映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】夢かうつつか『怪奇な恋の物語』
2016年04月11日 (月) | 編集 |
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怪奇な恋の物語(1969)
イタリア
原題:A Quiet Place in the Country
監督/脚本:エリオ・ペトリ
出演:ヴァネッサ・レッドグレーヴ  / フランコ・ネロ/ ジョルジュ・ジェレ  / ガブリエッラ・グリマルディ/ リタ・カルデローニ 

 【あらすじ
ミラノの高名な画家レオナルド・フェッリ(F・ネロ)は、最近妄想に悩まされていた。彼のエージェントである愛人のフラビア(V・レッドグレーブ)とのエロチックな殺人劇が夢に現れるのである。

【感想
久々にレトロ作品の感想を。

今日はヴェネチア映画祭銀熊賞を受賞したエリオ・ペトリ監督によるイタリア産ミステリー・ホラーです。
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冒頭、半裸でロープに縛られ椅子に座る画家のレオナルド(フランコ・ネロ)。
その周りを家電製品で取り囲み、喜々として電源を入れるのはヴァネッサ・レッドグレーヴ演じるフラビア。
その後二人はお風呂でイチャイチャ。と、思いきやフラビアにナイフで滅多刺しされ・・

いきなり主人公ご退場 なわけはなく、
レオナルドの夢だったことがわかるんですが、画家のレオナルドはどうやらスランプに陥っていて
マネージャー兼愛人のフラビアに制作をせかされ精神的にいっぱいいっぱい。
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あかん、いっとき休養するわ 
レオナルドは静養のため田舎の古い館に住み始めるも、そこでも新たな事件に遭遇するという話です。

 
銃弾によるものと思われる無数の穴の空いた外壁、壁に花を供えに来る男
女性の顔の浮かび上がる壁、夜間の物音、壊されたキャンバス
フラビアを襲うように崩壊する家
その館に住んでいたという美しいワンダの亡霊と死の真相

それらをミステリー風に見せていくわけですが
面白いのは館にまつわる幽霊譚と、画家の狂気との境界があいまいになっていくところ。
ワンダの霊の仕業と思われた部分も、潜在的な殺意の表れだったのか
レオナルドの観ていた世界を客観的に見せるラストは衝撃的であると同時に哀愁を感じるものでした。
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当時プライベートでもラブラブだったはずのヴァネッサとフランコ、
この映画で二人の仲に亀裂が入らなかっただろうかと余計な心配してしまった。

監督は当時出回り始めた家電製品に感じる違和感や、ヴァネッサ役のフラビアに重ねた金の亡者的な世情への違和感を映画に重ねたのだそうで、社会派として知られる監督らしい発想の転換が面白い。

エンニオ・モリコーネによる、音楽というより効果音に近い奇怪な音の演出も印象的でした。










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【映画】ジュリア
2016年01月26日 (火) | 編集 |
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ジュリア(1977
)アメリカ
原題:Julia
監督:フレッド・ジンネマン
原作:リリアン・ヘルマン
脚本:アルヴィン・サージェント 
出演: ジェーン・フォンダ / ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ ジェイソン・ロバーズ  / マクシミリアン・シェル/  ハル・ホルブルック/  メリル・ストリープ/ リサ・ペリカン/ スーザン・ジョーンズ

【あらすじ
処女作を執筆中のリリアン・ヘルマンは気分転換にパリに行き、ウィーンに暮らす友人ジュリアを訪ねるが……。


【感想
アメリカの劇作家リリアン・ヘルマンの回顧録『ジュリア』を原作とするドラマです。

タイトルロールのジュリアというのは、リリアン・ヘルマンの昔ならの友人として描かれています。
青春時代を共に過ごした2人ですがジュリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は大学卒業後ウィーンに暮らし、
リリアンはニューヨークで劇作家を目指しています。

思うように書けない焦燥感に苛まれる中、同棲中のハードボイルド作家ダシール・ハメットに勧められたことから
リリアンはパリに赴くんですが、折りしもナチスが台頭し始めたヨーロッパの情勢は不安定なもの。
ジュリアはウィーンで反ナチスのレジスタンス活動に加わっており
ジュリアと再会したリリアンも、やがて危険に巻き込まれることになるという話です。

これ回想録となっていますが、ジュリアという活動家がいたことは確かながら
リリアンが友人としてジュリアに絡んだという部分が実話かどうかは分かりません。

それでも混乱の時代を駆け抜けたジュリアと、ジュリアを手助けすることが自分を見出す道であるかのごとく奔走したリリアンの2人の織り成す刹那的な友情物語として見ごたえがありました。

俳優陣がまた素晴らしくてね。
お金持ちのお嬢さんでありながら、政治的な活動に没頭し、崇高な生き方を貫いたジュリアを演じる
ヴァネッサ・レッドグレーヴの強さと美しさ。
ジュリアに憧れ、不安におののきながらもジュリアを助けるリリアンを演じたジェーン・フォンダも可憐で
政治資金を運ぶことになる列車の旅の緊張感は半端なし。

ハードボイルド作家のダシール・ハメットは実際にリリアン・ヘルマンと30年間一緒に暮らしたようで
リリアンを励まし大きな愛で支える大人なダシールを演じる ジェイソン・ロバーズが凄くいい。

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ジュリアとの連絡役を務めるマクシミリアン・シェルも出演時間は短いながら映画に緊張を与えてるし
メリル・ストリープもちょい役で出てたりと、豪華な出演陣が見事に機能しています。


監督はフレッド・ジンネマン

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ハリウッドとヨーロッパの温度差含め、時代背景の描き方も秀逸
若きリリアンとジュリアの交流をフラッシュバックで見せているので、
2人の関係が分かりやすいのもいい。
聡明なジュリアに手を引かれ、常に彼女の後ろを懸命に歩いていたリリアンは
ジュリアを助けることでジュリアに成長した自分を認めて欲しいところもあったんだと思う。
手を握り合うだけで分かり合える2人。友情に言葉は要らない。

美しい音楽も相まって、最後はリリアンの孤独が切ない余韻を残しますね。

ちなみに、リリアン・ヘルマンはダシール・ハメットと共に赤狩りでブラックリストに載った作家ですが
公聴会で「友を裏切るような行為は絶対にしない」と準備したメモを読み上げたということで有名。
そんなヘルマンの強い意思と友人への忠誠心が垣間見れる映画でもありますね。

この年ウディ・アレンの『アニーホール』がアカデミーを席巻する中、
ヴァネッサ・レッドグレーヴジェイソン・ロバーズが助演女優賞と助演男優賞でオスカーをゲットしています。



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