映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】死刑台への招待  
2015年12月20日 (日) | 編集 |
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死刑台への招待
(1965)イギリス
原題:Return from the Ashes
監督:J・リー・トンプソン
脚本:ジュリアス・J・エプスタイン
出演:マクシミリアン・シェル/ サマンサ・エッガー/ イングリッド・チューリン/ ハーバート・ロム/ ヴラデク・シェイバル

【あらすじ

ポーランドからの亡命者スタンは放射線医師の富豪女性ミシェルと出会い結婚する。
しかし間もなくドイツが侵攻し、ユダヤ人であるミシェルは強制収容所に送られてしまう。
スタンはミシェルの前夫の娘ファビと愛し合うようになっていた。

今日は『スターウォーズ』に行こうと思ったんですが予習(復習か?)が終わらず(笑)

『あの日のように抱きしめて』と原作(『帰らざる肉体』)を同じくする映画があると知って気になった
本作をyoutubeで観てみました。
J・リー・トンプソン監督によるイギリス製作のフィルム・ノワールです。

アウシュビッツから生還したミシェル( イングリッド・チューリン)は、
収容所での過酷な体験からすっかり顔が変わってしまい
同僚の医師チャールズの助けで整形手術を受けます。
ここで元の顔を取り戻すというのは『あの日のように抱きしめて』と違うところですね。

そのミシェルを偶然町で見かけた義理の娘であるファビ(サマンサ・エッガー)が
「ミシェルにそっくりの人がいるから、身代わりに利用しよう」とスタンに持ちかけるのです。
死亡が証明されない限りミシェルの財産は30年間は誰も相続できないことから
ミシェルが生還したと見せかけて遺産をせしめようという企み。

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本人なのに本人になりすまし、書字の練習をするところなどは『あの日の~』と同じですが
違うのはミシェルの正体は早々に明かされるのと愛欲がらみの危険な犯罪ドラマが展開する点。

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多分こちらの方が原作に近いのでしょうね。
スタンを演じるのは名優マクシミリアン・シェル
ポーランドからの亡命者であるスタンは生き抜くために貪欲です。

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ファムファタールであるファビも深くスタンを愛していて、
サスペンスフルな愛憎劇に切実さが加わるのもまた一興でした。
美しいサマンサ・エッガー(『コレクター』)の入浴シーンは一見の価値あり。

それにしても同じ原作でも随分違うものになるものです。
「拳銃」「自殺」などのキーワードを絡めつつもほぼ別物。
戦後のユダヤ人と彼らを取り巻く関係を繊細に描くことで戦争の痛みを切り取った『あの日の~』の
現代的なアプローチにもあらためて面白さを感じた次第。



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【映画】天使の顔
2015年09月18日 (金) | 編集 |
Jean Simmons_Rober Mitchum_Angel Face_1952

【作品情報】
天使の顔(1953)アメリカ
原題:Angel Face
監督:オットー・プレミンジャー
脚本:オスカー・ミラード/フランク・S・ニュージェント
出演: ロバート・ミッチャム 、ジーン・シモンズ、 ハーバート・マーシャル、 モナ・フリーマン、 レオン・エイムズ、 バーバラ・オニール
巨匠たちのハリウッド オットー・プレミンジャー傑作選 天使の顔 [DVD]   
 
miskaさんからのタイトルお問い合わせに
HKさんが「これでは?」と教えてくれたのが『天使の顔』
録画していたので早速鑑賞しました。

【感想】
丘の中腹の瀟洒な家でガス中毒騒動があり救急車が呼ばれたが
幸い発見が早くこの家の後妻キャサリンは無事だった。
帰り際、救急車の運転手フランク(ロバート・ミッチャム)はピアノを奏でる娘(ジーン・シモンズ)に気づき
「大丈夫だったよ」と声をかけるが、何故か娘は動揺し泣き崩れる。
頬を平手で打つとようやくを娘は落ち着くも、フランクもお返しに平手を食らった。
フランクを気に入った娘ダイアンはこのあと救急車のあとをつけ、フランクとその恋人に接近。
フランクの夢の実現をチラつかせ、お抱え運転手に迎え入れる。

実はダイアンがピアノの前で泣き崩れたのは継母の殺害に失敗したから。
父を愛するダイアンは継母により父が腑抜けになったことを憂い、キャサリンに恨みを抱いていた。
やがてダイアンは二度目の計画を実行するが・・

というお話でありますが、miskaさんいかがでしょう。
ダイアンは恋人からフランクを奪った形となり三角関係も成立。
フランクは完全に人生を狂わされてしまうし、車の事故も出てきます。

ただ、継母を殺し、結局はフランクも翻弄するファムファタールなダイアンですが
内面は実に寂しい娘で、フランクを純粋に心のよりどころにしていたところがmiskaさんの記憶のイメージと違っているかなぁ。
しかしまぁ、事故のシーンは強烈で、題名が思い出せなければ探したくもなるってもの。
エンディングもフィルム・ノワール史上屈指の緊張をもたらし、最高に面白い作品でした。

ところで、この映画を教えてくれたHKさんの記事でも触れられてますが
本作の制作秘話は作品を知る重要な要素となると思うので、以下に番組の解説者(この回は自称ノワールの帝王wエディ・ミュラー)の言葉を紹介します。

本作の製作を担当するのが当時映画会社RKOを経営する億万長者のハワード・ヒューズ
ヒューズはジーン・シモンズと契約を交わしており、これが契約最後の作品です。
ヒューズがシモンズに興味を持ったのは悲劇女優としての資質のみ。
彼は最後の作品としてシモンズを思い切り痛めつけるものを作ろうと画策し、脚本を選び
スパルタ演出で知られるオットー・プレミンジャーを監督に雇ったんですね。

まず最初にした虐めがシモンズの髪を切り、かつらをかぶらせるということ。
俳優であるシモンズの夫を苦しめるためでもあります。

プレミンジャーは序盤、ミッチャムがシモンズに平手打ちするシーンを何度も撮り直し
テイクごとに「もっと強く!」と要求したそう。

しかし、このときミッチャムはプレミンジャーに歩み寄り
プレミンジャーの顔を力いっぱい打って
「こうか?オットー、これがアンタの望みか?」と言い放ったとか。ミッチャム カッコイーー!!
以来、シモンズはミッチャムによって守られ、撮影も無事終了。

後に年老いたシモンズは本作を上映するフィルムフェスティバルに招かれたそうですが
それまでニコニコとバーガーを食べていた彼女がこの平手打ちのシーンで涙を流して退室。
撮影がどれだけ辛かったか、ミッチャムにどれだけ感謝したかを思い出したんだそうです。

シモンズにとってはトラウマ的な撮影となりましたが、撮影現場の緊張もあってか
作品は珠玉のフィルム・ノワーレとして後世に残ることになったんですね。



ロマンティックなフィルム・ノワール『ローラ殺人事件』
2015年08月28日 (金) | 編集 |

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【作品情報】
ローラ殺人事件(1944)アメリカ
原題:Laura
監督:オットー・プレミンジャー
出演:ジーン・ティアニー、ダナ・アンドリュース、ヴィンセント・プライス、クリフトン・ウェッブ他

【感想】
才能ある若きデザイナー、ローラ(ジーン・ティアニー)が顔を撃たれ殺されるという殺人事件が起きた。
捜査を担当したマクファースン刑事(ダナ・アンドリュース)はローラに近い3人の容疑者に事情を聞くが決め手に欠く。
アパートの壁に飾られた美しいローラの肖像画を見つめ思いをめぐらすマクファースン。
どうやら彼は肖像画のローラに心惹かれている様子。
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肖像画に恋する・・で思い出すのが、クリストファー・リーヴ主演の『ある日どこかで』。
マクファースンは、まさか時空を超えたりしないよね などと思っていたら・・

ここからネタバレに入りますので未見の方はご注意ください
         ↓
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なんと転寝するマクファースンの前に現れたのはローラ!

時空ではなく三途の川を超えて???

なわけもなく、ローラは生きていたのでした!!!



「顔のない死体」ということで想像はつくと思うのだけど、殺されたのはローラではなかったという作品でした。容疑者は最初から3人に絞られてますが、それぞれ怪しいところがあって、簡単には犯人が割れない。
そのためローラが容疑者と接触する場面では危険を感じ少しハラハラさせられるのだから、見せ方がうまいということですね。

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しかしながら、本作で際立つのはスリルや謎解きのうまさではなく、ローラの美しさそのものでしょう。
燐としていながら、言い寄る男に簡単に心を許してしまいがちなローラ。
その存在こそが罪なのだともいえます。
ローラに心乱され、人生を踏み外してしまった犯人が哀れに思えてしまいましたもの。

個人的にはダナ・アンドリュースが演じたマクファースンのキャラがお気に入り。
「婚約者と結婚するのかしないのか」って、捜査上はどっちでもいいことをあえて確認するマクファースンが
「結婚しないことに決めた」とのローラの答えに一瞬頬を緩ませるシーンがツボでした(笑)
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↑こらこら

ヴィンセント・プライスがバカに若く、でかいのに頼りなさげな男を演じていたのもビックリ
人に歴史あり。古い映画を観る楽しみでもありますね。

おっとー、忘れるところだったけど監督はオットー・プレミンジャーな。
はい、それが言いたかっただけです(笑)

チャイナタウン
2013年05月12日 (日) | 編集 |




 

チャイナタウン(1974)アメリカ

原題:Chinatown
出演:ジャック・ニコルソンフェイ・ダナウェイジョン・ヒューストン、 バート・ヤング、 ペリー・ロペス、 ジョン・ヒラーマン、 ダレル・ツワリング 、 ダイアン・ラッド


1930年代のロスアンゼルスを舞台に、私立探偵ジェイク・ギテスが、水の利権をめぐる陰謀に巻き込まれていく様を描く。
ロマン・ポランスキーの珠玉のフィルムノワールです。




 私立探偵ギテス(ジャック・ニコルソン)はダム建設技師の妻と名乗る女性から夫の浮気調査の依頼を引き受け、若い女と密会する写真を撮ることに成功。ところがこれが何故か新聞に掲載され、怒った本物のモーレイ夫人(フェイ・ダナウェイ)がギテスの前に現れる。最初の依頼者は偽者だったのだ。しかもモーレイはその後溺死体となって発見される。何かの陰謀を察知し、モーレイ夫人に接近するギテスだが、彼の周りで新たな殺人事件が起こり、ギテス自身も命を狙われることになる。

砂漠に作られたロスは、水の供給がなければ市民生活はなりたたないことから、貴重な水をめぐる汚職が生まれる。ジョニー・デップが声を担当した『ランゴ』もそうだったな。
かつてはロスのチャイナタウンで警察として働いていたギテスは、そこで事件にのめり込んだあげく傷ついた過去を持つ。チャイナタウンにはチャイナタウンのルールがあり、よそ者の介入を許さない。けれど、ギテスはまたしても女にのめり込む。同じ失敗を繰り返すことになるのに・・

真実を追究しようとしながらも巨大な陰謀を前に無力感を噛み締めるしかないギテス。
ニコルソン悲痛な表情が、ジェリー・ゴールドスミスの退廃的なメロディに被さるラストシーン
鳴り続けるクラクションが哀しく響き、なんとも言えない虚無感に襲われ忘れられないものがありますね。
30年代の時代を再現する美術も見事です。

ちなみに、モーレイ夫人の父親を演じているのは、ジョン・ヒューストン監督だったんですね。

ポランスキー自身も、ギテスを脅すギャング役で登場。
「こんなミジェット(小人)どこから連れて来たんだ」と言うニコルソンの鼻をナイフで切り裂くシーンはリアルでビビったわ。


劇中フェイ・ダナウェイがカクテルを注文するシーンで言う「トムコリンズをライムで」。
これいつか真似してみたい!!

 

■トラックバックいただいてます

Tracked from CINEmaCITTA&.. at 2013-05-11 00:51 x

タイトル : チャイナタウン
久しぶりに蔵出しビデオで観ました。 この時代の映画は個人的な思い入れが強い作品が揃っていまして、この映画もその一作なんです。 『ローズ・マリーの赤ちゃん』 のヒットで一躍人気監督となった ロマン・ポランスキー監督 のハードボイルド・ミステリーといったら言いのでしょうか。 ジャック・ニコルソン が私立探偵ジェイク・ギテスに扮した名作の一本。 相手役は、これも当たり役、ミセス・モーレイ演じる フェイ・ダナウェイ です。 【チャイナタウン】 CHINATOWN 1974 ......more



【映画】いぬ
2011年05月21日 (土) | 編集 |

 
カンヌ特集
過去の名作を見直そうとする目的で、2004年にカンヌクラッシックが創設され、
カンヌでは毎年、再発見された映画や復元された作品を紹介してくれています。
せっかくなので、今回カンヌクラシックで取り上げられる作品や、俳優、監督について知りたい。
ということで、数点観てみることにします。
まずは、フランスで最も愛される映画俳優とされる
ジャン=ポール・ベルモンドの作品から
 
いぬ(1963)フランス
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド/セルジュ・レジアニ/ミシェル・ピッコリ/ジャン・ドザイー
 
■感想
今回カンヌで上映されるのは、ベルモンドに関するドキュメンタリー映画『Belmondo... Itineraire』(2011)と、出演作品である『おかしなおかしな大冒険』(1973)、『太陽の下の10万ドル』(1973)ですが、今日はジャン=ピエール・メルヴィル監督の『いぬ』を観ました。
 
強盗の罪で服役中に、妻を何者かに殺害されたモーリス(セルジュ・レジアニ)は、
出所後新しい恋人テレーズの世話を受けながら日々を送っていた。
ある日、彼は仲間のジルベールの紹介で、ある屋敷への強盗を計画。
テレーズの下見も完了し、友人シリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)の調達した道具を使い、
金庫破りを実行に移すが、犯行の途中で警察が現れ、やむなく仲間のレミとその場から逃走。
しかしレミは撃たれ、モーリスも弾丸を受け倒れた・・。

 
タイトルの『いぬ』というのは、警察への密告者のこと
モーリスの強盗計画をタレこんだ「いぬ」は誰なのか?を軸に据え
ギャングたちの復讐劇と警察との攻防を、スリリングに描く作品です。

いやぁ、これは良かった~。
昨日の友は今日の敵。
信じていた人間から、いつ命を狙われるか分からない世界の緊張!
そして、そんな中での真の男の姿にガツンとやられちゃいますねぇ。
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シリアンを演じるジャン=ポール・ベルモンドが、とにかく素敵!!
飄々として、どこかユーモラス
しかもこの映画でもクールなギャングでありながら誠実さをもち
時に子供みたいな瞳で見つめてくれるのよねぇ。惚れちまうぜ~。
でにそれだけに、この世界では幸せになることは許されないのかと思ってしまうラストには
衝撃が走りました。しかし渋い。
ノワールの傑作といわれるのも分かる、カッコいい作品でした。
 
身が軽く、スタントも自分でこなすというベルモンドのコミカルなアクション映画も観てみたいな。