映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】誰のせいでもない
2016年08月23日 (火) | 編集 |

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誰のせいでもない(2015
ドイツ/カナダ/ノルウェー
原題:Every Thing Will be Fine
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ビョルン・オラフ・ヨハンセン
出演:ジェームズ・フランコシャルロット・ゲンズブールレイチェル・マクアダムス/マリ=ジョゼ・クローズ
日本公開:2016/11/12

【あらすじ
売れない作家のトーマスはある日運転中に急ブレーキを踏む。
すんでのところで停止し、そりに乗った子供が無傷であることに胸をなでおろすトーマス。
呆然と言葉も出ない子供を家に送り届けるも、母親のケイト(シャルロット・ゲンズブール)はパニック状態で家を飛び出す。

【感想

ヴィム・ヴェンダースジェームズ・フランコを主演に迎えた新作のヒューマンドラマです。
事故の際、トーマス(フランコ)が少年にかけた言葉が原題の「Everything will be Fine」。
実はトーマスの気づかないところで一つの命が失われていたんですが、どうやらそれは「誰のせいでもない」事故として処理された様子。トーマスは恋人サラにも「Every thing will be fine」と報告します。しかしながら事故はトーマスやサラ(レイチェル・マクアダムス)、事故にあった少年一家の運命を変えていくんですね。
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お咎めなしとされたとはいえ、事故が心の底の澱となってしまうのは理解できます。
レイチェル・マクアダムス演じるサラとの関係も、ともに事故のトラウマにとらわれた状態でいたわり合うのは難しい。
 

everythingwillbefine.jpg 

けれどトーマスは編集者アン(マリ=ジョゼ・クローズ)家族と出会い、癒しを見つけることができたんでしょう。心に余裕ができて初めて同じように傷を負った人の心を包んであげることもできたのだと思う。
法的責任はなくても、被害者家族に対する心的責任を負ったトーマスが、新たに負う自身の家族への責任等、淡々とした中にリアルな現実が盛り込まれてますね。
 

ゆっくりと時間をかけてトラウマから解放され成長する話でもあり、11年の歳月の重みも感じます。

今回は2Dで見たけれど、奥底を表現するのに用いたとする3Dがどんなものなのか見たかったかも。もちろん2Dでも、枠越しや、ガラスに景色を反射させる手法などを用いた映像が印象的で、雪の景色の美しさは特筆すべきものがありました。
 

フランコ君はフラットに演じることに徹しているように思いましたが、意図的に演出されたものなのかな。
正直淡々としてスローなので、途中寝たとしても「誰のせいでもない」・・気がする(汗)

終わってみれば原題の「Everything will be Fine」には前向きな希望を感じますね。
邦題とは少しギャップが・・コホンコホン・・

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家から2時間『パリ、テキサス』
2012年08月09日 (木) | 編集 |
私にとってのご当地映画は、
家から2時間の距離にあるひなびた町が題名になった『パリ、テキサス』。
サム・シェパードが脚本を手がけ、ヴィム・ヴェンダースがメガホンを取ったロード・ムービーの傑作です。





パリ、テキサス
1984年(西ドイツ・フランス)
原題:
PARIS, TEXAS
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ハリー・ディーン・スタントンナスターシャ・キンスキーオーロール・クレマン
ハンター・カーソンベルンハルト・ビッキ


息子ハンターを弟のもとに残し失踪していた男トラヴィスが
テキサスの乾いた砂漠をひた歩くシーンから始まる本作

トラヴィスに何があったのかの謎を残したまま
映画は、4年ぶりに再会を果たした父と息子が
やはり失踪中の母親ジェーンを探し、テキサスを旅するという
ロードムービーの形をとります。





本作で初めて主役を演じるハリー・ディーン・スタントン
記憶を失くすほどの衝撃的な過去を引きずりながら
息子との再会で徐々に自分を取り戻していくトラヴィスを熱演。

この映画、とにかく好きなシーンがたくさんあるんですが
例えば、学校帰りのハンターをトラヴィスが待ち構え、ともに帰宅するシーン。
道路を隔て、父の真似をしながら歩くハンターに向かい
トラヴィスが歩き始めると、そこでライ・クーダーのギターがギュイ~ンと鳴る。
2人の気持ちが重なりあう音 そんな風に感じるほど
ライ・クーダーのギターの音が効果的に使われていて、たまらなく好き。
父子が使うトランシーバーも、2人が自然に協力体制に入るのに役立っていて
小物使いの上手さも印象的ですね。

弟の家に迎えられ、何か役に立つ自分であろうとするのか
鼻歌交じりに洗い物をしたり、家中の靴まで磨いて外に干してしまう。
色とりどりの靴が並ぶ様子は日本的でもあり、流石ヴェンダース。

サム・シェパードの脚本は、親子の関係の行き着くところを
映画の進行とともに考え、練り上げたとのこと。
夫婦の間の溝を埋めるのは難しい。
それでも、途切れていた母と子の絆をふたたび結ぶことを見届けるトラヴィスが
最後に見せるかすかな笑みに、彼の精一杯の心を感じました。
考えうる限りの最も自然な結末だったかもしれません。
弟夫婦のことを思うと切ないんだけどね。

結局パリは写真でしか出てこないのだけど
途中で見る幸せな家族の8ミリビデオはガルベストンだし
ヒューストンのダウンタウンなど、馴染みの場所が出てきたのは嬉しかったな。
ナスターシャ・キンスキーは輝くばかりの美しさでした。

ちなみにハンターを演じたハンター・カーソンはカレン・ブラックの息子ちゃんだったのね。
今では監督業も手がける大人に成長!
こちら2009年のですが、お母さんと一緒のハンター君。
カレンさん相変わらず怖いです(笑)





★★★★☆




都会のアリス
2011年06月05日 (日) | 編集 |


 





今日はヴィム・ヴェンダース初期の作品から『都会のアリス』
『まわり道』、『さすらい』へと続く三部作の一本目となるロードムービーです。


都会のアリス(1973)西ドイツ
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:リュディガー・フォグラー/イエラ・ロットレンダー/リサ・クロイツァー/エッダ・ケッヒェル




【ストーリー】
旅行記の執筆のためアメリカを放浪していたドイツ人作家フィリップが、帰国のため立ち寄った空港で9歳の少女アリスとその母に出会う。ひょんな事から少女をアムステルダムまで連れて行くこととなったフィリップ。しかし待ち合わせたアムステルダムに母の姿はなく、彼は少女の記憶を頼りに祖母の家を探す旅に出ることとなる。

■感想
いいなぁ、これ。
フィリップ(リュディガー・フォグラー)は、ひょんなことから9歳のアリス(イエラ・ロットレンダー)と出会い、アリスの記憶を頼りに、祖母を探すことになります。
フィリップ自身、仕事も中途半端に投げ出して、帰国しようとしていた矢先のこと。

お金もないのに、どうして自分が、という思いもあり、
最初はわがままなアリスに苛立ちも見せるのですが
懸命に不安と闘うアリスへの同情もあり、旅を続けます。
でも旅の途中で、二人の関係は微妙な変化を見せるのですよね。





苛立ちから、フィリップに辛らつな言葉をぶつけるアリス
グサりとはくるけど、そのストレートな言葉は彼の中に眠っていた何かを目覚めさせます。
そして、アリスの祖母を探すというミッションを達成することは、
フィリップ自身の存在意義を見出すものに、なっていったんでしょうね。




だんだん父と娘みたいになっていく二人が微笑ましい。
説明を極力省いているからこそ、その空気から多くのことを感じる映画です。
音楽もいいし、なんだか優しい。こんなの大好き。

アムステルダムの電車はあんななんだなぁと、
見知らぬ土地の風景をみるのも楽しかった。

ちなみにこの映画の主人公フィリップ・ヴィンターは
三部作の他の二作品にも登場して、さすらいの旅を続けるらしいんですね。
それ興味津々、観たいわぁ。

余談ですが、ヴェンダースはアリスの母を演じたリサ・クロイツァーと
この映画の翌年結婚、でも4年で破局してますね