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須川栄三監督『けものみち』
2012年06月21日 (木) | 編集 |
松本清張の原作を須川栄三が監督した社会派スリラーな一作。
池内淳子がけものみちに堕ちるヒロイン民子を熱演しています。




けものみち
1965年(日本)
原題:
監督:須川栄三
出演:池内淳子池部良小林桂樹
伊藤雄之助小沢栄太郎


原作は読んでないんですが、何度も映画やドラマになっている作品らしく
最近では米倉涼子さんで木曜ドラマにもなってるんですね。未見ですが。

さて、須川監督版でヒロイン成沢民子を演じるのは池内淳子。
民子は中風の夫を養うため、割烹旅館で住み込みの女中をしてるんですね。
そこで客として現れたホテルマンの小滝(池部良)が民子を見初め、
もっと金を稼げる仕事をしないかと誘う。
民子は不自由な身体でスケベ心だけは達者な夫を火事にみたて焼き殺し
小滝のつてで政財界の黒幕 鬼頭の世話をすることになるが
一方で、火事を不審に思う刑事(小林桂樹)が独自に捜査を進め・・
という話。

キャストがいいですね。
私の中では良妻賢母のイメージだった池内さんが、
見た事もない宝石にほだされて、けものみちに迷い込んでしまいます。
夫を焼き殺した時点で民子は悪魔に魂を売ったも同然。
これまたエロ爺全開の鬼頭に身体を撫で回されながらも
鬼頭が政財界の影のドンであることは、民子の虚栄心を刺激する。
それでも女ざかりの身体は小滝を求めるわけで、これがなかなかに艶っぽい。
画面ごとに美しく洗練されていく池内さんが魅力的ですなぁ。



誠実な青年実業家タイプの池部良が、左翼崩れの冷徹な男を演じ
色と悪で魅せてくれますね。
朴訥だけど切れ者の刑事に思えた小林桂樹までが民子の色香によろめき
身を落として行くという意外性も堪らない。

政財界のドロドロが抽象的なのは、時間に限りがあることを思えば仕方ないかな。

タイトルはあくまで「けものみち」
這い上がるものがあれば、堕ちていくものもあり
栄華は永遠には続かない
いつの間にか知りすぎた女になってしまった民子の周囲で
不穏な空気が流れ始める後半はスリリングでした。
結局は夫に下したのと同じ形で悪魔の制裁を受けることになる民子の運命が悲しい。
大物の影には、もっと大物が潜んでいるという
悪の構図に背筋が寒くなる、社会派ミステリーの秀作です。

★★★★