも感心してしまった。61歳には見えませんから。
クリスもデンゼルも銃をクルクルっとしてホルスターに収めるのがカッコいい。相当練習したんでしょうね。

最近悪役が多くなったピーター・サースガードは、本作でもジメっとした悪党ぶりがナイス。

残念に思う点は、夫を殺されたエマを除いて町の人々の存在感がやや弱いこと。
これでは新たな悪党が現れたら、住人はまた苦境に追いやられるのではと不安になる。
『七人の侍』は村人に力を感じさせたところが巧かったんだと思う。
『七人の侍』の「白いご飯」に相当するものを求めるのは無理かもだけど、住民との繋がりをもう少し感じられるとよかったね。

でももう一度観たいと思うほど楽しめました。
あの方が生きているのを最後の最後まで期待して待ってしまったけれど・・

日本公開は来年だそうです。


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【映画】ナタリー・ポートマン主演ウエスタン『ジェーン』
2016年08月30日 (火) | 編集 |
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ジェーン(2016
アメリカ
原題:Jane Got a Gun
監督:ギャヴィン・オコナー
脚本:ブライアン・ダフィールド他
出演:ナタリー・ポートマン  / ジョエル・エドガートン / ノア・エメリッヒ/ ユアン・マクレガー
日本公開:2016/10/22 

【あらすじ
南北戦争後のアメリカ西部、背中に銃弾を受け瀕死のハモンドが妻ジェーンのもとに帰ってくる。
「ビショップ一味が追ってくる」。ジェーンは家族を守るためかつての恋人ダンに助けを求めるが・・

【感想
『英国俳優50人斬り』、今日はナタリー・ポートマンが主演&製作を務めたことで話題の『ジェーン』
荒野で人生を切り拓くため、銃を手にするヒロインを描くウェスタンです。

そもそも『少年は残酷な弓を射る』の女性監督のリン・ラムジーがメガホンをとるはずが、撮影初日にドタキャンとなり、『ウォーリアー』のギャヴィン・オコナーに交代。
キャストもポートマンの恋人ダン役に抜擢されていたファスベンダーがスケジュールの都合で降板し、悪役をやるはずのジョエル・エドガートンがダンにスイッチ。ジュード・ロウ、ブラッドリー・クーパーを経て、最終的に悪役にユアン・マクレガーを迎え入れてようやく完成をみたようです。

そんなゴタゴタも影響してか世間の評価は賛否両論のようだけど、個人的には気に入ってます。

夫と娘をギャングから守るため、ある男の元を訪ねるジェーン。
何故か男はつれない素振りでジェーンを追い返すのだけど、帰路、悪党に襲われそうになったジェーンを助け、結局は用心棒を引き受ける。フラッシュバックから、男がジェーンと結婚を約束していた元恋人のダンだと知ることになります。
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別の男と結婚した元恋人に複雑な思いを抱きながらも、ジェーンを守らずにいられないダン。
ダンに心を残しながら自らの人生を受け止め前を向こうとするジェーンと、揺れる二人の心の描写が丁寧で三角関係含むロマンス部分がマル。

難を言えば、フラッシュバックを多用しすぎかな。
だんだんに真実に迫るのはいいのだけど、リズムが悪いのと、時系列がやや混乱する。
あれほど重傷を負ったハモンドがギャング一味をどう巻いたのかとか、ストーリーに突っ込みどころもあります。オコナー監督の依頼で脚本の書き直しを手掛けたエドガートンが「存在自体が奇蹟」というくらいだから、よほど時間が足りなかったんでしょう。
それでもオコナー監督作品らしく、登場人物のキャラがたった演出は見事。


さて、50人斬りの3人目はビショップを演じるユアン・マクレガー!!
そもそもユアンの悪役というのも珍しいんですが、びっくりなのは、言われなければ彼とわからない風貌になっていること。
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「誰これ?」

ギャングとはいっても売春宿などを有する賑やかな街を建設するビショップは、土地の発展に貢献する地主の顔も持っている。ただし、自分のものを横取りされるのは大嫌いとあって、彼を怒らせたらただでは済まない。
マクレガーは執拗なまでに残忍なビショップを、優し気な声とのミスマッチで演じていて、私は不気味に感じて面白かったんですが、弱いと感じるかで評価が分かれるのかも。


西部を生きることは難しい。それでも先駆者たちは夢や希望を持ち続け、道を切り拓いてきたんでしょう。
広大な荒野を映す引きの映像も美しかった。


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【映画】ヘイトフル・エイト
2016年01月03日 (日) | 編集 |
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。

2016年劇場映画1本目はタランティーノの新作『ヘイトフル・エイト』に行ってきました。



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ヘイトフル・エイト(2015)アメリカ
原題:The Hateful Eight
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン /  カート・ラッセル/ ジェニファー・ジェイソン・リー/ ウォルトン・ゴギンズ/ デミアン・ビチル / ティム・ロス /マイケル・マドセン/ ブルース・ダーン

日本公開:2/27

【あらすじ
ワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込められる

タランティーノ長編監督8本目は、南北戦争後数年のワイオミングを舞台にした西部劇です。

バウンティ・ハンターのカート・ラッセルは女罪人ジェニファー・ジェイソン・リーを駅馬車で護送中。
そこに同乗してくるのが同じくバウンティ・ハンターのサミュエル・L・ジャクソン

気づけば、もう一人同乗者が増え・・
はい、すみません、ちょっと寝てました(汗)
外は大変な吹雪となり、4人は今で言う「道の駅」みたいなロッジに立ち寄ります。

あいにく主人が留守のそのロッジには数人の先客がいて、思い思いにシチューを食べ
言葉を交わすのですが、そのうちに不穏な空気が立ち込め・・・
吹雪に閉ざされたロッジで何が起きるのか という話。

正直前半は退屈で、うとうと(汗)
ロッジの空気が怪しくなる中盤からは俄然面白くなりますね。

ポイントは南北戦争終結から数年という時代設定

サミュエル・L・ジャクソン演じるバウンティ・ハンターが元北軍の少佐で、
先客の一人ブルース・ダーンが南軍の大将だったことや
ワイオミングという土地柄、黒人、リンカーンといったアイテムがキーワードとなって
登場人物たちの確執が浮き彫りになっていくわけ。


1人2人と死人が出はじめ、犯人は誰で目的は?というミステリーをあおりつつ
タランティーノらしいバイオレンスを炸裂させていく
ひーっと最初はのけぞってた私も終いにはブラックさに笑ってました。


日本公開前なので多くは語りませんが
登場人物の中では護送される犯罪人デイジー役のジェニファー・ジェイソン・リーがいい。
マイケル・マドセン、ティム・ロスなどのタランティーノ組を尻目に
オスカーノミネートに期待のかかる怪演ですな。
タランティーノのサディスティックな演出に良くぞ耐えた。


話題の70mmフィルムを使ったらしい映像は前半こそ生かされてるけど
中盤以降はすべてロッジ内という展開なので、その効果のほどはどうなんでしょ。

勿論室内でもカメラワークは秀逸で、細かいところのうまさは感じるものの
187分という上映時間がちょっとなぁ
3時間超えでっせ!
長すぎるよ~。

と思ったけど実際には3時間なかったな。
他のユーザーレビュー読むとインターミッションが入ったと書いてるけど
私が観たものはなかったよ。その分短かったのか、劇場によって違うのかな。

最近のタランティーノは人種差別問題に興味があるのでしょうね。
その辺り、ユーザーの受け入れ的に好みが分かれるかな。
冒頭、エンニオ・モリコーネの曲が流れる中 映し出される張り付けのキリスト像が
その後に描かれる人間の愚かさを象徴していたように思います。


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【映画】悪党に粛清を
2015年12月07日 (月) | 編集 |
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悪党に粛清を(2015)デンマーク/イギリス/南アフリア
原題:The Salvation
監督:クリスチャン・レヴリング
脚本:アナス・トマス・イェンセン/クリスチャン・レヴリング  
出演:マッツ・ミケルセン/ エヴァ・グリーン/ジェフリー・ディーン・モーガン/ エリック・カントナ/ ミカエル・パーシュブラント/ ダグラス・ヘンシュオール/ マイケル・レイモンド=ジェームズ

【あらすじ】
1870年代アメリカ。デンマークから新天地を求めてアメリカへとやって来た元兵士のジョン。7年が経ち、事業もようやく軌道に乗ってきたところで、祖国から妻子を呼び寄せる。駅で感動の再会を果たした3人は、さっそく駅馬車で家へと向かう。ところが運悪く、駅馬車に刑務所帰りのならず者2人が乗り合わせてきた……。

【感想】
クリスマスのシーズンになりました。
クリスマスに観たい映画は・・という特集もいいけれど
今年はあえて趣向を変えて、移民を扱った作品を取り上げます。
今ヨーロッパで問題になっている中東からの移民ではなく
その昔ヨーロッパから新天地を求めてアメリカに渡った移民について。
今アメリカで賑やかにクリスマスが祝われるのも、移民が運んできた文化だと思うので。

前置きが長くなりましたが、今日はマッツ・ミケルセン主演のデンマーク発西部劇です。

マッツ演じる主人公のジョンは兄ピーターと共にアメリカに移民してきた男。
2人の寡黙なたたずまいが、移民の男たちの覚悟の程を覗かせます。
ようやく仕事も軌道に乗り、デンマークから妻と10歳の息子を呼び寄せることになったジョン。

しかし家族の再会という幸せは、駅馬車に乗り合わせたならず者によってあえなく壊される。
銃で脅され、馬車から突き落とされたジョンがみつけるのは、レイプされ殺された妻と息子の亡骸。

怒りに任せジョンはならず者2人を撃ち殺すんですが、
そのうち一人が村を牛耳るデラルー大佐の弟だったことから、彼は窮地に追い込まれるんですね。

妻子を失った悲しみも癒えないジョンが兄ともども捕らえられ痛みつけられる姿に
不条理な結末しか思い描けずどよよん・・・
ところが、映画は思わぬ反撃をみせてくれます。

マッツさん渋いわぁ。

この映画の面白いのは、デンマーク人が描く西部劇という点。
村人を震え上がらせる権力者デラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)が暴漢になってしまったのは
インディアンを大虐殺した心の闇からくるというところなど
アメリカ産の昔の西部劇では触れてこなかった部分でしょう。

ジョンの死闘も単なる命逃れの抗いとせず
英雄伝説に仕上げているところが心憎い。

勇気ある若者や美しいエヴァ・グリーンの存在も必須。
石油王誕生を示唆するラストシーンには胸のすく思いでした。