映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『エンド・オブ・トンネル』トンネルの先に光はあるのか
2017年10月03日 (火) | 編集 |
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エンド・オブ・トンネル(2016
アルゼンチン
英題:At the End of the Tunnel
監督:ロドリゴ・グランデ
出演:レオナルド・スバラーリャ/ 
パブロ・エチャリ/ クララ・ラゴ /フェデリコ・ルッピ

【あらすじ】
孤独に暮らす車いすのコンピューター・エンジニア、ホアキンの元に、間貸し希望の親子が現れる。2人の姿に亡き妻子の姿を重ねるホアキン。時を同じくして、仕事部屋である地下室の壁伝いに人の声と音が聞こえるようになる。興味本位に盗聴するうち、やがてそれは隣接の銀行の金庫を破るべく強盗団が地下にトンネルを掘る音だと知ることになるが・・・


【感想】
今日は珍しくアルゼンチン産クライム・スリラー。
トム・ハンクス主演の『レディー・キラーズ』もトンネルを掘ってカジノの金庫を破る話だったけど、本作では銀行の金庫を破るべく、悪い奴らが地下にトンネルを掘っている。

この映画が珍しいのは、主人公のホアキン(レオナルド・スバラーリャ)が悪党の一味ではなく、物音を聞きつけた隣の家の住人なこと。
普通なら警察に通報すりゃいいんでしょうが、ホアキンさんはそうしない。
というのも、妻子を失くして以来引きこもってた彼はそろそろお金が尽きてきた。
さらに、間借りにやってきた訳あり母子に妻子の面影まで重ね、親子と自身の未来のため、無謀にも強盗のおこぼれに預かろうと画策するわけです。
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プロの悪党相手に、素人に何ができるのかというのがまずは本作の見どころでしょう。
車いすが必要な人ゆえトンネル内を逃げるときの緊迫度はかなりなもの。
しかし背景が殆ど説明されないため、主人公が善人なのか悪人なのかわからないのはミソ。
妻子が不在なことについても、もしかしたら主人公が殺したのか?と観客をミスリードする。
主人公が母子のために行動するという部分もちょっと唐突な気がしてしっくりこない。

切羽詰まった状況下とはいえ、それはあんまりじゃないか?と思うところもあったりで少しモヤモヤするんだなぁ。
伏線を張り巡らせた脚本はうまいと思うし、先が読めない面白さはあるけど、
サバイバル意識の低い私には、痛快な気持ちになれないのは残念でした。
トンネルの先に光はあるのか?と題したのはそういうところから。

主人公のレオナルド・スバラーニャは渋かっこよくて、演技も秀逸。
でもトンネルの中を這って逃げるシーン
下半身不随のはずなのにちょっと膝を立ててなかったか?細かいか(笑)






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【映画】聖書を当てはめると違った世界が見えてくる『マザー!』
2017年09月21日 (木) | 編集 |
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マザー!(2017アメリカ
原題:Mother!
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ジェニファー・ローランド/ハビエル・バルナム/エド・ハリス/ミシェル・ファイファー

【あらすじ】
1人里離れた古い屋敷に暮らす夫婦の元に、ある日見知らぬ男が現れ・・


【感想】
ダーレン・アロノフスキーが実生活で恋人のジェニファー・ローレンスを主役に迎えて描く、サイコロジカルスリラーな一編。
ツイッターに落ちてきた情報から「傑作!」との呼び声も高く、楽しみに観てきました。

ジェニファー演じるのはスランプ中の小説家の夫(ハビエル・バルデム)と、人里離れた古い家で暮らす妻(マザー)。
彼女は古い家を日々修理、リノベーションし、理想の家を作り上げようとしています。

若い奥さんもらってハビさん夫はさぞかしウキウキだろうと思いきや・・
妻が朝ベッドで目覚めると、隣にいるはずの夫がいないというシーンから
夫婦の関係が微妙であることを印象付けるんですね。

そんな夫婦のもとに見知らぬ訪問者エド・ハリスが現れる
ネタ来たーー!とばかりに訪問者を歓迎する自己中な夫とは裏腹に、妻は困惑
やがて映画はカオスへと突き進みます。
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んまぁ、わちゃわちゃ。正直お腹いっぱい過ぎて途中疲れましたわ。
どうやら、これ監督が高い熱にうなされてる間にみた夢が元らしい、納得です。

ノンストップで色んな感情掻き立て、アンリアルな内容でありながら、人の関係性としてはリアルでイタい。
音楽はなく、効果音が日本の古い楽器風なのも印象的
感情をむき出しにして動きのあるシーンなのに、ヒロインの表情をクリアに映し出す映像にも感心した。


と、深く考えずに感想を述べるとこんなもんなんですが
監督のインタビューで「聖書風」という言葉を目にして、ちょっと考えてしまったんだなぁ。

正直、聖書のことなどあまり知らないんですが、映画を観たまんまにとらえてはいけないんだなということで再考。
すると映画の思わぬ側面が見えはじめ、訳の分からなかったシーンも意味を持ってくることに気づきました。
 
以下クリックで続きを読む方はご注意ください。

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【映画】『スプリット』23+1の人格を持つ男の物語が思わぬところに繋がってビックリ
2017年02月22日 (水) | 編集 |

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 スプリット(2016)アメリカ
原題:Split
監督/脚本:M・ナイト・シャラマン
出演:ジェームズ・マカヴォイアーニャ・テイラー=ジョイ/ジェシカ・スーラ/ヘイリー・ルー・リチャードソン/ベティ・バックリー

【あらすじ】
3人の女子高生ケイシー、クレア、マルシアは、クレアの誕生日パーティーの帰り道、見知らぬ男に拉致され、密室に監禁されてしまう。

【感想】
ジェームズ・マカヴォイが多重人格者を演じて話題の、M・ナイト・シャラマンの新作です。

多重人格者が出てくる映画で一番古典的なのは『ジキル博士とハイド氏』でしょうか。
『殺しのドレス』『アイデンティティ』など別人格の起こす犯罪を主題にした映画は多いですね。


本作でマカヴォイ演じるケヴィンは23の人格を持つ男。
表向きには治療でコントロールされ、10年間仕事もしている。
しかしながら彼の中のデニスという人格が高校生を拉致監禁してしまうんですね。
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これはまずマカヴォイの演技に拍手でしょう。
よくもまぁ瞬時に別人格を、それとわかるように演じ分けたもんです。
おそらく『Xメン』のあとの撮影だったんでしょう。
この坊主頭がタートルネックにスカートといういで立ちの、女性キャラの異様さを際立たせて非常にナイスw
予告を何度も目にしていたので新鮮味はないものの、3人の高校生の驚きや絶望感には大いに共感してしまった。

ここでひとつ疑問に思ったのは、パトリシアというキャラが他人格と会話してること。
『サイコ』でもそうだったけど、別人格同士が会話するというのは実際には可能なの?と
清水アキラの谷村新司と研ナオコの物まねを思いだしつつ思っちゃったな(笑)
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拉致された高校生の一人、ケイシーを演じるのは『The Witch』のアーニャ・テイラー=ジョイ。
他の二人とは明らかに違う、冷静さの中に彼女の背景が透けて見える演技が秀逸。
他に良いところを言うと、3人が拉致された場所に色々とお役立ちグッズがあって、抗う余地があったこと
24番目のキャラ出現のマカヴォイにはなにこれと思いながらもパフォーマンスとして楽しめます。
Anya Taylor Joy Split Movie
でも映画として面白かったかと聞かれると疑問で、ふーんと終わりかけたところで
え??とラストシーンに目がテン(!!!)
マジか、そう繋がるのか

シャマランから明かすなと(トレーラーで)くぎを刺されてるので言及しませんが
シャマラン映画をそこそこ観てる人ならビックリ&ニマニマできるはず。

日本公開は5月です。

お気に入り度3.6

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【映画】A Cure For Wellness(原題)
2017年02月18日 (土) | 編集 |
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 A Cure For Wellness(原題)(2016) ドイツ/アメリカ
原題:A Cure For Wellness(原題)
監督:ゴア・ヴァービンスキー
脚本:ジャスティン・ヘイス

出演:デイン・デハーン
/ジャスティン・アイザック/ミア・ゴス

【あらすじ】
野心家のロックハート(デイン・デハーン)は会社のCEOを連れ戻すためスイスのアルプスにある療養施設に向かうが・・

【感想】
 ゴア・ヴァービンスキー監督の新作は、アルプスの療養施設での滞在を余儀なくされた主人公が体験する恐怖を描くミステリー・ホラーです。

デハーン君演じるロックハートは、CEOを連れ戻しにアルプスの療養施設まで出かけるも目的を果たせず。
帰ろうとしたところで事故に遭い、気づけば療養施設に収容されていた。
足が折れているらしい彼は、しかしそれ以外の病気が見つかったとかで治療を受けることになるんですが・・
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とにかくこの施設が妙。
ここに来る途中の列車の中からと思われる映像も、途中から車体が半分に割れていくような撮り方になっていて、異次元の世界に足を踏み入れるような不思議な感覚に陥ります。
案の定、ここでは携帯は使えないどころか、時計までも止まってしまう。
患者たちが皆年寄りで裕福そうなあたりは『グランドフィナーレ』を思わせるんですが、温泉治療と称した治療が異様で人々も変。とにかく世界観の作り上げ方が巧い。
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よせばいいのに素人探偵よろしく探りを入れるデハーン。
途中までは『シャッター・アイランド』系だろと思わせ、そこから一気にゴアを加速させるあたり流石ゴア・ヴァービンスキー
施設に暮らす謎の少女ハンナを演じるミア・ゴスがシェリー・デュヴァルを思わせる風貌で、アンモラルな世界をゴスな異空間に変える不思議な存在感を発揮しています。
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やがて明らかになるダークな秘密・・
正直途中寝てしまったんですがw秘密が暴かれる終盤は息もつかせぬ怒涛の展開。
思わぬゴシックホラーを堪能しました。



映画の評価は二分してるようで、
ゴア系ダメな人はまずアウトでしょうし、映画に辻褄を求める人も無理でしょうね。
私としても治療効果にもう少し理由が欲しいと思うところはあるんですが、広い心で受け入れました。

城にまつわる秘密同様に、醜さと美しさが混在する映画でしたね。


お気に入り度4.0


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【追悼】ジョン・ハート『10番街の殺人』
2017年01月30日 (月) | 編集 |
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 10番街の殺人(1971 イギリス
原題:10 Rillington Place
監督:リチャード・フライシャー
脚本:クライヴ・エクストン
出演:リチャード・アッテンボロー
ジョン・ハート/ジュディ・ギーソン/パット・ヘイウッド/イソベル・ブラック/ミス・ライリー

【あらすじ】
アパートの管理人クリスティ(R・アッテンボロー)は、医師と偽って女性に声をかけ、部屋に連れ込んでは次々と殺していた。ある日、上階に住む若い夫婦が妊娠をめぐって争っている事を知り、二人に中絶を持ちかける・・・

【感想】
  ジョン・ハートの追悼に出演作品をいくつか観ます。
まずは初期の出演作品から、リチャード・フライシャーが実際にあった殺人事件を題材に描く犯罪サスペンス。
若い夫婦がアパートに越してきたらば、そこの管理人がとんでも連続殺人犯だった!という怖い話。

カタカナで書くとわからないけど、ジョン・ハートのハートはHurt 痛み。
映画の中で何度も死んだハートは、『エイリアン』の死にざまに代表される身体的な「痛み」はもちろん、広い意味の「痛み」を伴う役が多い気がしますね。
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本作でジョンが演じるのは10番街にあるアパートに越してくる妻子持ちの工員ティム。
妻が新しい命を宿しても、育てる余裕も、堕胎するお金さえなく、そのことがすべての不幸を呼ぶことになるのがなんとも痛い。
結果的に妻はリチャード・アッテンボロー演じる猟奇殺人犯、クリスティの餌食になるが、ティムは「不幸な夫」だけでは済まない。クリスティに丸め込まれ、死体遺棄を手伝い、あげく殺人の罪に問われることになるのです。

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見どころとしては、クリスティを演じたアッテンボローの怪演をあげないわけにはいかないですが
不条理に巻き込まれていくジョン・ハートの浮遊感が、映画を面白くしてるとも言えます。
呆然自失の中、虚脱感、憤り、恐怖、悔恨・・色んな思いが駆け抜ける
のちの『エレファントマン』を彷彿とさせる最後のお姿も印象的でした。

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監督のリチャード・フライシャーはじめじめと生々しい殺人事件を再現するのが上手いですね。
本作の舞台は、実際の事件の現場となったアパートだというから恐ろしい。
薄暗いアパート、死体を埋めた穴を掘り返そうとする犬、泣き止まない子供 
土からのぞく足、壁の中の背中等の演出の不気味さも極まる面白い作品でした。

ジョン・ハートの若く美しいお姿を見れたのもよかったなぁ。
というか、知ってる誰かに似てると思いつつ思いだせない・・



お気に入り度3.8

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