映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男
2017年11月10日 (金) | 編集 |
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オーストラリア在住のブロ友guchさんに教えていただいた作品です。
『太陽がいっぱい』のパトリシア・ハイスミス原作の殺人ミステリーとあっては観ないわけにはいきません。
ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男(2016アメリカ
原題:A Kind of Murder
監督:アンディ・ゴダード
出演:パトリック・ウィルソン/ジェシカ・ビール/エディ・マーサン/ヴィンセント・カーシーザー/ヘイリー・ベネット


【あらすじ】
1960年代、ニューヨークに暮らす建築家のウォルター(パトリック・ウィルソン)は 富を築いた勝ち組の男。しかし幸せだったはずの結婚生活には暗雲が垂れ込めている。ウォルターは嫉妬深い妻クレア(ジェシカ・ビール)に嫌気がさし始めたのだ。彼の趣味は短編ミステリー小説を書くこと。殺人事件を伝える新聞からインスパイアされた物語をタイプライターに打ち込んでいく。
ウォルターはある殺人事件に興味を持った。
古本屋を営む中年男キンメル(エディ・マーサン)の妻がナイフで惨殺されたその事件はいまだ未解決。
警察はキンメルを疑っているようだが、キンメルにはアリバイがあった。
事件に思いを巡らすうち、ウォルターはキンメルのことが気になって仕方なくなっていく。

原題は『A Kind of Murder』。
「ライク・ア・キラー」とか変な邦題がついてるけど、「ある種の殺人」くらいが意味近いんじゃないかなぁ。
副題の「妻を殺したかった男」は原作小説の邦題ですね。

タイトルからネタバレみたいなものなので書きますが、ウォルターの妻クレアはウォルターとの言い争いの後、危篤の母の元にいくとバスで出かけたまま、翌日、橋の下で死体となって発見されます。

そこが古本屋の妻殺害現場付近とあって、警察は二つの事件の関連を疑い色めき立つのです。
キンメルは妻殺しの犯人なのか、はたまたクレアの死の真相は
ってことで、これがなかなか面白かった。

ハイスミスの原作が出版されたのが代表作『太陽がいっぱい』とほぼ同時期とあって、さり気に通じる部分があります。
ウォルターがリッチで華やかな世界にいる人間なのに対し、妻殺しの容疑のかかるキンメルは小さな古本屋を営むうだつの上がらない男。『太陽がいっぱい』はドロンさまが美しかったですが、貧しいリプリーとリッチなフィリップの対比は物語のキーとなる部分でしたよね。

『太陽がいっぱい』に通じると思ったのは、金持ちウォルターのイノセントな残酷さが描かれる点です。
例えばウォルターはキンメルの店で本を予約する際、キンメルに差し出された鉛筆を受け取らず、自分のペンを取り出して名前を書く。あるいは、事件を執拗に追うコービー刑事の差し出す煙草はスルーで、マイ煙草を吸う。
建築家仲間のタバコは普通に受け取り吸うのに・・です。
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こうした「金持ちの無意識の優越感が貧乏人の憎しみに火をつける」さりげない演出がいい。
パトリック・ウィルソンは、悪気はないけど人の気持ちに無頓着なリトル・チルドレン系がハマるんですわ。
マーさんが陰鬱でサイコパスな容疑者にどんぴしゃなのは言うまでもなく、2人をキャスティングしただけでもこの映画は70%成功。
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自分の頭脳を過信し、周囲に認めさせるために画策する刑事のエゴ含め、三人三様の心理描写が秀逸で、それらが重なり合って新たな罪を生んでいく構図も面白く、俄然引き込まれます。

ただラスト10分くらいから雲行きが怪しくなるんですよね。
キンメルがお金を求めてゆするところなんか、彼の本質から逸脱してる気がしてしっくりこない。
いきなりハードボイルドに移行するのは、その時代を感じさせる演出と理解はできるのだけど、
ノアール調で〆るのなら、ラストシーンに余韻を感じさせる落ち着いたものにして欲しかったなと。

あとキンメルの動機に関わる部分がやや不明瞭なのは残念。
断片的に想像はできるのだけど、トニーとの関係含め確信できない部分が出てくるのです。
私の理解不足を棚にあげてなんですが、勝手に想像するのでなく、腑に落ちる形だったらより満足できたと思います。

それでも雪降るマンハッタンの風景等、緑がかった映像が美しく、ヘイリー・ベネットの歌声(!!)など映画としての雰囲気がとてもよくて間違いなく好きな作品。監督はTVドラマ界で活躍する新鋭のようですが、劇場映画の分野での活躍も期待したいです。
次回作は要チェック!
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【映画】『アフターマス/Aftermath(原題)』「カティンの森」の脚本家が新たに明かすポーランドの歴史
2016年11月25日 (金) | 編集 |
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アフターマス/Aftermath(原題)
(2012)ポーランド
原題:Poklosie/Aftermath
監督/脚本:ヴワディスワフ・パシコフスキ
出演:マチェイ・シュトゥル/Ireneusz Czop 他

【あらすじ】
シカゴに暮らすポーランドからの移民のフランチェシカは20年ぶりに故郷の土を踏んだ。子供を連れてアメリカにやってきた弟の妻が、その理由を語ろうとしないからだ。弟ヨゼクと再会したフランチェシカは、弟がユダヤ人の墓石を300以上も集め母の残した農地に置いていること、地域住民に疎外されていることなどを知ることになる。

ミステリー特集7本目

アメリカからポーランドに帰郷した主人公が弟とともに土地にまつわる秘密を暴いていくというドラマ。
監督/脚本を務めるヴワディスワフ・パシコフスキはアンジェイ・ワイダ監督の『カティンの森』の脚本家だそうで、ポーランドの歴史を紐解くことに情熱を捧げる方なんでしょう。
日本では未輸入のようだけど、とにかく面白かったので紹介します。


冒頭、バスを降り立ったフランチェシカが、森のそばを歩くシーンの効果音の恐ろしいこと。
彼は人の気配を感じ森に入るもそこには誰もいない。
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20年ぶりに再会した弟ヨゼクはコミュニティではじきものにされ、時々何者かに襲撃されている。
一つにはクリスチャンばかりのこの地で、彼はユダヤ人の墓石を自分の農場に集めてるんですね。
墓石が道路の敷石などに使われていることにユダヤ人への同情を感じているらしい。お金を出して墓石を買い取るようになった弟に妻は愛想を尽かしたのだとか。
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ヨゼクはなぜユダヤ人の墓石を集めるのかをミステリーの発端に、この映画はその土地にまつわるダークな歴史を明かしていく。父から受け継いだ農地の秘密、この土地にユダヤ人がいないわけ、村人が激しくユダヤ人を嫌う理由など・・ただただ驚くばかり。ヒントは『イーダ』と言えば、わかる人はお分かりになるでしょう。しかももっと壮絶です。

弟の行動に驚いていた兄ですが、いつのまにか一緒に墓石を集めようとする。
何故?と言う部分が『リング』に通じるホラーなんだなこれがまた。

絆が深まったころ、歴史を闇に葬るかどうかで衝突する兄弟。
そうして迎えるクライマックスは絵的にも衝撃的です。
犯人を明白にしないところにホラーのテイストを加味し、奥行きを持たせた一本です。


ミステリー特集、これにて終わりとします。
ご参加ありがとうございました。


ミステリー映画祭り einhornさん選出『4デイズ』『別離』『セイフ・ヘイヴン』
2016年11月22日 (火) | 編集 |
 参加者の選んだミステリー作品を紹介します。
今日はYahoo!ブログ今昔映画館(静岡・神奈川・東京)のeinhornさんです。
einhornさんは、劇場鑑賞映画を中心にレビューを展開されている映画ブロガーさんです。

私はeinhornさんの深い考察と文章力は絶対に素人のそれじゃないと思ってます。いや本当に。
そして私が羨望のまなざしで見てしまうのがeinhornさんの記憶力!
きっとeinhornさんの頭の中では、家に帰って観てきた映画がそのまま再現されるのでしょ?
淀川長治さんも、観てきた映画をお母さんに詳しく語って聞かせていたらしい
サントラにもお詳しく、映画の中で音楽がどんなふうに使われていたかもきっちり記憶されてる。

世の中にはそういう特殊能力を持った人がいるんですよね。
10分前に観た内容も忘れがちなメメントな私には羨ましい限りです。

今お付き合いくださってるyahoo!の皆さんそうですが
さすらいのブロガーになってしまったわがブログに、足を運んでいただき本当に感謝です。

ということで einhornさんのチョイスはこの3本。



4days.jpg 4デイズ (2010)
 監督/グレゴール・ジョーダン
 出演/サミュエル・L・ジャクソン/キャリー=アン・モス/マイケル・シーン
アメリカ国内の3都市に核の時限爆弾を仕掛けたテロリストと尋問スペシャリストとの緊迫の攻防を描く作品だそうですが、私は未見です。
拷問のプロフェッショナルを主人公に持ってくることで、ドラマのポイントを際立たせることに成功していると評価するeinhornさんのレビューはこちら


betsurri.jpg別離(2011)
 監督/アスガー・ファルハディ
 出演/レイラ・ハタミ/ペイマン・モアディ/シャハブ・ホセイニ

一組の夫婦のすれ違いが思わぬ事態へと発展していくさまを描くイラン映画
どこの国でも起きる普遍的な家族の問題をイランの宗教や風習と絡めて描いているのが興味深い作品でした。
映画の結末を推理するのが難しい作品ですが、作り手の言わんとするところを鋭く読み取り考察するeinhornさんのレビューはこちら


safe.jpgセイフ・ヘイヴン(2013)
 監督/ラッセ・ハルストレム
 出演/ジョシュ・デュアメル/ジュリアン・ハフ/コビー・スマルダーズ
都会から田舎町に流れ着いた若い女性と地元のシングル・ファーザーの恋の行方を、ヒロインの抱える秘密をサスペンスとロマンス両面を織り交ぜ描くミステリー・ラブ・ロマンス。
これは私も大好き!珍しくわが夫もお気に入りの一本です。
einhornさんのレビューはこちら



ロマンスあり、サスペンスあり、家族のドラマあり
多様なジャンルのミステリー作品をありがとうございました!



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【映画】『マーシュランド』ネタバレでラストシーンの解釈を追加しました
2016年11月20日 (日) | 編集 |

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 マーシュランド(2014)スペイン
原題:Marshland
監督:アルベルト・ロドリゲス
脚本:ラファエル・コボス/アルベルト・ロドリゲス
出演:ラウール・アレバロ/ハビエル・グティエレス/アントニオ・デ・ラ・トーレ

【あらすじ】
1980年、スペインのアンダルシア。湿地帯にある小さな町で、10代の姉妹の行方がわからなくなる。やがて姉妹は拷問を加えられた果てに殺され死体となって発見された。ベテラン刑事のフアン(ハビエル・グティエレス)とペドロ(ラウール・アレバロ)は、これまでにも似た事件が起きていたことを知る。


ミステリー祭り5本目

スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞で10部門を受賞した本作は
フランコ死去から5年のスペイン、アンダルシア地方を舞台に、連続少女殺人事件の真相を追う本格ミステリーです。

この映画まず面白いのが、その複雑さですね。
早々に犯人と思しき人物が浮上するものの、被害者のストッキングに付着した精液と血液型が一致しないなど、捜査は混乱を極めます。複数の被害者それぞれに関わる参考人から様々な情報を得て、新たな容疑者を特定していくという緻密な捜査を展開し、全てを105分に収めるというのは凄いこと。それだけ無駄がないわけですが、ぼんやり見ていると置いていかれること必至。人の顔も覚え、情報提供者の言葉一つ一つを聞き逃さないようにしないといけないのでトランプの神経衰弱みたいに記憶力と集中力を試されますね。
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まぁ複雑な割に捜査が早いのは、ベテラン刑事フアンの暴力的な尋問によるところが大きいんですけどねw
容疑者だろうと参考人だろうと女だって殴って脅して本音を吐かせる。でもこれも実はあることの伏線でした。
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息抜きになるのは協力者の存在。彼らは貧しいゆえ情報を提供するのに見返りを求めてくるんですが、それでも報酬の分はしっかり協力する律義さがあって、一風変わったバディものの趣で楽しめます。



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監督のアルベルト・ロドリゲスは、マーシュランドを撮影した写真家アティン・アヤの写真展でその美しさに感銘し、マーシュランドを舞台にした映画を作ろうと思ったんだそうです。
この美しい風景にふさわしい映画をと考えたとき、監督の頭に浮かんだのがフランコ政権からの移行を描くことだったのだとか。事件の背景にある権力や暴力、組織との癒着といった部分がフランコ政権のメタファーであり、それは亡霊のように新しい世代にも受け継がれていくといった不気味さを湛えている。
最後にみんな引き寄せられるように入っていくマーシュランドこそが、映画の主人公でした。


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ペドロを演じた役者さんはショーン・ペンに似てました。
ペドロはフアンのよからぬ噂を聞いていて、はじめは反発してましたが、次第にフアンの実力も認め始める。
それでもどうしても受け入れられない部分が二人の関係を複雑にします。

映画の中で霊能者がフアンに「死者があなたを待ってる。もうすぐその時がくる」と言うのも印象的。
いつ危険が迫るのかとハラハラさせられましたから。

フアンを待っている死者とは、おそらくは過去に関わった人たちなのでしょう。
フアンは排尿時に血尿が見られ、時々苦痛に顔をゆがめ薬を服用してました。そのことになんの説明もなかったけれど、彼はがんだったのかもしれませんね。自分の業はフアン自身が一番わかってるんじゃないかな。
それでも一度染み付いた習癖は簡単には消えない。

とはいえ、巷で言われているフアン犯人説には反対です。

≪追記≫
記事を書き上げたあと、Filmarksのレビューを見てみると多くの人が「犯人」と「ラストシーンの意味」について考えあぐねているようです。そこで自分なりの考えをネタバレで書いておくことにしました。

未見の方はご注意ください。
興味のない方はスルーでお願いします。








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ミステリー映画祭り/chacoさん選出『Jの悲劇』『ホワイト・ライズ』『真夜中のゆりかご』
2016年11月16日 (水) | 編集 |
今日も参加者のチョイスを紹介します。
本日紹介するのはyahoo!ブロガー「★ B型的偏見思考 ★」のchacoさんのチョイス!
chacoさんとはyahoo!時代からのお付き合いだからもう10年ほどにもなるかな。B型同士相性も良く、仲良くさせてもらってます。手先の器用なchacoさんはバッグやお孫さんのお洋服などを作ったり、お料理やお習字も得意。ブログには綺麗な空の写真もいっぱいアップされていて癒されますよ。
勿論映画好きさんでもあるchacoさんが今回選んでくれたのは
『 Jの悲劇』『ホワイト・ライズ』『真夜中のゆりかご』の3本!


J.jpgJの悲劇(2004)
 監督/ロジャー・ミッシェル

 気球事故を機に、日常が一変していくさまを描く心理サスペンス
 ボンド以前のダニエル・クレイグ主演です。
 「かなりショッキング!」としたchacoさんのレビューはこちら



white.jpgホワイト・ライズ (2004)
 監督/ポール・マクギカン

 ヨーロッパ映画『アパートメント』をジョシュ・ハートネット主演でハリウッドでリメイクした一本。
 二人の女性をめぐるミステリアスなサスペンス・ロマンス。
 「甘く切なく悲しくそして残酷」と語るchacoさんのレビューはこちら



secondchance.jpg真夜中のゆりかご(2014)
 監督/スザンネ・ビア

 突然の悲劇に直面した善良な刑事が追い詰められた末に辿る行為に波紋!
 スザンネ・ビア監督によるに衝撃のサスペンス・ドラマだそうです
 残念ながらレンタルになくて私は未見。
 「ラストにまさかまさかの新事実!」chacoさんのレビューはこちら


バラエティに富んだチョイス chacoさん、ありがとう!
           

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