映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】僕のワンダフル・ライフ
2017年07月15日 (土) | 編集 |
27-dog-purpose.jpg
僕のワンダフル・ライフ(2017
アメリカ
原題:A Dog's Purpose
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:K・J・アパ/ブリット・ロバートソン/ジョン・オーティス/デニス・クエイド/ペギー・リプトン
【あらすじ】
ゴールデン・レトリバーの子犬ベイリーは、自分の命を救ってくれた少年イーサンと固い絆で結ばれていく。やがて寿命を終えたベイリーは、愛するイーサンにまた会いたい一心で生まれ変わりを繰り返すようになるが、なかなかイーサンに遭遇できない。3度目でようやくイーサンに出会えたベイリーは、自身に与えられたある使命に気づく。(映画.comより)


【感想】
今日はラッセ・ハルストレム監督の新作
50年間に三度転生した犬と飼い主の絆を描くファンタジー・ドラマです。

bailey-ein-freund-fürs-leben-2
幼い少年イーサンに飼われた犬のベイリー
ベイリーの台詞は『アナと雪の女王』でオラフの声を当てたジョシュ・ギャッドが担当していて、犬ゆえに少々ボキャブラリー不足、でも意外に観察力はしっかりしていて、彼のおっとりしたナレーションがまた楽しい。

とってもいい子のイーサンだけど、アル中の父親の存在がイーサンの人生に暗い影を落としていく
イーサンとともに成長し、固い絆で結ばれていくベイリーもやがて年老いて・・
でもご安心あれ、ベイリーは新しいワンコとして生まれ変わるのです!(笑)

原題は「ある犬の目的」
ベイリーが何度も生まれ変わる そのわけは・・って部分は
人間様の自己中心的な発想に思えたりもするんだけど
さらりと描かれる転生と言う部分に、意味を与えるかどうかは観る人の宗教観とかによっても違うかな。
なんにせよ、大切なペットを失くし「愛犬にまた会いたい」と思ったことにある人には、これはたまらないはず。
ワンコ好きさん必見の最高にハートウォーミングな一本です。
Dogs-Purpose-2017.jpg
ところでね、この映画で犬への虐待があったと聞いて、凄く残念に思っていたんだけど、中年期のイーサンを演じたデニス・クエイドによると、TMZで流された、「嫌がるシェパード犬を笑いながら流れの速い水の中に落とそうとする」フッテージは、映画撮影者とは全く関係のない何者かによるものだったらしいんです。
スマホ映像を後半の本物の撮影シーンと合体させているというから悪質。投稿者は特定されてないらしいですがプレミアの前に公開されて、プレミアは中止。ラッセ監督は動物虐待者と批判されたそうだからなんとも酷い話ですよね。
実際には安全に配慮され撮影されたらしいので、虐待の噂を信じて観るのをやめるという人が少ないことを願います。

ブログパーツ









【映画】パラダイスの夕暮れ
2017年07月12日 (水) | 編集 |
paradice.jpg

 パラダイスの夕暮れ(1986フィンランド
英題:Shadows in Paradise 
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マッティ・ペロンパー/カティ・オウティネン/サカリ・クオスマネン/エスコ・ニッカリ
【あらすじ】
仲間の死によって独立の道を断たれた、ゴミ収集車の運転手ニカンデル。スーパーのレジ係イロナに恋をした彼は、彼女をデートに誘ったものの、ビンゴ会場に連れて行ってしまい大失敗。ところが、仕事をクビになったイロナが彼のもとに転がり込んでくる。2人の関係はうまくいったかのように見えたが……。


【感想】
アキ・カウリスマキ監督の長編三作目。
めずらしくテレビでかかったので観ました。

ゴミ収集車の運転手ニカンデルとスーパーのレジ係(をクビになる)イロナ
ともに明日に希望を見出せない、労働階級の孤独な中年同士の出会いと恋の行く末を描くドラマです。

カウリスマキ作品は沢山は観てないんですけど
いわゆる人生の負け犬的な労働者階級の人々が不思議な可笑しみと哀愁を漂わせるのが特徴ですね。

主人公のニカンデルも車を修理すれば手に怪我をするし、同僚から一緒に新しい仕事を始めないかと持ち掛けられたと思えば、同僚はあっさり現場で死んで独立話はおじゃんになる。
その場から野良犬が勢いよく走り去る姿に、ニカンデルのかすかな夢が凄い勢いで消え去るさまを重ね、切ないやら可笑しいやら。

shadows-in-paradise-thumbnail.jpg


落胆しレストランで暴れて挙句牢屋に入れられたりと、ツイテないことこの上ないニカンデルだけど、修理の時に怪我をしたから、スーパーのレジ係のイロナと接近できたんだし、牢屋に入ったから新しい友人もできた。
悪いことがあれば、いいこともあるよ というところにカウリスマキのやさしさを感じます。

しなしながら負け犬人生が長くなると、人は勇気を失くしてしまう。
ふがいない自分をわかっているだけに、ふがいなさを指摘されることが辛いんだな。
でも彼は友人に背中を押してもらって少しの勇気を振り絞る
kau3.jpg


つましいながらも、きっちりしてこぎれいな暮らしぶりと仕事に対しても真面目な姿勢に
彼はその気になれば絶対に頑張れる人だと思えるのもいい。
だからダメもとでもやってみればいいよねというラストシーンに、涙がにじんだし幸せな気持ちにもなった。
友人の運転する清掃車だって、私にはリムジンに見えたしね。

初期にしてすでにほぼ完成していたと思えるペーソス溢れる作風
途中流れる音楽にもどこかノスタルジックで、やっぱりカウリスマキ監督いいわ。

ブログパーツ









【映画】クィーン・オブ・キャトウェ(原題)
2017年07月02日 (日) | 編集 |
 将棋の藤井4段、ついに破れましたね。
プレッシャーもあったでしょうが、中学生で歴代トップの29連勝を記録したのだから、十分凄いです。
勝ち続けるよりも負けて学ぶことも多いはず。
彼はさらに強い棋士になっていくことでしょう。

さて、今日アップするのは、劇場公開は逃したものの、ずっと観たかった映画。
チェスの国内大会で優勝し、世界に挑戦したウガンダの少女フィオナの物語。実話です。

queen-of-katwe-movieposter.jpg


クイーン・オブ・キャトウィ(2016)アメリカ
原題:Queen of Katwe 
監督:ミーラー・ナーイル
出演:マディナ・ナルワンガ/デヴィッド・オイェロォ/ルピタ・ニョンゴ
【あらすじ】
ウガンダの貧民街に暮らす少女フィオナは、貧しい子供たちにチェスを教えるカテンデに見いだされ、才能を開花させる。


【感想】
監督のミーラー・ナーイルは、大好きな『その名にちなんで』で知られるインドの女性監督です。
インドを舞台に、あるいはインドからの移民の映画を撮る人だと思っていたので、東アフリカのウガンダを舞台にした実話ベースのディズニー映画?と意外な気がしてたんですが、調べたら監督はウガンダにもう25年も暮らしてるんですね。映画の舞台となるスラム街からは15分の距離だとか。
そんなナーイル監督ですが、内紛などアフリカのダークな一面を描くことには興味がなく、それらのオファーはことごとく断ってきたらしい。この映画を受けたのは、本作が世界中の子供たちの希望を見出す話だと思ったからだそう。
なるほど、フィオナがチャンピオンになっていく過程は普遍的なサクセスストーリーで、夢を実現させることは誰もが自分に置き換えることのできるもの。
スラム街が舞台ではあるけれど、悲壮感はそれほどなく、軽快な音楽や陽気なダンス、カラフルなトーンで元気をもらえる感じは『クール・ランニング』を思いだしました。

Queen-of-Katwe-movie-still.jpg
チェスを全く知らないフィオナが仲間の子供に教わるところから始まるのは、ルールも何も知らない私にはありがたかった。
勿論じきにちんぷんかんぷんになりますが(笑)
lupita.png
フィオナだけにフォーカスするのでなく、チェスを教えたカテンデやチェス仲間の子供たち、フィオナの母親(ルピタ・ニョンゴ)など、フィオナを取り巻く人々との人間関係が丁寧なのもいい。
特にカテンデを演じたデヴィッド・オイェロォのひたむきな指導者ぶりが素晴らしく、彼の台詞には人生の指標にしたいものがいくつかありました。オイェロォはカリスマ的な歴史的人物を演じることがあるけれど、こういう暖かい役柄が似合うんだと再認識。
lead_960.jpg
フィオナを演じたマディナ・ナルワンガ他、子供たちなど大半は演技を知らない素人らしいですがそれも一興。
子供たちの素朴さやユーモアを引き出した監督の演出力も素晴らしいんでしょうね。

あと中流階級の子供たちはちゃんとブレザーとネクタイの制服を着てたりで貧富の差が激しいことなど、紛争映画からは観ることのできない近代的な部分が垣間見れるのも興味を惹かれるところでした。

『人は必ずしも自分がいるべき場所にいないことがある。』との劇中の言葉に
果たして自分は、自分が信じる「いるべき場所」にいるのかと
それぞれが問いかけることになるでしょう。

「よりよい自分」になるチャンスはまだ残されているかも と
そんなことを考えさせてくれる映画でした。

rottenトマトでも93%の高評価。
日本公開はいつかな。




ブログパーツ







【映画】バレー・オブ・バイオレンス
2017年06月30日 (金) | 編集 |
 
inavalleyofposter.jpg
バレー・オブ・バイオレンス(2016)アメリカ
原題:In a Valley of Violence
監督/脚本:タイ・ウェスト
出演:イーサン・ホーク/ジョン・トラヴォルタ/タイッサ・ファーミガ/ジェームズ・ランソン/カレン・ギラン
【あらすじ】
愛犬と共に荒野を旅する男ポール。「バレー・オブ・バイオレンス」と呼ばれる町デントンに流れ着いた彼は、些細なことから悪徳保安官補佐ギリーとトラブルになり町を出るが・・・


【感想】
久々の映画記事です。

これ、主演のイーサン・ホークが『マグニフィセント・セブン』のインタビュー動画でグッドナイト・ロビショーとの役柄の類似性を指摘していて気になっていたんですよね。

INAVALLEY-master768.jpg


今回イーサン演じるは、愛犬アビーと荒野を旅する流れ者ポール。
水を求め訪れたデントンはバレー・オブ・バイオレンスと呼ばれる暴力に満ちた街
アビーとポールは街を牛耳る保安官の息子とのトラブルから、ここである危機を迎えるという話。


前述したように、イーサンの役柄はグッドナイト・ロビショーに通じるところがあって
『マグニフィセント~』では傷ついた心を癒す存在がビョンホン演じるビリーだったのに対し
本作では犬のアビーがその役割を担っています。

冒頭のシークエンスだけでも愛犬との絶大な信頼関係がうかがえる演出。
とにかくイーサンとワンコとのコンビが最高なの。

jumpy.jpg
お風呂に入るアビーかわゆす


タイ・ウェストの監督作品は『イン・キーパーズ』しか観てなかったけど
ホラーだけでなくこういうウェスタンも撮るのだなと、ちょっとビックリ。
タイトルバックがもろセルジオ・レオーネで、監督がマカロニ風を狙ったのは間違いないところでしょう。
in-a-valley-of-violence-2016-movie-poster.jpg


保安官(ジョン・トラボルタ)の息子ギリ―(ジェームズ・ランソン)とその仲間たちVSポールという構造で、それなりのスリルを見せてくれるし、イーサン、トラボルタのうまさもあって結構笑えるエンタメ性も。
inavalleytora.jpg

宿を営む美人姉妹の妹にタイッサ・ファーミガ
生き延びるために力のある男に頼る姉に対し、タイッサは街を出ることに希望を持ち続ける強い女性を熱演。
イーサンと恋人のような親子のような関係を気づいていくのも微笑ましい。
in-a-valley-of-violence-2016-ethan-hawke-taissa-farmiga.jpg
日本ではDVDスルーになったらしいので機会があればどうぞ。
『ジョン・ウィック』に通じるところもあって面白いですよ。



ブログパーツ


『パトリオット・デイ』 ボストンマラソンテロ事件で強固になる愛国心
2017年05月04日 (木) | 編集 |
Patriots_Day_Onesheet_AU_LR.jpg
パトリオット・デイ
(2016)アメリカ
原題:Patriots Day
監督:ピーター・バーグ
脚本:セオドア・メルフィ
出演:マーク・ウォールバーグジョン・グッドマン/ケヴィン・ベーコン/J・K・シモンズ/ミシェル・モナハン
【あらすじ】
13年4月15日。ボストン警察の殺人課に所属する刑事トミーはボストンマラソンの警備にあたっていた。50万人の観衆で会場が埋め尽くされる中、トミーの背後で突如として大規模な爆発が発生し・・


【感想】
『ローン・サバイバー』から快進撃を続けるピーター・バーグ監督が今回選んだのは、2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件。膝から下が引き裂かれたカーテンみたいになって車いすで搬送される被害者の様子などショッキングな映像が映し出されたのも印象的でしたが、まもなく犯人と思われる2人の写真が公開され、犯人が潜伏したウォータータウンの民家を捜索する映像などニュースから目が離せない数日間でしたね。
Patriots-Day-3.jpg
犯人の特定に関しては、ここでも監視カメラが大活躍。
現場の観衆から集めたスマホ映像などを解析する捜査の鮮やかさには感心しきり。
クールなFBI捜査官を演じたケヴィン・ベーコンと地道で実直なボストン警察の殺人課の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)のキャラクターは対照的で、だからこそそれぞれの役割が強調されてもいます。

タイトルのパトリオット・デイというのはボストン・マラソンがパトリオット・デイに開催されたからというのもあるんですが、事件によってより強固なものになるアメリカ人の愛国心がこの映画のテーマになってるからなんですね。

そのため、犯人側の思惑にはあまり深入りすることなく事件の進展を描き、関わった人々の活躍にフォーカスする作り。
銃と爆弾を武器に抵抗を続ける犯人に果敢に立ち向かう銃撃戦のシーンの緊張感たるや!
警察の勇気には敬意を払うしかありません。
patriotsday0002.jpg
ただ一つ疑問に思うのは、ウォールバーグ演じるトミーが架空の人物である点。
目の前で起きた事件の衝撃をリアルに伝えるという点では成功してるし、トミーの存在が映画をより人間味のあるものに仕上げていていいんですが、捜査の場面でのウォルバーグの活躍は作り事だったの?と思うと、実録ものとしての信頼性が低下する気がしてちょっと複雑な気分。

それでも、事件解決後のボストン市民の一体感は、ニュースからも伝わるところで、愛をもって事件をポジティブな視点で見つめているのがいい。
日本で「愛国心」というと右寄りなものを想像してしまうけれど、元来愛国心というのは純粋に国を愛するということ。
悲惨な事件を体験して人々が助け合い支え合う姿が感動的で、どんな邪悪な敵にも愛をもって立ち向かうことができると・・
文字にするときれいごとだけど、そのメッセージには心を揺さぶられます。

ただ、アルカイダにしろ北朝鮮にしろ、邪悪な敵の皆さんも彼らなりの愛国心を持っているんだよね、きっと。
愛国心をテーマにするのなら、爆弾犯の動機などにも触れないと偏ったものになるんじゃないかという気はしましたね。
とはいえ、捜査の全容を明かしつつ、事件現場のカオスを緊張感たっぷりに描いた実録スリラーとしては大変面白く見ごたえもたっぷりでした。


お気に入り度4.0


ブログパーツ